もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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10章 海は広くて冒険いっぱい

395.着いたけど?

 海精霊シーフェアリーの里・女王の領域に到着しました。ぱちぱち!

「ほえー……やっぱり風景は全然変わらないよね?」
「正直言われないと気づけないと思います」

 タマモと二人できょろきょろと見渡してみたけど、王様の領域との違いがわからない。

 ただ、たまにふら~っと近づいてくる海精霊シーフェアリーたちが『あら、来たのね~』と微笑んで歓迎してくれてる感じだから、ここが女王様──メーアがトップの場所なのは確実だ。

 ちょっとホッとする。仲良くなったのと似た存在に怖い顔で追われるのは、ショックだったから。僕が考えなしに突っ込んじゃったのが悪いんだけどさ。
 ここだと怒られることはなさそう。メーアに会うのも楽しみだなー。別れてから一日も経ってないけど。

「これからどこに行ったらいいんだろう?」

 見渡す限りラメのように輝く水と揺らめく海藻や貝、珊瑚などがある。
 里、と聞いて想像するような建物とかがないのは、もしかして海精霊シーフェアリーは家を必要としてないからってことかな。

 精霊って謎の存在だよねー。モンスターの一種とされるかは微妙で、もちろん人とも違う……なんなんだろう?
 日本の宗教観的な『自然の意思』の擬人化的な感じ? 神さまに近いのかも。

「行き先はアール君たちが教えてくれるのではないでしょうか」

 タマモがにこりと微笑みアール君を指す。
 視線を向けると、ルージュとアール君が戯れながら『こっちだよー』と言いたげに泳いでいた。

『オレちゃんはこのままついていけばいい感じ?』
「うん、いい感じー」

 僕が答えると、キークンは『りょーかいー』とのんびりした口調で言う。
 キークンはいつまで付き合ってくれるんだろう? 結構な距離を一緒に進んでるよねー。

「そういえば、キークンさんはご自身のことを『タクシー』と呼んでいましたが、運賃って必要です?」

 タマモがふと思い至った様子で首を傾げて尋ねた。
 言われてみれば、確かに! 普通、タクシーには運賃がかかる。キークンも例外ではない……? でも、キージィには運賃いらなかったよ。キージィはタクシーを自称してなかったからかもしれないけど。

「え、払えるかな」
「私もあまり両替してないんですよねぇ。一応、一万キィンはあります」
「あ、アイテム売ったから僕はもうちょっとあるよ」

 僕とタマモが所持金の話し合いをしていたら、キークンは『お金もらっても、オレちゃん使えないからいらないよー』と軽く言う。
 それで、僕たちが「よかったー」と安心したのもつかの間──

『オレちゃんへの支払いは【精霊石フェアリービジュ】でお願いね』
「……え」
「……初耳のアイテム名が聞こえた気がしますねぇ」

 ポカンとする僕の傍でタマモが遠い目をする。そして「初の無賃乗車……逃亡犯……」と呟いてる。犯罪者になるのはダメだよ!

「待って、待って、精霊石フェアリービジュって何!?」
『うん? 知らないの? リュウグウでの硬貨の材料だよ』
「硬貨の材料……?」

 とりあえず、お金を出そうと意識してみる。
 ゲーム内での支払いは基本的にタッチ決済だけど、ちゃんと貨幣自体を出すこともできるんだよ。

 ころん、と手の上に出てきたのは百円玉くらいのサイズの深い青色の石だ。よく見ると、中に『1000』という数字が見える。これ一つで千キィンだ。

――――――
【リュウグウ硬貨】レア度☆
 精霊石フェアリービジュで作られた硬貨
 価値:千キィン(千リョウ)
――――――

「おお、ほんとに精霊石フェアリービジュで作られてるっぽい」
「綺麗ですねー。でも、これをそのままお支払いするのはダメなんですね?」
『オレちゃんが使えないからねー。それをちゃんと精霊石フェアリービジュに戻してよ』

 難しいこと言われたー。
 とりあえず、錬金術でいけるかな?
 キークンからおりたら試してみよう、なんて僕が考えていると、タマモがちょっと硬い表情をしてることに気づいた。

「貨幣の加工って罪になったりしません……?」
「えっ……ありえる?」
「リアルだと法規制されてますよねぇ」

 タマモと顔を見合わせる。
 僕たち、こっちの法律なんて知らないよ。どうしたらいい?

『んん? 硬貨は海エルフたちが好きに素材として使うことがあるし、別にいいんじゃない?』
「あ、そうなの? それならよかったー」

 キークンが教えてくれて、心底ホッとした。
 でも、硬貨なのに素材として使われるんだ? 普通に商品として精霊石フェアリービジュを取り扱いしてないのかな。

 不思議ー、と首を傾げたところで、キークンが減速し始める。
 ルージュとアール君がきのこみたいな形のキラキラした岩の近くで止まって、僕たちを振り返っていた。ここが目的地のようだ。

「海の中にきのこ……」
「ザ・きのこ、という形ですねー。とってもキラキラしてますけど」
「キラキラだね」

 止まったキークンからぴょーんとおりながら、きのこを見上げる。
 広がったきのこの傘部分から、ふわっとラメのようなものが放たれていた。

「──この周りに漂ってるキラキラ、きのこから出てるのか!」

 新事実判明。
 ぱちぱちと目を瞬く僕の横で、タマモが「このラメに何か意味があるんでしょうか?」と興味深そうに呟く。
 僕もそれ気になるー。鑑定しよう。

――――――
輝粉キラパウダー】レア度☆
 輝く粉。演出に最適!
 特に効果はない……と見せかけて、実は里の安定化に寄与している
――――――

 なんで鑑定結果に引っ掛けを作ったの?
 とりあえず、精霊の里のために何かしら意味があるってことはわかったけど。

「ねぇ、タマモ。ここ、どこ?」
「さあ? 情報がなくてすみません」

 疑問が片付いたところで、一番気にすべき点を問いかけてみる。答えがないのはわかってたから、謝らなくていいよー。
 でも、僕たちはここで何をすればいいんだろうね?
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