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13章 ワクワク冒険がいっぱいだ!
555.レッツ・メイク・ポイズン
微妙な顔をしてるコックさんたちに追い出されるように、調理場を離れて第二調理室に向かった。
第二調理室は別名『料理長の実験室』と呼ばれて、基本的にラナンさん以外は立ち入らないらしい。
「……完全に、毒の研究をしてる場所だよねぇ。王城内にあっていいの?」
第二調理室に入ってすぐに異様な光景を目にして、思わず半眼で呟いた。
調理場とは比べものにならないくらい狭い部屋の中は、壁に敷き詰められた棚にぎっしりと怪しげなものが入った瓶が並んでいる。
中央にある作業スペースには、物語の中で魔女が使うような大鍋と、それを熱するための薪ストーブらしきものがあった。燃料は薪じゃないっぽいけど。
使いかけらしきアイテム(毒物?)が、無造作に大鍋近くの作業テーブルに転がっている。
一部のアイテムがテーブルを腐食させている気がするのは、見なかったことにしたい。聞くのが怖いから。
「ここは旦那様が用意してくれた私の秘密基地なのよ」
「秘密、とは……? みんなにバレてるよね」
ニコニコしてるラナンさんにツッコミを入れつつ、心の中で『意外だなぁ』と呟いた。
ダーロンさんって、ラナンさんに結構甘いんだ? いくら諜報機関のトップで、偉い貴族様だとしても、王城内にこんな部屋を用意するなんて簡単なことじゃないだろうに。
そういうことをするイメージはなかったなぁ。
「そうね。たまに毒の分析依頼も来るし……みんなそういう部署の部屋だと思ってそうだわ」
「ラナンさんって毒の分析もできるのかぁ。それなら、専用部屋をもらってても不思議じゃないね」
ダーロンさんが奥さんに甘々なわけじゃなかったのか。なんか納得した。
あと、たまにであっても、分析が必要な毒が持ち込まれているという事実に、ちょっとビビる。怖い世界だぁ……。
「ふふ、毒料理作りに慣れたら、モモもきっと分析できるようになるわ」
「別にそのスキルはいらないよ」
「さあ、そうとなれば、しっかり教えてあげなくちゃね!」
「ねえ、聞いて??」
僕の声はハイテンションなラナンさんの耳に届かなかったらしい。
えー、僕、毒分析の能力まで覚えちゃうの? 必要になる場面あるかなぁ?
ルンルンと鼻歌を歌いながら作業の準備をしているラナンさんを、ジーッ見つめる。
……この感じだと、毒分析を覚えるまで特訓が続きそう。
他にしたいことたくさんあるし、どうしようかなー、と悩んでいると、ラナンさんが笑顔で僕を振り返った。
「毒料理基礎の【毒団子】作りをしてみましょう」
「オッケー。それ、害獣駆除に使えそうだねぇ」
基礎は団子かぁ。
ホウ酸団子とか、G駆除で使うって聞いたことがある。それと似たようなものかな。
そう考えながら、作業テーブルに飛び乗る。
人間用の設備って僕の身長だと使いにくいから、こうするしかないんだよー。危なそうなアイテムには触らないように気をつけなきゃ。
「モンスターとの戦いの際に使うことがあるのは当然でしょ?」
「……それはそう」
きょとんとした顔で答えたラナンさんに、僕は曖昧に頷いた。
この世界の住人にとっては、害獣=モンスターなんだよね。
間違ってないけど、モンスターの一種である天兎アバターを使ってる僕としては、微妙な気分になる。
リアル世界でも、ペットと害獣は別物だし、それと同じような感覚なのは理解できるけどさ。
僕が悶々としてる間に、ラナンさんが材料を揃えてくれていた。
テーブルの上に並ぶのは、【米粉】【花毒】【水】だ。
——————
【花毒】レア度☆☆☆
毒性のある花から採れた毒
毒性は低く、扱いやすいため、毒物作製の初心者が使用するのに向いている
——————
「毒料理は基本的に、料理を作る際に毒を混ぜることで作れるわ」
「料理スキルを使って作れるってこと?」
「そうね。レシピも似たようなものよ。普通のレシピに毒を加えればいいの」
ラナンさんの説明に、僕は「へぇー」と頷いた。
でも、料理スキルで普通に毒料理を作れるなら、わざわざ専用のスキルを覚える必要がないような?
「──でも、どのタイミングで、どのような毒を混ぜるかは、スキルを持ってないと判断が難しいのよ」
「なるほど。ちゃんとスキルの意味はあるんだね」
追加の説明に納得した。
ニコリと微笑んだラナンさんが、米粉を指して早速指示を出す。
「ええ。今回は私が毒団子に適した毒を用意したし、入れるタイミングも教えるから、早速やってみてね」
「はぁい! がんばりまーす」
「じゃあ、まずは米粉から──」
言われた通りにサクサクと作業を進める。
食べちゃダメな料理を作るのは初めてだなぁ。
料理スキルの【混ぜる】を使って米粉と水を捏ね、しばらくしてから【花毒】を入れて更に混ぜた。
それを大鍋のお湯で茹でて、毒団子完成!
見た目はツヤツヤしてて美味しそう。
〈初めて毒料理作りに成功しました。スキル【毒料理】を習得しました〉
——————
スキル【毒料理】
毒料理を作製できる
毒を使わなくても、一部レシピでは毒料理を作製可能
【毒団子】レア度☆☆☆
シンプルな食材で作られた毒入り団子
食べると【毒(微)】状態になる
*毒(微):体力が毎分2減少する
——————
お、一回の成功で習得できるなんて、楽勝だったね!
僕、毒料理作りの才能があるのかも~。喜んでいいのかわからないけど。
「やったぁ! 毒料理スキル覚えられたよー。ラナンさん、ありがとう!」
「さすが神級品質の料理を作るお弟子ちゃんね。覚えるのが早いわー」
ラナンさんが「すごいわねぇ」と褒めながら、僕の頭をヨシヨシと撫でた。
……ニコニコしてるけど、僕に触れたいがために、褒めるフリして撫でてない?
まあ、今はスキルを覚えられて嬉しいから、大人しく撫でられてあげるよ~。
僕のもふもふをたっぷり楽しんでね!
第二調理室は別名『料理長の実験室』と呼ばれて、基本的にラナンさん以外は立ち入らないらしい。
「……完全に、毒の研究をしてる場所だよねぇ。王城内にあっていいの?」
第二調理室に入ってすぐに異様な光景を目にして、思わず半眼で呟いた。
調理場とは比べものにならないくらい狭い部屋の中は、壁に敷き詰められた棚にぎっしりと怪しげなものが入った瓶が並んでいる。
中央にある作業スペースには、物語の中で魔女が使うような大鍋と、それを熱するための薪ストーブらしきものがあった。燃料は薪じゃないっぽいけど。
使いかけらしきアイテム(毒物?)が、無造作に大鍋近くの作業テーブルに転がっている。
一部のアイテムがテーブルを腐食させている気がするのは、見なかったことにしたい。聞くのが怖いから。
「ここは旦那様が用意してくれた私の秘密基地なのよ」
「秘密、とは……? みんなにバレてるよね」
ニコニコしてるラナンさんにツッコミを入れつつ、心の中で『意外だなぁ』と呟いた。
ダーロンさんって、ラナンさんに結構甘いんだ? いくら諜報機関のトップで、偉い貴族様だとしても、王城内にこんな部屋を用意するなんて簡単なことじゃないだろうに。
そういうことをするイメージはなかったなぁ。
「そうね。たまに毒の分析依頼も来るし……みんなそういう部署の部屋だと思ってそうだわ」
「ラナンさんって毒の分析もできるのかぁ。それなら、専用部屋をもらってても不思議じゃないね」
ダーロンさんが奥さんに甘々なわけじゃなかったのか。なんか納得した。
あと、たまにであっても、分析が必要な毒が持ち込まれているという事実に、ちょっとビビる。怖い世界だぁ……。
「ふふ、毒料理作りに慣れたら、モモもきっと分析できるようになるわ」
「別にそのスキルはいらないよ」
「さあ、そうとなれば、しっかり教えてあげなくちゃね!」
「ねえ、聞いて??」
僕の声はハイテンションなラナンさんの耳に届かなかったらしい。
えー、僕、毒分析の能力まで覚えちゃうの? 必要になる場面あるかなぁ?
ルンルンと鼻歌を歌いながら作業の準備をしているラナンさんを、ジーッ見つめる。
……この感じだと、毒分析を覚えるまで特訓が続きそう。
他にしたいことたくさんあるし、どうしようかなー、と悩んでいると、ラナンさんが笑顔で僕を振り返った。
「毒料理基礎の【毒団子】作りをしてみましょう」
「オッケー。それ、害獣駆除に使えそうだねぇ」
基礎は団子かぁ。
ホウ酸団子とか、G駆除で使うって聞いたことがある。それと似たようなものかな。
そう考えながら、作業テーブルに飛び乗る。
人間用の設備って僕の身長だと使いにくいから、こうするしかないんだよー。危なそうなアイテムには触らないように気をつけなきゃ。
「モンスターとの戦いの際に使うことがあるのは当然でしょ?」
「……それはそう」
きょとんとした顔で答えたラナンさんに、僕は曖昧に頷いた。
この世界の住人にとっては、害獣=モンスターなんだよね。
間違ってないけど、モンスターの一種である天兎アバターを使ってる僕としては、微妙な気分になる。
リアル世界でも、ペットと害獣は別物だし、それと同じような感覚なのは理解できるけどさ。
僕が悶々としてる間に、ラナンさんが材料を揃えてくれていた。
テーブルの上に並ぶのは、【米粉】【花毒】【水】だ。
——————
【花毒】レア度☆☆☆
毒性のある花から採れた毒
毒性は低く、扱いやすいため、毒物作製の初心者が使用するのに向いている
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「毒料理は基本的に、料理を作る際に毒を混ぜることで作れるわ」
「料理スキルを使って作れるってこと?」
「そうね。レシピも似たようなものよ。普通のレシピに毒を加えればいいの」
ラナンさんの説明に、僕は「へぇー」と頷いた。
でも、料理スキルで普通に毒料理を作れるなら、わざわざ専用のスキルを覚える必要がないような?
「──でも、どのタイミングで、どのような毒を混ぜるかは、スキルを持ってないと判断が難しいのよ」
「なるほど。ちゃんとスキルの意味はあるんだね」
追加の説明に納得した。
ニコリと微笑んだラナンさんが、米粉を指して早速指示を出す。
「ええ。今回は私が毒団子に適した毒を用意したし、入れるタイミングも教えるから、早速やってみてね」
「はぁい! がんばりまーす」
「じゃあ、まずは米粉から──」
言われた通りにサクサクと作業を進める。
食べちゃダメな料理を作るのは初めてだなぁ。
料理スキルの【混ぜる】を使って米粉と水を捏ね、しばらくしてから【花毒】を入れて更に混ぜた。
それを大鍋のお湯で茹でて、毒団子完成!
見た目はツヤツヤしてて美味しそう。
〈初めて毒料理作りに成功しました。スキル【毒料理】を習得しました〉
——————
スキル【毒料理】
毒料理を作製できる
毒を使わなくても、一部レシピでは毒料理を作製可能
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食べると【毒(微)】状態になる
*毒(微):体力が毎分2減少する
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お、一回の成功で習得できるなんて、楽勝だったね!
僕、毒料理作りの才能があるのかも~。喜んでいいのかわからないけど。
「やったぁ! 毒料理スキル覚えられたよー。ラナンさん、ありがとう!」
「さすが神級品質の料理を作るお弟子ちゃんね。覚えるのが早いわー」
ラナンさんが「すごいわねぇ」と褒めながら、僕の頭をヨシヨシと撫でた。
……ニコニコしてるけど、僕に触れたいがために、褒めるフリして撫でてない?
まあ、今はスキルを覚えられて嬉しいから、大人しく撫でられてあげるよ~。
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