もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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12章 美味しいもの大好き!

507.恐るべし…

 ひとまず、みんなを連れて王城に向かってみたら、門衛さんに「テイムモンスターを連れての入城はお控えください」って、暗に断られちゃった。
 さすがに王城をお散歩気分で歩くのはダメだったみたい。

 残念そうなみんなを「ごめんねー。屋敷に帰ってからまた遊ぼう!」と言って帰して、いざ入城。

「ルンルルルーン♪」
「可愛らしい歌声ですね」

 トテトテと歩く僕を先導しながら、騎士さんが微笑ましげに言った。
 僕は王城内で目的の場所以外に立ち入ることは許されてないみたいで、騎士さんが調理場までの案内をしてくれているのだ。

「ありがとー。たまにコンサートもしてるんだよ」
「存じ上げてます。もふもふ神さまですよね」
「おお、騎士さんたちの中でも噂が広がってる?」
「もちろんですよ。もふもふ教に所属している者も多いですし」

 当然と言いたげに頷かれた。
 この国の国教の神殿内にもふもふ教の信者がいたんだから、王城にもいないわけないよね……もふもふ教すごい……。

 どんどん拡大していくもふもふ教の勢力に、ちょっぴり恐ろしさを感じていたら、周りの景色が変わったことに気づいた。

 入り口付近はキラキラした装飾いっぱいの廊下だったけど、今は華美さを削いだ無骨な内装になってる。
 使用人さんたちが作業するスペースに入ったのかも。

「調理場はまだ~?」
「もうちょっとですよ」

 騎士さんがそう言った通り、少し歩くと賑やかな声や音が聞こえてきて、美味しそうな匂いも漂ってきた。
 ちょうど調理中らしい。夕方が近いもんねー。

 角を曲がると、すぐそこが調理場になっていた。
 たくさんの人が慌ただしく作業している。
 忙しい時に来ちゃったかも?

「料理長殿、お客様ですよ!」

 騎士さんが調理場入り口から声を張り上げると、奥にいたスラリとした体型の女性が顔を上げた。
 この人が料理長さんらしい。なんとなく誰かに似てる気がする顔立ちだ。

「今忙しい! 後にして!」
「……ですよね」

 バッサリと断られた騎士さんが苦笑しながら呟く。
 僕も申し訳なくなっちゃったよ。出直すべきかなぁ。

「なに? 料理長に弟子入り希望?」

 入り口近くで作業していた料理人の男性が、きょとんとした顔で僕と騎士さんを見比べた。

「そのようですよ。リカエラ様からの紹介状をお持ちです」
「うわっ……リカエラ様って、?」
、です」

 リカちゃんの名前には何かしらの意味があるようで、料理人さんと騎士さんは引き攣った顔で顔を見合わせてる。
 なんか問題があるのかな?

「リカエラ!? 今、あの子の名前を言った!?」

 料理長さんがパッと顔を上げると、調理台の間を縫うように駆けてきた。目がキラキラしてる。
 作業してる料理人さんたちが、慣れた様子で料理長さんを避けて調理を続けてるから、こういうことはわりとよくあるらしい。

「……はい、リカエラ様からの紹介状をお持ちのお客様です」

 騎士さんが気圧された様子で一歩後ろに下がりながらも、僕を紹介してくれた。
 料理長さんが僕に視線を落として、目を丸くする。

「こんちゃー。はじめまして。僕、モモです! リカちゃんの友だちなんだよ」

 初対面の挨拶は大事。
 僕が手を上げて挨拶したら、料理長さんは「……あら、あの子、可愛いお友だちができたのね」と呟きながら僕の手を握った。握手~。

「私はラナンよ。ここで料理長をしているわ。リカエラの母親よ」
「えっ!? リカちゃんのママ!?」

 驚きの情報に、ポカーンと口を開けちゃう。
 騎士さんに真偽を確かめるように視線を向けたら、すぐさま頷かれた。

「料理長のラナン様は、間違いなくリカエラ様のお母君ですよ」
「……リカちゃんのパパって、シーアイ機関のトップをしてる貴族だったよね?」
「あら、そのことも知ってるのね。私の旦那様、知的でカッコいいでしょ?」

 ナチュラルに惚気られてしまった。
 ニコニコしてるラナンさんの隣に、以前会ったリカちゃんのパパ──ダーロンさんの姿を想像してみる。

 ……貴族らしい雰囲気のダーロンさんと、シェフ姿のラナンさん、ミスマッチな感じだけど夫婦なのかぁ。

「ラナンさんも貴族なんだよね?」

 なんで料理人をしてるんだろう、と思って聞いてみた。
 ラナンさんは軽く肩をすくめる。

「立場としてはそうね。元々は下級貴族で、シーアイ機関内で仕事をしていたけど、今はここで料理人をしているわ」
「なんで料理人?」
「ふふ……食ってとても大切なのよ? 特に王族の皆様方が口にされるものには、一等の注意を払う必要があるの」

 直接的な答えじゃなかったけど、何かを含んだような笑みを見て、なんとなく察した。

 シーアイ機関がスパイ系の人を育ててるとしたら、その業務内に『暗殺』的な任務があってもおかしくない。
 そういう知識をたくさん持ってる人は、それに対する策も色々と知っているはず。

 王族が食べるものを作る調理場にシーアイ機関の人がいるのは、暗殺対策ってことなんだろうなぁ。怖い世界だ……。

 ちょっと引いちゃったけど、僕には関係のないことだし、とスルーすることにした。
 心の平穏って大切だよね。

「色々と特殊な方ですが、料理人としての技術も素晴らしいので、弟子入りするのに問題はありませんよ?」

 騎士さんが苦笑しながらフォローしてくれた。
 ラナンさんも「料理人として勤めるにあたって、修行したから問題はないわ」と胸を張っている。

 シーアイ機関の人ってなんでもできなきゃいけないのかな?
 それとも、なんでもできるような才能があるから、下級貴族からシーアイ機関のトップに嫁ぐなんてことができたのかな。

 とりあえず、ラナンさんはスゴい人! そう覚えておけばいいはず。

「そうなんだね~。ラナンさん、僕を弟子にしてくれる?」

 頼んだら、ニコッと笑みが返ってきた。

「まずはあなたの得意料理を試食させてちょうだい。その出来次第で、弟子にするか決めるわ」

 やっぱり弟子入り試験のミッションをクリアするのは必須かぁ。どの料理を出そうかな?

「緊張しちゃうー。とっておきの料理を用意するから、ちょっと待ってね」

 アイテムボックスに入れている料理を思い出しながら考えていると、ラナンさんがいたずらっ子のような笑みを浮かべるのが見えた。

「私はある程度の毒に耐性があるから、【毒料理】スキルを習いたかったら、毒入り料理を出してみてもいいわよ」
「そんな料理は持ってないよ!? あと毒料理スキルなんてあるんだ!?」

 ぎょっとしたよ。
 ラナンさんは「私はレベルMAXで持ってるわよー」とにこやかに教えてくれたけど、料理を習うのが怖くなっちゃうから、それは秘密にしておいてほしかったな。

 シーアイ機関、恐るべし……!

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