[完結]砂塵の惑星

夏伐

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1オアシス

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 私は金属で出来た底板の隙間で眠りについていた。
 それが邪魔されたのは、何かの段差に躓いたのか急停止したのか分からないが、輸送船に何かがあった事だけが理解できる衝撃で、壁に頭を強く打ち付けたからだ。

「船長! 何があったんです?」

 私が操作ルームで舌打ちをしている男に声を掛けると、彼は子供のように喚きたてた。

「見ろよ、あれ!」

 彼の指の先を見ると、そこには一面の砂漠があった。そして遠くに緑が見える。幻覚でなければそれはオアシスであり、一つの国であった。

「あいつら、こっちに撃ってきやがった!」

「余裕がない国なら仕方ないじゃないですか?」

 見ると遠くに硝煙が見える。砂漠を移動する船車にはいくつかの種類がある。その中でも多いのは国を追われた難民が乗っているものや海賊などの無頼者集団だ。
 だからこそ、近づかれては困る場合はこうして遠くから射撃の的にされることも珍しくはない。

 ドッ

 轟音が聞こえ、私たちの船のすぐ横に着弾した。船よりも高く細かな砂が土煙と共に空に弾き上げられる。

「早く逃げましょう!」

「そうだな! こんな所で死にたかねぇ!」

 船長は船のハンドルを握りアクセルを踏み込む。
 そして前方にある国を迂回した。通り過ぎる寸前まで撃ってきた。あの国は外部からの立ち入りを一切許さないタイプの国だと思う。本当に船が壊れるのではないかとヒヤヒヤした。

 私は船が進む広大な砂の海を眺めながら、朝食をとることにした。普段は自動運転に任せているが、今はまだ進路の調整のために船長が運転している。

 暖かくサクサクとしたクロワッサン、二つに割るとバターの香りが部屋に広がる。そこにマーマレードジャムをペタリと乗せた。
 
 サクッと音がして、口いっぱいに甘酸っぱさとバターの香りが広がる。

 もぐもぐと味わい、それをコーヒーで胃に流し込んだ。一気に苦みと香りが口いっぱいに広がる。この部屋にコーヒーの香りを敷き詰めて、その中で甘いジャムを塗ったパンを食べる。

 この瞬間が、私が唯一気を抜ける時なのだ。

 こうしていると生きているって気がする。

 そんな優雅な食卓は、窓から見える爆撃と遠くの煙で飾られる。最近はどうにも余裕がない国が多い。
 そもそもこちらと通信デバイスの種類が違うのだ。言葉が違えば、意思の疎通が出来やしない。

 私たちがリビングと呼んでいる船室へ、船長がやってきた。頭をボリボリかきながら「いや~まいったまいった」と笑っている。

 船は今、自動操縦だ。
 緩やかに砂を書き分けて、次の国へ向かう。
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