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10章 海は広くて冒険いっぱい
401.水術鍛錬場の巻
「──あっはっはっはー!」
ただいま道着の女性に笑われている僕です。むっすー。
幽霊さんはごめんなさいさようならーっ、と叫んで逃げようとしたところを捕まって、自己紹介してもらった。
女性は幽霊じゃなくて、僕が探していた水術士のスイナさんだったんだ。
捕まった時は僕もおばけにされちゃう! って焦ったのに。
……捕まって感染するのはゾンビだっけ? まぁ、似たようなものでしょ。
スイナさんの半身が透けてたのは、水術の一つ【水遁】を使ってたからだそう。
度々忘れるけど、僕がいるこの場所には水が満ちていて、水遁を使うと姿を水の中に隠して見えなくできるんだって。
すごいよねぇ。僕も覚えられるかな?
ただ、使う場所はリュウグウみたいに水の中じゃなきゃいけないみたいだから、使う機会があるかは謎。水中戦では役立つかも?
まぁ、覚えるためには、まずはスイナさんの笑いを止めなきゃいけないんだけど──
「スイちゃん、笑いすぎー!」
早速あだ名をつけたよ!
僕のことを笑うスイちゃんのことは、あだ名で呼ぶくらいがちょうどいいでしょ。正式な通称は呼んであげないもんねー、だ!
お腹を抱えて笑ってるスイちゃんの膝をポコポコ叩きながら抗議する。
「ふはっ、うん、ごめんな、ウサっ子」
「僕はモモだよ!」
「うん、ウサっ子な」
「むぅ、聞く気ないでしょ……」
呼び名の訂正を受け入れてもらえなかった。
ウサギなのは間違ってないけど、名前で呼んでほしいよ。
頬を膨らませて不満を示していたら、スイちゃんがようやく笑うのをやめて、目尻に滲んだ涙を指先で拭いながら肩をすくめた。
「アタイは実力を認めたもんしか名前で呼ばないんだ。名前で呼ばれたいなら、実力を示してみな」
「……わかった。でも、実力って、水術の使い手ってこと?」
「それでもいいし、戦闘力を示すんでもいい。ウチはリュウグウの守り手を育てる鍛錬場だからな。強いもんには、相応の敬意を払うのさ」
スイちゃんの家は実力主義なんだねぇ。
戦闘力を示す方法はよくわからないし、予定通り水術を教えてもらって、それで認めてもらおう!
「リュウグウの守り手って何?」
スイちゃんの発言の中で気になった単語について尋ねてみる。
「うん? 言葉通りさ。海底都市リュウグウを守る者──そうだな、陸上の者たち風に言えば、騎士というのが近い。宮殿の守りを固めてる者たちや、リュウグウ内外を監視して治安維持に務めてる者たちだな」
なるほどー、と頷いてから、僕は「うん?」と首を傾げた。
宮殿の守りを固めてる者って、魚人さんたち? 僕は警備さんとか呼んでたけど、守り手っていうのが正式な役職なのかな。
「宮殿の門衛さんとか宝物庫を警備してた魚人さんも守り手?」
「そうだよ。みんな、ウチの鍛錬場出身さ」
スイちゃんが誇らしげに胸を張りながら言う。それから、ふと思い出したように僕をマジマジと見つめた。
な、なに……?
戸惑いながら僕は首を傾げる。
「──あっ、ウサっ子は『こんちゃー』の子か!」
「スイちゃんにまで伝わっていた、だと……!?」
ビシッと指されて、固まっちゃう。
守り手と関係があるんだから、知られていても不思議ではないんだけど、情報伝達速度が鬼速いね! まだ一日も経ってないよ!
まぁ、タマモ曰く、他のサーバーのもふもふ教にも公式挨拶として伝わってるらしいから……諦めるしかない。
何をって、『こんちゃー』=僕っていう図式が認定されることを、だよ!
「ウサっ子、こんちゃー」
ヒラヒラと手を振りながらニコニコ笑うスイちゃんに、僕は「……こんちゃー」と返した。
みんな、予想以上にその挨拶気に入ってくれてるよね。何気なくした挨拶なんだけどなぁ。
「それで、ウサっ子は水術を習いたいってことでいいのかな?」
「そうだよ! 教えてくれるよね?」
「リオルさんの紹介状を持ってるヤツを拒むのは無理だなー。うん、教えたげる」
思いがけず、リオさんの影響力の強さを知った。
え、ただの司書さんじゃなかったりする? 宮殿に務めてるだけあって、偉い人なのかな。今度会ったときに探ってみよう。
今は「こっちおいでー」と鍛錬場内に手招きしてくれているスイちゃんの後に大人しくついていく。
おじゃましまーす!
鍛錬場内は体育館みたいな広々とした板張りの空間になっていた。
中央には巨大な水の玉が浮かんでるけど──これ、何?
思わずポカンと見上げる。
一見しただけだと、水晶玉と勘違いしちゃいそうだけど、よく見ると僅かに表面が揺らいでいるのがわかる。水滴の表面張力ががんばってるーって感じ。
……つつきたくなっちゃうな。
そっと手を伸ばしたところで、スイちゃんがパチッと手を合わせて注意を促したから、ハッと踏みとどまる。
イタズラして怒られて、水術を教えてもらえなくなったら困るもんね。
「まずは、この水中水から水を取り出す練習をしてみようか」
「何、その、水の中の水みたいなアイテム名は……」
いや、読み方がウォーテルっていうのはわかってるんだけどね? アイテム名の付け方が雑すぎて、ついツッコミを入れちゃったよ。
スイちゃんは「変かな?」と首を傾げていた。
でも、すぐに「まぁ、そんなことはどうでもよくて」と物を横にどけるようなパントマイムをして、話を元に戻す。
「中で水を捏ねて、外に投げたら取り出せるよ──ということで、レッツ・水取り出し練習! いってらっしゃーい」
ニコッと笑ったスイちゃんが、僕を抱き上げて水中水に投げた。
問答無用すぎないっ!?
「えぇえーっ……ゴハッ、ブフッ!」
叫びながらポチャッと水中水に飲み込まれて、ブクブクと空気を吐き出す。
この中、息ができないよー! 溺れちゃう!
バタバタと泳ぎながら、外でスイちゃんが「ふぁいとー、おー」とうさぎマークがついた旗を振りながらにこやかに応援しているのを見て、つい『許すまじ……!』と思っちゃったよ。
もふもふ教のみんなに怒られてしまえー!
……ところで、その旗はいつ用意したんです?
ただいま道着の女性に笑われている僕です。むっすー。
幽霊さんはごめんなさいさようならーっ、と叫んで逃げようとしたところを捕まって、自己紹介してもらった。
女性は幽霊じゃなくて、僕が探していた水術士のスイナさんだったんだ。
捕まった時は僕もおばけにされちゃう! って焦ったのに。
……捕まって感染するのはゾンビだっけ? まぁ、似たようなものでしょ。
スイナさんの半身が透けてたのは、水術の一つ【水遁】を使ってたからだそう。
度々忘れるけど、僕がいるこの場所には水が満ちていて、水遁を使うと姿を水の中に隠して見えなくできるんだって。
すごいよねぇ。僕も覚えられるかな?
ただ、使う場所はリュウグウみたいに水の中じゃなきゃいけないみたいだから、使う機会があるかは謎。水中戦では役立つかも?
まぁ、覚えるためには、まずはスイナさんの笑いを止めなきゃいけないんだけど──
「スイちゃん、笑いすぎー!」
早速あだ名をつけたよ!
僕のことを笑うスイちゃんのことは、あだ名で呼ぶくらいがちょうどいいでしょ。正式な通称は呼んであげないもんねー、だ!
お腹を抱えて笑ってるスイちゃんの膝をポコポコ叩きながら抗議する。
「ふはっ、うん、ごめんな、ウサっ子」
「僕はモモだよ!」
「うん、ウサっ子な」
「むぅ、聞く気ないでしょ……」
呼び名の訂正を受け入れてもらえなかった。
ウサギなのは間違ってないけど、名前で呼んでほしいよ。
頬を膨らませて不満を示していたら、スイちゃんがようやく笑うのをやめて、目尻に滲んだ涙を指先で拭いながら肩をすくめた。
「アタイは実力を認めたもんしか名前で呼ばないんだ。名前で呼ばれたいなら、実力を示してみな」
「……わかった。でも、実力って、水術の使い手ってこと?」
「それでもいいし、戦闘力を示すんでもいい。ウチはリュウグウの守り手を育てる鍛錬場だからな。強いもんには、相応の敬意を払うのさ」
スイちゃんの家は実力主義なんだねぇ。
戦闘力を示す方法はよくわからないし、予定通り水術を教えてもらって、それで認めてもらおう!
「リュウグウの守り手って何?」
スイちゃんの発言の中で気になった単語について尋ねてみる。
「うん? 言葉通りさ。海底都市リュウグウを守る者──そうだな、陸上の者たち風に言えば、騎士というのが近い。宮殿の守りを固めてる者たちや、リュウグウ内外を監視して治安維持に務めてる者たちだな」
なるほどー、と頷いてから、僕は「うん?」と首を傾げた。
宮殿の守りを固めてる者って、魚人さんたち? 僕は警備さんとか呼んでたけど、守り手っていうのが正式な役職なのかな。
「宮殿の門衛さんとか宝物庫を警備してた魚人さんも守り手?」
「そうだよ。みんな、ウチの鍛錬場出身さ」
スイちゃんが誇らしげに胸を張りながら言う。それから、ふと思い出したように僕をマジマジと見つめた。
な、なに……?
戸惑いながら僕は首を傾げる。
「──あっ、ウサっ子は『こんちゃー』の子か!」
「スイちゃんにまで伝わっていた、だと……!?」
ビシッと指されて、固まっちゃう。
守り手と関係があるんだから、知られていても不思議ではないんだけど、情報伝達速度が鬼速いね! まだ一日も経ってないよ!
まぁ、タマモ曰く、他のサーバーのもふもふ教にも公式挨拶として伝わってるらしいから……諦めるしかない。
何をって、『こんちゃー』=僕っていう図式が認定されることを、だよ!
「ウサっ子、こんちゃー」
ヒラヒラと手を振りながらニコニコ笑うスイちゃんに、僕は「……こんちゃー」と返した。
みんな、予想以上にその挨拶気に入ってくれてるよね。何気なくした挨拶なんだけどなぁ。
「それで、ウサっ子は水術を習いたいってことでいいのかな?」
「そうだよ! 教えてくれるよね?」
「リオルさんの紹介状を持ってるヤツを拒むのは無理だなー。うん、教えたげる」
思いがけず、リオさんの影響力の強さを知った。
え、ただの司書さんじゃなかったりする? 宮殿に務めてるだけあって、偉い人なのかな。今度会ったときに探ってみよう。
今は「こっちおいでー」と鍛錬場内に手招きしてくれているスイちゃんの後に大人しくついていく。
おじゃましまーす!
鍛錬場内は体育館みたいな広々とした板張りの空間になっていた。
中央には巨大な水の玉が浮かんでるけど──これ、何?
思わずポカンと見上げる。
一見しただけだと、水晶玉と勘違いしちゃいそうだけど、よく見ると僅かに表面が揺らいでいるのがわかる。水滴の表面張力ががんばってるーって感じ。
……つつきたくなっちゃうな。
そっと手を伸ばしたところで、スイちゃんがパチッと手を合わせて注意を促したから、ハッと踏みとどまる。
イタズラして怒られて、水術を教えてもらえなくなったら困るもんね。
「まずは、この水中水から水を取り出す練習をしてみようか」
「何、その、水の中の水みたいなアイテム名は……」
いや、読み方がウォーテルっていうのはわかってるんだけどね? アイテム名の付け方が雑すぎて、ついツッコミを入れちゃったよ。
スイちゃんは「変かな?」と首を傾げていた。
でも、すぐに「まぁ、そんなことはどうでもよくて」と物を横にどけるようなパントマイムをして、話を元に戻す。
「中で水を捏ねて、外に投げたら取り出せるよ──ということで、レッツ・水取り出し練習! いってらっしゃーい」
ニコッと笑ったスイちゃんが、僕を抱き上げて水中水に投げた。
問答無用すぎないっ!?
「えぇえーっ……ゴハッ、ブフッ!」
叫びながらポチャッと水中水に飲み込まれて、ブクブクと空気を吐き出す。
この中、息ができないよー! 溺れちゃう!
バタバタと泳ぎながら、外でスイちゃんが「ふぁいとー、おー」とうさぎマークがついた旗を振りながらにこやかに応援しているのを見て、つい『許すまじ……!』と思っちゃったよ。
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