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4-1.のんびりスローライフ?
147.追加方針決定です
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勇者アレックスの正体が俺の親友である可能性が高い以上、少しばかり方針を変える必要性があるだろう。
「──つーことで、俺はあいつと会って話すことを希望します!」
サトリによる映像を見終えた後で、説明をしてから俺がそう宣言すると、リルたちが『そっかー』と頷いた。
『マスターと仲がいい人なら、それがいいだろうねー。僕は付き添うけど』
『エンドも連れて行ってにゃ』
「警戒心が欠片も揺らいでないように見えるのはなんでだろうな???」
ちゃんと説明したのに、最初の方針と大して変わらない対応だぞ?
首を傾げる俺に、サクが苦笑しながら肩をすくめた。
『私たちにとっては、マスターがなによりも大切な存在ですから。念には念を入れて対応させてもらいたいですねー』
「……そうか。まぁ、リルたちの気持ちもわかるし、同席するのは構わない。ただし、以後、暗殺だなんだと言うのは禁止!」
とても心臓に悪いので!
その要望には、リルたちも否やがないようで、明確に敵対しない限りはもう倒そうとしないと誓ってくれた。
正直ホッとしたよ。
『ひとまず、トッシーが落ち込んでいるので、慰めていただけませんか?』
「えっ!?」
サクが困った様子で微笑みながら、影兎の集団を示す。
その中心にはズーンッと影を背負ったトッシーがいて、周りの影兎たちから慰められているようだ。
『ボク、マスターのともだちを、たおしちゃったぁ』
『しかたないよ~』
『いきてるんだし、もんだいないない』
『マスターはそんなことでおこらないよ~』
……影兎たちの慰め方、テキトーじゃない? 本気で慰めるつもりある?
のほほんとしてる影兎たちに苦笑しながら、俺はトッシーの頭に手を伸ばした。
ポンポン、と撫でてやると、ウルウルと潤んだ目が見上げてくる。
もふもふ可愛さの威力ハンパねぇ!
「ウッ……トッシー、気にするな。ほら、ゲームじゃ、死に戻りすることもしょっちゅうだったわけだし、アレックスはこのダンジョンをゲームみたいだって楽しんでたみたいだから、今回のことも大して気にしてないさ」
『……マスターもきにしない~?』
「しないしない。だから、トッシーも気にするな。お前はよくがんばったよ」
よしよし、と撫でてやると、『よかったぁ~!』と抱きついてきた。
ここぞとばかりに抱きしめて、もふもふを堪能する。最高の触り心地!
『マスターはその友だちから奪った素材でアイテムを作ってるし、気にするならそっちの方だと思うにゃ』
「うぎゃっ……気づかないフリしてたんだから、指摘するなよ、ミーシャ……」
冷静に言われて、今度は俺の方が落ち込んだ。
そうだよ。親友から剥ぎ取った素材で装備を作った鬼畜は俺ですぅう!
……この装備、このままつけてていいのか、真剣に悩む。今さら返すことはできないんだけど。
『そもそも、それって子猫化した勇者からとれたんですよね? 死に戻った勇者はどこか損なってるんですか?』
影兎たちから解放されていたインクが、よっこいしょっと身を起こしながら首を傾げて言う。
確かに、あの勇者由来素材、何からできてるのか謎だよな。
死に戻りの際に、負っていた傷は全快しているはずだけど──
『魔力が著しく減っていたようよ。休めば回復する程度だし、リーエンやドロンが失ったものと比べたら、何も奪われなかったに等しいから、不思議がっていたわ』
すかさずアリーが報告してくれて、心底ホッと安堵した。
よかったぁ。あれ、魔力が物質化した感じのものだったのか。
「とりあえず、リーエンとドロンから奪ったものは返却しよう。あいつの仲間だし、いいヤツらっぽいし」
大きな括りで言えば、リーエンとドロンも俺の味方と言えるはず。
それなら、戦力を削ぐような行動は慎むべきだよな。
『そうねぇ、二人とも随分と落ち込んでいたようだから、それもいいんじゃないかしら』
アリーが苦笑しながら言った。
きっと、二人の嘆きようは凄かったんだろうな。すごいアイテムだったし、気持ちはわかる。
『普通に返すのはつまらないよねー』
『アレックスは楽しいことが好きみたいだし、返すのも遊びに含めたいにゃ』
リルとミーシャの言葉に、ちょっと嫌な予感がした。
脳裏によぎるのは、自称勇者イサムの聖剣(笑)の現状だ。あれは今もダンジョン一階で、冒険者たちを引き寄せる役目を果たしてくれてる。
もちろん、イサムも日参してるぞ。返すつもりはないけどな! あの厨二剣は、外の世界にあったら害悪極まりないから!
「……ちなみに、どんな遊びを考えてるんだ?」
恐る恐るリルたちに問いかける。
リルは『うーん?』と首を傾げてから、何かを思いついた様子でパッと目を輝かせた。
『制限トラップ十連発! 連続クリアで装備奪還!』
「シンプルにえげつない」
一個の制限トラップさえ嫌がっていた二人の姿が思い浮かび、顔が引き攣った。
リルさんや、それ、返すつもりないって言ってないか?
『それなら、超人的身体能力なくしてクリアできない障害物いっぱいの空間を時間内にクリアしろ、っていうのはどうかにゃ?』
「それ、なんてSAS◯KE?」
絶対にクリアさせる気のない場所になりそう。
ただ、アレックス──歩夢は爆笑して楽しんでくれそうではある。ドロンも身体能力高いみたいだし、いけるかも?
リーエンは……絶望的だなぁ。
『だめなのー?』
『だめかにゃー?』
「うぁ……」
リルとミーシャのウルウル目攻撃はひどいと思うんだ!
もふもふ愛が極まってる俺が、これを退けられるとでも思ってるのか!?
「──いやっ、ダメだ! 新たなダンジョン案としてはいいけど、装備を返すのはもっと単純にしよう! ほら、友好的アピール、必要だろ!?」
なんとかもふもふの魅力を振り払った。
ちょっとミーシャ、『ちぇっ』と舌打ちしてるのはお行儀が悪いよ?
「──つーことで、俺はあいつと会って話すことを希望します!」
サトリによる映像を見終えた後で、説明をしてから俺がそう宣言すると、リルたちが『そっかー』と頷いた。
『マスターと仲がいい人なら、それがいいだろうねー。僕は付き添うけど』
『エンドも連れて行ってにゃ』
「警戒心が欠片も揺らいでないように見えるのはなんでだろうな???」
ちゃんと説明したのに、最初の方針と大して変わらない対応だぞ?
首を傾げる俺に、サクが苦笑しながら肩をすくめた。
『私たちにとっては、マスターがなによりも大切な存在ですから。念には念を入れて対応させてもらいたいですねー』
「……そうか。まぁ、リルたちの気持ちもわかるし、同席するのは構わない。ただし、以後、暗殺だなんだと言うのは禁止!」
とても心臓に悪いので!
その要望には、リルたちも否やがないようで、明確に敵対しない限りはもう倒そうとしないと誓ってくれた。
正直ホッとしたよ。
『ひとまず、トッシーが落ち込んでいるので、慰めていただけませんか?』
「えっ!?」
サクが困った様子で微笑みながら、影兎の集団を示す。
その中心にはズーンッと影を背負ったトッシーがいて、周りの影兎たちから慰められているようだ。
『ボク、マスターのともだちを、たおしちゃったぁ』
『しかたないよ~』
『いきてるんだし、もんだいないない』
『マスターはそんなことでおこらないよ~』
……影兎たちの慰め方、テキトーじゃない? 本気で慰めるつもりある?
のほほんとしてる影兎たちに苦笑しながら、俺はトッシーの頭に手を伸ばした。
ポンポン、と撫でてやると、ウルウルと潤んだ目が見上げてくる。
もふもふ可愛さの威力ハンパねぇ!
「ウッ……トッシー、気にするな。ほら、ゲームじゃ、死に戻りすることもしょっちゅうだったわけだし、アレックスはこのダンジョンをゲームみたいだって楽しんでたみたいだから、今回のことも大して気にしてないさ」
『……マスターもきにしない~?』
「しないしない。だから、トッシーも気にするな。お前はよくがんばったよ」
よしよし、と撫でてやると、『よかったぁ~!』と抱きついてきた。
ここぞとばかりに抱きしめて、もふもふを堪能する。最高の触り心地!
『マスターはその友だちから奪った素材でアイテムを作ってるし、気にするならそっちの方だと思うにゃ』
「うぎゃっ……気づかないフリしてたんだから、指摘するなよ、ミーシャ……」
冷静に言われて、今度は俺の方が落ち込んだ。
そうだよ。親友から剥ぎ取った素材で装備を作った鬼畜は俺ですぅう!
……この装備、このままつけてていいのか、真剣に悩む。今さら返すことはできないんだけど。
『そもそも、それって子猫化した勇者からとれたんですよね? 死に戻った勇者はどこか損なってるんですか?』
影兎たちから解放されていたインクが、よっこいしょっと身を起こしながら首を傾げて言う。
確かに、あの勇者由来素材、何からできてるのか謎だよな。
死に戻りの際に、負っていた傷は全快しているはずだけど──
『魔力が著しく減っていたようよ。休めば回復する程度だし、リーエンやドロンが失ったものと比べたら、何も奪われなかったに等しいから、不思議がっていたわ』
すかさずアリーが報告してくれて、心底ホッと安堵した。
よかったぁ。あれ、魔力が物質化した感じのものだったのか。
「とりあえず、リーエンとドロンから奪ったものは返却しよう。あいつの仲間だし、いいヤツらっぽいし」
大きな括りで言えば、リーエンとドロンも俺の味方と言えるはず。
それなら、戦力を削ぐような行動は慎むべきだよな。
『そうねぇ、二人とも随分と落ち込んでいたようだから、それもいいんじゃないかしら』
アリーが苦笑しながら言った。
きっと、二人の嘆きようは凄かったんだろうな。すごいアイテムだったし、気持ちはわかる。
『普通に返すのはつまらないよねー』
『アレックスは楽しいことが好きみたいだし、返すのも遊びに含めたいにゃ』
リルとミーシャの言葉に、ちょっと嫌な予感がした。
脳裏によぎるのは、自称勇者イサムの聖剣(笑)の現状だ。あれは今もダンジョン一階で、冒険者たちを引き寄せる役目を果たしてくれてる。
もちろん、イサムも日参してるぞ。返すつもりはないけどな! あの厨二剣は、外の世界にあったら害悪極まりないから!
「……ちなみに、どんな遊びを考えてるんだ?」
恐る恐るリルたちに問いかける。
リルは『うーん?』と首を傾げてから、何かを思いついた様子でパッと目を輝かせた。
『制限トラップ十連発! 連続クリアで装備奪還!』
「シンプルにえげつない」
一個の制限トラップさえ嫌がっていた二人の姿が思い浮かび、顔が引き攣った。
リルさんや、それ、返すつもりないって言ってないか?
『それなら、超人的身体能力なくしてクリアできない障害物いっぱいの空間を時間内にクリアしろ、っていうのはどうかにゃ?』
「それ、なんてSAS◯KE?」
絶対にクリアさせる気のない場所になりそう。
ただ、アレックス──歩夢は爆笑して楽しんでくれそうではある。ドロンも身体能力高いみたいだし、いけるかも?
リーエンは……絶望的だなぁ。
『だめなのー?』
『だめかにゃー?』
「うぁ……」
リルとミーシャのウルウル目攻撃はひどいと思うんだ!
もふもふ愛が極まってる俺が、これを退けられるとでも思ってるのか!?
「──いやっ、ダメだ! 新たなダンジョン案としてはいいけど、装備を返すのはもっと単純にしよう! ほら、友好的アピール、必要だろ!?」
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ちょっとミーシャ、『ちぇっ』と舌打ちしてるのはお行儀が悪いよ?
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