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7. 手玉に取られるモノ
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大地との契約の主な目的は、正統な王となり…大地の名を介した契約が結べるようになることである。
しかし…今現在そのような契約は守護者の選任・解任を行うための儀式に用いるぐらいであり、其れ以外では何の意味も無い…廃れてしまった契約方法。
城に残っていた陣は、大地創造魔法陣が敷かれている場所へ直接に接続出来ない者が契約結ぶときの陣であり…資格持つ者が名を刻んで自身の体内魔石で魔力動かし陣を起動すると、目的地へと…個別認識された魔力が飛び…署名刻み…契約完了となる。
ある意味…期待外れの物足りない結末だ。
だがニュールが大地との契約について求める事で訪れたヴェステ、其処で出会うことになった…勝手に答えを押し付けてきた不快な存在。
看過出来ない危うきモノと、再び遭遇することになったのだ。
今…目の前で自由に優雅に…さも当然の様にグレイシャムの器に留まり顕現しているリーシェライルにも、シッカリ報告すべき内容ではあるが…何故か気が重い。
「ヴェステで…今貴方が入る其の器に…かつて入っていた中身が…居た。しかも王の器に入っていた」
「ふーん、奴ら約束したくせに此処に残っちゃったんだね…」
ニュールのもたらした報告に対し驚き、若干不快感示すリーシェライル。
予想よりは軽い反応だった。
約束を破り…世界の理の中に残る存在は、約定結ぶ前…外から手を伸ばし…世界を操り…影響を与え動かし遊んでいた勝手なモノ。
超越した場より眺め、神の如き目線で気軽に世界に手を加えていた傍若無人な意思。
シッカリと理が働く世界であるはずなのに、盟約を超え…此方に影響及ぼす立ち位置を持ち…縛りなく存在している。
約束の場で結んだ契約は、破られているのに…破られてないような状態。
彼のモノ達が選ぶのは、楽しむコト。
そのために必要なのは、遊び足りない世界に居残るコト。
全ての説明受けずとも、理に刻まれた盟約を無視出来る仕組みを…瞬間的に理解したリーシェライル。
そして静かに、だが…端的に問う。
「そのまま生かしておくの?」
"此方側の理の中にある生物として存在する"…其れが、制約を無視出来る唯一の条件。
つまり自身の絶対的立ち位置を捨て "生き物である事を選んだ" …と言うことであり、ヴェステで本人が述べたように…死によって清算を受ける身となったのだ。
故にリーシェライルは完全なる排除を望み、ニュールの意向を確認した。
「禍根断つつもりだが…今ではない。それに一気に対処した方が楽だ。何やら布告もしてきたし、整ってからの方が面倒が少ない」
「余裕だね。でも…君が殺らないなら…僕が喜んで頂戴するよ」
慎重なニュールの答えに対し…イカれた元大賢者様は、自身が使う金に輝く器の中…艶やかに…楽しそうに…残忍に…妖しく微笑む。
自身の大賢者統合人格の内に、いつからか内在していた…彼方の存在。
ソレが新たに宿った器を、自ら進んで屠ると断言する。
狂喜しながら状況楽しむ姿は、此の世界の内に存在するモノの中…最もアレらに近しき存在に見えた。
望みのモノへの妄執に近い執着…によって世界を動かそうとする、全てが滅びても…望むものさえ手に入れば何の憂いも感じないと言い切れてしまう酔狂極まりしモノ。
「アレは気に食わないな。そもそも僕の中に巣食ってたって事自体…許しがたいな。それに面白い…と言うだけで、僕を…大切なモノを煩わせそうだから…必ず片付けて欲しい…かな…」
吐き捨てるように述べる言葉は、同族嫌悪にも聞こえた。
そんなリーシェライルに対峙していると、直接急き立てられた訳でも無いのに…背後から何かが激しくニュールを追い立てるのを感じる。
明確な言葉も出さずに相手を思う方向へ動かす力。
普段…ニュールは同じような事を周囲へ行うが、対リーシェライルだと状況変わる。
此れが正しく、手玉に取られている状況…と言うのかもしれない。
「一筋縄ではいかないと思うが…早急に対策を行おう」
…とっとと片付ける…と、何故だか言わなければいけない気がするニュール。
「そうだね…アレが手に入れた器は、大地創造魔法陣を処理する時…足りない塔付きの大賢者の代わりを担ったモノだと思う。放置するのは危険かな…」
この先に立ち塞がり、絡んで来るであろう相手を推測する。
「あぁ、確かに…奴が持つ魔力はアノ時不足を埋めたモノの魔力だった。だが大賢者では無かった…」
「不思議だよね…。元々アチラに繋がっていたから大賢者の代役として力振るうことができたのか…力あった故に取り込まれたのか…」
過去の状況思い起こしながら、リーシェライルは現状の考察を行う。
自暴自棄に囚われ…世界の滅びを望み、リーシェライルが引き起こした大事変。
自らが望み開いた、終末的災禍への扉。
最悪の結末を断ち切ったのは、約束の場へ集まった大賢者達であり…災厄招き入れた本人であるリーシェライルも自戒し加わる。
全ての塔に大賢者が繋がりを築かねばならないと言うのに、条件満たせず…不完全なままに望んだ大地創造魔法陣《エザフォスマギエン》の発動解除。
1名…塔付きの大賢者が抜けた状態だった。
地の中…何処からか集まり…大きくなっていった地輝の様な魔力に救われ、成功した。
塔付きの大賢者と同等の魔力を集められるモノの存在。
其の時に集まった魔力の質が、ヴェステ王宮から感じられる魔力と一緒だった。
「何にしても…厄介な器に厄介なモノが入ってるから、心してかかった方が良いね」
「そうだな…確かに面倒な奴だな」
「気を付けて頑張って! 応援してるから」
「えっ?……オレか?!」
いつの間にか部外者の立ち位置に移動したリーシェライル、他人事のようにニュールに声掛けしていた。
其の言葉に、思わずニュールは仰天する。
ニュールは以前と同様、知らずして単独で責任負わされた事に気付く。
『やられた…』
ニュールはリーシェライルに嵌められた。
確かに最初に関わってしまったのは自分だが、全て引き受ける義理はない。
世界の危機であり…契約に反する外側からの干渉含む事態ならば、同じ大賢者である者たちが対するべきもの。
だが此の状況でリーシェライルを巻き込んでしまうと、過酷で凄惨な場面が繰り広げられる確率は高まり…庇護下にある者の負担となる事は確実。
しかも処理すべき相手は曲がりなりにも器は知人…であり、中身は世界の理の外…人とは言えない存在だったモノ。リーシェライルが述べたように、相当に厄介である。
出来るだけ穏便に済ますためには、流れのまま対峙する機会を持ち…直接手を下すしかない。
結局、全てを引き受けざるを得ない状況。
「オレもまだまだって事だな…これじゃあミーティの事をアレコレ言えないな」
思わず声に出して呟いてしまったニュールに、透かさずリーシェライルが答える。
「そうだよ、勉強になったでしょ? 見た目程は経験積めてる訳じゃあないんだから、自覚しとかないと痛い目見ちゃうよ」
仲間であり…お友達の立ち位置に収まった、自身以上の魔物な御方に見事嵌められた上に諭されてしまう。導き守りたい者と同様に、自身より上手のモノには翻弄されてしまう存在である事を心に刻む。
ニュールは自身の未熟さを自覚し、苦笑い浮かべるしかなかった。
『自分でも忘れちまうが…若造の端くれには引っ掛かってるんだな…』
ニュールは散々重荷を背負わされてきた状況を受け止めつつ…自身が外見とは違いギリギリ若者である事を指摘され思い出すのであった。
やっと落ち着き始めた世界に、何だか…余計な影響生み出しそうな不穏な力持つ…何かの切っ掛けとなってしまいそうな事柄が持ち上がりつつある。
嵐が巻き起こる前の剣呑とした雰囲気が漂い、兆しとして再び現れ始めた今の状況。
『人の…此の世界の領域での清算も必要なのかもしれないな…』
ニュールは今回も全てを押し付けられる貧乏くじ引かされた状態だと言うのに、明後日の方向まで思考飛ばし考え込む。
ある意味、空気や状況飛び越える呑気さ…身勝手な思考…とも言える。
守護してきたモノや…そのお師匠である目の前の存在と、方向性の違いはあれど…同列の部分持つのに…本人は気付かない。
リーシェライルも、ニュールの言動や現状を落ち着き払いながら冷静に分析し対応してきた。
そして一番大切なフレイリアルの為…そして自身の為、生かせる事がないかを吟味し…最善策を選択して利己的に動く。
魔物のそのものの様な心に傾くモノと…魔物の心と融合したモノ、似たような性質の心持ち。
行動や判断は両極に別れる。
寛容に…何だかんだと色々受け入れ…許容するニュールと、基本的には排除しつつ…厳密に取捨選択するリーシェライル。
だが相反するように見えるが、結局は自分本位の我欲満たすための行いである。
魔物な心を持ち冷酷な判断下しても、結局ニュールは自ら望んでお人好し…としか言いようのない行動を取るのだった。
人の持つ本質は心の奥底に根付いている…良きモノも悪しきモノも。
研ぎ澄まされた悪しきモノを隠形の衣で包み隠し…極上の獲物を今後も自らの糧にすべく…手管として利用するために、リーシェライルはニュールの情感領域に密か踏み込み…無防備な心の背に手を伸ばす。
優しく抱くことも…突き落とすことも…意のままに…。
「まぁ、何にしても…ヴェステの国王に取りついている不愉快なアレは君に任せるよ。出会ってしまった事は今更だし、状況把握できたのは良いと思うよ。だけど、遭遇したその場で宣戦布告されちゃったのは君の落ち度…だよね?」
誰にもどうしようも出来ない部分を容赦なく突き、言葉巧みに…自責と言う名の深き沼に導き…落とし入れる。
「突然現れた相手の策略にまんまと嵌まるとかして、怒り昂ぶり…踊らされちゃったんじゃない? ちょっと…いやっ、凄く…愚か…だよね」
揶揄うような軽い口調で状況言い当てられ…その上、追い打ちかけるように…蔑みの込められた言葉をさり気無く送られる。
言葉操り出すグレイシャムの器の口の端は、狡猾な色合い含む笑みに彩られ…綺麗に持ち上がった。
羞恥に彩られた自戒する思いに浸り、返す言葉も思いつかぬニュール。
リーシェライルはニュール自身が軽率であったことを自覚させ、更なる罪悪感で塗り固め…念入りに責任背負い込ませる。
「勿論…相談には乗るし、手を貸さないわけじゃないからさ。契約の解除には予定通り付き合うし…安心して。解任の儀は、明日の昼にでも遣っちゃおうか…」
その上、丁寧に恩まで着せておく。
鮮やかな手際で心絡め取り、抵抗する気力奪い動けなくして獲物を手に入れる。
さすが老獪なる古魔物な大賢者様。
フレイリアルの内なる存在となっても、リーシェライルの爽やかなぐらい悪辣な鋭敏さは健在であった。
しかし…今現在そのような契約は守護者の選任・解任を行うための儀式に用いるぐらいであり、其れ以外では何の意味も無い…廃れてしまった契約方法。
城に残っていた陣は、大地創造魔法陣が敷かれている場所へ直接に接続出来ない者が契約結ぶときの陣であり…資格持つ者が名を刻んで自身の体内魔石で魔力動かし陣を起動すると、目的地へと…個別認識された魔力が飛び…署名刻み…契約完了となる。
ある意味…期待外れの物足りない結末だ。
だがニュールが大地との契約について求める事で訪れたヴェステ、其処で出会うことになった…勝手に答えを押し付けてきた不快な存在。
看過出来ない危うきモノと、再び遭遇することになったのだ。
今…目の前で自由に優雅に…さも当然の様にグレイシャムの器に留まり顕現しているリーシェライルにも、シッカリ報告すべき内容ではあるが…何故か気が重い。
「ヴェステで…今貴方が入る其の器に…かつて入っていた中身が…居た。しかも王の器に入っていた」
「ふーん、奴ら約束したくせに此処に残っちゃったんだね…」
ニュールのもたらした報告に対し驚き、若干不快感示すリーシェライル。
予想よりは軽い反応だった。
約束を破り…世界の理の中に残る存在は、約定結ぶ前…外から手を伸ばし…世界を操り…影響を与え動かし遊んでいた勝手なモノ。
超越した場より眺め、神の如き目線で気軽に世界に手を加えていた傍若無人な意思。
シッカリと理が働く世界であるはずなのに、盟約を超え…此方に影響及ぼす立ち位置を持ち…縛りなく存在している。
約束の場で結んだ契約は、破られているのに…破られてないような状態。
彼のモノ達が選ぶのは、楽しむコト。
そのために必要なのは、遊び足りない世界に居残るコト。
全ての説明受けずとも、理に刻まれた盟約を無視出来る仕組みを…瞬間的に理解したリーシェライル。
そして静かに、だが…端的に問う。
「そのまま生かしておくの?」
"此方側の理の中にある生物として存在する"…其れが、制約を無視出来る唯一の条件。
つまり自身の絶対的立ち位置を捨て "生き物である事を選んだ" …と言うことであり、ヴェステで本人が述べたように…死によって清算を受ける身となったのだ。
故にリーシェライルは完全なる排除を望み、ニュールの意向を確認した。
「禍根断つつもりだが…今ではない。それに一気に対処した方が楽だ。何やら布告もしてきたし、整ってからの方が面倒が少ない」
「余裕だね。でも…君が殺らないなら…僕が喜んで頂戴するよ」
慎重なニュールの答えに対し…イカれた元大賢者様は、自身が使う金に輝く器の中…艶やかに…楽しそうに…残忍に…妖しく微笑む。
自身の大賢者統合人格の内に、いつからか内在していた…彼方の存在。
ソレが新たに宿った器を、自ら進んで屠ると断言する。
狂喜しながら状況楽しむ姿は、此の世界の内に存在するモノの中…最もアレらに近しき存在に見えた。
望みのモノへの妄執に近い執着…によって世界を動かそうとする、全てが滅びても…望むものさえ手に入れば何の憂いも感じないと言い切れてしまう酔狂極まりしモノ。
「アレは気に食わないな。そもそも僕の中に巣食ってたって事自体…許しがたいな。それに面白い…と言うだけで、僕を…大切なモノを煩わせそうだから…必ず片付けて欲しい…かな…」
吐き捨てるように述べる言葉は、同族嫌悪にも聞こえた。
そんなリーシェライルに対峙していると、直接急き立てられた訳でも無いのに…背後から何かが激しくニュールを追い立てるのを感じる。
明確な言葉も出さずに相手を思う方向へ動かす力。
普段…ニュールは同じような事を周囲へ行うが、対リーシェライルだと状況変わる。
此れが正しく、手玉に取られている状況…と言うのかもしれない。
「一筋縄ではいかないと思うが…早急に対策を行おう」
…とっとと片付ける…と、何故だか言わなければいけない気がするニュール。
「そうだね…アレが手に入れた器は、大地創造魔法陣を処理する時…足りない塔付きの大賢者の代わりを担ったモノだと思う。放置するのは危険かな…」
この先に立ち塞がり、絡んで来るであろう相手を推測する。
「あぁ、確かに…奴が持つ魔力はアノ時不足を埋めたモノの魔力だった。だが大賢者では無かった…」
「不思議だよね…。元々アチラに繋がっていたから大賢者の代役として力振るうことができたのか…力あった故に取り込まれたのか…」
過去の状況思い起こしながら、リーシェライルは現状の考察を行う。
自暴自棄に囚われ…世界の滅びを望み、リーシェライルが引き起こした大事変。
自らが望み開いた、終末的災禍への扉。
最悪の結末を断ち切ったのは、約束の場へ集まった大賢者達であり…災厄招き入れた本人であるリーシェライルも自戒し加わる。
全ての塔に大賢者が繋がりを築かねばならないと言うのに、条件満たせず…不完全なままに望んだ大地創造魔法陣《エザフォスマギエン》の発動解除。
1名…塔付きの大賢者が抜けた状態だった。
地の中…何処からか集まり…大きくなっていった地輝の様な魔力に救われ、成功した。
塔付きの大賢者と同等の魔力を集められるモノの存在。
其の時に集まった魔力の質が、ヴェステ王宮から感じられる魔力と一緒だった。
「何にしても…厄介な器に厄介なモノが入ってるから、心してかかった方が良いね」
「そうだな…確かに面倒な奴だな」
「気を付けて頑張って! 応援してるから」
「えっ?……オレか?!」
いつの間にか部外者の立ち位置に移動したリーシェライル、他人事のようにニュールに声掛けしていた。
其の言葉に、思わずニュールは仰天する。
ニュールは以前と同様、知らずして単独で責任負わされた事に気付く。
『やられた…』
ニュールはリーシェライルに嵌められた。
確かに最初に関わってしまったのは自分だが、全て引き受ける義理はない。
世界の危機であり…契約に反する外側からの干渉含む事態ならば、同じ大賢者である者たちが対するべきもの。
だが此の状況でリーシェライルを巻き込んでしまうと、過酷で凄惨な場面が繰り広げられる確率は高まり…庇護下にある者の負担となる事は確実。
しかも処理すべき相手は曲がりなりにも器は知人…であり、中身は世界の理の外…人とは言えない存在だったモノ。リーシェライルが述べたように、相当に厄介である。
出来るだけ穏便に済ますためには、流れのまま対峙する機会を持ち…直接手を下すしかない。
結局、全てを引き受けざるを得ない状況。
「オレもまだまだって事だな…これじゃあミーティの事をアレコレ言えないな」
思わず声に出して呟いてしまったニュールに、透かさずリーシェライルが答える。
「そうだよ、勉強になったでしょ? 見た目程は経験積めてる訳じゃあないんだから、自覚しとかないと痛い目見ちゃうよ」
仲間であり…お友達の立ち位置に収まった、自身以上の魔物な御方に見事嵌められた上に諭されてしまう。導き守りたい者と同様に、自身より上手のモノには翻弄されてしまう存在である事を心に刻む。
ニュールは自身の未熟さを自覚し、苦笑い浮かべるしかなかった。
『自分でも忘れちまうが…若造の端くれには引っ掛かってるんだな…』
ニュールは散々重荷を背負わされてきた状況を受け止めつつ…自身が外見とは違いギリギリ若者である事を指摘され思い出すのであった。
やっと落ち着き始めた世界に、何だか…余計な影響生み出しそうな不穏な力持つ…何かの切っ掛けとなってしまいそうな事柄が持ち上がりつつある。
嵐が巻き起こる前の剣呑とした雰囲気が漂い、兆しとして再び現れ始めた今の状況。
『人の…此の世界の領域での清算も必要なのかもしれないな…』
ニュールは今回も全てを押し付けられる貧乏くじ引かされた状態だと言うのに、明後日の方向まで思考飛ばし考え込む。
ある意味、空気や状況飛び越える呑気さ…身勝手な思考…とも言える。
守護してきたモノや…そのお師匠である目の前の存在と、方向性の違いはあれど…同列の部分持つのに…本人は気付かない。
リーシェライルも、ニュールの言動や現状を落ち着き払いながら冷静に分析し対応してきた。
そして一番大切なフレイリアルの為…そして自身の為、生かせる事がないかを吟味し…最善策を選択して利己的に動く。
魔物のそのものの様な心に傾くモノと…魔物の心と融合したモノ、似たような性質の心持ち。
行動や判断は両極に別れる。
寛容に…何だかんだと色々受け入れ…許容するニュールと、基本的には排除しつつ…厳密に取捨選択するリーシェライル。
だが相反するように見えるが、結局は自分本位の我欲満たすための行いである。
魔物な心を持ち冷酷な判断下しても、結局ニュールは自ら望んでお人好し…としか言いようのない行動を取るのだった。
人の持つ本質は心の奥底に根付いている…良きモノも悪しきモノも。
研ぎ澄まされた悪しきモノを隠形の衣で包み隠し…極上の獲物を今後も自らの糧にすべく…手管として利用するために、リーシェライルはニュールの情感領域に密か踏み込み…無防備な心の背に手を伸ばす。
優しく抱くことも…突き落とすことも…意のままに…。
「まぁ、何にしても…ヴェステの国王に取りついている不愉快なアレは君に任せるよ。出会ってしまった事は今更だし、状況把握できたのは良いと思うよ。だけど、遭遇したその場で宣戦布告されちゃったのは君の落ち度…だよね?」
誰にもどうしようも出来ない部分を容赦なく突き、言葉巧みに…自責と言う名の深き沼に導き…落とし入れる。
「突然現れた相手の策略にまんまと嵌まるとかして、怒り昂ぶり…踊らされちゃったんじゃない? ちょっと…いやっ、凄く…愚か…だよね」
揶揄うような軽い口調で状況言い当てられ…その上、追い打ちかけるように…蔑みの込められた言葉をさり気無く送られる。
言葉操り出すグレイシャムの器の口の端は、狡猾な色合い含む笑みに彩られ…綺麗に持ち上がった。
羞恥に彩られた自戒する思いに浸り、返す言葉も思いつかぬニュール。
リーシェライルはニュール自身が軽率であったことを自覚させ、更なる罪悪感で塗り固め…念入りに責任背負い込ませる。
「勿論…相談には乗るし、手を貸さないわけじゃないからさ。契約の解除には予定通り付き合うし…安心して。解任の儀は、明日の昼にでも遣っちゃおうか…」
その上、丁寧に恩まで着せておく。
鮮やかな手際で心絡め取り、抵抗する気力奪い動けなくして獲物を手に入れる。
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