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11章 夏の海ではしゃいじゃお
464.今日は忙しくなりそう?
ナルージャさんには、このあとすぐに水精術を教えてもらえることになった。
ただし──
「わたくしはこれから海精霊の里に向かわなくてはならないから、教えるのはそちらで、ということでいいかしら?」
──とのこと。
もちろん、オッケーしたよ。
海精霊の里には海輝石に魔力を込めるミッションのために何度も行ってるし、慣れた場所だからね。
ルトたちも僕と同じミッションを受けていて、転移ピンは設定済みのようだから、向かうのは簡単だ。
「ちなみに、ナルージャ様は何をしに海精霊の里に行くんですか?」
リリが興味津々な感じで聞くと、ナルージャさんがニコリと微笑む。
「年に一度の競争の審判役なのよ」
「年に一度の……」
「競争……」
僕たちはパチパチと目を瞬かせながら、ナルージャさんの言葉を繰り返した。
聞き覚えがあるね?
……これ、海精霊の女王メーアが依頼してきた、ミッションのことでしょ。海精霊の王様と陣地争いをしてる、っていう。
「待って、もしかして、今日、勝敗が決まるの!?」
僕は思わず身を乗り出して聞いた。
ナルージャさんは「そうよ?」と不思議そうにしながらも頷く。
近々終了するって噂は聞いてたけど、まさか今日だったとは……この情報、誰も知らないんじゃない?
僕が視線を向けると、ルトが眉を寄せながら頷いて、掲示板に書き込む作業を始めた。
勝敗が決まる場にプレイヤーはいなくてもいいのかもしれないけど、こんだけ関わったなら最後を見届けたいっていう人がいるだろうしね。
「ナルージャ、では、彼らの指導を頼んだよ」
「お任せくださいませ、殿下」
プレア殿下はナルージャさんに声を掛けたあと、改めて僕たちを見て微笑む。
「水精術の訓練がんばってね。私はもう行かなくてはならないけれど、リュウグウのことで困ったことがあれば、遠慮なく訪ねてきてくれ──特に、モモには父や母も関心を向けていたから、遊びに来てくれると嬉しいよ」
片手を上げて去っていくプレア殿下を、僕は「ばいばーい」と手を振って見送る。
それから、ルトを見上げた。
「……ねえ、プレア殿下のお父さんとお母さんって」
「国王と王妃だろ……」
遠い目をしながらもルトがハッキリと答える。
「……だよね! 僕、王様とお妃様にも知られてるんだぁ」
よくよく考えると凄いことだよねぇ、と僕も遠くを見つめた。
リリが「さすがもふもふ神さま、さすもふ、だね」と楽しそうにしてる。
リリって、こういうことには気後れしないよね。自分が実際に王様たちに会うわけじゃないからかもしれないけど。
僕はさすがに王様たちに会うってことになったらちょっと緊張しちゃうよ。たぶん。
「もふもふ教の神なのだから、知られていて当然じゃないかしら? リュウグウにも教会を建てる予定なのよね? 用地を借りる申請がされているもの」
「それはめちゃくちゃ初耳!」
ナルージャの言葉に間髪入れず叫んだ。
ねぇ、いつの間にリュウグウに教会を建てることが決まったの?
ルトとリリを見ると、無言で首を横に振られた。二人も知らなかったらしい。
たぶんタマモが決めて、即実行に移してるんだろうなぁ。リュウグウの魚人族を中心に、もふもふ教の信徒が増えているらしいし。
……もふもふ教の勢力拡大って感じだね!
「あ、わたくし、そろそろ行かなくちゃ。あなたたちは後から来る?」
「いえ、俺たちも一緒に行きます」
ナルージャの言葉にルトがすぐさま答える。
海園遊会での目的は達成したもんね。美味しいものもたくさん味わえたし。
だから、海精霊たちの競争の結末を見届ける方が優先だ。
「ナルージャさんも転移スキルを使える?」
ふと思い出して聞いてみる。
異世界の住人は基本的に転移スキルを使えないんだよねぇ。そのせいで、異世界の住人を連れた移動はちょっと気を遣わないといけない。
転移スキルに異世界の住人を便乗させるアイテム、余ってたっけ?
でも、そんな僕の危惧は不要だったようで、ナルージャさんはニコリと微笑んだ。
「転移スキルは使えないけれど、わたくしには水精術があるから問題ないわ」
「……水精術って、転移スキルみたいに使えるの?」
僕たちはパチパチと目を瞬かせて驚く。
そもそも水精術がどういうスキルなのか、情報を集めてなかったから知らないんだよねぇ。
「極めれば、ね──先に行くから、あなたたちも早くいらしてね」
フフッと微笑んだナルージャさんが「水精、私を運んで」と唱えた後に姿を消した。
ほんとに一瞬で移動したの? すごーい!
「へぇ……転移っていうより、超高速移動って感じか?」
ルトが彼方に視線を向けて呟く。
リリが「そうなの?」と聞くと、説明を続けてくれた。
「──少し移動した残像が見えた。転移スキルはその場から一瞬で姿が消えるから、横移動する必要はないだろ」
「言われてみればそうかも?」
ルトに答えたリリと、僕は顔を見合わせた。
その残像、ルトはよく見えたね。僕は全然わからなかったよ。この感じだと、リリも僕と一緒っぽい。
「ま、そういうのも後で教えてもらえるだろうし、俺たちもさっさと行こうぜ」
「さんせーい。モモ、行こう!」
「はーい! ということで──【転移】!」
海精霊の里にある転移ピンを選んでスキルを使った。
勝負の行方も、水精術も、楽しみだな~♪
******
番外編の方にハロウィンssを公開しております。
こちらもぜひお楽しみくださいませ🎃
ただし──
「わたくしはこれから海精霊の里に向かわなくてはならないから、教えるのはそちらで、ということでいいかしら?」
──とのこと。
もちろん、オッケーしたよ。
海精霊の里には海輝石に魔力を込めるミッションのために何度も行ってるし、慣れた場所だからね。
ルトたちも僕と同じミッションを受けていて、転移ピンは設定済みのようだから、向かうのは簡単だ。
「ちなみに、ナルージャ様は何をしに海精霊の里に行くんですか?」
リリが興味津々な感じで聞くと、ナルージャさんがニコリと微笑む。
「年に一度の競争の審判役なのよ」
「年に一度の……」
「競争……」
僕たちはパチパチと目を瞬かせながら、ナルージャさんの言葉を繰り返した。
聞き覚えがあるね?
……これ、海精霊の女王メーアが依頼してきた、ミッションのことでしょ。海精霊の王様と陣地争いをしてる、っていう。
「待って、もしかして、今日、勝敗が決まるの!?」
僕は思わず身を乗り出して聞いた。
ナルージャさんは「そうよ?」と不思議そうにしながらも頷く。
近々終了するって噂は聞いてたけど、まさか今日だったとは……この情報、誰も知らないんじゃない?
僕が視線を向けると、ルトが眉を寄せながら頷いて、掲示板に書き込む作業を始めた。
勝敗が決まる場にプレイヤーはいなくてもいいのかもしれないけど、こんだけ関わったなら最後を見届けたいっていう人がいるだろうしね。
「ナルージャ、では、彼らの指導を頼んだよ」
「お任せくださいませ、殿下」
プレア殿下はナルージャさんに声を掛けたあと、改めて僕たちを見て微笑む。
「水精術の訓練がんばってね。私はもう行かなくてはならないけれど、リュウグウのことで困ったことがあれば、遠慮なく訪ねてきてくれ──特に、モモには父や母も関心を向けていたから、遊びに来てくれると嬉しいよ」
片手を上げて去っていくプレア殿下を、僕は「ばいばーい」と手を振って見送る。
それから、ルトを見上げた。
「……ねえ、プレア殿下のお父さんとお母さんって」
「国王と王妃だろ……」
遠い目をしながらもルトがハッキリと答える。
「……だよね! 僕、王様とお妃様にも知られてるんだぁ」
よくよく考えると凄いことだよねぇ、と僕も遠くを見つめた。
リリが「さすがもふもふ神さま、さすもふ、だね」と楽しそうにしてる。
リリって、こういうことには気後れしないよね。自分が実際に王様たちに会うわけじゃないからかもしれないけど。
僕はさすがに王様たちに会うってことになったらちょっと緊張しちゃうよ。たぶん。
「もふもふ教の神なのだから、知られていて当然じゃないかしら? リュウグウにも教会を建てる予定なのよね? 用地を借りる申請がされているもの」
「それはめちゃくちゃ初耳!」
ナルージャの言葉に間髪入れず叫んだ。
ねぇ、いつの間にリュウグウに教会を建てることが決まったの?
ルトとリリを見ると、無言で首を横に振られた。二人も知らなかったらしい。
たぶんタマモが決めて、即実行に移してるんだろうなぁ。リュウグウの魚人族を中心に、もふもふ教の信徒が増えているらしいし。
……もふもふ教の勢力拡大って感じだね!
「あ、わたくし、そろそろ行かなくちゃ。あなたたちは後から来る?」
「いえ、俺たちも一緒に行きます」
ナルージャの言葉にルトがすぐさま答える。
海園遊会での目的は達成したもんね。美味しいものもたくさん味わえたし。
だから、海精霊たちの競争の結末を見届ける方が優先だ。
「ナルージャさんも転移スキルを使える?」
ふと思い出して聞いてみる。
異世界の住人は基本的に転移スキルを使えないんだよねぇ。そのせいで、異世界の住人を連れた移動はちょっと気を遣わないといけない。
転移スキルに異世界の住人を便乗させるアイテム、余ってたっけ?
でも、そんな僕の危惧は不要だったようで、ナルージャさんはニコリと微笑んだ。
「転移スキルは使えないけれど、わたくしには水精術があるから問題ないわ」
「……水精術って、転移スキルみたいに使えるの?」
僕たちはパチパチと目を瞬かせて驚く。
そもそも水精術がどういうスキルなのか、情報を集めてなかったから知らないんだよねぇ。
「極めれば、ね──先に行くから、あなたたちも早くいらしてね」
フフッと微笑んだナルージャさんが「水精、私を運んで」と唱えた後に姿を消した。
ほんとに一瞬で移動したの? すごーい!
「へぇ……転移っていうより、超高速移動って感じか?」
ルトが彼方に視線を向けて呟く。
リリが「そうなの?」と聞くと、説明を続けてくれた。
「──少し移動した残像が見えた。転移スキルはその場から一瞬で姿が消えるから、横移動する必要はないだろ」
「言われてみればそうかも?」
ルトに答えたリリと、僕は顔を見合わせた。
その残像、ルトはよく見えたね。僕は全然わからなかったよ。この感じだと、リリも僕と一緒っぽい。
「ま、そういうのも後で教えてもらえるだろうし、俺たちもさっさと行こうぜ」
「さんせーい。モモ、行こう!」
「はーい! ということで──【転移】!」
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