もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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12章 美味しいもの大好き!

496.ハカセは情報通

 何はともあれ。
 ハカセの研究室に着いたし、キョロキョロと見回して観察してみる。

 ナーグの実験室と印象はあまり変わらない。壁全面を覆うように棚が備え付けられ、そこには数多の素材らしきものが並んでいる。

 でも、ナーグの実験室に並んでいたアイテムが、食べられるもの多めだったのに対し、ハカセの研究室にあるのは毛皮や薬瓶などだ。
 実験に使う素材に違いがあるんだろうね。

 観察を終えて、部屋の中央にあるテーブルセットについたところで、僕は「あ、そうだ」と宝果ジュエルフルーツを取り出してテーブルに載せる。

「これが宝果ジュエルフルーツだよー。綺麗だよね」
「ありゃりゃ……これは質のいい宝果ジュエルフルーツだにゃあ」

 ハカセが目をキラキラさせながら宝果ジュエルフルーツに手を伸ばし、ハッとした感じで止まった。

「──触っていいにゃ?」
「いいよ。わざわざ確認するなんて律儀だねぇ」
「我輩は傲慢な研究者にはなりたくないにゃ」

 ハカセなりに博士としてのこだわりがあるらしい。
 感心しながら見守っていると、ハカセが卓上ライトと虫眼鏡らしきものを取り出して、宝果ジュエルフルーツの鑑定を始めた。

 ライトで照らされた宝果ジュエルフルーツは、中心にダイヤモンドでもあるかのように、眩い光を反射した。

「わあ、凄い! キラキラしてるー!」
「もふ(きらきら~♪)」

 ふわーと浮いて研究室内を探索していたピアが、宝果ジュエルフルーツの輝きに魅せられたように近づいてきた。

 そういえば、ピアってピカピカキラキラしてる装飾品が好きだったかも。
 今度新しく作ってプレゼントしようっと。

「ふむふむ……果肉の純度99%、種子のエネルギー80%──これは間違いなく最高品質の宝果ジュエルフルーツにゃ!」
「ほえ~、言ってること全然わかんなかったけど、最高品質ってことは美味しいの?」

 めっちゃ博士っぽいこと言ってるー、と感心しながら尋ねると、物言いたげな目で見つめられた。

「……美味しいにゃ。完熟状態だしにゃ。種子にも十分なエネルギーがあるし、取り出して上手く育てられたら、宝果ジュエルフルーツを収穫できる木になるはずにゃ」
「あ、つまり、二個目の宝果ジュエルフルーツの木をゲットできるかもってことか」
「ありゃりゃ、二個目であるにゃ?」

 きょとんとしてるハカセに、「言ってなかったっけ?」と首を傾げつつ、宝果ジュエルフルーツと一緒に苗もゲットしたことを教える。
 すると、何故かジトッとした目で凝視された。

「……驚きを超えて呆れたにゃ」
「なんで???」
天兎アンジュラパは幸運体質だけど、この天兎アンジュラパは飛び抜けておかしいにゃ……研究してみたいにゃあ」

 ジロジロと観察するような視線と共に、ボソッと恐ろしい言葉を呟かれた気がする……。
 僕は「ヒエッ」と震えた。
 マッドサイエンティストの気配を感じたぞ……!

 僕の頭上を飛んでいたピアを捕まえて抱きつく。もふもふで癒やされるぅ。
 ついでに、ハカセの視線から逃れるための盾にしちゃったのは、申し訳ないけど許して。

「ボクヲ、研究シテモ、楽シクナイヨ……」

 片言になりながらも、研究材料扱いを拒否する。
 ハカセは尻尾を揺らしながら首を傾げた。

「そうかにゃあ? ワクワクする発見がありそうだけどにゃ」

 そう言った後に、すぐ「ちゃんと承諾がなければ、勝手に研究することはないにゃ。我輩は傲慢な研究者ではないからにゃあ」と関心を失った様子で僕から目を逸らした。
 そして、そのまま宝果ジュエルフルーツの観察に集中し始めたようだ。

 僕はホッとしながら、モゾモゾしてるピアを解放して、ハカセの真剣な顔を見つめる。
 さっきも『傲慢な研究者』って言ってたけど、そういう研究者と何か因縁があるのかな?

「傲慢な研究者って、例えばどんなの?」
「我輩たちを生きたまま皮を剥いで研究しようとする者たちにゃあ」
「ヒエッ……怖い! そんな人がいるの!?」

 何気なく質問したら、恐ろしい答えが返ってきた。
 ドロップアイテムとしてモンスターから毛皮をゲットすることはよくあるけど、生きたまま皮を剥ぐのはエグいでしょ。

 この世界にはマッドサイエンティストがいるらしい。怖いよぉ。
 そんな人に見つかったら、僕もヤバいんじゃない?

 ブルブルと震えて、今度は近くにいたヒスイをぎゅっと抱きしめた。
 ちょっと迷惑そうな顔をしながらも、ヒスイは大人しく我慢してくれて、そればかりか尻尾で頭を撫でてくれる。優しいなぁ。

「【闇使徒団】と自称してる集団に所属してる研究者にゃ」

 チラッと視線を上げて僕を見たハカセが、軽く肩をすくめた。

「──珍しいモンスターを生け捕りして研究に使ってるらしいから、モモも捕まらないように気をつけるにゃ」
「うん! 全力で回避する!」

 力いっぱい頷いた。
 生け捕り&研究なんて、ヤバい気配しかしないもん。絶対に捕まらないぞ!
 ヒスイやピアたちも珍しいモンスターだから危ういかも? 街歩きの時とか気をつけなきゃ。

「我輩たちが地下暮らしをするようになったのは、防衛と攻撃がしやすいからでもあるにゃ。アイツらが入ってきたら、大規模爆発を起こすにゃ」
「……ほえ?」
「研究素材とかは【巻き戻り】スキルで回復できるし、我輩たちは爆発の影響を受けないし……侵入者だけを撃退できるにゃあ」

 ニヤッと得意気に笑ったハカセを見て、長靴猫ナガグツニャンコ族って強い、と思いました。まる。

 達観の境地に辿り着いた僕が菩薩のような笑みを浮かべると、ハカセがパチパチと目を瞬かせてから、ポンッと手を叩いた。

「そういえば、闇使徒団は第二の街で領主一家を苦しめたり、第三の街をモンスターの集団に襲わせたりしていたらしいにゃ。海でも怪しい動きがあったらしいしにゃあ……次は王都か第四の街かにゃ? とにかくモモは警戒しておくといいにゃ」
「今サラッと凄い情報が出てこなかった??」

 目が丸くなる。

 第二の街の領主一家の件は、もしかしてイザベラちゃんが呪われた事件?
 第三の街は狂化モンスターによる襲撃のレイドイベントだよね。
 海の件は、はじまりの街-王都間の航路を邪魔してた災厄のモンスターが呪われてたことっぽいなぁ。

 結局、どれも黒幕を捕まえられてないし、その黒幕が【闇使徒団】っていう集団ってこと?
 ……その名前、ちょっと厨ニ病チックだよね。いつか黒幕さんに会ったら、改名した方がいいよ、って教えよう。

 今はまず、王都か第四の街でストーリーミッションが起きるフラグが立ったってこと、ルトに教えておかないと!

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