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第10話 ダンジョンでトレジャーハント 前編
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ダンジョンが見つかったという場所に向かって歩くアスカ御一行。その唯一の道しるべはレンが貰った地図のみである。
「本当にこの道であってるのか?」
「地図にはそう描いているんですから信じてください」
そう言ってから5分後、本当にダンジョンに着いた。
「いや、そこは迷えよ」
「僕はそんなドジっ子キャラじゃないので無理ですね」
「作れ」
「それは無理です」
「……早く行かないの?」
「貴方はどうして着いてきたんですか!?」
「暇だったから……」
「えぇ……」
そんな会話をしながら、アスカ達はダンジョンの入口からダンジョン内部へと入る。入るとすぐに下層へと続く階段があった。勿論、降りる以外の選択肢はない。
「しっかし暗いな」
「ダンジョンだからね。暗くて当たり前よ」
階段を降りながらそんな会話をする。確かにこのダンジョンはギリギリ周りが見える程に暗い。
本来ならばダンジョンというものは松明などの明かりを所持して探索するものだ。しかしアスカ達の場合、ソニアを含めそんなことを誰一人として知らなかった為、今のような状況になってしまったという事だ。
「そうだ。確かレンの銃にライトついてたよな?」
「あ、はい。ならそれを──」
「ちょっと待って。何か聞こえない?」
ソニアの言葉に疑問を持ったアスカとレンは静かに耳を傾ける。すると、何やらザーっと言う音がこちらに向かってくる。しかも、単体ではなく複数体。
「この音は……」
「……ここだっ!」
アスカはその音が丁度自分達の目の前に来た瞬間にコンバットナイフでその音を発している何かを突き刺して動きを止める。これでしばらくは動けない。
「なんだこれ、ヒレか?」
アスカが突き刺したのは、まるで魚のヒレのようなものだった。
「ダンジョン……ヒレ……っ!」
何か考えていたソニアがハッと何かを思い出したかのような表情をする。
「アスカちゃん、今すぐそれから離れて!」
「ちゃん付けやめてください! それよりも大丈夫です。こいつの動きは止めてますから……って、何ィ!?」
アスカがソニアを一瞬見て、突き刺したヒレからほんの僅かな時間だけ目を離す。しかし、その一瞬目を離したのが仇となる。
「い、いない!? 確かにぐっと刺していたはず。それに、抜け出たというのなら何らかの衝撃を感じるはず……」
アスカが突き刺していたヒレは、まるで元々そこにいなかったかのように姿を消した。
アスカの力は性転換した影響で少々弱くなってしまったが、それでも1度突き刺した生き物を軽々しく逃してしまう程に弱くはない。それに、力づくだと感じるはずの衝撃が全くない所を見ると、何らかの工夫をして抜け出したという事だ。
「ダンジョンにいる地中を泳ぐ魚──アースフィッシュよ」
「なんてシンプルなお名前!」
「アースフィッシュの特徴は地中を泳ぐことと体が驚く程に切れること。なまくらの包丁なんかでも切ったことに気づかないくらいにスパッと切れるの。でも、魚雷フィッシュはそんなことでは死に至らない」
「じゃあ、俺が刺したそのアースフィッシュってやつはその特徴を使って抜け出たということですか」
「そうよ」
しかし、その特徴があるのならばら接近戦は無理だ。刺された時に痛みはあるだろうが、それは一瞬だけだ。継続して痛みを負わせるのは不可能に近い。
「だったらですよアスカさん」
何故かこの状況において、レンは自信満々である。
何かこのアースフィッシュを倒す策でもあるのだろうか。
「切る、じゃくて捻りとればいいんですよ」
「……なるほどな」
「僕のデュアルが火を吹くぜぇ!」
瞬間、レンはアースフィッシュにありったけの銃弾を浴びせる。
レンの言い分は、切ることに対して相性が悪いのならば回転しながら飛んでいく銃弾で捻りとるということだ。確かに効果的だ。
しかし、見える限りアースフィッシュの数は5匹を一気に仕留めるとなるとかなりの難易度になってくる。だが、アスカはレンなら心配ないと思っていた。
「撃つぜ撃つぜ撃つぜ!」
取り敢えず撃てばなんとかなるという完全なゴリ押し戦法のレンは、その大量の銃弾の中をアースフィッシュは避ける。しかし、大量だからこそ避けた先に銃弾が迫っていたなんてことは起こる。
「アンッ!! ドゥッ! トロワッ! キャトルッ!」
5匹のうち4匹のヒレに銃弾が命中する。命中した銃弾はアースフィッシュのヒレをグリっと捻りとり、その勢いでアースフィッシュを地中から地上へと吹き飛ばす。ほか3匹も同じようにヒレに穴が空いた状態で地上に横たわっている。
「そしてラストだ!」
最後の1匹を銃弾と銃弾をぶつけて跳弾させて当てるというもはや達人のような腕を見せる。命中した銃弾はアースフィッシュを他の4匹よりも高く吹き飛ばす。
「サンクユーってな」
これはフランス語の5を意味するcinqと英語のありがとうを意味するThank Youを掛けたものだろう。正直なところ、この状況においてはギャグ性よりもかっこよさがある。
「……どうでしたか!?」
「残り魔力は?」
「半分以下です!」
「マイナス50点。跳弾を使ったキルでプラス25点だ」
「75点!」
「何を勘違いしている。50点満点だから25点だ」
「ゲームじゃないのよ?」
アスカ達はピチピチと苦しむアースフィッシュにトドメを刺し、無事に討伐が完了した。素材になる皮などは剥ぎ取った後にダンジョンの奥に進む。
「お、宝箱」
「ちょっと待て」
進んだ先にあった小部屋に宝箱がポツンと1つだけあった。その部屋にレンが入ろうとした所をアスカが静止する。そして、先程手に入れたアースフィッシュの素材を部屋の中にポイッと投げ入れ、部屋の宝箱前の床に落ちた。
「重量トラップはなし、と」
「そこまで心配することですか?」
「そうやって宝箱開けた瞬間にミミックだったなんてことは某RPGゲームで何度もあったんだよ」
「うっ、嫌なこと思い出させないでくださいよ」
素材を投げ入れてから約1分、何も起こらない。どうやらこの宝箱はトラップではないらしい。それが判明するとアスカ達は宝箱の前に移動する。
アスカはこの時にちゃんと素材を拾った。
「よし、開けるぞ」
アスカはゆっくりと宝箱を開ける。そして、その中に入っていたのは──
「ガラクタだな」
「ガラクタね」
「ガラクタですね」
パッと見完全にガラクタなものであった。見た目からして古代武器だとも思えない。これはダンジョンのトレジャーの類に入る物だろう。
「でも、物は見かけによらないって言うしね」
「レン、宝ならやる。こっちは古代武器探しが優先だからな」
「私も今回のはパスするわ」
「それじゃあ、僕がありがたく貰っておきますね」
そう言ってレンはガラクタに見えるお宝を回収する。回収が済むとこの部屋に来た道とは違う道を進んでいく。すると、下層へと続く階段を発見した。
やり残したことはないかを確認するが、魔獣討伐と宝箱を開けること以外特に何もしていない層なので、特に何も考えずに階段を降りるアスカ達であった。
「本当にこの道であってるのか?」
「地図にはそう描いているんですから信じてください」
そう言ってから5分後、本当にダンジョンに着いた。
「いや、そこは迷えよ」
「僕はそんなドジっ子キャラじゃないので無理ですね」
「作れ」
「それは無理です」
「……早く行かないの?」
「貴方はどうして着いてきたんですか!?」
「暇だったから……」
「えぇ……」
そんな会話をしながら、アスカ達はダンジョンの入口からダンジョン内部へと入る。入るとすぐに下層へと続く階段があった。勿論、降りる以外の選択肢はない。
「しっかし暗いな」
「ダンジョンだからね。暗くて当たり前よ」
階段を降りながらそんな会話をする。確かにこのダンジョンはギリギリ周りが見える程に暗い。
本来ならばダンジョンというものは松明などの明かりを所持して探索するものだ。しかしアスカ達の場合、ソニアを含めそんなことを誰一人として知らなかった為、今のような状況になってしまったという事だ。
「そうだ。確かレンの銃にライトついてたよな?」
「あ、はい。ならそれを──」
「ちょっと待って。何か聞こえない?」
ソニアの言葉に疑問を持ったアスカとレンは静かに耳を傾ける。すると、何やらザーっと言う音がこちらに向かってくる。しかも、単体ではなく複数体。
「この音は……」
「……ここだっ!」
アスカはその音が丁度自分達の目の前に来た瞬間にコンバットナイフでその音を発している何かを突き刺して動きを止める。これでしばらくは動けない。
「なんだこれ、ヒレか?」
アスカが突き刺したのは、まるで魚のヒレのようなものだった。
「ダンジョン……ヒレ……っ!」
何か考えていたソニアがハッと何かを思い出したかのような表情をする。
「アスカちゃん、今すぐそれから離れて!」
「ちゃん付けやめてください! それよりも大丈夫です。こいつの動きは止めてますから……って、何ィ!?」
アスカがソニアを一瞬見て、突き刺したヒレからほんの僅かな時間だけ目を離す。しかし、その一瞬目を離したのが仇となる。
「い、いない!? 確かにぐっと刺していたはず。それに、抜け出たというのなら何らかの衝撃を感じるはず……」
アスカが突き刺していたヒレは、まるで元々そこにいなかったかのように姿を消した。
アスカの力は性転換した影響で少々弱くなってしまったが、それでも1度突き刺した生き物を軽々しく逃してしまう程に弱くはない。それに、力づくだと感じるはずの衝撃が全くない所を見ると、何らかの工夫をして抜け出したという事だ。
「ダンジョンにいる地中を泳ぐ魚──アースフィッシュよ」
「なんてシンプルなお名前!」
「アースフィッシュの特徴は地中を泳ぐことと体が驚く程に切れること。なまくらの包丁なんかでも切ったことに気づかないくらいにスパッと切れるの。でも、魚雷フィッシュはそんなことでは死に至らない」
「じゃあ、俺が刺したそのアースフィッシュってやつはその特徴を使って抜け出たということですか」
「そうよ」
しかし、その特徴があるのならばら接近戦は無理だ。刺された時に痛みはあるだろうが、それは一瞬だけだ。継続して痛みを負わせるのは不可能に近い。
「だったらですよアスカさん」
何故かこの状況において、レンは自信満々である。
何かこのアースフィッシュを倒す策でもあるのだろうか。
「切る、じゃくて捻りとればいいんですよ」
「……なるほどな」
「僕のデュアルが火を吹くぜぇ!」
瞬間、レンはアースフィッシュにありったけの銃弾を浴びせる。
レンの言い分は、切ることに対して相性が悪いのならば回転しながら飛んでいく銃弾で捻りとるということだ。確かに効果的だ。
しかし、見える限りアースフィッシュの数は5匹を一気に仕留めるとなるとかなりの難易度になってくる。だが、アスカはレンなら心配ないと思っていた。
「撃つぜ撃つぜ撃つぜ!」
取り敢えず撃てばなんとかなるという完全なゴリ押し戦法のレンは、その大量の銃弾の中をアースフィッシュは避ける。しかし、大量だからこそ避けた先に銃弾が迫っていたなんてことは起こる。
「アンッ!! ドゥッ! トロワッ! キャトルッ!」
5匹のうち4匹のヒレに銃弾が命中する。命中した銃弾はアースフィッシュのヒレをグリっと捻りとり、その勢いでアースフィッシュを地中から地上へと吹き飛ばす。ほか3匹も同じようにヒレに穴が空いた状態で地上に横たわっている。
「そしてラストだ!」
最後の1匹を銃弾と銃弾をぶつけて跳弾させて当てるというもはや達人のような腕を見せる。命中した銃弾はアースフィッシュを他の4匹よりも高く吹き飛ばす。
「サンクユーってな」
これはフランス語の5を意味するcinqと英語のありがとうを意味するThank Youを掛けたものだろう。正直なところ、この状況においてはギャグ性よりもかっこよさがある。
「……どうでしたか!?」
「残り魔力は?」
「半分以下です!」
「マイナス50点。跳弾を使ったキルでプラス25点だ」
「75点!」
「何を勘違いしている。50点満点だから25点だ」
「ゲームじゃないのよ?」
アスカ達はピチピチと苦しむアースフィッシュにトドメを刺し、無事に討伐が完了した。素材になる皮などは剥ぎ取った後にダンジョンの奥に進む。
「お、宝箱」
「ちょっと待て」
進んだ先にあった小部屋に宝箱がポツンと1つだけあった。その部屋にレンが入ろうとした所をアスカが静止する。そして、先程手に入れたアースフィッシュの素材を部屋の中にポイッと投げ入れ、部屋の宝箱前の床に落ちた。
「重量トラップはなし、と」
「そこまで心配することですか?」
「そうやって宝箱開けた瞬間にミミックだったなんてことは某RPGゲームで何度もあったんだよ」
「うっ、嫌なこと思い出させないでくださいよ」
素材を投げ入れてから約1分、何も起こらない。どうやらこの宝箱はトラップではないらしい。それが判明するとアスカ達は宝箱の前に移動する。
アスカはこの時にちゃんと素材を拾った。
「よし、開けるぞ」
アスカはゆっくりと宝箱を開ける。そして、その中に入っていたのは──
「ガラクタだな」
「ガラクタね」
「ガラクタですね」
パッと見完全にガラクタなものであった。見た目からして古代武器だとも思えない。これはダンジョンのトレジャーの類に入る物だろう。
「でも、物は見かけによらないって言うしね」
「レン、宝ならやる。こっちは古代武器探しが優先だからな」
「私も今回のはパスするわ」
「それじゃあ、僕がありがたく貰っておきますね」
そう言ってレンはガラクタに見えるお宝を回収する。回収が済むとこの部屋に来た道とは違う道を進んでいく。すると、下層へと続く階段を発見した。
やり残したことはないかを確認するが、魔獣討伐と宝箱を開けること以外特に何もしていない層なので、特に何も考えずに階段を降りるアスカ達であった。
応援ありがとうございます!
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