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5-2.ストレス発散も大切です
222.狐たちのすみか
4階にカナの小屋を移設するついでに、スイとコウの家も近くに建ててやった。
『このイグサというものの匂いが、なんとも言えず良いですな……』
スイには、畳敷きの茶室のような庵を用意した。口調と雰囲気を考えると、めちゃくちゃ合う気がして。
畳の上にゴロリと寝そべったスイは、想像していた通り、随分と気に入ってくれたようだ。
落ち着いた雰囲気で、バッチリだな。
カナは庵を見て『広すぎる……』と言っていたので、今の小屋のままで問題なさそう。
『なんでアタイにはこれなん?』
コウは板張りの床に寝そべりながら、もふもふのぬいぐるみを抱え込んでムスッとしている。ぬいぐるみはもちろん子狐を模したものだ。
カナを可愛がってるみたいだったから、気に入るだろうと思ってな。
建物の全体はスイのものと同じくらいの大きさの洋室だ。
フローリングには大きなクッションやフワッとしたカーペットを敷いている。
「なんとなく、合いそうだと思って? ほら、たくさんおもちゃがあるから、遊んでいいぞー」
犬用のおもちゃを詰め込んだ棚から、噛んで引っ張るロープ型おもちゃを取り出す。
コウは『アタイは子どもじゃない!』と文句を言いながらも、それなりに楽しそうにロープを引っ張って遊び始めた。
可愛い可愛い。
狐トリオの家が完成したし、次は何をしようかな、と考えたところで、ふとカナの詳細を確認していないことを思い出した。
忘れてたのはこれだったかぁ。思い出したからセーフ。まだボケるのは早すぎる……。
カナは自分の小屋で寝そべりながら、外の景色を眺めているようだ。
勝手にステータスを確認させてもらうぞー。
——————
名前:カナ
種族:妖魔狐
レベル:21
能力:魔力吸収、穢誘引、魔力弾
——————
……魔力を吸収して、放つのが攻撃方法か? だいぶ限定された戦い方だなぁ。魔力をたくさん吸えば強くなれるのかもしれないけど。
そんで、穢れを引き寄せるのはスキルなんだな?
カナが意識せずに、常時使ってる感じか?
これを止めさせれば、カナが穢れにやられることは早々なさそうだが──
「カナ。穢誘引の能力発動を止められるか?」
『……したことないから無理かも』
一度は試してくれたようだが、カナはすぐに諦めた感じでため息を吐いた。
使いこなせてないってことは、前のアルジによって後付けされた能力の可能性があるな。このスキルを使えても、カナに利点がないし。
邪神の罪がドンドン積み重なってるぞ。
「おっけー。とりあえず今はそのままでいいや。でも、止められた方がカナにとってもいいはずだし、練習しておいてくれ」
『わかったよ。がんばる』
頷いたカナを見て、ニコリと笑う。
そろそろリルが帰ってくるかもなー。カナたちの歓迎会も兼ねて、飯を用意しておくか。
「んじゃ、後でみんなで飯を食うから、カナたちはそれまで自由に過ごしてろよー。他の階層に遊びに行ってもいいぞ」
『案内はアタイに任せろー』
「コウもほぼ知らないだろ」
ダンジョン歴がカナと大して変わらないコウにそうツッコミを入れると、『そうやったなぁ』ときょとんとした顔で言われた。
あまりに馴染みすぎて、召喚から一日も経っていないことを忘れていたらしい。
その短い時間も、ほぼダンジョン外とエンドの山で過ごしてたから、他の場所なんて知らないはずだし。
「ははっ、なんだそれ。案内には影兎をつけるから、仲良くしてくれ」
『よばれてとうじょう~、影兎だよ~』
俺の影からパッと現れた影兎に、カナが一瞬ビクッと震えた。
突然の登場ってビビるよな。俺はもうだいぶ慣れたけど。
「仲良くな?」
『もちろん、なかよくするよ~』
一応カナのために念押しすると、影兎がのほほんとした感じで頷く。
……影兎は気軽にとんでもないことをしでかすことがあるから、ちょっと不安だ。
でも、今手隙のもので、ダンジョン内のあらゆる場所を把握してるのは、影兎しかいないんだよな。
インクやアリーはすでに外への調査に出しているから頼れないし。
「頼んだぞ」
どうか影兎の自由さにカナが染まりませんように、と祈るしかない。
『ミーシャが思うに、影兎に影響されやすいのはコウだと思うにゃ』
「……確かに」
俺の護衛として付き添ってくれているミーシャがボソリと呟き、俺はそれに頷き返した。
影兎の自由さを学んだコウ……めちゃくちゃ想像が容易いな。
できれば、影兎タイプ二号は生まれないでほしいんだけど。
『キツネたち、いくよ~』
『どこに行くんや?』
『たのしいところ~』
『それがどこやねん』
家から出てきたコウに、影兎がぴょんぴょんと跳ねてご機嫌な感じで言う。
相変わらず、俺から仕事をもらうのが嬉しいようだ。
『影兎殿、再び世話になる』
『かたいな~。もっとやわらかく~。マッサージしようか~?』
口調の硬さって、マッサージでどうにかなるもんか? リラックスはするかもしれないが。
いや、影兎のマッサージはちょっと怖いな。逆に疲れそう。
『まっさーじ……それが何かは知らぬのだが、影兎殿の手を、これ以上煩わせるつもりはない』
『かたいってば~』
『むむっ……影兎、案内を、よろしく……』
ゆるゆるな態度の影兎と、基本的に硬い口調のスイは、あまり合わなそうだ。
でも、スイは優しいから、素直に口調を和らげようとがんばってる。
その調子で俺にも気軽に接してくれるといいんだけど、スイに無理はさせたくないし、今は言わないでおくか。
『……よろしく?』
『カナカナもよろしくね~』
『カナカナ?』
影兎はカナにあだ名を付けたようだ。
カナカナ、と鳴き声のように繰り返す影兎に、カナが戸惑ってる。
まあ、影兎は基本的にノリとテンションで生きてるから、慣れてくれとしかアドバイスできない。
なにはともあれ、影兎とは仲良くなれそうでよかった。
警戒したままのミーシャをチラリと見下ろしてから、俺はため息を噛み殺す。
ミーシャがカナに歩み寄るのは、リルが帰ってきてからかなぁ。
『このイグサというものの匂いが、なんとも言えず良いですな……』
スイには、畳敷きの茶室のような庵を用意した。口調と雰囲気を考えると、めちゃくちゃ合う気がして。
畳の上にゴロリと寝そべったスイは、想像していた通り、随分と気に入ってくれたようだ。
落ち着いた雰囲気で、バッチリだな。
カナは庵を見て『広すぎる……』と言っていたので、今の小屋のままで問題なさそう。
『なんでアタイにはこれなん?』
コウは板張りの床に寝そべりながら、もふもふのぬいぐるみを抱え込んでムスッとしている。ぬいぐるみはもちろん子狐を模したものだ。
カナを可愛がってるみたいだったから、気に入るだろうと思ってな。
建物の全体はスイのものと同じくらいの大きさの洋室だ。
フローリングには大きなクッションやフワッとしたカーペットを敷いている。
「なんとなく、合いそうだと思って? ほら、たくさんおもちゃがあるから、遊んでいいぞー」
犬用のおもちゃを詰め込んだ棚から、噛んで引っ張るロープ型おもちゃを取り出す。
コウは『アタイは子どもじゃない!』と文句を言いながらも、それなりに楽しそうにロープを引っ張って遊び始めた。
可愛い可愛い。
狐トリオの家が完成したし、次は何をしようかな、と考えたところで、ふとカナの詳細を確認していないことを思い出した。
忘れてたのはこれだったかぁ。思い出したからセーフ。まだボケるのは早すぎる……。
カナは自分の小屋で寝そべりながら、外の景色を眺めているようだ。
勝手にステータスを確認させてもらうぞー。
——————
名前:カナ
種族:妖魔狐
レベル:21
能力:魔力吸収、穢誘引、魔力弾
——————
……魔力を吸収して、放つのが攻撃方法か? だいぶ限定された戦い方だなぁ。魔力をたくさん吸えば強くなれるのかもしれないけど。
そんで、穢れを引き寄せるのはスキルなんだな?
カナが意識せずに、常時使ってる感じか?
これを止めさせれば、カナが穢れにやられることは早々なさそうだが──
「カナ。穢誘引の能力発動を止められるか?」
『……したことないから無理かも』
一度は試してくれたようだが、カナはすぐに諦めた感じでため息を吐いた。
使いこなせてないってことは、前のアルジによって後付けされた能力の可能性があるな。このスキルを使えても、カナに利点がないし。
邪神の罪がドンドン積み重なってるぞ。
「おっけー。とりあえず今はそのままでいいや。でも、止められた方がカナにとってもいいはずだし、練習しておいてくれ」
『わかったよ。がんばる』
頷いたカナを見て、ニコリと笑う。
そろそろリルが帰ってくるかもなー。カナたちの歓迎会も兼ねて、飯を用意しておくか。
「んじゃ、後でみんなで飯を食うから、カナたちはそれまで自由に過ごしてろよー。他の階層に遊びに行ってもいいぞ」
『案内はアタイに任せろー』
「コウもほぼ知らないだろ」
ダンジョン歴がカナと大して変わらないコウにそうツッコミを入れると、『そうやったなぁ』ときょとんとした顔で言われた。
あまりに馴染みすぎて、召喚から一日も経っていないことを忘れていたらしい。
その短い時間も、ほぼダンジョン外とエンドの山で過ごしてたから、他の場所なんて知らないはずだし。
「ははっ、なんだそれ。案内には影兎をつけるから、仲良くしてくれ」
『よばれてとうじょう~、影兎だよ~』
俺の影からパッと現れた影兎に、カナが一瞬ビクッと震えた。
突然の登場ってビビるよな。俺はもうだいぶ慣れたけど。
「仲良くな?」
『もちろん、なかよくするよ~』
一応カナのために念押しすると、影兎がのほほんとした感じで頷く。
……影兎は気軽にとんでもないことをしでかすことがあるから、ちょっと不安だ。
でも、今手隙のもので、ダンジョン内のあらゆる場所を把握してるのは、影兎しかいないんだよな。
インクやアリーはすでに外への調査に出しているから頼れないし。
「頼んだぞ」
どうか影兎の自由さにカナが染まりませんように、と祈るしかない。
『ミーシャが思うに、影兎に影響されやすいのはコウだと思うにゃ』
「……確かに」
俺の護衛として付き添ってくれているミーシャがボソリと呟き、俺はそれに頷き返した。
影兎の自由さを学んだコウ……めちゃくちゃ想像が容易いな。
できれば、影兎タイプ二号は生まれないでほしいんだけど。
『キツネたち、いくよ~』
『どこに行くんや?』
『たのしいところ~』
『それがどこやねん』
家から出てきたコウに、影兎がぴょんぴょんと跳ねてご機嫌な感じで言う。
相変わらず、俺から仕事をもらうのが嬉しいようだ。
『影兎殿、再び世話になる』
『かたいな~。もっとやわらかく~。マッサージしようか~?』
口調の硬さって、マッサージでどうにかなるもんか? リラックスはするかもしれないが。
いや、影兎のマッサージはちょっと怖いな。逆に疲れそう。
『まっさーじ……それが何かは知らぬのだが、影兎殿の手を、これ以上煩わせるつもりはない』
『かたいってば~』
『むむっ……影兎、案内を、よろしく……』
ゆるゆるな態度の影兎と、基本的に硬い口調のスイは、あまり合わなそうだ。
でも、スイは優しいから、素直に口調を和らげようとがんばってる。
その調子で俺にも気軽に接してくれるといいんだけど、スイに無理はさせたくないし、今は言わないでおくか。
『……よろしく?』
『カナカナもよろしくね~』
『カナカナ?』
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カナカナ、と鳴き声のように繰り返す影兎に、カナが戸惑ってる。
まあ、影兎は基本的にノリとテンションで生きてるから、慣れてくれとしかアドバイスできない。
なにはともあれ、影兎とは仲良くなれそうでよかった。
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