自転車

自転車

僕はこいつがとにかく大好きだ。


何がって？
やっぱり僕のことを一番知っていて、一番に大好きでいてくれてるからさ。

親友っていうやつだな。


今日はそんな僕たちの話を少しだけしたいと思う。

僕たちの出会いは、2年前。

あれはよく晴れた日で夏休みというのもあってか、
お店にはたくさんの人で賑わっていた。


こいつを見つけるのは簡単だった。

だってお店のど真ん中に偉そうに、ドンといるんだから。

そりゃもう目立ってたさ。
それは夏休みの間ずっとだった。

その頃の僕には友達は一人もいなかった。
一緒に色んな場所に出かけたり、ゲームしたり、そんな普通なことがしたかった。

まあ、でも一人も嫌いじゃないんだ。

面白そうな人がいたらじっと見ていたり。人間観察というやつだね！


これは勉強にもなるんだ。だから今は一人でもいいと思ってるんだけどね。

そんな僕には立派な夢があるんだ。


それはね世界一周！


この足を使ってね！


だから一人でいることも大切な訓練の一つ！でも感動をもっともっと大きな感動にするにはやはり最高のパートナーが必要なんだ。

だって共有できてこそ喜びも大きいものだ。
僕はそのパートナーをしっかりと選んでいる段階なんだ。



そしてその日はやってきた。

いつもはただただそこに居ただけの君が、僕に手を差し伸べたんだ。


そして僕の手をぐっとつかんで、一つ頷くと風邪を切って走り出した。

今でもその感動は覚えているよ。


一歩夢に近づいた気がしたんだ。


嬉しくて嬉しくてどこまでも行ける気がした。

そのときわかったんだよ。

こいつが僕のパートナーになる人だって！


そして一人じゃどこへも行けないってことも知ったんだ。


さぁ今日も出かけよう！



そう言って親友をしっかり乗せると、全速力で駆け出していった。