残念女の異世界紀行

LEKSA

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CHAPTER Ⅱ

03 冒険者ギルド

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 無事に入街許可がおり、わたしは今冒険者ギルドに向かって歩いている。

 外壁が石造りだったので、てっきり街中も石やレンガで作られていると思っていたのだが、ほとんどの建物が木造だった。
 わたしが今歩いているのは飲食区に当たる通りらしく、あちこちから美味しそうな匂いが漂ってきている。
 時間はお昼時。
 さっさとお金を作って、早くご飯にありつきたい。



 公務員の男が親切にも、ギルドまでの道順を教えてくれたので、スムーズに目的地に着けた。

 冒険者ギルドは大きかった。
 周りの建物のほとんどが2階建てだったが、階の天井が高い為か、3階建てにも関わらず見た目的には4階ほどある高さの巨大な建物だった。

 少し緊張しながら建物に入るが、中はまばらに人がいるだけで、ガランとしていた。
 恐らく、栄えていないと言うより、依頼で皆出払っているのだろう。

 見渡していると、受付にいる女性と目があった。
 パーマをかけたようなくるくるの黒髪に、健康そうな褐色の肌、目が大きくクリクリしていて小動物みたいで可愛い。
 その大きな目を更に大きくして、わたしを凝視するので、揶揄い半分に彼女の元へ向かった。

「おねーさん♪」
「っ!?」

 近づいてみて気づいた。
 お姉さんは、街で働いていた女性と比べると凄く小柄だった。立って受付をしていて、ちょうどわたしの鎖骨辺りに彼女の頭がくる。
 顔も、母星のアジア人の顔のに近く、見慣れてなければ、子どもと勘違いしたかもしれない。

「冒険者登録したいんですが、お願いできますか?」
「へっ?…っ!?は、ひゃいっ!!」

 盛大に噛んだ。
 涙目で口を押さえていて、かなり痛そうだ。

「…大丈夫ですか?」
「……ひゃいひょうふだいじょうぶへふよですよふひはへんすみません。」

 全然大丈夫じゃなさそうだが、お姉さんが片手をハンズアップして「ちょっと待ってくれ」と訴えているので、大人しく待つことにする。



「お待たせしてしまってごめんなさい。」

 そう時間を置かずに、なんとか持ち直したお姉さんが口元をハンカチで拭いながら、謝ってきた。

(いや、その拭ってんのって血やんな?病院行った方がエエんちゃうの?)

 わたしがビビらせたばっかりに…。
 珍しく罪悪感が疼いた。

「いえ、こちらこそ…なんかすみません…。」

 わたし達を取り巻く空気が微妙なものになった。
 お姉さんの他にもギルド職員の人はいるものの、こちらを生温かい目で見るだけで、この空気を打開してくれる救世主は現れなかった。
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