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世界を救う夢。
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「なぁ、キキョウ。もし異能持ってなかったら何してたと思う?」
「さぁな。元から持ってるんだから想像出来ねぇ」
「超リアリスト。分かってたけどさ。じゃあ、ナノは?」
「んー、どうかな。特に今と変わらなそうじゃん?更に楽観的に生きてたかもしれないけど。そういうベニはどうなの?異能なんかなくても世界救うって騒いでるわけ?」
「多分!そうじゃなきゃ俺じゃないし!」
目をキラキラと輝かせて断言する俺にキキョウとナノは呆れているようだった。
「何だよ。いいじゃん。夢見るのは自由だろ?」
「ベニはそういうとこが可愛いと思うよ、昔から」
なでなでと俺の頭を撫でるナノの手を振り払う。
「子供扱いすんな!」
俺とキキョウとナノは幼なじみだ。
昔から一緒にいて、苦楽を共にしてきた。
苦しい時、辛い時、悲しい時、2人がいてくれたから助かったと思うこともあった。
大袈裟でなく、本気で。
異能持ちなら誰でも経験してきたであろう苦労。
異能者が集う学校であるここ「私立一楠異能学園」に入るまではむしろ苦労しかなかった。
「人間じゃない」と侮蔑されるのは日常茶飯事。
何もしなくても怯えられるのもいつものこと。
そのくせ何かあると真っ先に頼ってくる異能なし人間には苛立ちを覚える異能者も少なくなかった。
けれど俺は幸福だった。
偶然周りに異能者であるキキョウとナノがいたからだ。
子供の頃は異能を制御することが難しい。
遊んでいるだけで異能を使ってしまうことがあって、そのおかげで俺たちは互いに異能者だと知ることが出来たのだった。
苦労しているのは3人共同じ。
それならば3人でいようと考えるのは自然な流れだったように思う。
だから俺たちは恵まれていた。
小学校も中学校も傷付くことなく過ごせたのは3人でいたからだ。
そして中学2年の時に1番真面目なキキョウが見つけてきた広告。
『異能者、大歓迎!異能者育成します。 私立一楠異能学園』
自分たちが独学で異能を使っていることに不安を覚え始めた俺たちにはピッタリの広告だった。
「行くか」
「それしかないでしょ」
「絶対行く!」
その日から俺たちの目指す場所が決まった。
やっと自分たちの居場所が見つかった気がして嬉しかったことを今でも覚えている。
試験当日は何も勉強せずに向かった。
見られるのは異能だけだ。練習も何もいらない。
俺もキキョウもナノも難なく合格し、晴れて異能者が集う「私立一楠異能学園」に入学したのだった。
それから半年が経つ。季節は秋になり、こうして屋上で昼ご飯を食べるのも寒くなってきた。
「ベニって小さいからどうしても子供だと思っちゃう」
「思いっきり失礼なこと言ってる自覚ある?」
不機嫌な顔を隠さない俺にナノはヘラヘラと笑った。
「ごめんね。それだけベニが可愛いってこと。許して?」
「はいはい。次から気を付けろよ」
「ありがと、ベニ」
パチッとウインクするナノはモデル顔負けの体型だ。
180センチは優に超える身長を持ち、細身で手足は長く、甘い声に加えて当然顔もいい。ブロンドのような黄色の髪とオレンジ色の瞳のおかげで一際目立つ。
軽薄な雰囲気ではあるけれど、頭が良い所も人気の1つだった。
何せ中学の時からずっと学年1位の成績を修めているのだ。
人気が出ない訳がない。むしろ人気にならない理由がない。
対する俺はやっと170センチを越えたぐらいで、気付いたら10センチ以上の身長差が出来ていた。
頭は普通、性格も普通。くしゃっとした赤髪のクセ毛とピンク色の瞳の所為で「可愛い」と言われることが多くなってしまった。
俺が誇れることは夢の大きさぐらいだった。
キキョウはキキョウでナノよりも更に背が高い。
クールな雰囲気は冷たく感じることもあるが、真面目で実直な性格故に信頼出来る人間として立場を確立していた。
三者三様と言える俺たちだが、今も昔と変わらず仲が良い。
異能学園に入って沢山の異能者に出会い、友人も増えたけれど3人でいるのが日常だった。
パクッとサンドイッチを食べ終えた俺は新しいパンの袋を開けた。
「よく食うな」
「腹減るんだよ。てかキキョウが食わな過ぎなんだって」
「わかる。キキョウって本当少食だよね。もっと食べなよ」
「必要な分は食ってるから大丈夫だ」
おにぎり1個で満足したらしいキキョウはゴロリと転がり、すぐに目を閉じた。
なるべく目を使いたくないのだろう。
青髪にスカイブルーの瞳を持つキキョウの異能は「直感」。
目に見えないものを見ることが出来る異能だ。
霊的な物や精霊等は勿論、他者の過去や起こりうる未来も見ることが出来るという。
子供の頃は「未来が分かるなんて便利だな」と本気で思っていたけれど、キキョウと付き合うにつれてその苦労が分かってきた。
見える未来が幸福な物であるとは限らないのだ。
ただでさえ嫌でも霊や妖など人ならざるモノに出会ってしまうのに、他人の不幸な未来など心の負担にしかならない。
一楠異能学園の制服に異能抑制効果があったことはキキョウにとって幸運だっただろう。
この校章さえあれば異能をコントロール出来る。
見たくないものが目に触れる機会は格段に減ったはずだ。
「キキョウ、疲れてんの?何か見ちまったとか?」
「まぁな。制服着てねぇとやっぱりコントロールすんの難しい。幽霊は場所を選ばねぇからな」
「幽霊?ここんとこ会わずに済んでるって言ってなかったっけ?」
「部屋着着てる時に寮で会った。話聞くつもりなかったけど自分語り激しい奴でな。陰鬱な話聞かされた挙句助けろってうるせぇの」
目を瞑ったままのキキョウは「はあ」と大きな溜息をついた。
「どんな案件?俺ら役に立てるなら言ってよ」
ナノの言葉にキキョウは「んー」と考える素振りを見せた。
真面目なキキョウはあまり人を頼ろうとしない。
できる限り自分一人で済ませようとする。
「言えよ、キキョウ。俺もナノもキキョウの為なら喜んで異能使うぜ?」
「ま、お前らならそう言うと思ってた。大したことねぇんだけどどうしたら良いか分からなくてな……あの寮を出たいんだとよ、その幽霊は」
「は?出たい?勝手に出ればいいじゃん」
「この辺りには沢山の結界が張られてるって習ったでしょ、ベニ」
ナノに憐れむように見られ、むぅと口を尖らせる。
頭が良いナノと違って俺はどうでも良いことはすぐ忘れるのだ。
この辺りに結界が張られていることなど習った拍子に忘れた。
「つまり結界をひとつ解いて欲しいってこと?それなら俺の異能が使えなくないかもね。極限まで聴覚と視覚高めれば結界の様子と場所が分かるだろうし」
「確かにな。ナノなら出来るかもしれねぇ」
ナノの異能は「強化」だ。
身体能力と五感を自由に強化することが出来る。
8つの異能の中でも便利だと思われやすい異能だが、実の所そうでもない。
制服を着た今となってはナノも能力を上手くコントロールしているが、子供の頃は大変だった。
鉄棒に力を入れればぶっ壊し、体力測定をすれば世界記録を軽く更新してしまう。
無意識に味覚を強化して辛すぎる物も難なく食べてしまい、後に口の中が爛れて大泣きした逸話もある。
数え出したらキリがないが、ナノは大きくなるにつれて自身の能力を理解し、少しずつコントロールするようになっていった。
「ただ、結界の位置が分かって見えた所で俺の力じゃ破壊出来ないかもしれないけど。身体能力上げてパンチ力強化しても結界なんて壊れないでしょ?」
「あ!そこで俺の出番じゃん!?火でも水でも風でもぶつけてやるって!」
俺が前のめりになって言うと2人は少し考えた後、頷いた。
「ベニの力は無限だしな」
「その通り!そういうのは俺に任せろって!」
俺の異能は「自然」。つまり自然界の物を操ることが出来る。
一見地味で扱いにくいと思われるかもしれないが「ここ」に「それ」があれば俺は自由に使うことが出来る。
例えばライターから出た火でも、プールに貯められた水でも。
とはいえ俺も異能を抑制する制服がなければまだ不安定だ。
それこそ子供の頃は不用意に水を使い風を使い──周囲から多大に恐れられてきた。
異能を持たない者からすれば俺の存在も台風も何も変わらない。
厄介な風害を起こす存在だと言われたこともあった。
けれど俺は子供の頃から「世界を救う」のが夢だった。
疎まれようが怖がられようがこの力で世界を救うと決めていた。
「真人間の為にそこまでするか?」とキキョウには呆れられたけれど、決してバカにしてくることはなかった。
それどころか何だかんだで結局キキョウもナノも俺の味方をしてくれているのだから、世界を救っているのは俺1人じゃないと思う。
今だって「五月蝿いから」という理由とはいえキキョウは幽霊を救おうとしている。
「世界を救う」ということはつまりこういうことなのだと俺は思っていた。
「よし、決まりね。じゃあ今夜22時に寮で集まろう。流れとしてはキキョウが幽霊を呼び出して、俺が結界を見つけ出して、ベニが破壊するってことでOK?」
「OK!任せろよ!沢山飯食って駆け付けるからな」
「ベニ、寝るなよ?」
「だからキキョウも子供扱いすんな!」
叫ぶ俺に2人は笑っていた。
下らないことでも笑い合える存在──2人がいてくれて良かったと思う、本気で。
22時、キキョウの部屋に集まった俺たちはヒソヒソと話していた。
「え?ここに幽霊がいんの?どんな感じ?可愛い?キモイ?」
不自然に空いた空間にヒラヒラと手を振る。
「丸っこい。可愛い方だと思う。ベニがキモイって言ったことにかなりキレてる」
「ひっ!?ごめんなさい……」
見えない存在に向かって頭を下げる。
集まった俺たちの格好は部屋着という名のジャージだった。
異能をフルで使いたい時には制服はむしろ邪魔になるからだ。
自分たちの髪色に合わせた訳ではないがキキョウは青色、ナノは黄色のジャージで、俺も勿論赤色のジャージを着ていた。
3人共髪色がそのまま好きな色になったのは単純かもしれないが、分かりやすくもあった。
ともあれジャージ姿で集まり、すぐにキキョウが件の幽霊を呼び出してきた。
不自然に空いた空間にその丸っこくて可愛い幽霊がいるらしい。
「甲高い声で頭痛がするぜ。とにかくここから出たいの一点張りだ」
「ちなみにここから出たら巨大化して最強ボスになったりとかしない?」
ナノの疑問は最もだ。結界があるから萎縮しているだけで外に出たら暴走する可能性は大いにある。
「ない。それは断言出来る。散々見て話してコイツがどんな奴か分かってる。俺の異能を信じてくれ」
「それならいいよ。勿論キキョウの異能の力は分かってるし、信用してる。早速やろうか」
立ち上がったナノはキキョウの部屋を出てすぐ瞳を光らせた。それからすぐに両耳も光を放ち始める。
ナノの異能は分かりやすい。
視力と聴力の感覚を最大限に研ぎ澄ませ、結界を探しているのだろう。
そのまま歩き出したナノの後ろについて行く。
向かった先は寮の奥。誰も寄り付かないような場所だった。
夜中ということもあり鬱蒼と生え茂っている木々がますます恐怖心を増させる。
思わず俺はキキョウの腕にしがみついた。
「怖がり過ぎだろ、ベニ」
「別に怖いわけじゃなくてこの方が効率が良いからだよ」
「効率?どういう意味だ?」
真面目に聞き返してきたキキョウの言葉をスルーする。真面目なキキョウは意味が分かるまで問い詰めてくるタイプだが、勿論今の言葉に意味などない。
誤魔化すようにナノの後ろ姿を見つめる。
何かに取り憑かれたかのように歩いていくナノ。
やがてガシャンと大きい音がし、フェンスにぶつかったのだと分かる。
「ナノ!!」
駆け寄るとナノは「大丈夫」と言ってからフェンスの先に指を向けた。
「あそこ……見える?」
「箱がある」
「見えるなら大丈夫。任せたよ、ベニ」
微笑んだナノはそれだけ残し、前のめりに倒れた。
「ナノっ!」
咄嗟に身体を支える。すぐにキキョウがナノを持ち上げた。
「コイツがこんなに疲弊するなんて珍しい」
「あの箱、俺にも見えるようにしてくれたんだ。その所為だと思う」
「箱?ああ、あれか……成程」
キキョウは俺の目を見て納得したようだった。
自分では分からないが、きっと俺の瞳もナノと同じように光っているのだろう。
つまりナノは自身の五感強化と共に俺の視覚も強化してくれたのだ。
異能は自分の為に使うだけでも疲弊するが、他者に貸すとなると更に力を使う。
そうまでしてナノが俺に託してくれたのだ。
この機会は絶対無駄に出来ない。
幸い風も強い。
「これなら──行ける」
ポケットからライターを取り出し、火を付ける。
小さく灯った火は強風に煽られ不安定になっていた。
そこに指先を近付ける。俺の指に火が移った瞬間、大きな炎へと変化した。
指先に燃え盛る炎をフェンスに近付け、網を焼き切った。異能を使った炎は俺が思い描いた部分だけを焦がす。余計な所まで燃え広がることはない。
手を入れられるぐらいの大きさだけを燃やし、箱に炎を近付ける。
強風を更に強い風に変え、炎と風で焼き尽くす──つもりだった。
「!?」
風を纏った炎に包まれても箱はビクともしなかった。
確実にダメージを与えている感覚はある。
それなのに、何故?
「キキョウ!何かあんのか!?」
振り返らず大声で聞くとキキョウは「待ってろ!」とナノを抱えたまま答えた。
俺の異能が物体に効かないわけがない。効かないとしたらその周りに何か見えない力が働いているとしか考えられない。
そして見えない力と言えば──キキョウの出番だ。
「ある。ベニ、俺の指示通りに動いてくれ」
「分かった!」
「炎をそのまま左にスライドさせて、1回離してくれ。そう、それから風を更に強めれば飛んでいく」
言われるがままに炎と風を操る。
「よし、それでいい。余計な物は吹っ飛んだ。あとは燃やし尽くしてくれ」
「OK!」
今度こそ最大火力を箱にぶつける。
何の変哲もない箱は一瞬で燃え尽きた。
「っと……これでいいのかな?」
「ああ。聞いてみる。……大丈夫だそうだ。帰るって」
「帰るって、何処に?」
「さぁな。こいつにも本来の居場所があるんじゃねぇの?」
キキョウが軽く上を向く。
俺には見えないがそこに件の幽霊がいるのだろう。
「じゃ、俺達も戻るぞ。ナノは医務室がいいか」
「ん、部屋で大丈夫だよ。ありがとう、キキョウ」
目を覚ましていたらしいナノが答える。
俺を見て笑った。
「良かった、上手くいって。ベニもありがとう」
「ナノのおかげだって!早く戻ろうぜ」
長居は無用だと俺たちはそそくさとキキョウの部屋へ戻った。
「これで一件落着だな。キキョウの悩みも晴れて良かったよ」
キキョウの部屋の床に転がった俺はバタバタと足をばたつかせて言った。
「2人ともありがとな。あの幽霊はこの辺を彷徨ってる時にトラップに掛かったらしい」
「ピンポイントでその幽霊が狙われたっていうよりは幽霊全体に仕掛けられたトラップだったってことだよね?」
ベッドに転がるナノの言葉にキキョウが頷く。
「そうみたいだな。あの箱ってやつを見た時、幽霊は酷く怯えていた。相当な力が入ってたんだろうな」
「でも何でそんなことするんだ?幽霊消したい奴でもいんの?」
「あの箱はかなり古い物だった。一楠異能学園が建つ前からずっとあったんだと思う。つまり学校とは関係なくその幽霊はこの場所に縛り付けられてたんだよ。大昔のことまで分からないけど、今よりももっと幽霊に対して怯えていたんじゃないかな。除霊やガードの意味で箱を設置したのかもしれない」
ナノの説明にキキョウはこくりと頷いた。
「ナノの考えが正解だろうな。きっとそういうことだ」
完結したかのように頷く2人。
正直俺は半分ぐらいしか分かっていなかったが、分かったフリをして頷いておいた。
「ま、何にしても上手くいって良かった!やっぱり俺たち3人でいれば世界救えるよな!」
ニカッと笑って言うと2人はやれやれというような顔をした。
見慣れた2人の顔。
けれど心の中では俺の夢を応援してくれていると知っている。
「それよりベニ、明日も学校だよ?宿題やったの?」
「えっ、いや……」
「世界救う前に宿題ぐらいちゃんとやれよ」
「うっ、まぁ……」
ナノとキキョウに責められ、俺は傍にあったクッションに突っ伏した。
「お、おやすみなさい!宿題は明日の朝やる!」
「ベニ、逃げたね」
「そうだな。完全に逃げた」
2人の声が届かなかったフリをして眠った。
明日もきっと騒々しい1日になるだろう。
一楠異能学園は毎日が忙しい学校だ。
けれど世界を救いたい俺にとってはちょうど良い。
小さな悩みも大きな事件もひとつずつ解決していくことが世界を救うことに繋がると信じているから。
何より昔から変わらず2人と一緒にいられるのだから──最高。
「さぁな。元から持ってるんだから想像出来ねぇ」
「超リアリスト。分かってたけどさ。じゃあ、ナノは?」
「んー、どうかな。特に今と変わらなそうじゃん?更に楽観的に生きてたかもしれないけど。そういうベニはどうなの?異能なんかなくても世界救うって騒いでるわけ?」
「多分!そうじゃなきゃ俺じゃないし!」
目をキラキラと輝かせて断言する俺にキキョウとナノは呆れているようだった。
「何だよ。いいじゃん。夢見るのは自由だろ?」
「ベニはそういうとこが可愛いと思うよ、昔から」
なでなでと俺の頭を撫でるナノの手を振り払う。
「子供扱いすんな!」
俺とキキョウとナノは幼なじみだ。
昔から一緒にいて、苦楽を共にしてきた。
苦しい時、辛い時、悲しい時、2人がいてくれたから助かったと思うこともあった。
大袈裟でなく、本気で。
異能持ちなら誰でも経験してきたであろう苦労。
異能者が集う学校であるここ「私立一楠異能学園」に入るまではむしろ苦労しかなかった。
「人間じゃない」と侮蔑されるのは日常茶飯事。
何もしなくても怯えられるのもいつものこと。
そのくせ何かあると真っ先に頼ってくる異能なし人間には苛立ちを覚える異能者も少なくなかった。
けれど俺は幸福だった。
偶然周りに異能者であるキキョウとナノがいたからだ。
子供の頃は異能を制御することが難しい。
遊んでいるだけで異能を使ってしまうことがあって、そのおかげで俺たちは互いに異能者だと知ることが出来たのだった。
苦労しているのは3人共同じ。
それならば3人でいようと考えるのは自然な流れだったように思う。
だから俺たちは恵まれていた。
小学校も中学校も傷付くことなく過ごせたのは3人でいたからだ。
そして中学2年の時に1番真面目なキキョウが見つけてきた広告。
『異能者、大歓迎!異能者育成します。 私立一楠異能学園』
自分たちが独学で異能を使っていることに不安を覚え始めた俺たちにはピッタリの広告だった。
「行くか」
「それしかないでしょ」
「絶対行く!」
その日から俺たちの目指す場所が決まった。
やっと自分たちの居場所が見つかった気がして嬉しかったことを今でも覚えている。
試験当日は何も勉強せずに向かった。
見られるのは異能だけだ。練習も何もいらない。
俺もキキョウもナノも難なく合格し、晴れて異能者が集う「私立一楠異能学園」に入学したのだった。
それから半年が経つ。季節は秋になり、こうして屋上で昼ご飯を食べるのも寒くなってきた。
「ベニって小さいからどうしても子供だと思っちゃう」
「思いっきり失礼なこと言ってる自覚ある?」
不機嫌な顔を隠さない俺にナノはヘラヘラと笑った。
「ごめんね。それだけベニが可愛いってこと。許して?」
「はいはい。次から気を付けろよ」
「ありがと、ベニ」
パチッとウインクするナノはモデル顔負けの体型だ。
180センチは優に超える身長を持ち、細身で手足は長く、甘い声に加えて当然顔もいい。ブロンドのような黄色の髪とオレンジ色の瞳のおかげで一際目立つ。
軽薄な雰囲気ではあるけれど、頭が良い所も人気の1つだった。
何せ中学の時からずっと学年1位の成績を修めているのだ。
人気が出ない訳がない。むしろ人気にならない理由がない。
対する俺はやっと170センチを越えたぐらいで、気付いたら10センチ以上の身長差が出来ていた。
頭は普通、性格も普通。くしゃっとした赤髪のクセ毛とピンク色の瞳の所為で「可愛い」と言われることが多くなってしまった。
俺が誇れることは夢の大きさぐらいだった。
キキョウはキキョウでナノよりも更に背が高い。
クールな雰囲気は冷たく感じることもあるが、真面目で実直な性格故に信頼出来る人間として立場を確立していた。
三者三様と言える俺たちだが、今も昔と変わらず仲が良い。
異能学園に入って沢山の異能者に出会い、友人も増えたけれど3人でいるのが日常だった。
パクッとサンドイッチを食べ終えた俺は新しいパンの袋を開けた。
「よく食うな」
「腹減るんだよ。てかキキョウが食わな過ぎなんだって」
「わかる。キキョウって本当少食だよね。もっと食べなよ」
「必要な分は食ってるから大丈夫だ」
おにぎり1個で満足したらしいキキョウはゴロリと転がり、すぐに目を閉じた。
なるべく目を使いたくないのだろう。
青髪にスカイブルーの瞳を持つキキョウの異能は「直感」。
目に見えないものを見ることが出来る異能だ。
霊的な物や精霊等は勿論、他者の過去や起こりうる未来も見ることが出来るという。
子供の頃は「未来が分かるなんて便利だな」と本気で思っていたけれど、キキョウと付き合うにつれてその苦労が分かってきた。
見える未来が幸福な物であるとは限らないのだ。
ただでさえ嫌でも霊や妖など人ならざるモノに出会ってしまうのに、他人の不幸な未来など心の負担にしかならない。
一楠異能学園の制服に異能抑制効果があったことはキキョウにとって幸運だっただろう。
この校章さえあれば異能をコントロール出来る。
見たくないものが目に触れる機会は格段に減ったはずだ。
「キキョウ、疲れてんの?何か見ちまったとか?」
「まぁな。制服着てねぇとやっぱりコントロールすんの難しい。幽霊は場所を選ばねぇからな」
「幽霊?ここんとこ会わずに済んでるって言ってなかったっけ?」
「部屋着着てる時に寮で会った。話聞くつもりなかったけど自分語り激しい奴でな。陰鬱な話聞かされた挙句助けろってうるせぇの」
目を瞑ったままのキキョウは「はあ」と大きな溜息をついた。
「どんな案件?俺ら役に立てるなら言ってよ」
ナノの言葉にキキョウは「んー」と考える素振りを見せた。
真面目なキキョウはあまり人を頼ろうとしない。
できる限り自分一人で済ませようとする。
「言えよ、キキョウ。俺もナノもキキョウの為なら喜んで異能使うぜ?」
「ま、お前らならそう言うと思ってた。大したことねぇんだけどどうしたら良いか分からなくてな……あの寮を出たいんだとよ、その幽霊は」
「は?出たい?勝手に出ればいいじゃん」
「この辺りには沢山の結界が張られてるって習ったでしょ、ベニ」
ナノに憐れむように見られ、むぅと口を尖らせる。
頭が良いナノと違って俺はどうでも良いことはすぐ忘れるのだ。
この辺りに結界が張られていることなど習った拍子に忘れた。
「つまり結界をひとつ解いて欲しいってこと?それなら俺の異能が使えなくないかもね。極限まで聴覚と視覚高めれば結界の様子と場所が分かるだろうし」
「確かにな。ナノなら出来るかもしれねぇ」
ナノの異能は「強化」だ。
身体能力と五感を自由に強化することが出来る。
8つの異能の中でも便利だと思われやすい異能だが、実の所そうでもない。
制服を着た今となってはナノも能力を上手くコントロールしているが、子供の頃は大変だった。
鉄棒に力を入れればぶっ壊し、体力測定をすれば世界記録を軽く更新してしまう。
無意識に味覚を強化して辛すぎる物も難なく食べてしまい、後に口の中が爛れて大泣きした逸話もある。
数え出したらキリがないが、ナノは大きくなるにつれて自身の能力を理解し、少しずつコントロールするようになっていった。
「ただ、結界の位置が分かって見えた所で俺の力じゃ破壊出来ないかもしれないけど。身体能力上げてパンチ力強化しても結界なんて壊れないでしょ?」
「あ!そこで俺の出番じゃん!?火でも水でも風でもぶつけてやるって!」
俺が前のめりになって言うと2人は少し考えた後、頷いた。
「ベニの力は無限だしな」
「その通り!そういうのは俺に任せろって!」
俺の異能は「自然」。つまり自然界の物を操ることが出来る。
一見地味で扱いにくいと思われるかもしれないが「ここ」に「それ」があれば俺は自由に使うことが出来る。
例えばライターから出た火でも、プールに貯められた水でも。
とはいえ俺も異能を抑制する制服がなければまだ不安定だ。
それこそ子供の頃は不用意に水を使い風を使い──周囲から多大に恐れられてきた。
異能を持たない者からすれば俺の存在も台風も何も変わらない。
厄介な風害を起こす存在だと言われたこともあった。
けれど俺は子供の頃から「世界を救う」のが夢だった。
疎まれようが怖がられようがこの力で世界を救うと決めていた。
「真人間の為にそこまでするか?」とキキョウには呆れられたけれど、決してバカにしてくることはなかった。
それどころか何だかんだで結局キキョウもナノも俺の味方をしてくれているのだから、世界を救っているのは俺1人じゃないと思う。
今だって「五月蝿いから」という理由とはいえキキョウは幽霊を救おうとしている。
「世界を救う」ということはつまりこういうことなのだと俺は思っていた。
「よし、決まりね。じゃあ今夜22時に寮で集まろう。流れとしてはキキョウが幽霊を呼び出して、俺が結界を見つけ出して、ベニが破壊するってことでOK?」
「OK!任せろよ!沢山飯食って駆け付けるからな」
「ベニ、寝るなよ?」
「だからキキョウも子供扱いすんな!」
叫ぶ俺に2人は笑っていた。
下らないことでも笑い合える存在──2人がいてくれて良かったと思う、本気で。
22時、キキョウの部屋に集まった俺たちはヒソヒソと話していた。
「え?ここに幽霊がいんの?どんな感じ?可愛い?キモイ?」
不自然に空いた空間にヒラヒラと手を振る。
「丸っこい。可愛い方だと思う。ベニがキモイって言ったことにかなりキレてる」
「ひっ!?ごめんなさい……」
見えない存在に向かって頭を下げる。
集まった俺たちの格好は部屋着という名のジャージだった。
異能をフルで使いたい時には制服はむしろ邪魔になるからだ。
自分たちの髪色に合わせた訳ではないがキキョウは青色、ナノは黄色のジャージで、俺も勿論赤色のジャージを着ていた。
3人共髪色がそのまま好きな色になったのは単純かもしれないが、分かりやすくもあった。
ともあれジャージ姿で集まり、すぐにキキョウが件の幽霊を呼び出してきた。
不自然に空いた空間にその丸っこくて可愛い幽霊がいるらしい。
「甲高い声で頭痛がするぜ。とにかくここから出たいの一点張りだ」
「ちなみにここから出たら巨大化して最強ボスになったりとかしない?」
ナノの疑問は最もだ。結界があるから萎縮しているだけで外に出たら暴走する可能性は大いにある。
「ない。それは断言出来る。散々見て話してコイツがどんな奴か分かってる。俺の異能を信じてくれ」
「それならいいよ。勿論キキョウの異能の力は分かってるし、信用してる。早速やろうか」
立ち上がったナノはキキョウの部屋を出てすぐ瞳を光らせた。それからすぐに両耳も光を放ち始める。
ナノの異能は分かりやすい。
視力と聴力の感覚を最大限に研ぎ澄ませ、結界を探しているのだろう。
そのまま歩き出したナノの後ろについて行く。
向かった先は寮の奥。誰も寄り付かないような場所だった。
夜中ということもあり鬱蒼と生え茂っている木々がますます恐怖心を増させる。
思わず俺はキキョウの腕にしがみついた。
「怖がり過ぎだろ、ベニ」
「別に怖いわけじゃなくてこの方が効率が良いからだよ」
「効率?どういう意味だ?」
真面目に聞き返してきたキキョウの言葉をスルーする。真面目なキキョウは意味が分かるまで問い詰めてくるタイプだが、勿論今の言葉に意味などない。
誤魔化すようにナノの後ろ姿を見つめる。
何かに取り憑かれたかのように歩いていくナノ。
やがてガシャンと大きい音がし、フェンスにぶつかったのだと分かる。
「ナノ!!」
駆け寄るとナノは「大丈夫」と言ってからフェンスの先に指を向けた。
「あそこ……見える?」
「箱がある」
「見えるなら大丈夫。任せたよ、ベニ」
微笑んだナノはそれだけ残し、前のめりに倒れた。
「ナノっ!」
咄嗟に身体を支える。すぐにキキョウがナノを持ち上げた。
「コイツがこんなに疲弊するなんて珍しい」
「あの箱、俺にも見えるようにしてくれたんだ。その所為だと思う」
「箱?ああ、あれか……成程」
キキョウは俺の目を見て納得したようだった。
自分では分からないが、きっと俺の瞳もナノと同じように光っているのだろう。
つまりナノは自身の五感強化と共に俺の視覚も強化してくれたのだ。
異能は自分の為に使うだけでも疲弊するが、他者に貸すとなると更に力を使う。
そうまでしてナノが俺に託してくれたのだ。
この機会は絶対無駄に出来ない。
幸い風も強い。
「これなら──行ける」
ポケットからライターを取り出し、火を付ける。
小さく灯った火は強風に煽られ不安定になっていた。
そこに指先を近付ける。俺の指に火が移った瞬間、大きな炎へと変化した。
指先に燃え盛る炎をフェンスに近付け、網を焼き切った。異能を使った炎は俺が思い描いた部分だけを焦がす。余計な所まで燃え広がることはない。
手を入れられるぐらいの大きさだけを燃やし、箱に炎を近付ける。
強風を更に強い風に変え、炎と風で焼き尽くす──つもりだった。
「!?」
風を纏った炎に包まれても箱はビクともしなかった。
確実にダメージを与えている感覚はある。
それなのに、何故?
「キキョウ!何かあんのか!?」
振り返らず大声で聞くとキキョウは「待ってろ!」とナノを抱えたまま答えた。
俺の異能が物体に効かないわけがない。効かないとしたらその周りに何か見えない力が働いているとしか考えられない。
そして見えない力と言えば──キキョウの出番だ。
「ある。ベニ、俺の指示通りに動いてくれ」
「分かった!」
「炎をそのまま左にスライドさせて、1回離してくれ。そう、それから風を更に強めれば飛んでいく」
言われるがままに炎と風を操る。
「よし、それでいい。余計な物は吹っ飛んだ。あとは燃やし尽くしてくれ」
「OK!」
今度こそ最大火力を箱にぶつける。
何の変哲もない箱は一瞬で燃え尽きた。
「っと……これでいいのかな?」
「ああ。聞いてみる。……大丈夫だそうだ。帰るって」
「帰るって、何処に?」
「さぁな。こいつにも本来の居場所があるんじゃねぇの?」
キキョウが軽く上を向く。
俺には見えないがそこに件の幽霊がいるのだろう。
「じゃ、俺達も戻るぞ。ナノは医務室がいいか」
「ん、部屋で大丈夫だよ。ありがとう、キキョウ」
目を覚ましていたらしいナノが答える。
俺を見て笑った。
「良かった、上手くいって。ベニもありがとう」
「ナノのおかげだって!早く戻ろうぜ」
長居は無用だと俺たちはそそくさとキキョウの部屋へ戻った。
「これで一件落着だな。キキョウの悩みも晴れて良かったよ」
キキョウの部屋の床に転がった俺はバタバタと足をばたつかせて言った。
「2人ともありがとな。あの幽霊はこの辺を彷徨ってる時にトラップに掛かったらしい」
「ピンポイントでその幽霊が狙われたっていうよりは幽霊全体に仕掛けられたトラップだったってことだよね?」
ベッドに転がるナノの言葉にキキョウが頷く。
「そうみたいだな。あの箱ってやつを見た時、幽霊は酷く怯えていた。相当な力が入ってたんだろうな」
「でも何でそんなことするんだ?幽霊消したい奴でもいんの?」
「あの箱はかなり古い物だった。一楠異能学園が建つ前からずっとあったんだと思う。つまり学校とは関係なくその幽霊はこの場所に縛り付けられてたんだよ。大昔のことまで分からないけど、今よりももっと幽霊に対して怯えていたんじゃないかな。除霊やガードの意味で箱を設置したのかもしれない」
ナノの説明にキキョウはこくりと頷いた。
「ナノの考えが正解だろうな。きっとそういうことだ」
完結したかのように頷く2人。
正直俺は半分ぐらいしか分かっていなかったが、分かったフリをして頷いておいた。
「ま、何にしても上手くいって良かった!やっぱり俺たち3人でいれば世界救えるよな!」
ニカッと笑って言うと2人はやれやれというような顔をした。
見慣れた2人の顔。
けれど心の中では俺の夢を応援してくれていると知っている。
「それよりベニ、明日も学校だよ?宿題やったの?」
「えっ、いや……」
「世界救う前に宿題ぐらいちゃんとやれよ」
「うっ、まぁ……」
ナノとキキョウに責められ、俺は傍にあったクッションに突っ伏した。
「お、おやすみなさい!宿題は明日の朝やる!」
「ベニ、逃げたね」
「そうだな。完全に逃げた」
2人の声が届かなかったフリをして眠った。
明日もきっと騒々しい1日になるだろう。
一楠異能学園は毎日が忙しい学校だ。
けれど世界を救いたい俺にとってはちょうど良い。
小さな悩みも大きな事件もひとつずつ解決していくことが世界を救うことに繋がると信じているから。
何より昔から変わらず2人と一緒にいられるのだから──最高。
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