愛する人は異世界転生したようなので追いかけます

ケセラセラ

文字の大きさ
4 / 9

光の精霊王

しおりを挟む
「君が来たのかい?いつからこの子のことに気づいていたのさ?」


どうやら神様のお知り合いらしい。


ーケミル、私を舐めてもらっては困ります。この子が生まれた時に、私たちに何が起こったのか教えましょうか?


えっ、何が起きたのでしょうか?


ー光の力が強まり、私の力が増幅しました。私は、世界でいったい何が起きたのか調べたらこの子の周り一帯が光が溢れていた。これは、テリオス王よりも更に前、初代の王と同じだと思いました。ケミル、初代と同じくあなたが関わっているとね。最近もあなた関係ではないようですが強い転生者が来ましたがそれも関係していますか?まぁ私は男性には興味がないので契約したのは他の者に譲って差し上げましたよ。


ま、待って!強い転生者、しかも男!それって涼介ではないのかしら?



「あ、あの!その強い転生者とは誰のことでしょうか?この国に生まれたものでしょうか?」

ーあなたは、その者に興味がおありか。ですが契約する前にあれもこれもと話すことは出来ないのです。


精霊は、さも残念そうに言うが、要は「契約するまで教えないよ」ということなのでしょう。


神様、ケミルと言うのかしら?ケミルは、肩をすくめた。


「レーナ、君はかなり大物を釣りあげたね。彼は、光の精霊王ザーナだ。ザーナと契約することは、すごいことだけど、彼は女好きで、男が嫌いなことで有名だから君が元旦那の転生者に会うことを邪魔されるデメリットも考えた方がいいよ」


ーケミル。私が女好きとは失礼ですね。まぁ、男が嫌いなことに間違いありませんが。そうですか、レーナは転生者で、前世の記憶があり、元旦那の転生者を探しているわけですね。


私とケミルからの情報で全てを言い当てられてしまい、コクコクと頷く。

精霊とただ契約するつもりが精霊王とは。しかも女好きで男嫌い?これは契約すると飛んでもないトラブルを生むのではないだろうか?邪魔なんてされたくはないので回避するしかないだろう。


「あ、あの、光の精霊王様」

ーザーナとお呼びください。


言い直されてしまった。

「ザーナ様、あの」

ーザーナ、とお呼びください。

なかなかやっかいな人、ではなく精霊のようだ。

「は、はい。ザーナ、私は精霊王と契約するほどの立派な者ではありません。ほ、他の精霊さんを紹介してください」

言い切った!チェンジでお願いします。


ザーナは、「信じられない」と言って、ショックを受けたようだ。
顔が青ざめている。


「レーナは面白いなぁ。ザーナ?君が断られたの初めて見たよ。やっぱり伶奈を転生させたのは間違いなかったね」

ケミルは大喜びだった。


ーレーナ、レナという名が前世の名前でしょうか?


「はい。若宮伶奈と言いました。22歳で亡くなって、こうしてレーナとして生きています」

私は、改めてザーナと向き合い自己紹介をした。いくら契約しないにしても精霊の王様に対して失礼がないようにしなくちゃね。


ーレーナ、いえレナとお呼びしても?私はあなたが赤ん坊の頃から側で見ていました。外見もとても可愛らしくありましたが、魂の美しさに私は、とても強く惹かれたのです。どうか私と契約してください。


「だ、ダメです!!」

ーど、どうしてでしょう?私ほどあなたの力になれる者は居ないハズです。


「他の精霊さんでも、私の魔力の量を誤魔化したり、属性を少なく見せることは出来るんですよね?」

ーそれくらいなら。他の者にも出来ますが会話が出来る者は居ないので、あなたが探している転生者のことを話せる者は居ないですよ?

私は、バッとケミルを見ると、困ったような顔をして頷く。
ザーナは本当のことを言っているらしい。


「だけど、レナ、君の魔力を多めに与えてあげれば成長していくから時間はかかるけど会話することも可能だと思うよ?」

ーケミル!ひどいですね。どうして私の邪魔をするのでしょう?


「可愛い僕の転生者には正しい情報をモットーにしてるからね。邪魔なんてとんでもないよ」

ケミルは、悪びれることもなくあっけらかんとして、ザーナは悔しそうだ。


ザーナがなんとなく可愛そうに見えて契約してあげてもいいかしら?と思うがやはり精霊王と契約するなんておこがましいと思い直す。


ーレナ。私の何がいけないのでしょう?


情に訴える作戦にしたらしい。


「どこも。ザーナはとても素晴らしい精霊王と思います。だからこそ私では身に余る存在なのです。すいません」


本当、ごめんなさい。

ー分かりました。レナはどのような精霊がお好みでしょうか?人間のように、男タイプ、女タイプに分かれており、私のように人型サイズに変えれる者は稀ですが、黒髪、赤髪も居ますよ。


「あの、手のひらサイズの小さい精霊さんは居ないのでしょうか?」

自分がまだ7歳と小さいので大人サイズの形は少し怖い。


ザーナの目がキラリと光る。


ーレナは小さき者がお好きなのでしょうか?


「私の精神は、22歳と大人ですが、まだこのように身体は7歳と小さいので、あまり大きい方よりは小さい方の方がいいです」



ー手のひらサイズは、かなり力の少なき者で、あなたのお力になれるような者は居ないですね。ですが、レナより幼き者なら心当たりがあります。

「本当ですか?紹介してくださいませ」



ー分かりました。その者を呼び出しますので私は一旦消えます。


そういうと、ザーナがスッと消えたかと思うと、そこには3歳くらいの金髪の可愛い男の子がそこに居た。


ー僕と契約してくれる?

可愛く首を傾けお願いポーズをする少年!
あざとかわいい!


ケミルは、背中をこっちに向けて肩を震わせていた。


「か、可愛い!!契約します!」

私は、あまりの可愛らしさに陥落してしまった。


ー嬉しいっ!お姉ちゃん、好き


少年が私の胸に飛び込んできたので、私はギュッと抱きしめた。

可愛い!可愛い!ああ、可愛い!





その後、ケミルが笑いながら、その少年は精霊王ザーナが変身した姿だけど良かったのかい?と楽しげに聞いてきた。


私は、胸の中にいる少年を改めて見た。
可愛いとしか見なかったが、ザーナの面影がある。

慌てて、抱きしめていたのを離した。



ーレナ?僕はザーナだけど、もう契約しないなんて言わないよね?


ザーナ少年は、やっぱり可愛いかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冷徹公爵の誤解された花嫁

柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。 冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。 一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

そんなに義妹が大事なら、番は解消してあげます。さようなら。

雪葉
恋愛
貧しい子爵家の娘であるセルマは、ある日突然王国の使者から「あなたは我が国の竜人の番だ」と宣言され、竜人族の住まう国、ズーグへと連れて行かれることになる。しかし、連れて行かれた先でのセルマの扱いは散々なものだった。番であるはずのウィルフレッドには既に好きな相手がおり、終始冷たい態度を取られるのだ。セルマはそれでも頑張って彼と仲良くなろうとしたが、何もかもを否定されて終わってしまった。 その内、セルマはウィルフレッドとの番解消を考えるようになる。しかし、「竜人族からしか番関係は解消できない」と言われ、また絶望の中に叩き落とされそうになったその時──、セルマの前に、一人の手が差し伸べられるのであった。 *相手を大事にしなければ、そりゃあ見捨てられてもしょうがないよね。っていう当然の話。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

処理中です...