もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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10章 海は広くて冒険いっぱい

398.女王様のお願い

 お願いを聞くのはいいんだけどさぁ。強制的っていうのが、ちょっと納得できない。
 僕は、ぷくーっと頬を膨らませる。

 タマモは「あら……まぁ、難しくなければいいですけど」と苦笑しながら肩をすくめていた。

 何をするにも情報が必要なのは事実だよねぇ。
 せっかくここまで来たんだし、何もせずに帰るのもイヤだし、がんばってみるか。

「とりあえず、お願いってなに~?」
海輝石シーロキスに魔力を込めてほしいの』
「うん?」

 言われてもよくわからなかった。
 首を傾げる僕の隣で、タマモが「海輝石シーロキスというのは、この石のことですか?」と海精霊シーフェアリーたちが囲んでいる丸い玉を指す。

『そうよ。これに魔力を込めると、私の領地が広がるの』
「里を広げたいってこと?」
『たくさん魔力を込められた方が里の大部分を領地にできるってルールなのよ』

 んん? どういうこと? 聞いてもよくわからなかったよ。

 そこで、首を傾げたタマモがさらに質問を重ねてくれて、メーアがそれに答えた結果、なんとなく概要は掴めた。

 僕たちへの依頼は、海精霊シーフェアリーの王様との競争への協力らしい。

 一年に一回、王様と女王様は海輝石シーロキスに込められた魔力の量で競っていて、魔力量が多い方は次の一年間、里内で広い領地を得られるんだって。

 もうすぐその結果発表の時期で、メーアたちは最後の仕上げとして、僕たちにも魔力を入れてもらおうとしてるらしい。

「……それ、ズルじゃない?」

 僕たち海精霊シーフェアリーじゃないのにいいのかな?
 思わずタマモと顔を見合わせて苦笑する。

『いいのよ。海精霊シーフェアリー以外が魔力を込めたらダメなんてルールはないもの』

 メーアがふふん、と胸を張り『今年こそ、あの野郎を打ち負かしてやるんだから……!』と気合いに満ちた声で呟いてる。

 周囲の海精霊シーフェアリーたちも『去年、一昨年と続けて負けてるの』『今年こそ勝ちたいんだよ』『あっちの子に偉そうな顔をされてばかりじゃいられないわ』と、僕たちに説明しながらやる気いっぱいだった。

 なるほど。二年連続で負けてるから、ちょっとズルい方法を使っても勝ちたいわけか。

「……これって、王様陣営にもプレイヤーが協力するパターンじゃない?」
「あ、私も同じこと思ってました」

 タマモと見つめ合う。
 ゲーム的に考えたら、プレイヤーも二つの陣営に分かれて競い合うことになる気がするよねー。
 あまり重要なミッションじゃなさそうだから、取り組むプレイヤーがどれだけいるかわからないけど。

「まぁ、いっか。魔力を込めるくらいなら」
「でも、私は魔力の込め方なんて知りませんよ?」

 肩をすくめながら受け入れたところで、アナウンスが聞こえてきた。

〈シークレットミッション【精霊の陣地争い】を開始しました〉

――――――
【精霊の陣地争い】
 毎年恒例の海精霊シーフェアリーたちの競争が開催中!
 『王様陣営』『女王様陣営』に分かれ、海輝石シーロキスに魔力を注いで応援しよう。
 応援している側が勝つと、貢献度に応じて豪華報酬がもらえるよ。

〈現在の魔力充填率〉
王様陣営:61%
女王様陣営:58%

〈勝利報酬〉
 精霊召喚石など

〈参加報酬〉
 精霊石フェアリービジュ×10
――――――

 精霊召喚石?
 ちょっと気になるから詳細を確認してみる。

――――――
【精霊召喚石】レア度☆☆☆☆☆
 使用すると精霊を召喚できる石
 召喚できるのは、召喚石をくれた精霊のみ
 召喚可能時間は三十分
 精霊を召喚すると、精霊のタイプに合わせてパーティ全体にバフ、または敵全体にデバフを与える
――――――

「お、精霊召喚石、ちょっと欲しいかも……」

 僕が持ってるスキル【神使召喚】の精霊版アイテムっぽいな。
 神使召喚では角馬ホルースっていう妖精を召喚して、パーティ全体の土属性攻撃力・耐性を上げられるんだよねぇ。確か、気絶耐性もあったはず。

 海精霊シーフェアリーを召喚した場合の効果は今のところわからないけど、海中でのバトルが楽になるかも。

「私も欲しいです! 手に入れるためには、応援して女王様陣営に勝ってもらわないといけませんね。早速、魔力を込めましょう!」

 報酬を確認したタマモが目をキラキラさせて意気込んでる。
 どうせやるなら勝たないとね~。

 これ、もふもふ教内で情報を広めたら、簡単に勝てるんじゃない?
 女王メーア陣営の海精霊シーフェアリーたちともふもふ教のみんなを仲介してあげたら、結構いける気がする。

 まぁ、メーアには、もふもふ教が恐るべき存在みたいな認識をされてるっぽいけど……あ、その認識を改めてもらうためにも、協力するのがよさそう?

『協力してくれるなら嬉しいわ。じゃあ、海輝石シーロキスに手を当てて。魔力を注ごうと意識したらできるわよ』

 意外と簡単にできるらしい。
 ふーん、と頷きながら海輝石シーロキスにタッチしてみる。

〈魔力を注ぎます。魔力を注げるのは一日一回です〉

 アナウンスとともに、僕のステータスの魔力値がポンッと眼前に現れた。
 あ、ちょっとずつ減ってる。今日はほとんど魔力を使う作業してなかったし、満タンだったからたくさん注げるな~。

「うぅ……魔力が少ないので、これ以上は無理です……」

 僕と同じように魔力を注いでいたタマモが、しばらくしてしょんぼりとしながら海輝石シーロキスから手を離した。
 獣人族で体術士のタマモは、魔力が少なめだからちょっと不利だよねぇ。

 僕もそれなりに魔力は多いけど、正直レベリングをさぼってるから、誇れるほどでもないんだよなぁ。

「……これ、回復しながらだとどうなるかな? 気になるし、やっちゃお! ──【天の祈りアンジュプレ】!」

 スキルを使って継続的に魔力微回復させてみた。

 元々魔力自動回復スキルはパッシブだから使われてたけど、それにスキルを上乗せしたら、魔力値の減り方が遅くなった気がする。さすがに完全に消費を賄えるほどじゃないかぁ。

 とりあえず、魔力回復薬もグイッといっちゃうよ~。

「ごくごく……うん、ちょっと回復したけど、すぐ減っていくねー」
『回復しながら注ぐ……そこまでがんばってくれるなんて、モモはすごくいい子ね!』

 なぜかメーアに感激された。
 友好度がググーンッと上がった気がする。
 僕はただ好奇心任せにいろいろ試してみただけなんだけど……好意的に受け止めてくれてるならいっか。

「さすがにもったいなくて、ここで魔力回復薬を消費することはできません……さすがモモさん!」
「自分で作れるから、躊躇いなく使えるんだよ」

 ぱちぱち、と拍手するタマモに、僕はえっへんと胸を張る。
 魔力草を栽培して薬も作っちゃえる僕すごーい。もっと褒めていいよ!

******

書籍版2巻の発売が決定いたしました!
刊行は8月中旬の予定です。
書影などは時期が来ましたら改めてお知らせいたします~。
ぜひ書籍版もチェックしてくださいませ。
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