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12章 美味しいもの大好き!
508.弟子入りミッション
アイテムボックスを眺めて、たくさん悩んだ末に、一つの料理を選んだ。
弟子入りミッションに、これで挑戦だ!
「──フルーツタルトをご賞味ください!」
とりゃあ、と勢いよく差し出すと、ラナンさんが目を丸くした。
「あら……綺麗なタルトね」
見た目の評価はなかなかいい感じ。
僕が出したのは、ただのフルーツタルトじゃないんだよ。
農地で採れたレア度☆4以上で最高品質の特別なフルーツ──【美しき王桃】や【パワフル太陽ミカン】【くねくねバナナ】などを贅沢に使った一品なんだ。
タルト生地にもこだわってる。
小麦粉は農地で作ったレア度☆4香小麦(最高品質)を、丁寧に製粉したもの。
バターは青乳牛のミルクから作ったレア度☆4絹乳脂(最高品質)。
卵は高級品の緑玉鶏の卵。
砂糖は農地で作ったレア度☆4天甘糖(最高品質)。
とにかく、使った食材全部がレア度が高くて、品質も一番いいものなんだ。
これで美味しくならないわけがないよね。
「キラキラしてるわねぇ。宝箱みたい」
ホールのフルーツタルトを様々な角度から眺めて、ラナンさんが「見た目は95点」と言ってにこやかに微笑んだ。
弟子入りミッションは、100点満点中で80点を超えるとクリアってなってたから、見た目は完全に合格点ってこと。嬉しいな~。
「結構高い点数だ! ありがとー。でも、5点引かれたのはなんで?」
今後の参考に、と減点の理由を尋ねてみる。
僕は完璧な出来だと思ってたんだけど、プロの目からどう見えてるのか気になる。
ラナンさんはフルーツタルトの一部を指して、肩をすくめた。
「フルーツの配色バランスとナパージュの仕上がりね。もう少し、配色を考えてフルーツを散らすべきだし、フルーツを輝かせるナパージュが一部つけられていないのは見栄えがよくないわ」
指摘されて、改めてフルーツタルトを観察してみた。
色のバランスは、言われてみれば確かにそうだなぁ、って感じ。
もうちょっと赤いイチゴとか緑のキウイとかを載せて、散らしてる位置も調整した方が見栄えがよさそう。
ナパージュはフルーツの表面にツヤ出しをすることで、普通は砂糖とゼラチンを使うものらしい。
でも、僕はこれを今まで考えたことがなかった。料理スキルでフルーツタルトを作ると、自動的につけられてるし。
フルーツタルトをよく観察すると、上からナパージュをバシャッと掛けた感じになってた。一部のフルーツに掛かってなかったり、むしろ厚く掛かっていたりと、雑な印象だ。
「そっかー。細部までこだわらないといけないんだね」
「食べたら関係ないと言う人もいるけれど、目で見て楽しめることも食の魅力の一つよ。プロの料理人を目指すなら、ぜひこだわってほしいわね」
「うん、これからはちゃんと気をつけるよ!」
ラナンさんはいい先生だ。さすが王城の料理長だなぁ。
僕が尊敬の眼差しで見つめたら、ラナンさんは「そんなに純粋な目で見られると照れるわ……」と言って少し頬を赤らめた。
ちょっと怖い人かもって思ってたけど、可愛いね!
ただ、ラナンさんの後ろの方で「料理長がぶりっ子してる……」「もふもふに弱いのは母娘共通っていう噂、マジだったんだな……」って囁かれてるのが気になる。
もしかしてラナンさんって部下には厳しい人? 僕も弟子入りしたらしごかれちゃうかなぁ?
でも、もふもふに弱いみたいだから、甘く対応してもらえる気がしなくもない。
僕は褒められて伸びるタイプだから、優しく教えてほしいな!
「見た目は合格点として、一番重要なのは味よ」
「うん! カットするね」
フルーツタルトに包丁を入れ、八等分にする。
残ったのは、あとでスラリンたちと食べようっと。
皿に取り分けた一ピースの断面を眺めたラナンさんは、「アーモンドクリームとカスタードクリームね。オーソドックスだからこそ、技術力と素材の力が試されるタイプ」と分析して頷いた。
そして、フォークを入れてまた頷く。
「タルト生地は硬すぎず、フォークでサックリ切れるわね。いい出来よ」
「褒められた~♪」
「アーモンドクリームはしっとりしていて、アーモンドの豊かな香りがするわ」
「でしょ~。アーモンドは自分で育ててるから、錬金術でアーモンドプードルにしたんだよ。最高品質です!」
僕が胸を張ってアピールすると、ラナンさんは「食材へのこだわりが素晴らしいわね」と再び褒めてくれた。えへへ、嬉しいな~。
ニコニコしながらラナンさんを眺める。
フルーツタルトを一口頬張った後、ラナンさんは味を確かめるように暫く黙り込んだ。
「ど、どうですか……?」
あまりに沈黙が長いから緊張してきて、ゴクッと唾を飲み込む。
これで味はダメなんて言われたら、ショックで立ち直れないかも。だってそれは、最高の素材を僕の技術力が台無しにしてるってことだもん。
ジッと見つめる僕に対して、ラナンさんがふわっと微笑んだ。
「……味は82点ね。素材の力に助けられている部分が大きいけれど、あなたがとてもがんばって作っているのが伝わってくるわ。少し甘みの調整をして、カスタードクリームをもっと滑らかにすると、口当たりがよくなるでしょうね」
「ほあー、そっか。素材に感謝ってことだね」
ふぅ、と大きく息を吐く。
やっぱり料理の技術は合格点ギリギリって感じだったみたいだ。普段からたくさん料理を作っているとはいえ、スキルに頼りすぎてるし、しかたない評価かも。
もっと精進しなきゃ、と気合いを入れ直してる僕に、ラナンさんがニコッと微笑みかけた。
美しき王桃を食べた効果で、ラナンさんの周囲にキラッとしたエフェクトが生じて、凄く神々しい感じ。
騎士さんが「え……?」と顔を引き攣らせてるのは見なかったフリをする。
フルーツの効果を事前にお知らせしなかったのは、ちょっぴりごめんなさい。
「総合評価は88点、というところかしら。あなたの弟子入りを認めるわ」
〈ミッション【王城料理長への弟子入り】をクリアしました。称号【アマチュア料理人】が贈られます〉
〈ミッション【素晴らしき料理人への道】が開始しました〉
——————
称号【アマチュア料理人】
料理人への弟子入りミッションをクリアした者に贈られる称号
料理スキルの習熟度が上がりやすくなる
ミッション【素晴らしき料理人への道】
料理を極めるための一歩を踏み出そう
料理人の師匠から出される課題を五つクリアすると、職業として【料理人】を選択できるようになるよ
——————
弟子入りミッションを無事クリア~!
まだプロの料理人になる日は遠そうだけど、美味しい料理を作れるようにがんばるぞ!
弟子入りミッションに、これで挑戦だ!
「──フルーツタルトをご賞味ください!」
とりゃあ、と勢いよく差し出すと、ラナンさんが目を丸くした。
「あら……綺麗なタルトね」
見た目の評価はなかなかいい感じ。
僕が出したのは、ただのフルーツタルトじゃないんだよ。
農地で採れたレア度☆4以上で最高品質の特別なフルーツ──【美しき王桃】や【パワフル太陽ミカン】【くねくねバナナ】などを贅沢に使った一品なんだ。
タルト生地にもこだわってる。
小麦粉は農地で作ったレア度☆4香小麦(最高品質)を、丁寧に製粉したもの。
バターは青乳牛のミルクから作ったレア度☆4絹乳脂(最高品質)。
卵は高級品の緑玉鶏の卵。
砂糖は農地で作ったレア度☆4天甘糖(最高品質)。
とにかく、使った食材全部がレア度が高くて、品質も一番いいものなんだ。
これで美味しくならないわけがないよね。
「キラキラしてるわねぇ。宝箱みたい」
ホールのフルーツタルトを様々な角度から眺めて、ラナンさんが「見た目は95点」と言ってにこやかに微笑んだ。
弟子入りミッションは、100点満点中で80点を超えるとクリアってなってたから、見た目は完全に合格点ってこと。嬉しいな~。
「結構高い点数だ! ありがとー。でも、5点引かれたのはなんで?」
今後の参考に、と減点の理由を尋ねてみる。
僕は完璧な出来だと思ってたんだけど、プロの目からどう見えてるのか気になる。
ラナンさんはフルーツタルトの一部を指して、肩をすくめた。
「フルーツの配色バランスとナパージュの仕上がりね。もう少し、配色を考えてフルーツを散らすべきだし、フルーツを輝かせるナパージュが一部つけられていないのは見栄えがよくないわ」
指摘されて、改めてフルーツタルトを観察してみた。
色のバランスは、言われてみれば確かにそうだなぁ、って感じ。
もうちょっと赤いイチゴとか緑のキウイとかを載せて、散らしてる位置も調整した方が見栄えがよさそう。
ナパージュはフルーツの表面にツヤ出しをすることで、普通は砂糖とゼラチンを使うものらしい。
でも、僕はこれを今まで考えたことがなかった。料理スキルでフルーツタルトを作ると、自動的につけられてるし。
フルーツタルトをよく観察すると、上からナパージュをバシャッと掛けた感じになってた。一部のフルーツに掛かってなかったり、むしろ厚く掛かっていたりと、雑な印象だ。
「そっかー。細部までこだわらないといけないんだね」
「食べたら関係ないと言う人もいるけれど、目で見て楽しめることも食の魅力の一つよ。プロの料理人を目指すなら、ぜひこだわってほしいわね」
「うん、これからはちゃんと気をつけるよ!」
ラナンさんはいい先生だ。さすが王城の料理長だなぁ。
僕が尊敬の眼差しで見つめたら、ラナンさんは「そんなに純粋な目で見られると照れるわ……」と言って少し頬を赤らめた。
ちょっと怖い人かもって思ってたけど、可愛いね!
ただ、ラナンさんの後ろの方で「料理長がぶりっ子してる……」「もふもふに弱いのは母娘共通っていう噂、マジだったんだな……」って囁かれてるのが気になる。
もしかしてラナンさんって部下には厳しい人? 僕も弟子入りしたらしごかれちゃうかなぁ?
でも、もふもふに弱いみたいだから、甘く対応してもらえる気がしなくもない。
僕は褒められて伸びるタイプだから、優しく教えてほしいな!
「見た目は合格点として、一番重要なのは味よ」
「うん! カットするね」
フルーツタルトに包丁を入れ、八等分にする。
残ったのは、あとでスラリンたちと食べようっと。
皿に取り分けた一ピースの断面を眺めたラナンさんは、「アーモンドクリームとカスタードクリームね。オーソドックスだからこそ、技術力と素材の力が試されるタイプ」と分析して頷いた。
そして、フォークを入れてまた頷く。
「タルト生地は硬すぎず、フォークでサックリ切れるわね。いい出来よ」
「褒められた~♪」
「アーモンドクリームはしっとりしていて、アーモンドの豊かな香りがするわ」
「でしょ~。アーモンドは自分で育ててるから、錬金術でアーモンドプードルにしたんだよ。最高品質です!」
僕が胸を張ってアピールすると、ラナンさんは「食材へのこだわりが素晴らしいわね」と再び褒めてくれた。えへへ、嬉しいな~。
ニコニコしながらラナンさんを眺める。
フルーツタルトを一口頬張った後、ラナンさんは味を確かめるように暫く黙り込んだ。
「ど、どうですか……?」
あまりに沈黙が長いから緊張してきて、ゴクッと唾を飲み込む。
これで味はダメなんて言われたら、ショックで立ち直れないかも。だってそれは、最高の素材を僕の技術力が台無しにしてるってことだもん。
ジッと見つめる僕に対して、ラナンさんがふわっと微笑んだ。
「……味は82点ね。素材の力に助けられている部分が大きいけれど、あなたがとてもがんばって作っているのが伝わってくるわ。少し甘みの調整をして、カスタードクリームをもっと滑らかにすると、口当たりがよくなるでしょうね」
「ほあー、そっか。素材に感謝ってことだね」
ふぅ、と大きく息を吐く。
やっぱり料理の技術は合格点ギリギリって感じだったみたいだ。普段からたくさん料理を作っているとはいえ、スキルに頼りすぎてるし、しかたない評価かも。
もっと精進しなきゃ、と気合いを入れ直してる僕に、ラナンさんがニコッと微笑みかけた。
美しき王桃を食べた効果で、ラナンさんの周囲にキラッとしたエフェクトが生じて、凄く神々しい感じ。
騎士さんが「え……?」と顔を引き攣らせてるのは見なかったフリをする。
フルーツの効果を事前にお知らせしなかったのは、ちょっぴりごめんなさい。
「総合評価は88点、というところかしら。あなたの弟子入りを認めるわ」
〈ミッション【王城料理長への弟子入り】をクリアしました。称号【アマチュア料理人】が贈られます〉
〈ミッション【素晴らしき料理人への道】が開始しました〉
——————
称号【アマチュア料理人】
料理人への弟子入りミッションをクリアした者に贈られる称号
料理スキルの習熟度が上がりやすくなる
ミッション【素晴らしき料理人への道】
料理を極めるための一歩を踏み出そう
料理人の師匠から出される課題を五つクリアすると、職業として【料理人】を選択できるようになるよ
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