レベル“0”ですが、最強です。

勇崎シュー

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二章ー止まない街ー

40 パトロール

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 会議は午前中に終わり、午後の活動について話し合う。
 結果、レジスタンスはいつも通り街の警備をするとの事。
 本来見回りは騎士の役目だが、今回に限っては頼れない為レジスタンスが代わりを務めているらしい。
 戦闘に入った場合どうするのだろうと疑問に思ったが、どうやらフーロちゃん以外は冒険者らしく、ヤツらとも何度か戦っているらしい。

「では、今日は心強い仲間が二人増えているからな。二人組ツーチームで警備に当たろう。今日はセントが留守番だ」
「へいへい」

 ユフネさんのテキパキした指示により、直ぐに編成とルートが割り振られた。
 結果、俺とバスターヴさん。ユズリとユフネさんの二チームが出来る。
 采配の理由としては、俺とユズリがレジスタンスに馴染みやすいようにという事と、同性で組むことにより打ち解けやすくしたいといった所だろうか。

「よろしくな、えっと……」
「あれ、そう言えば名乗ってませんでしたっけ。タクマです」

 そうかそうか! と大口を開けて笑うバスターヴさんに対し、俺は苦笑いを浮かべることしか出来なかった。

「では、早速行こうか。バスターヴ、そっちは頼む」
「おう! おいセント。俺達がいない間もばっちり守っとけよ!」
「わかってるよ」

 俺とユズリはアイコンタクトでお互いの無事を祈り、我々レジスタンスは雨降る街へと繰り出る。
 取り敢えずバスターヴさんが先導してくれるのでそれについて行くが、何とも雰囲気が気まずいので何かしらの話題を振った。

「いやぁー。今日も雨っすね」
「そりゃ、ここは止まない街って言われてるくれーだからな。それでも、今日は小雨の方だぜ」

 確かに、降り頻る雨はぱらぱらと細かい。レインコートを着てなくても大して変わらないように感じる程だ。

「でもやっぱこう……スカッと晴れて欲しかってりしますよね?」
「まーな。俺も一時期色んな場所を冒険した事あるから、晴れの便利さは重々承知だけどよ。やっぱ生まれ育ったこの街に帰ってきちまうんだよなぁ」

 どこか遠くを見るような視線で見上げるバスターヴさん。
 その目は寂しさを帯びているように見えた。
 やはり彼も、大切な人を失ったのだろうか。
 ストレートに無粋な質問は投げつけないが、気になるのも確かだ。
 それとなく聞いてしまおうかと悩んだ矢先。

「おい、さっき路地裏に変な奴居なかったか?」
「へ?」

 しまった。今の目的はパトロールだというのに、変な所に思考を割いてしまった。

「おいおい頼むぜ。それはそうと……ちょっと様子見てこようぜ」

 俺は謝りつつ首肯すると、近くの路地裏へダッシュするバスターヴさんについて行く。
 何も起きない事が一番の幸いだが、どうなるか。
 どことない不安を抱えつつ、変な奴とやらを追う。
 しかし、いくら走っても怪しげな人物は見えない。

「あり……確かに妙なやつを見かけたんだけどな」
「見間違いだったんですかね?」

 二人でハテナマークを頭に浮かばせていると、不意に何者かが背後に降り立った。
 俺達は振り向きつつ距離を取る。

「どうもー」

 そこに居たのは、軽薄そうな金髪の痩せ型の男だった。
 肌は青白く、眼は渋めの赤色で一応黒いスーツっぽい優美な服を着ている。
 この格好……ガンゾルドや招待状を届けた爺さんと被る。もしかしなくても奴らの仲間だろう。

「おめぇ……のこのこ出やがって、覚悟しろ!」
「おー、怖い怖い。ま、俺も戦うつもりで出てきたんだけどねー」

 男は気怠そうな口振りとは裏腹に、背筋を伸ばし背中の後ろで両の拳を打ち合わせている。
 どことなく華奢な印象を持ってしまうが、その実力は一体……。

「軽口に付き合う必要はねー。行くぞタクマ!」
「はいっ! 《剣招来ブレイドコール》!」

 俺は幅広の黒剣を呼び出しつつ、敵へと突進する。
 その先では、バスターヴさんがメリケンサック風のナックルを装備し、殴りかかっていた。

「ひょいひょーいっと」

 しかし、バスターヴさんの攻撃は簡単に躱される。
 俺も斬りかかりたいが、二人の距離が近いため無闇に次元の裂け目をつくれない。

「バスターヴさん、一旦距離を取って下さい!」
「くっ、このっ……! もうちょっとで当たりそうだってんのに!」

 確かに紙一重で避け続けられているが、あれは実力が拮抗していると見せ掛けるようワザとそうしているのだろう。

「よっ、ほっ、おっと。うーん。避け続けるのも飽きてきたな……よし」

 瞬間、敵の目付きが変わり空気が重くなる。

「バスターヴさん、やばい!」

 しかし俺の声は虚しく、小雨に流された。


「ちょっと反撃」


 ピンと人差し指を弾くと共に、バスターヴさんは激しく吹き飛ばされ壁に激突した。

「ぐおっ……!」
「ありゃ。やっぱ脆いなー、人間は」

 男がそんな事を呟く隙に。

 俺は敵へと斬りかかっていた。

「うおらぉあああッ!」
「おっと……ッ!?」

 またしても躱した男だったが、次元の裂け目による収縮力は予想外だったらしく、その表情に初めて明らかな変化が現れる。

「こ……のっ!」

 しかし、やはり吸収されずにすんでのところで後方にジャンプされ、男は民家の屋根に飛び移った。

「ふーっ。今のは焦った」

 今度はわざとらしく汗を拭く動作をする。

「ま、時間も稼げたし、今日はこんくらいにしといてやるよー」

 すると、金髪の男は屋根伝いにどこかへと跳躍して行った。
 追いたい衝動が僅かにくるが、今はバスターヴさんだ。
 俺は足の向きを変えて、彼の元へ駆け寄る。

「バスターヴさん、バスターヴさん!」

 意識不明の人間を揺らすのは良くないとどこかで聞いたので、只管声掛けのみをしていく。
 息はあるようだし、出血も見られないが、やはり体内は重篤なのだろうか。

「……ハッ。しまった! あいつは?」

 しかしそんな俺の負担を吹き飛ばすように、バスターヴさんは目覚めた。

「アイツはどっかへ行っちゃいました。そういや……時間稼ぎがどうとかって」
「時間稼ぎ……? まさか!」

 バスターヴさんが何かを気づいたようでその場から駆け出し、俺も追随する。
 このルートは、もしかして。
 嫌な予感は的中し、俺達はレジスタンスアジトへと戻った。だが……。

「ぐ、すまない……二人とも……俺……!」

 そこには倒れるセントさんと、破壊され尽くした室内が目に入った。
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