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しおりを挟むロクサーヌ南部、その中の木々が生い茂った町ゴルドに朝日が昇った後、そんな町の中に一軒のログハウスとは少し違う木製の家があった。
そんな家に外から玄関の扉を数回軽く叩く音が聞こえた。
「母さん手が離せないからロイ出てくれない?」
「うん!」
少年改めロイ・サーベルは母親にそう言われて、椅子から立ち上がり、玄関の扉を開けた。
「あ、ゼルジュ!母さんか父さんに手紙?」
「いや、フィフィさんでもロイズさんでもなく、君に手紙だよ」
両親にではなく自分に手紙が来て首を傾げるロイ。
郵便屋のゼルジュはウエストポーチの中から、1枚の手紙を出してロイに手渡した。
「確かに渡したからね。じゃボクは行くよ」
ゼルジュはロイに背を向け歩き出した。
ロイはそれを見届け玄関の扉を閉めた、そしてロイは座っていた椅子に腰かけた。
「ロイ誰だったの?」
「ゼルジュだよ!僕に手紙だって」
母親改めフィフィの言葉にロイは自分に手紙が来た事を伝える。
「誰からなんだい?」
「イカルガ・ランスって人だよ。父さんと母さんは知ってる?」
父親改めロイズがロイに誰からなのか聞いた、ロイは名前を言って両親にその人の事を知ってるか伝える。
「知らないな、フィフィはどうだい?」
「わたしも知らないわ」
ロイズとフィフィは口を揃えて知らないと言った。
「まあ手紙の内容を読んだら分かるかもしれないよ?」
ロイズはペーパーナイフをロイに手渡し、封筒の封を開ける。
〈親愛なるロイ・サーベル様へ。今日手紙を認めたのは、あなた様に頼み事があって手紙を書きました。詳しい事は私の家に来ていただきたく思います。場所はロクサーヌ南部のエスポワです。詳しい場所は地図を同封しました。それでは1月10日に来る事を首を長くして待っています。イカルガ・ランスより〉
この手紙を読んでロイは旅をするいいチャンスだと思った。
だが、両親が反対しそうだなとも思った。
「なんだか胡散臭いな」
「そうねー」
案の定両親は手紙を不審がっていた。
「父さん、母さん、僕この人の所に行ってみる!それに旅もしてみたかったし!お願い!」
ロイは両親に向かって両手をつき合わせた懇願した。
両親は顔を見合わせて軽く頷いた。
「1回言ったら聞かないんだから、行ってもいいわよ。ただし!危険な事があったら帰ってくる事いい?」
「うん!分かった!」
フィフィは腰に手を当て、片手をロイに向け人差し指を立てる。
その時、とある部屋の扉が開く音がした。
「兄ちゃん旅に出ちゃうの?ぼくも行きたい!」
10才くらいの少年が、自分行くと言ってきた。
「フィロイは父さんと母さんを守る為にここに居てくれない?兄ちゃんそしたらきっと安心して旅に出られるからさ!」
少年改めフィロイに目線を合わせしゃがみ説得するロイ。
「……分かったっ!」
「それじゃあ朝ご飯にしましょ!旅に出るのはそれからでも遅くないわ」
家族4人での最後の食事を楽しむロイであった。
そしてロイは出発の準備をして、ゴルドから乗合馬車に乗りエスポワまで行くのであった。
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