397 / 661
10章 海は広くて冒険いっぱい
372.入口は不思議
テーブルの上に錬金布と錬金玉を載せる。
まずは僕の綿毛で作れるレシピを探そう、と錬金布に綿毛を載せて錬金玉に触れた。するとすぐにスクリーンが現れ、レシピが表示される。
よく作っているぬいぐるみの他にも小物やアクセサリーが並んでいて、それをザッと眺めていると、ふと見たことのないアイテムが目に入った。
「【もふもふの海守り(ウサギ)】……?」
——————
【もふもふの海守り(ウサギ)】レア度☆☆☆☆
ピンクベージュのウサギをモチーフにしたお守り
使用すると、十分間海のモンスターが近づいてこなくなる
もふもふでふわふわな触り心地
〈レシピ〉
【綿毛】+【海の香】
——————
なるほど?
説明文の横にあるイラストは、うさ耳がついているお守りだった。形は神社とかでもらえるお守りに似てるけど、全体的にもふもふしてる。綿毛で作られてるんだから当然だよね。
それにしても、なんでこんなレシピが急に出てきたんだろう? しかも、作製可能の表示があるけど、僕は海の香なんてアイテムは持ってないんだよ?
「うーん……これは、この場所だから作れるアイテムってことかな?」
不意に潮の香りを意識した。この場にあるものが、自動的に錬金術のレシピとして認定されているのかも。
理由は定かではないけど、作れると言うなら作ってみたい。使うタイミングがあるかわからなくても、もふもふしてて可愛いから、持っておくのでも、売るのでもいいはず。
「よーし——【錬金スタート】!」
光る煙の演出が潮風に流される中、あっという間にアイテムが完成した。
錬金布の中央に現れた海守りを持ってみると、ふわふわの感触が伝わってくる。タマモだったら頬ずりしちゃいそうな気持ちよさだ。
「おー、可愛い!」
もうちょっと追加で作ろうかな、と思いながらも手を止める。
僕の綿毛から作ったぬいぐるみはお店で大人気なんだよ。海守りを作るために使い切ったら、みんながきっと残念がる。
ということで、残りの綿毛は夢羊の羊毛と混ぜて錬金し、ぬいぐるみにした。これでちょっとはもふもふを楽しめる人が増えるねー。
続けて、ヒスイの猫毛を錬金布に載せる。これも普段はぬいぐるみにすることが多いんだけど、新しいレシピがないかなーと探してみて、見つけたアイテムに首を傾げた。
「また海守りがあった……そんなに推してるの?」
——————
【もふもふの海守り(ネコ)】レア度☆☆☆☆
白いネコをモチーフにしたお守り
使用すると、十分間海のモンスターが近づいてこなくなる
もふもふでふわふわな触り心地
〈レシピ〉
【ふんわり猫毛】+【海の香】
——————
今度は猫バージョンだ。海上だと、このアイテムを作れるのが普通みたいだ。
とりあえず一個作って、他に気になるレシピがなかったから、他の猫毛はぬいぐるみに錬金する。
同様に、ナッティからもらった栗毛も錬金して海守りとぬいぐるみを作った。もふもふがいっぱいだー。
スラリンたちからもらったスライムジェルは、たくさん集めたらビーチボールやスライムプールを作れるらしいからアイテムボックスに保管しておく。スライムプールがちょっと気になるんだよねー。どんなのなんだろう?
「たくさん作ったー」
ぐいっと体を伸ばすと、スラリンたちが近づいてくる。でも、ユキマルとナッティ、ヒスイは海の方に視線を向けていた。何か気になるものを見つけたようだ。
「きゅぃ(お疲れさまー)」
「ぴぅ(なんか見えてきたよ)」
「きゅーきゅい(あれ、シャボン玉みたいねぇ)」
「にゃ(つついて破りたくなるにゃ)」
「え? シャボン玉?」
ユキマルたちの視線の先を追うと、海の上に虹色の光を放つ丸い透明なドームのようなものが見えた。ナッティが言う通り、シャボン玉に近い見た目だ。
「——なに、あれ?」
船が少しずつ減速していく。
定期船の方から、船員の声が聞こえてきた。
「もうすぐ【海底都市リュウグウ入口】に到着します。途中下船をする方は、進行方向右側のタラップ近くにお集まりください」
海底都市リュウグウが近いらしい。でも、目立つものといえば、ユキマルたちが見つけたシャボン玉のようなものだけだ。
「……あれが、海底都市リュウグウの入口なのかな?」
気になるとウズウズしてくる。
ということで、操縦パネルに向かって、追尾機能を解除し、新たに表示されていたマップ上の点【海底都市リュウグウ入口】を設定した。ここまで来たら、マップで設定できる場所だったようだ。
減速していた船が、定期船を追い越して、シャボン玉のようなドームに近づく。
間近で見てもそれはシャボン玉にしか見えない。海の波を弾いて固定されているから、実際は硬いのかもしれないけど。
「これ、触っても大丈夫かな」
「にゃ(ヒスイが行ってみるにゃ)」
「え、待って——」
僕が止める前にヒスイが飛び出した。
楽しげにシャボン玉をつついたかと思うと、一瞬で中に飛び込む。ヒスイの姿が見えなくなった。
「ヒスイ、大丈夫!?」
「にゃ(大丈夫にゃー。この膜、物質じゃなくて光に近いにゃ。生き物は通れるみたいだにゃ)」
見えないヒスイから返事が来た。中にいるのは確からしい。
危険はないとわかれば、再びウズウズと好奇心が湧き上がる。
「【飛翔】!」
ふわっと飛んでシャボン玉の中に突入。
すると、白い石でできた円形の島があるのがわかった。中央には、島と同じ素材の白くて円柱状の建物がある。建物の周囲は狭く、人が一列に並べる程度しかない。
「人工的だねぇ……」
観察していると、スラリンとユキマル、ナッティも船をぴょんと飛びおりて来た。誰も乗ってない船はさっさとアイテムボックスに収納しておく。内部からは外がちゃんと見えた。
「これ、どうしたらいいんだろう?」
ここが海底都市リュウグウの入口であることは間違いないけど、どうやって入ればいいかわからない。
首を傾げていると、円筒状の建物の側面がスライドし、ぽっかりと開いた。
「え、そこ、扉だったの? 中には……魔法陣?」
開いたところから中を覗き込むと、丸い床いっぱいに魔法陣のような模様が描かれてる。ような、っていうか、たぶん魔法陣そのものだと思うけど。
「きゅぃ(転移する魔法陣かな?)」
「うーん……教会で見たのとはちょっと違う気がする……?」
記憶を探っても、明確な答えが出ない。複雑な模様を覚えてるわけがないから。
そうこうしてる内に、定期船がこの島に着岸したようだ。僕たちがここに留まっていたら邪魔になっちゃいそう。
何が起きるかわからないけど、さっさと進んだ方がよさそうだね。
「まぁ、危険はないでしょ。みんなー、進むよー」
「きゅぃ(はーい! 楽しみだねー)」
ルンルン、と鼻歌を歌いながらスラリンたちと建物の中に入る。
すると、一拍置いて扉が閉まった。中は人工的な光があってほのかに明るい。
「さて、これからどうなるのかな?」
床に描かれた魔法陣がふわりと光を放つのを眺めながら、ワクワクと次の展開を待った。
まずは僕の綿毛で作れるレシピを探そう、と錬金布に綿毛を載せて錬金玉に触れた。するとすぐにスクリーンが現れ、レシピが表示される。
よく作っているぬいぐるみの他にも小物やアクセサリーが並んでいて、それをザッと眺めていると、ふと見たことのないアイテムが目に入った。
「【もふもふの海守り(ウサギ)】……?」
——————
【もふもふの海守り(ウサギ)】レア度☆☆☆☆
ピンクベージュのウサギをモチーフにしたお守り
使用すると、十分間海のモンスターが近づいてこなくなる
もふもふでふわふわな触り心地
〈レシピ〉
【綿毛】+【海の香】
——————
なるほど?
説明文の横にあるイラストは、うさ耳がついているお守りだった。形は神社とかでもらえるお守りに似てるけど、全体的にもふもふしてる。綿毛で作られてるんだから当然だよね。
それにしても、なんでこんなレシピが急に出てきたんだろう? しかも、作製可能の表示があるけど、僕は海の香なんてアイテムは持ってないんだよ?
「うーん……これは、この場所だから作れるアイテムってことかな?」
不意に潮の香りを意識した。この場にあるものが、自動的に錬金術のレシピとして認定されているのかも。
理由は定かではないけど、作れると言うなら作ってみたい。使うタイミングがあるかわからなくても、もふもふしてて可愛いから、持っておくのでも、売るのでもいいはず。
「よーし——【錬金スタート】!」
光る煙の演出が潮風に流される中、あっという間にアイテムが完成した。
錬金布の中央に現れた海守りを持ってみると、ふわふわの感触が伝わってくる。タマモだったら頬ずりしちゃいそうな気持ちよさだ。
「おー、可愛い!」
もうちょっと追加で作ろうかな、と思いながらも手を止める。
僕の綿毛から作ったぬいぐるみはお店で大人気なんだよ。海守りを作るために使い切ったら、みんながきっと残念がる。
ということで、残りの綿毛は夢羊の羊毛と混ぜて錬金し、ぬいぐるみにした。これでちょっとはもふもふを楽しめる人が増えるねー。
続けて、ヒスイの猫毛を錬金布に載せる。これも普段はぬいぐるみにすることが多いんだけど、新しいレシピがないかなーと探してみて、見つけたアイテムに首を傾げた。
「また海守りがあった……そんなに推してるの?」
——————
【もふもふの海守り(ネコ)】レア度☆☆☆☆
白いネコをモチーフにしたお守り
使用すると、十分間海のモンスターが近づいてこなくなる
もふもふでふわふわな触り心地
〈レシピ〉
【ふんわり猫毛】+【海の香】
——————
今度は猫バージョンだ。海上だと、このアイテムを作れるのが普通みたいだ。
とりあえず一個作って、他に気になるレシピがなかったから、他の猫毛はぬいぐるみに錬金する。
同様に、ナッティからもらった栗毛も錬金して海守りとぬいぐるみを作った。もふもふがいっぱいだー。
スラリンたちからもらったスライムジェルは、たくさん集めたらビーチボールやスライムプールを作れるらしいからアイテムボックスに保管しておく。スライムプールがちょっと気になるんだよねー。どんなのなんだろう?
「たくさん作ったー」
ぐいっと体を伸ばすと、スラリンたちが近づいてくる。でも、ユキマルとナッティ、ヒスイは海の方に視線を向けていた。何か気になるものを見つけたようだ。
「きゅぃ(お疲れさまー)」
「ぴぅ(なんか見えてきたよ)」
「きゅーきゅい(あれ、シャボン玉みたいねぇ)」
「にゃ(つついて破りたくなるにゃ)」
「え? シャボン玉?」
ユキマルたちの視線の先を追うと、海の上に虹色の光を放つ丸い透明なドームのようなものが見えた。ナッティが言う通り、シャボン玉に近い見た目だ。
「——なに、あれ?」
船が少しずつ減速していく。
定期船の方から、船員の声が聞こえてきた。
「もうすぐ【海底都市リュウグウ入口】に到着します。途中下船をする方は、進行方向右側のタラップ近くにお集まりください」
海底都市リュウグウが近いらしい。でも、目立つものといえば、ユキマルたちが見つけたシャボン玉のようなものだけだ。
「……あれが、海底都市リュウグウの入口なのかな?」
気になるとウズウズしてくる。
ということで、操縦パネルに向かって、追尾機能を解除し、新たに表示されていたマップ上の点【海底都市リュウグウ入口】を設定した。ここまで来たら、マップで設定できる場所だったようだ。
減速していた船が、定期船を追い越して、シャボン玉のようなドームに近づく。
間近で見てもそれはシャボン玉にしか見えない。海の波を弾いて固定されているから、実際は硬いのかもしれないけど。
「これ、触っても大丈夫かな」
「にゃ(ヒスイが行ってみるにゃ)」
「え、待って——」
僕が止める前にヒスイが飛び出した。
楽しげにシャボン玉をつついたかと思うと、一瞬で中に飛び込む。ヒスイの姿が見えなくなった。
「ヒスイ、大丈夫!?」
「にゃ(大丈夫にゃー。この膜、物質じゃなくて光に近いにゃ。生き物は通れるみたいだにゃ)」
見えないヒスイから返事が来た。中にいるのは確からしい。
危険はないとわかれば、再びウズウズと好奇心が湧き上がる。
「【飛翔】!」
ふわっと飛んでシャボン玉の中に突入。
すると、白い石でできた円形の島があるのがわかった。中央には、島と同じ素材の白くて円柱状の建物がある。建物の周囲は狭く、人が一列に並べる程度しかない。
「人工的だねぇ……」
観察していると、スラリンとユキマル、ナッティも船をぴょんと飛びおりて来た。誰も乗ってない船はさっさとアイテムボックスに収納しておく。内部からは外がちゃんと見えた。
「これ、どうしたらいいんだろう?」
ここが海底都市リュウグウの入口であることは間違いないけど、どうやって入ればいいかわからない。
首を傾げていると、円筒状の建物の側面がスライドし、ぽっかりと開いた。
「え、そこ、扉だったの? 中には……魔法陣?」
開いたところから中を覗き込むと、丸い床いっぱいに魔法陣のような模様が描かれてる。ような、っていうか、たぶん魔法陣そのものだと思うけど。
「きゅぃ(転移する魔法陣かな?)」
「うーん……教会で見たのとはちょっと違う気がする……?」
記憶を探っても、明確な答えが出ない。複雑な模様を覚えてるわけがないから。
そうこうしてる内に、定期船がこの島に着岸したようだ。僕たちがここに留まっていたら邪魔になっちゃいそう。
何が起きるかわからないけど、さっさと進んだ方がよさそうだね。
「まぁ、危険はないでしょ。みんなー、進むよー」
「きゅぃ(はーい! 楽しみだねー)」
ルンルン、と鼻歌を歌いながらスラリンたちと建物の中に入る。
すると、一拍置いて扉が閉まった。中は人工的な光があってほのかに明るい。
「さて、これからどうなるのかな?」
床に描かれた魔法陣がふわりと光を放つのを眺めながら、ワクワクと次の展開を待った。
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
『彼を解放して!』とおっしゃいましたが、何から解放されたいのですか?
シエル
恋愛
「彼を解放してください!」
友人たちと教室に戻ろうとしていると、突如、知らない令嬢に呼び止められました。
「どなたかしら?」
なぜ、先ほどから私が問いかける度に驚いているのでしょう?
まるで「え!?私のこと知らないの!?」と言わんばかりですけれど、知りませんよ?
どうやら、『彼』とは私の婚約者のことのようです。
「解放して」とおっしゃっいましたが、私の目には何かに囚われているようには見えないのですが?
※ 中世ヨーロッパモデルの架空の世界
※ ご都合主義です。
※ 誤字、脱字、文章がおかしい箇所は気付いた際に修正しております。
(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・
青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。
「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」
私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・
異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
空港清掃員58歳、転生先の王宮でも床を磨いたら双子に懐かれ、国王に溺愛される
木風
恋愛
羽田空港で十五年、黙々と床を磨いてきた清掃員・田中幸子(58)は事故死し、没落寸前の子爵令嬢エルシアとして転生する。
婚約破棄の末に家を追われた彼女が選んだのは、王宮の清掃員――前世の技で空気まで変わるほど磨き上げていく仕事だった。
やがて母を亡くした双子王子王女に懐かれ、荒れた執務室の主である喪中の国王とも距離が縮まり……。
「泣くなら俺の胸で」――床も心も磨き直す、清掃令嬢の溺愛成り上がり。
畑の隣にダンジョンが生えたので、農家兼ダンチューバーになることにした件について〜隠れ最強の元エリート、今日も野菜を育てながら配信中〜
グリゴリ
ファンタジー
木嶋蒼、35歳。表向きは田舎で農業を始めて1年目の、どこにでもいる素朴な農家だ。しかし実態は、内閣直轄の超エリート組織・ダンジョン対策庁において「特総(特別総括官)」という非公開の最高職を務める、日本最高峰の実力者である。その事実を知る者は内閣総理大臣を含む極少数のみ。家族でさえ、蒼が対策庁を早々に退庁したと信じて疑わない。
SSSランクのテイムスキルと攻撃スキル、SSランクの支援スキルと農業スキルを18歳時に鑑定され、誰もが「化け物」と称えたその実力を、蒼は今日も畑仕事に注ぎ込んでいる。農作物の品質は驚異的に高く、毎日の収穫が静かな喜びだ。少し抜けているところはあるが、それもご愛嬌——と思っていた矢先、農業開始から1年が経ったある朝、異変が起きた。
祖父母の旧宅に隣接する納屋の床に、漆黒に金の縁取りをしたゲートリングが突如出現したのだ。通常の探索者には認識すらできないそれは、蒼だけが見えるシークレットプライベートダンジョン——後に「蒼天の根」と呼ばれることになる、全100階層の特異空間だった。
恐る恐る潜ったダンジョンの第1層で、蒼は虹色に輝くベビースライム「ソル」と出会い、即座に従魔として契約。さらに探索を進める中でベビードラゴンの「ルナ」、神狼種のベビーシルバーウルフ「クロ」を仲間に加えていく。そしてダンジョン初潜入の最中、蒼の体内に「究極進化システム」が覚醒する。ダンジョン内の素材をエボリューションポイント・ショップポイント・現金へと変換し、自身や従魔、親しい者を際限なく強化・進化させるこのシステムは、ガチャ機能・ショップ機能・タスク機能まで備えた、あまりにもチートじみた代物だった。
蒼は決める。「せっかくだから配信もしよう」と。農家兼ダンチューバーという前代未聞のスタイルで探索者ライセンスを取得し、「農家のダンジョン攻略配信」を開始した彼の動画はじわじわと注目を集め始める。
そんな中、隣のダンジョンの取材にやってきたのが、C級探索者ライセンスを持つ美人記者兼ダンチューバー・藤宮詩織だった。国際探索者協会の超エリート一家に生まれながら自らの道を切り開いてきた彼女は、蒼の「農家なのになぜかとても強い」という矛盾に鋭い鑑定眼を向ける。
隠れ最強の農家配信者と、本質を見抜く美人記者。チート級の従魔たちが賑やかに囲む日常の中で、二人の距離は少しずつ縮まっていく。ダンジョン攻略・農業・配信・ガチャ・そして予期せぬ大事件——波乱と笑いと感動が交錯する、最強農家の新米配信者ライフが、今幕を開ける。
死にたくないので、今世は「悪女」の看板を下ろして「聖女」の利権を奪い尽くします
あめとおと
恋愛
「死に様なら、もう八通りも見てきたわ」
公爵令嬢レオノーラは、義妹ミアを「聖女」として引き立てるための「悪役」として、九回の人生をループしてきた。
どれほど善人に振る舞おうと、どれほど婚約者の王太子に縋ろうと、最後は常に処刑台か追放。
すべては、周囲の好感度を強制的に書き換えるミアの「偽りの奇跡」のせいだった。
十度目の十六歳。
累計八十年の人生を経験し、精神年齢も魔導知識も「枯れた」域に達したレオノーラは、ついに決意する。
「いい子を演じるのは、もう飽きたわ。今世は悪役令嬢らしく、あなたの『幸運』をすべて奪い尽くしてあげる」
ミアが手に入れるはずだった【癒やしの聖杯】を先回りして献上し、
ミアの信奉者になるはずだった【最強の騎士団長】を魔導の力で救済して味方につけ、
王太子との「思い出の場所」を物理的に整地してバラ園に変える。
「あら、殿下。ゴミ(思い出)を片付けて何が悪いのかしら?」
冷徹に、そして優雅に「ざまぁ」を完遂していくレオノーラ。
そんな彼女の前に、前世では「死神」と恐れられた隣国の皇帝ギルバートが現れる。
彼は、聖女の補正が効かない唯一の男。そして、誰よりも重すぎる独占欲を抱えた男だった――。
「君は世界を奪え。私は、そんな君を奪うとしよう」
これは、九回殺された悪役令嬢が、十回目で「真の幸福」と「最強の地位」を力ずくでもぎ取る、逆転無双の物語。
【全10話+後日談 完結まで投稿済 最終投稿は3/27】