もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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11章 夏の海ではしゃいじゃお

432.まさかの……?

 するん、と防衛兵ガーディアン・ソルジャーの中に突入。
 まるで筒状のすべり台をすべるように、どんどん奥へと落ちていく。

「……思った以上に長いぞ?」

 ありゃりゃ、これ、帰れるかなぁ?
 ──なんて心配をしていると、不意に周囲が七色にピカピカ光った。

「おお、遊園地のアトラクションみたい! 楽し~い♪」

 この感じだと、プレイヤーが入るのは想定されていたのかな。
 それにしては穴が小さすぎるけど。小型の希少種くらいしか入れないよ。
 もしかしたら、入るための方法もどこかに用意されていたのかも?

 いろいろと考えている内に、どうやら終着地点についたようだ。

 急に広い空間の上部に出たかと思うと、ポーンと宙に投げ出され、床にあった丸いゆりかごのようなものの中にスポッと落っこちた。
 ふわん、とクッションみたいなもので浮く感覚があったから痛くない。

「……ほーるいんわん!」

 思わず自分をゴルフボールに例えてそう言っちゃうくらい、見事に入ったよ。面白かったー。

 これから何が起きるのかな。
 きょろきょろと周囲を見回す。

 僕が入っているゆりかごのようなものと同じものが、両隣に一つずつ並んでた。
 あと二人ホールインワンできるよ~。ルトたち、小さくなって来ないかな? それとも、スラリンとユキマルを呼んで入れちゃう? 入れたらどうなる?

 湧き上がる好奇心でソワソワしてる僕の行動を制止するように、不意にアナウンスが聞こえてきた。

防衛兵ガーディアン・ソルジャーに【機械仕掛けの心臓オートマチック・コア】が一つ入れられました。起動するためには、あと二つ必要です〉

機械仕掛けの心臓オートマチック・コア? え、入ったのは僕だよ?」

 アナウンスの意味がわかんないですけどー。
 大きく首を傾げてしばらく考えて、アイテムボックスを確認してポンッと手を打つ。

 アイテムボックスから機械仕掛けの心臓オートマチック・コアがなくなってる!

「さては勝手に僕のアイテムボックスから機械仕掛けの心臓オートマチック・コアを取ったな!?」

 ぴったりサイズのゆりかごからぴょんと飛び上がってみる。
 僕の下に丸い玉──機械仕掛けの心臓オートマチック・コアがあった。それがゆりかごに接続されているように見える。

 パタパタと小さな羽を動かして飛び、真下にある機械仕掛けの心臓オートマチック・コアを観察。

「……これって、もしかして、防衛兵ガーディアン・ソルジャーの穴から入るのは、機械仕掛けの心臓オートマチック・コアだけでよかった感じ?」

 もしかしなくても、僕が入ったのは余計だったのでは?

「♪うさちゃん、ころころ、もっふもふ~、隙間にはまって、さあたいへ~ん。ほんとはうさちゃんいらないと~、わかってうさちゃんこまぁったよ~……」

 いぇい、どんぐりころころ(もふもふうさちゃんバージョン)替え歌完成!
 ちょっぴり単調に歌っちゃったのは仕方ないよね。遠い目をしちゃったのも、僕の今の気持ちを考えたら当然だよね。

「えぇ……僕、どうしたらいいの……?」

 ほんとにたいへーん、と頭の中で歌いながら呟く。
 これ、帰れるかな? すべってきたところを飛んで戻るの疲れそう。やーだー。

 ゆりかご近くの床におりて、ジタバタと駄々をこねていたら、キラッと光るものが見えた。
 それは僕がすべってきたところから放たれたかと思うと、隣りにあるゆりかごに落下してスポッとはまる。

「……ほーるいんわん! おめでとー」

 反射的に祝福してから「んん?」と首を傾げる。
 今の、何?

防衛兵ガーディアン・ソルジャーに【機械仕掛けの心臓オートマチック・コア】が一つ入れられました。現在二つセットされています。起動するためには、あと一つ必要です〉

 なんと! 落ちてきたのは機械仕掛けの心臓オートマチック・コアだったんだね。
 きっとルトかリリが入れてくれたんだ。
 僕に聞こえたアナウンス、二人にも伝わってたんだろうな。

 僕がそう納得している間に、さらにもう一つ落ちてきた。
 それは最後のゆりかごにはまり──

防衛兵ガーディアン・ソルジャーに【機械仕掛けの心臓オートマチック・コア】が一つ入れられました。現在三つセットされています。起動可能になりました〉

「おお! リリとルトありがとー!」

 聞こえてないだろうけど、拍手しながらお礼を伝える。
 起動可能になってよかったねー。でも、防衛兵ガーディアン・ソルジャーは壊れてたんじゃなかった? ほんとに起動できるの?

「──そもそもどうやって起動するの?」

 途方に暮れちゃう。
 近くに起動スイッチらしきものはない。ここ、ゆりかごっぽい入れ物以外にはなんにもないんだよ。銀色の金属で囲まれた無機質な空間。

 どうしたらいいんだろうねー? と首を傾げていたら、突然床が揺れた。
 もしかして防衛兵ガーディアン・ソルジャーが動いてる!?

「ふぎゃっ……外から起動スイッチが押された感じ?」

 斜めになった床をコロコロと転がってから、慌てて飛び、周囲を見回す。
 ここからじゃ外が見られないから、どういう状況になってるかわからないよぉ。

 ルトたちにチャットで状況を聞いてみようかな。
 きっとルトたちが起動したんだろうし。

 そう考えてチャット画面を起動した瞬間──

防衛兵ガーディアン・ソルジャーが砲撃準備中です〉

「えっ、砲撃!?」

 突然のアナウンスにギョッとする。
 このロボット、砲撃できるんだ? 外から見られないのが残念! きっと迫力があってカッコいい攻撃だろうに。

 ちょっぴりしょんぼりしてたら、何かに引っ張られるような感覚があった。
 まるで磁石が引き合う力のような、抗いがたい力が僕の全身を襲う。

「ひえぇええっ!?」

 叫び声を上げながら見えない力に引っ張られて、僕は近くのゆりかご(?)に仰向けですっぽりはまった。背中の下には機械仕掛けの心臓オートマチック・コアがある。
 で、出られないよぉ!

 なんとか脱出しようとジタバタと暴れてみるけど、上から圧がかけられている感じでどうしようもない。
 最終的には諦めて天井を見上げる。

 心なしか、僕の背中に触れてる機械仕掛けの心臓オートマチック・コアが温かいような? 岩盤浴かな?

 ……とても嫌な予感がします。もしかしたら、これが僕の初めての死に戻りになるかもしれません。
 リリとルト、ダンジョン攻略を途中離脱することになったらごめんね。

 どこかでブーンと音がする。自動ドアが開くような音だ。
 なるほど、壁に穴があいて、そこから砲撃するってことだね。

 何を撃つのか、察してるけど今は気づかないフリをするよ。
 ……現実って無情だよね。

 辞世の句を詠むべきかな、と諦めの境地で考えていたら、再びアナウンスが聞こえてきた。

機械仕掛けの心臓オートマチック・コアよりエネルギー砲発射まで、五、四、三、二、一〉

 ……カウントダウンがゼロになる。
 それを聞く直前に、僕は杖を握りしめて前を見据えた。

「れっつごー、うさちゃん砲」

 これが僕のお別れの言葉です。
 どうせなら、派手に散ってやるもんね!

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