もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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11章 夏の海ではしゃいじゃお

451.癒しのもふもふ空間

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 ぷる君の問題発言が無事片付いたところで、無人島・もふもふ愛ランドに来たよ~。
 今日初めてもふもふ愛ランドを訪れるぷる君に付き合って、はじまりの街の教会に設置された転移魔法陣を使ったんだ。

「ふあ~! ここが、もふもふたちの楽園……もふもふ愛ランド!」

 ぷる君がまん丸な目を輝かせながら島を眺める。
 いつからここはもふもふたちの楽園って呼ばれるようになったんだろうね?
 島の中心にある山にピンク色のウサギ耳の展望台があるから、もふもふ教の島だっていうのは遠くからでもわかりやすいと思うけど。

「らぴゅ~(砂浜だぁ)」

 ラッタンが足元の砂をペシペシッと蹴って遊んでる。
 ペタはそんなラッタンを眺めて「くるる(子どもは元気だねー)」とほのぼのしてた。

 ラッタンとペタって色が違うけど顔が似てるから、ちょっと親子みたいに見える。
 いつも基本的にのほほんとした雰囲気だし。

「きゅぃ(砂浜でバーベキューするの?)」
「うん、浜焼きだよー」

 もふもふ愛ランドの探検に行きたいのか、ウズウズした感じで揺れているぷる君をよそに、僕はスラリンと話しながら着々と海鮮パーティーの準備をする。

 たくさんのバーベキューコンロを用意して、魚介類をビュッフェ形式で取って自分で焼けるようにするんだ。
 他にも料理を作るつもりだけど、どんなものを作るかは、お手伝いさんがどれくらい来るかによるかなー。

「やっぱり、私もお手伝い──」
「ごめんね」

 ソワソワしてるタマモの言葉を遮る。
 すると、タマモがちょっとだけ頬をぷくっと膨らませた。そんなにあからさまに拗ねるのは珍しいねー。

「……私はモモさんのお役に立ちたいです」

 ぼわっと存在感がある九尾狐の尻尾を、しょぼんと萎れさせながらタマモが呟く。

 うーん、悪いことをしちゃった気分。
 でも、タマモ作の料理を食べる勇気はまだないなぁ。お手伝いさんが増えたら監視を任せられるから、その時は料理をしてもらってもいいんだけど。

「ぷる君が島を見て回りたいみたいだから、今は案内してあげてよ」
「えっ、モモさんのお傍から離れろ、と……!?」

 そんなぁ……と嘆くタマモは大げさだと思う。パーティーが始まるまでの短時間別行動するだけじゃん。今生の別れみたいな悲しみ方に、僕の方がビックリしちゃうよ。

「僕、一人で行けますよ?」

 ぷる君がおずおずとした感じで言う。
 でも、僕は知ってるんだからね。僕がタマモにぷる君の案内を頼んだ時、目をキラッキラさせてたこと。タマモの反応を見て、すぐにしゅんとしちゃったけど。

「誰かに案内してもらった方がきっと楽しいよ。僕が最後に見た時と変化があるかもしれないから、あとでどういうところが楽しかったか教えてよ。ね、タマモ、そのためにはタマモの案内が必須でしょ?」
「……モモさんがそうおっしゃるのでしたら、気合いを入れてぷる君を案内します! モモさんにオススメしたいスポットも増えてるんですよ!」

 僕が知っているところ、知らないところを一番把握してるのはタマモだ。だから、そのことを示唆しながら頼るようにお願いすれば、タマモが断らないことはわかってた。
 狙い通り、気合いを入れてぷる君を抱っこしたタマモに、僕は手を振る。

「そっか。じゃあ、ぷる君の感想を楽しみにしてるよー。いってらっしゃーい」
「いってまいります!」
「いってきまーす! もふもふ神さまが楽しめそうなスポット、探してきますね!」

 ブンブンと尻尾を振ってるタマモとプルプルと体の一部を伸ばして揺らしてるぷる君を見送って、僕はパーティーの準備を続ける。
 魚介類の下ごしらえは錬金術でできるんだけど、それなりに手間がかかるんだよねぇ。

「らぴゅ(ラッたん、この貝食べるぅ)」
「つまみ食いはダメ~」
「らぴゅ(なんでぇ?)」

 下ごしらえをしてケースに並べた貝を、ラッタンが取ろうとしていたから止めると、ウルウルとした目で見つめられた。
 思わずウッと声が漏れる。
 そんなに可愛い目で訴えてくるのは卑怯だー! 甘やかしたくなっちゃうじゃん。

「……一個だけだよ?」
「らぴゅ(うん、一個ぉ)」

 結局、勝てなかった。ニコッと笑ったラッタンに貝を渡す。
 ラッタンはたくさん魚介類を獲ってたし、これくらいは甘やかしていいよね? できたら、みんな揃ってから『いただきまーす』って食べたかったんだけど。

「くるる(キュウリはー?)」
「キュウリの一本漬けならあるよー」

 相変わらずキュウリ好きなペタにおやつとしてキュウリの一本漬けをあげる。
 ラッタンにおやつを許した手前、ペタはダメなんて言えないもんね。

「くるる(おいしー。スラリン、半分あげるー)」
「きゅぃ(ありがと──うん、美味しいね!)」

 ペタとスラリンが仲良くキュウリを食べてる。
 スラリンは特別キュウリが好きってわけじゃないけど、ペタと一緒に食べてるだけで嬉しいんだろうな。

 そんな二人を見たラッタンが、衝撃を受けたように貝殻に視線を落とした。
 もう中身はない。もらってすぐに石でコンコン叩いて中身を取り出して食べてたもんね。

「らぴゅ(半分こ……ラッたんもしたかったぁ……)」
「可愛いっ!」

 しょんぼりしてるラッタンに、思わず叫んだ。
 仲良くしてるお兄ちゃんたちの仲間に入りたい末っ子ちゃんかな? 元々可愛いのに、性格まで可愛いとか、凄いね! あ、僕、可愛いしか言ってないや。

「きゅぃ(半分こしよ?)」

 スラリンが食べていたキュウリを半分に割って差し出す。ラッタンが目をキラキラと輝かせた。

「らぴゅ~(半分こするぅ♪)」
「くるる(よかったねー)」

 すでに食べきっていたペタは、のほほんと言いながらラッタンの頭を撫でる。
 この三人がいる空間の癒し度が高すぎて、僕は今とっても幸せです……。

「らぴゅっ(モモも半分こぉ)」
「え、僕?」

 ほぼ一口大になったキュウリをラッタンから差し出された。
 ラッタンが『食べるでしょ?』と期待した目をしてる。そりゃ、ラッタンがくれるなら、食べないわけないよ!

「──ありがと!」

 キュウリを口に放り込み、ほっぺたを押さえて僕が「うまうま~」と言うと、ラッタンも「らぴゅ(うままぁ)」と頬に手を当てて真似した。

 お揃いポーズ! ここにタマモがいたら、きっと悶えてたんだろうなぁ。
 そんなことを考えていたら、どこかから声が聞こえてきた。

「はぅ……尊い……! これがもふもふ神さまともふもふな仲間たちの、素晴らしきもふもふ力……!」

 砂浜近くにあるヤシの木の陰から犬っぽい子が僕たちを覗き見てる。
 顔はシェパードに似てるなぁ。初めて見る子だ。もしかして第三陣のプレイヤー?
 新しい希少種さんと仲良くなれるかな♪

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