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2人の距離
「…少し話しをしないか?」
シオンはレイフォードの口からそんな言葉が出るとは思わなかったのでびっくりする。
(…話す?何を?)
じっとこちらを見てくるレイフォードにシオンは思わず頷く。
ちゃんと話すのは久しぶりなので紅茶を飲んで緊張を誤魔化した。
そうするとレイフォードの視線がクッキーにあることに気づいた。
「あ、よければクッキー食べますか?」
「…ああ、せっかくだし一つ頂こう。」
そう言ってクッキーを一つ取り口に運ぶ。
「噂通りうまいな。」
「噂?」
「いや、なんでもない。」
少し口角が上がっているので気に入ったのかもしれない。
「一つとはいわず好きなだけどうぞ。」
「ありがとう。」
そう言ってレイフォードは何個か口に運ぶ。
レイフォードは甘いものが好きだとは思わなかった。
満足したのか少し落ち着くとレイフォードがシオンに視線を向ける。
「お前に冷たい言葉で突き放した事申し訳ないと思っている。」
予想外の言葉にシオンは動揺し、目が泳ぐ。
「隣国との戦争がやっと終わり、議会や側近が持ってきた縁談だった。納得できずお前が嫁いで来てあんな事を言ってしまったのだ。」
(ああこの人も突然の事で受け入れられなかったんだ。)
「…そうですか。」
レイフォードからの突然の謝罪に少し心が楽になった。
「例え受け入れられなくてもあんな事言うべきではなかった。お前とは番ならなくても良好な関係を築きたいと思っている。」
番にならなくても…か。
まあもう期待はしていなかったけどここまで言ってくれている。
レイフォードはシオン気にかけてくれている。
それがわかってよかった。
「確かに、ああ言われて傷つきました。でも僕もあなたと仲良くなれたらと思っています。」
これは本心だ。
嫁いだのだからその相手とは仲良くなりたい。
例え愛はなくとも。
シオンは少しぎこちない笑顔を返す。
レイフォードがもう謝らなくていいように。
「っ…この1か月で使用人達が変わったように感じる。笑顔が増えたしお前が来てから王宮は明るくなった。きっとお前のおかげなんだろう。」
「いえ、そんな事はっ皆さんとてもいい方達ばっかで。」
「そうか。」
なんだか不思議な夜だ。
それから少し話をしてレイフォードの印象が大分変わった。
最初は無愛想で冷たい人だと思っていたけれど、こうしっかり話すと不器用でわかりづらいだけなんだとわかる。
「そろそろ寝るか。」
気づかない内に大分時間が過ぎたようだ。
それから2人でベッドへ向かう。
体格のいい男性が4人程横になっても余裕がありそうな大きなベッドでシオンはいつも端っこで寝ていた。
「おい。いつも疑問だったんだが、お前はなぜそんなに端で眠るんだ?」
「あ、いや、これは。少しでも邪魔にならないようにと。」
「もっと真ん中に寄れ。俺の事は気にするな。」
そう言われシオンはもじもじしながら少し真ん中に寄り横になる。
レイフォードはすでに横になって目を閉じていた。
シオンも戸惑いながらも目を閉じた。
「レイフォード様、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ。」
シオンの心臓はドキドキと音を立てなんだか胸がいっぱいだった。
その夜、シオンはなかなか眠くならなかった。
2人が横になっても人1人分空いているのでああこれが心の距離なのかなとおかしな事を考えている内にやっと眠りに落ちたのだった。
シオンはレイフォードの口からそんな言葉が出るとは思わなかったのでびっくりする。
(…話す?何を?)
じっとこちらを見てくるレイフォードにシオンは思わず頷く。
ちゃんと話すのは久しぶりなので紅茶を飲んで緊張を誤魔化した。
そうするとレイフォードの視線がクッキーにあることに気づいた。
「あ、よければクッキー食べますか?」
「…ああ、せっかくだし一つ頂こう。」
そう言ってクッキーを一つ取り口に運ぶ。
「噂通りうまいな。」
「噂?」
「いや、なんでもない。」
少し口角が上がっているので気に入ったのかもしれない。
「一つとはいわず好きなだけどうぞ。」
「ありがとう。」
そう言ってレイフォードは何個か口に運ぶ。
レイフォードは甘いものが好きだとは思わなかった。
満足したのか少し落ち着くとレイフォードがシオンに視線を向ける。
「お前に冷たい言葉で突き放した事申し訳ないと思っている。」
予想外の言葉にシオンは動揺し、目が泳ぐ。
「隣国との戦争がやっと終わり、議会や側近が持ってきた縁談だった。納得できずお前が嫁いで来てあんな事を言ってしまったのだ。」
(ああこの人も突然の事で受け入れられなかったんだ。)
「…そうですか。」
レイフォードからの突然の謝罪に少し心が楽になった。
「例え受け入れられなくてもあんな事言うべきではなかった。お前とは番ならなくても良好な関係を築きたいと思っている。」
番にならなくても…か。
まあもう期待はしていなかったけどここまで言ってくれている。
レイフォードはシオン気にかけてくれている。
それがわかってよかった。
「確かに、ああ言われて傷つきました。でも僕もあなたと仲良くなれたらと思っています。」
これは本心だ。
嫁いだのだからその相手とは仲良くなりたい。
例え愛はなくとも。
シオンは少しぎこちない笑顔を返す。
レイフォードがもう謝らなくていいように。
「っ…この1か月で使用人達が変わったように感じる。笑顔が増えたしお前が来てから王宮は明るくなった。きっとお前のおかげなんだろう。」
「いえ、そんな事はっ皆さんとてもいい方達ばっかで。」
「そうか。」
なんだか不思議な夜だ。
それから少し話をしてレイフォードの印象が大分変わった。
最初は無愛想で冷たい人だと思っていたけれど、こうしっかり話すと不器用でわかりづらいだけなんだとわかる。
「そろそろ寝るか。」
気づかない内に大分時間が過ぎたようだ。
それから2人でベッドへ向かう。
体格のいい男性が4人程横になっても余裕がありそうな大きなベッドでシオンはいつも端っこで寝ていた。
「おい。いつも疑問だったんだが、お前はなぜそんなに端で眠るんだ?」
「あ、いや、これは。少しでも邪魔にならないようにと。」
「もっと真ん中に寄れ。俺の事は気にするな。」
そう言われシオンはもじもじしながら少し真ん中に寄り横になる。
レイフォードはすでに横になって目を閉じていた。
シオンも戸惑いながらも目を閉じた。
「レイフォード様、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ。」
シオンの心臓はドキドキと音を立てなんだか胸がいっぱいだった。
その夜、シオンはなかなか眠くならなかった。
2人が横になっても人1人分空いているのでああこれが心の距離なのかなとおかしな事を考えている内にやっと眠りに落ちたのだった。
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