もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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10章 海は広くて冒険いっぱい

399.テイム主さん、どこかなー

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 魔力が空になる勢いで海輝石シーロキスに注いだら、ちょっと体がだるくなった。ここまで魔力を使ったのは初めてだよー……。

「疲れたぁ」
「お疲れさまです。マッサージしましょうか?」

 タマモがにこやかな表情で手を動かしてる。
 それ、僕をもふもふしたいだけなんじゃない? 魔力不足のだるさに、マッサージは効かない気がするし。

 半眼で見つめる僕に、タマモは「えへへ」と誤魔化すように笑った。

『モモ、ありがとう! これであいつに勝てるわ……!』

 拳を握るメーアの背後にゴゴッと燃え上がる炎を幻視した。
 あいつ、って海精霊シーフェアリーの王様だよね? なんでこんなに敵愾心が強いんだろう?

 近くを飛んでる海精霊シーフェアリーを手招きして、小声で問いかけてみる。

「王様とメーアは仲が悪いの? なんか、陣地の広さを争ってるだけじゃない気がするけど」

 海精霊シーフェアリーは『あら、今さら聞くの?』と面白がる表情で呟き、僕の耳に顔を寄せた。

『王様と女王様は夫婦なのよ。お互いに意地っ張りで言い争いもしょっちゅうだけれど、仲が悪いわけではないわ。言うなれば、ケンカップル……かしら?』
「……なるほど。夫婦喧嘩は犬も食わぬって言うけど、ウサギも食べたくないよ。放っとこう」

 うん、と僕は頷く。
 事情を教えてくれた海精霊シーフェアリーも、『それがいいわ』とおかしそうに笑った。

 精霊界の夫婦喧嘩はさておき。
 海輝石シーロキスに魔力を注ぐミッションは一日一回達成可能みたいだから、時間があればここに来よう。

 海精霊シーフェアリーの里は、一応街の中っていうくくりになっているらしく、設定した転移ピンが時間経過で消失しない仕様のようだから、次回から来るのは簡単だ。

『モモ、またお願いすることがあったら連絡するわね』
「え──って、フレンド登録されてる!?」

 いつの間にか、フレンド欄に【海精霊シーフェアリーの女王・メーア】が追加されていた。
 モンスターカードをもらったわけでも、登録作業をしたわけでもないのに。精霊って謎だ……。

「あのー、私は……?」

 タマモが期待を込めた眼差しでメーアを見つめる。
 メーアは少し首を傾げつつ、アルカイックスマイルを浮かべた。

『あら、もっと仲良くなればお友だちになって、お願いをすることもあるかもしれないわね』
「そうですか。残念ですが……もうちょっとがんばります!」

 タマモはお友だちになるのを断られても、前向きに気合いを入れてる。さすがタマモ。

「あ、そういえば、ルージュたちは……」

 鑑定結果が謎だったことを思い出し、近くを泳いでいるルージュたちを改めて鑑定してみる。

――――――
赤隠魚ルージュハイディ
 水属性モンスター。『???』にテイムされている。
 海精霊シーフェアリーの平穏のために、仲裁者を海精霊シーフェアリーの里に導く役目を負っている。
 個体名:ルージュ
――――――

 ……およ?
 役目の部分の謎は解明されたけど、誰がテイムしてるかはわからなかった。メーアじゃないの?

 というか、解明された謎の部分もちょっと気になる。
 仲裁者って何? 夫婦喧嘩の仲裁をしろってこと? ……それはちょっと遠慮させてほしいなぁ。

「ねぇ、メーア。ルージュはメーアがテイムしてる?」
『違うわよ。私たちはモンスターをテイムできないもの。その子たちは、海の王に連なる者に従っている存在ね』
「海の王……って、海エルフの王様とか?」
『そうかもしれないわね。その子たちはそれぞれ違う役目を負っているようだから、出会う度に鑑定して確かめるといいわよ。そうすれば、いつか彼らの主人に会うこともできるかも』

 メーアがふふっと微笑みながら予想外の答えをくれた。
 ルージュたちは海エルフの誰か──たぶん王族から遣わされた感じ? こんな役目をさせてるなんて、海エルフは海精霊シーフェアリーの管理もしてるのかな。

「ルージュたちって、不思議だねぇ」
「そうですねぇ」

 タマモと顔を見合わせて肩をすくめる。
 ルージュたちみたいな存在にたくさん会えば、その主人に会えるんだろうし、気長に待ってよう。

 ──そんなことを考えていると、ルージュが近づいてきて、僕の額にツンッと触れた。
 途端にアナウンスが聞こえてくる。

〈シークレットミッション【海エルフのテイマー探し】が開始しました〉

――――――
【海エルフのテイマー探し】
 数多のモンスターをテイムし、リュウグウ内を監視・管理している海エルフがいるらしい……?
 テイムモンスターと接触して、その正体に迫ろう。

〈達成状況〉
 テイムモンスター遭遇数 2/10

〈達成報酬〉
 水属性モンスターのテイムの極意
――――――

「テイムの……極意……!?」

 テイマーとして見逃せない情報が出てきた。
 極意を知ったら、きっといいことがあるよね?

「──よぉし、海エルフのテイマーさん、絶対探すぞ!」

 拳を握って気合いを入れたら、タマモがにこやかに微笑み、掲示板を操作しながら口を開いた。

「テイムモンスターの情報があったら、モモさんにご連絡しますね」
「タマモ、ありがとー」

 交友関係が広いタマモに協力してもらったら、ルージュみたいなテイムモンスターの情報が集まりやすそう。
 早く海エルフのテイマーさんに会えたらいいな~。

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