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「それでさ……高橋、聞いてる?」
「あ、悪い。通知来てて」
午後九時を回った頃、高橋と通話をしながらオンラインゲームで遊んでいた。一緒にゲームで遊ぶ友人は何人か居るけど、多分一番遊んでいる時間が長いのは高橋だろう。高橋は俺とさほど変わらないくらい日頃からゲームをしているようで、それでいて成績は芳しくないので親からいつも怒られているらしい。流石に勉強したら?と前に言ったら「お前とゲームする方が楽しいから」と言われた。そりゃあゲームする方が楽しいに決まってるだろ、という言葉は飲み込んだ。
「クエスト終わったし、なんかやることある?」
「……」
「高橋?」
「……有馬ってさ、昼どこで寝てんの?いつも気付いたら居なくなってるし」
今日はどうも高橋の様子がおかしいと思っていたけど、急に変なことを聞いてきた。
「……なんでそんなこと聞くの?」
「いや、ちょっと気になっただけだよ。他の奴らもさあ、本当は昼寝しないでどこかで勉強してるんじゃないかって」
「ちゃんと寝てるよ!まあ教えないけど」
「教えないのかよ」
なんて軽く返して二人でケラケラと笑った。色々あった後に昼寝の話をされると色々疑ってしまう。でも高橋はただ気になって聞いてきただけかもしれないし……。
「あとさ、お前よく三組の戸波と話してんじゃん。あいつと仲良いの?」
「え、絃星?うーん、絃星とは一年の時からの仲だしなあ」
高橋は話題を逸らすように、今度は絃星のことを聞いてきた。絃星はあまり大人数でワイワイするタイプではないし、友人が多いという訳でもないだろう。おまけにいかにも優等生な風貌だから話しかけにくく、実際どんな奴なのか知られていない。
「俺たまにあいつに睨まれるんだよな……」
「あ~絃星は睨んでるのがデフォルトだから大丈夫だよ」
「そうか……?俺に対しては特に眼光鋭いけど。嫌われてんのかと思った」
「あはは、高橋がバカだからじゃない?」
「何だよそれ!」
茶化したものの、絃星について聞かれるとは思わず少し動揺した。絃星が高橋のこと嫌いには見えないけどなあ……特に関わり無いし。
「とにかく、お前は気にしてないと思うけど……戸波にはちょっと気を付けた方が良いと思う」
「……?」
もしかしたら、俺の知らないところで二人の間に何かあったのかもしれない。ただ俺は聞くことができなかった。というか、聞いてはいけないような気がした。
「あ、悪い。通知来てて」
午後九時を回った頃、高橋と通話をしながらオンラインゲームで遊んでいた。一緒にゲームで遊ぶ友人は何人か居るけど、多分一番遊んでいる時間が長いのは高橋だろう。高橋は俺とさほど変わらないくらい日頃からゲームをしているようで、それでいて成績は芳しくないので親からいつも怒られているらしい。流石に勉強したら?と前に言ったら「お前とゲームする方が楽しいから」と言われた。そりゃあゲームする方が楽しいに決まってるだろ、という言葉は飲み込んだ。
「クエスト終わったし、なんかやることある?」
「……」
「高橋?」
「……有馬ってさ、昼どこで寝てんの?いつも気付いたら居なくなってるし」
今日はどうも高橋の様子がおかしいと思っていたけど、急に変なことを聞いてきた。
「……なんでそんなこと聞くの?」
「いや、ちょっと気になっただけだよ。他の奴らもさあ、本当は昼寝しないでどこかで勉強してるんじゃないかって」
「ちゃんと寝てるよ!まあ教えないけど」
「教えないのかよ」
なんて軽く返して二人でケラケラと笑った。色々あった後に昼寝の話をされると色々疑ってしまう。でも高橋はただ気になって聞いてきただけかもしれないし……。
「あとさ、お前よく三組の戸波と話してんじゃん。あいつと仲良いの?」
「え、絃星?うーん、絃星とは一年の時からの仲だしなあ」
高橋は話題を逸らすように、今度は絃星のことを聞いてきた。絃星はあまり大人数でワイワイするタイプではないし、友人が多いという訳でもないだろう。おまけにいかにも優等生な風貌だから話しかけにくく、実際どんな奴なのか知られていない。
「俺たまにあいつに睨まれるんだよな……」
「あ~絃星は睨んでるのがデフォルトだから大丈夫だよ」
「そうか……?俺に対しては特に眼光鋭いけど。嫌われてんのかと思った」
「あはは、高橋がバカだからじゃない?」
「何だよそれ!」
茶化したものの、絃星について聞かれるとは思わず少し動揺した。絃星が高橋のこと嫌いには見えないけどなあ……特に関わり無いし。
「とにかく、お前は気にしてないと思うけど……戸波にはちょっと気を付けた方が良いと思う」
「……?」
もしかしたら、俺の知らないところで二人の間に何かあったのかもしれない。ただ俺は聞くことができなかった。というか、聞いてはいけないような気がした。
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