もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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10章 海は広くて冒険いっぱい

386.楽しい鑑賞会♪

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 映像を最初からちゃんと見ました。
 ホラー&サスペンス&アクションな感じで楽しかったよー。

 特に暗黒の魔術士の「フハハッ、我が主は海さえも支配する!」という勝ち誇った宣言に対し、凛々しい顔の海エルフが「そんなことさせるものか! 絶対に俺が止めてみせるッ!」と言い返してバトルが始まったところは、手に汗握る展開で興奮した。

 もちろん、海エルフが勝ちました! むふー、海エルフのオーシャンさん、カッコよかったー!

「オーシャンさんのファンクラブに入りたい」
「おい、モモ、入り込みすぎだろ……」

 ルトに呆れられたけど、僕は本気だよ?
 リオさんに「さすがにオーシャン様はもう生きておられないですねー」とにこやかに言われたから諦めるけど。

「この映像って、実際の光景とは違うんですよね?」

 リリが尋ねると、リオさんはすぐに頷く。

「当時の者たちの記憶を参照に作り上げた記録です」
「それにしても、映画っぽくする必要はないような……」
「様式美です」
「なんだソレ……」

 ルトが半眼でリオさんを見つめるけど、リオさんはニコニコと楽しそうに「ロマンです」と答えるだけだ。
 さっきもその言葉を言っていた気がする。海エルフってロマン重視するタイプ?

「とりあえず、昔の呪いについてはわかったね。名前が呪いにかかるきっかけとは知ってたし、新情報はなかった気がする?」
「まぁ、昔のリュウグウが今より広かったっていうのはなんとなく理解できたけどな」

 リリとルトが話し合っている。確かに新情報らしきものはなかった?

 暗黒の魔術士が黒のローブを被った謎の男で、最終的に倒されることなく逃げただけとか。
 主と呼ばれていた人が黒幕だったらしいとか。
 使われた呪いに関する情報は現在禁術指定されて、イノカン国王都神殿最奥に保管されているとか。
 呪い解除のために、海底都市リュウグウが保有していた秘宝が使用されたとか。
 ──という情報はあったけど。

 ……こうして思い出してみたら、結構新情報があった気がするよ?
 それはそれとして、僕にとって一番重要な情報はもちろん——

「オーシャンさんはカッコいいっていう情報がわかったよ! 僕もあの魔術使ってみたーい!」

 暗黒の魔術士を退けるために使われた、大量の海水を龍のような形にしてぶつける魔術はカッコよかった。習得できないかなー。

 ニコニコしてる僕をルトが見下ろし、「気持ちはわからないでもないけど、注目すべきところはそこじゃなかった気がする」と呟いた。

「あれは魔術ではなく水術という海エルフ独自の技術ですよ。知りたいのでしたら、水術士【スイナ】を訪ねてみてください」

 リオさんがニコニコと笑いながら二枚貝の貝殻の片割れを差し出してくる。この展開、さっきもあったよ。
 ルトがちょっと遠い目をしてるのを視界の端に捉えながら、遠慮なく受け取る。

〈司書・リオルから紹介状【水術士・スイナ】を受け取りました。シークレットエリア【水術鍛錬場】に行けるようになりました〉

 マップにしっかりと場所が記されていた。
 これでカッコいい技を習得できるようになったねー。

 ニコニコと微笑み合う僕とリオさんを見て、ルトが「相性よすぎて展開がガンガン進んでる気がする……」とぼやいた。
 リリはちゃっかり「私も欲しいです!」と紹介状をもらってる。ルトにもあげてね。

「水術はともかく、これでシークレットミッションは達成したのか? そのわりには、アナウンスがないけど」

 ルトが不思議そうに呟いた。そういえば、まだ達成してないっぽいね? 何か足りてないのかなー?

 首を傾げる僕たちを見て、ズズッとレモネードを飲みながらリオさんがパチパチと目を瞬かせる。

「ミッション、ですか?」
「うん。僕たち、過去の呪いが今もこの国を蝕んでるっていう話を聞いて、情報を探しにここに来たんだ。でも、まだなんか情報が足りてないみたいなんだよねー」

 シークレットミッションの内容を教えてみると、リオさんは「なるほど」と頷いた。深刻そうな顔だけど、残っていたポップコーンを口に放り込む感じがマイペースでシュール。
 ルトに『似た者同士だな』って目で見られるけど、僕ってこんな風かな?

「もぐもぐ……そういえば、年々海エルフの出生率が下がっているのは、過去の呪いのせいじゃないかって言っている人がいましたねー。まだ完全に呪いが解除できていないせいなら、どうしたらいいのか……」
「おお、人口減少は大問題」

 リオさんの明るい口調では問題の重さがわかりにくいけど、きっと困っている人が多いはず。

 シークレットミッションでは『過去の出来事を調べたら、新たな道が開けるはず』的なことが書いてあったし、なんか解決策がありそう。
 つまり、このミッションは、ゆくゆくは過去の呪いを完全に解けってことだよね?

 ルトたちとコソコソと話し合って、意見が一致した。
 とりあえず、呪いの解除方法については、イノカン国王都神殿に聞きに行かないと情報がなさそうだ。

「宝物庫にある秘宝が呪い解除に使用されたと聞いてますし、一度見に行かれてみては? 問題を解決してもらえると、私たちも助かりますし」

 にこやかに微笑んだリオさんから、キラキラと輝く赤珊瑚のようなものを渡された。

〈シークレットミッション【海底都市の呪い調査】をクリアしました。報酬としてアイテム【宝物庫立ち入り許可証】が贈られます。シークレットエリア【宮殿・宝物庫】に行けるようになりました〉
〈シークレットミッション【救いの道を求めて】が開始しました〉

——————
シークレットミッション【救いの道を求めて】
 海底都市リュウグウにかけられた呪いの残滓を消し去る手段とは——?
 探索の先に明るい未来が待っている!

〈クリア報酬〉
 ???
——————

 ミッションをクリアしたと思ったら新たなミッションが始まりましたー。
 ……うん、引き続きクリアできるようにがんばるよ。

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