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再会の王都
第三百六十五話 その後
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「カレンさん」
「ごめんなさい。でも、でも、見ていられなかったから……」
「ううん。ありがとう。助かったよ。僕の方こそ心配させたみたいでごめんなさい」
「……ヨハン」
ヨハンの優しさが胸に刺さる。
二人だけの戦いであることはわかっていた。兄を始めとした錚々たる面々が止めに入らないことからしても最悪の事態には陥らないのだろうということは頭では理解していた。
それでも止めに入らずにはいられなかった。目の前で危機に瀕したヨハンを守るために。
エリザ達の下に戻ったアトムはニコニコとしているエリザに向かってニヤッと笑いかける。
「………邪魔が、入ったかな? いやぁ、しかしそれにしても驚いたな。あれだけ強くなってるなんてな」
「確かに私も驚いたわ。でも私が怒っていないとでも思っているの?」
「あっ、やっぱり?」
表情や態度に出さないように努めていたが、エリザとしても我慢の限界だった。
「あの子が止めに入らなかったら私が止めていたわよ」
「すまん」
「ううん。あなたが本気を出さないといけなかったっていうのもわかっているわ。でもやり過ぎよ」
「……反省してる」
実際、アトムからすれば余裕などではない。ただの親としての意地。エリザもそれをわかっているからこそ限界まで我慢していた。
「じゃあお仕置きね」
「えっ? ちょ、ちょっと待てって!」
ニコッとしているエリザの持つ杖の先端が光ると、すぐさま迸るのは鋭い雷。パリッと音を鳴らすとアトムに直撃する。
「なにしてるのあれ」
「……さぁ?」
遠くに見える痺れを見せているアトムとそれを見て笑っているローファス。まるで子どものようなその姿に疑問を持って見ていた。
「……とにかく向こうに行きましょうか」
「……はい」
アトムが振り下ろしている剣を両手の平で受け止めているローファスを見ながら合流する。
「何やってるの?」
「おう。気にすんな。ちょっと旧交を温めているだけだ」
いがみ合うアトムとローファスを見ながら呆れてしまった。親友とは言うものの、悪友なのだろうということはそれだけで十分見て取れる。
「にしても本当に強くなったな」
スッと身体を向けるアトムは先程まで対峙していた気配の一切を見せない穏やかな表情。
「結局また勝てなかったけどね。勝てるとも思ってなかったけど、まさか全く効かなかったなんて。さすがにショックだよ」
「ははっ、まだまだ息子に負けてたまるかって。そんな歳食ってねぇしな」
ケラケラと笑うアトム。
「それに全く効かなかったわけじゃねぇよ。かなり痛かったぞ?」
「ほんとに?」
「当り前じゃねぇか」
「ふむ。出掛ける前に中々に良いものを見せてもらった」
「そうね。ヨハンの成長が見られてお母さんも満足よ」
「え? 母さんたち、どこかに行くの?」
「ええ。ちょっとお母さんたち調べものをしていてね」
「……そぅ」
改めて見回して見ても不思議な感覚。国王や剣聖に校長など錚々たる人達の中にいる父と母。今回久しぶりに戦ってみてその高みは確かに実感したのだがそれでもどこか奇妙な感覚を抱いた。
(そんな人たちがしている調べものって?)
更に抱く疑問。一体何を調べているのか。恐らく聞いたところで教えてもらえないのだろうという程度の見解は抱く。
「やっぱりここにいた!」
「え?」
不意に遠くから聞こえて来て姿を見せたのはレインとモニカとエレナ。
「どうしてみんながここに?」
「いやいや、朝早くからモニカとエレナに叩き起こされたんだけど、ヨハンはもういなかったじゃないか? それで前はこの鍛錬場によく来ていたからここかなーって」
モニカもエレナも早速ヨハンを訪ねて訪室したのだが不在。そのため慌てて用意して探しに来ていた。
「それよりも、この状況はどういうことでしょうか?」
ヨハンの所在が掴めたこと以上に周囲にいる面々に疑問を抱くエレナ。そのまま父である国王、ローファスの姿を捉えて口を開く。
「まさかお父様までいらしているなんて」
ヨハンだけでなくこれだけの面々がいることが疑問でならない。
「ちょっとヨハン怪我しているじゃない!?」
「あっ、いや別に大丈夫だよ」
モニカが慌ててヨハンに近寄るのだが既に治癒は終えている。衣服にいくらかの破れがある程度。
「大したことではないエレナ。アトムとヨハンの模擬戦を見ていただけだ」
「「「えっ!?」」」
驚愕に目を見開いてエレナ達は三人揃ってアトムを見ると、ニカッと笑い返された。
「……そういうことでしたか。だったらわたくし達にも声を掛けてくれてもよろしいのに」
「だなっ。俺達もお前がどれぐらい強くなったのか見たかったぜ」
加えてレインは内心でヨハンとアトムにどれくらいの差があるのかということにも興味があった。しかしエレナがそのまま向ける視線の先にはカレン。
(カレンさんは見ていたようですわね)
突然ヨハンの婚約者の位置に就いたカレンに対して不安を抱く。様子を見る限り現状ヨハンがベタ惚れというわけではなさそうなのは見て取れるのだがそれでもどう対応していいものか。
(仕方ないですわね)
自身が知らない空白の期間を把握することから始めることを決める。
「え?」
不意にエレナの肩をポンと叩く手の平の感触。振り返るとシルビアの笑み。
「シルビアさん?」
一体どうかしたのかと首を傾げるのだがすぐさま悪寒が走った。
「では次にはお主等がこやつに実力を見せる番じゃな」
「えっ……?」
その発言の意味。わざわざ説明されなくとも理解する。レインはそーっと足音を消してその場を後にしようとしていた。
「えぇっと……いやぁ、あのぉ、シルビアさん?」
困惑しながらもエレナが返す笑み。
「それはちょっと遠慮したいなかなぁって。ほ、ほら、まだ朝も早いですし、女の子の朝は色々と準備をしなければいけないではありませんか。ご飯も食べないといけないかなって、思いますの」
「なにをぶつくさ言っておる。遠慮などいらんさ。さぁ行くぞ!」
すぐさま杖をレインに向けると魔力の網がレインを捕らえる。モニカは諦めて小さく首を振って息を吐いていた。
「エレナ?」
微妙に涙目を向けてくるエレナ。
「気にするな。いつものことだ」
「父さん?」
全く以て状況の理解ができない。
「シルビアさんも変わっていないようだな」
「まぁ……な」
「ラウルさん?」
隣で話しているラウルとアトムに疑問を抱くのだが、すぐにその言葉の意味を理解することになった。
「――……すご、い」
鍛錬場に降り注ぐシルビアの魔法の嵐。その凄まじさに驚嘆しながら、同時に対応しているエレナとモニカとレインの三人の連携がまた凄い。エレナ達からすればもう慣れたもの。
「それにしても、あの子達もあんなに強いのね」
カレンもまるで信じられない光景。確かにヨハンから事前に色々と聞いていたがその戦いぶりは想像以上。
「そうですね。僕が知ってる頃よりもみんな凄い強くなってます」
「当り前よ。私達が鍛え上げたのだからね」
「それにしても……」
まるで想像以上。
そのヨハンの横顔を見ながらニコリと笑みを浮かべるエリザ。
「あの子達、ヨハンと一緒に戦いたいって、それはもう必死だったわ」
元々エレナ達を鍛え上げるということはシルビアの発案なのだが、エリザとしても予定以上に指導に熱が入ってしまっていた。
「そぅ……なんだ」
自分自身も強くなったという自覚はある。同じようにしてエレナ達も強くなっていたことが素直に嬉しかった。
「その点じゃが、学年末試験でシェバンニが面白いことを考えておるようじゃから期待して良いぞ」
「面白いことってなんですか校長?」
「それは試験内容なので教えられん」
「……そうですか」
だったらどうして今口にしたのかと思わず苦笑いしてしまうのだが、久しぶりに学生生活に戻ることが楽しみでもある。
そうしてひとしきりシルビアが満足するまで続いたエレナ達の模擬戦を観戦してから一度屋敷に赴くことになった。
「ごめんなさい。でも、でも、見ていられなかったから……」
「ううん。ありがとう。助かったよ。僕の方こそ心配させたみたいでごめんなさい」
「……ヨハン」
ヨハンの優しさが胸に刺さる。
二人だけの戦いであることはわかっていた。兄を始めとした錚々たる面々が止めに入らないことからしても最悪の事態には陥らないのだろうということは頭では理解していた。
それでも止めに入らずにはいられなかった。目の前で危機に瀕したヨハンを守るために。
エリザ達の下に戻ったアトムはニコニコとしているエリザに向かってニヤッと笑いかける。
「………邪魔が、入ったかな? いやぁ、しかしそれにしても驚いたな。あれだけ強くなってるなんてな」
「確かに私も驚いたわ。でも私が怒っていないとでも思っているの?」
「あっ、やっぱり?」
表情や態度に出さないように努めていたが、エリザとしても我慢の限界だった。
「あの子が止めに入らなかったら私が止めていたわよ」
「すまん」
「ううん。あなたが本気を出さないといけなかったっていうのもわかっているわ。でもやり過ぎよ」
「……反省してる」
実際、アトムからすれば余裕などではない。ただの親としての意地。エリザもそれをわかっているからこそ限界まで我慢していた。
「じゃあお仕置きね」
「えっ? ちょ、ちょっと待てって!」
ニコッとしているエリザの持つ杖の先端が光ると、すぐさま迸るのは鋭い雷。パリッと音を鳴らすとアトムに直撃する。
「なにしてるのあれ」
「……さぁ?」
遠くに見える痺れを見せているアトムとそれを見て笑っているローファス。まるで子どものようなその姿に疑問を持って見ていた。
「……とにかく向こうに行きましょうか」
「……はい」
アトムが振り下ろしている剣を両手の平で受け止めているローファスを見ながら合流する。
「何やってるの?」
「おう。気にすんな。ちょっと旧交を温めているだけだ」
いがみ合うアトムとローファスを見ながら呆れてしまった。親友とは言うものの、悪友なのだろうということはそれだけで十分見て取れる。
「にしても本当に強くなったな」
スッと身体を向けるアトムは先程まで対峙していた気配の一切を見せない穏やかな表情。
「結局また勝てなかったけどね。勝てるとも思ってなかったけど、まさか全く効かなかったなんて。さすがにショックだよ」
「ははっ、まだまだ息子に負けてたまるかって。そんな歳食ってねぇしな」
ケラケラと笑うアトム。
「それに全く効かなかったわけじゃねぇよ。かなり痛かったぞ?」
「ほんとに?」
「当り前じゃねぇか」
「ふむ。出掛ける前に中々に良いものを見せてもらった」
「そうね。ヨハンの成長が見られてお母さんも満足よ」
「え? 母さんたち、どこかに行くの?」
「ええ。ちょっとお母さんたち調べものをしていてね」
「……そぅ」
改めて見回して見ても不思議な感覚。国王や剣聖に校長など錚々たる人達の中にいる父と母。今回久しぶりに戦ってみてその高みは確かに実感したのだがそれでもどこか奇妙な感覚を抱いた。
(そんな人たちがしている調べものって?)
更に抱く疑問。一体何を調べているのか。恐らく聞いたところで教えてもらえないのだろうという程度の見解は抱く。
「やっぱりここにいた!」
「え?」
不意に遠くから聞こえて来て姿を見せたのはレインとモニカとエレナ。
「どうしてみんながここに?」
「いやいや、朝早くからモニカとエレナに叩き起こされたんだけど、ヨハンはもういなかったじゃないか? それで前はこの鍛錬場によく来ていたからここかなーって」
モニカもエレナも早速ヨハンを訪ねて訪室したのだが不在。そのため慌てて用意して探しに来ていた。
「それよりも、この状況はどういうことでしょうか?」
ヨハンの所在が掴めたこと以上に周囲にいる面々に疑問を抱くエレナ。そのまま父である国王、ローファスの姿を捉えて口を開く。
「まさかお父様までいらしているなんて」
ヨハンだけでなくこれだけの面々がいることが疑問でならない。
「ちょっとヨハン怪我しているじゃない!?」
「あっ、いや別に大丈夫だよ」
モニカが慌ててヨハンに近寄るのだが既に治癒は終えている。衣服にいくらかの破れがある程度。
「大したことではないエレナ。アトムとヨハンの模擬戦を見ていただけだ」
「「「えっ!?」」」
驚愕に目を見開いてエレナ達は三人揃ってアトムを見ると、ニカッと笑い返された。
「……そういうことでしたか。だったらわたくし達にも声を掛けてくれてもよろしいのに」
「だなっ。俺達もお前がどれぐらい強くなったのか見たかったぜ」
加えてレインは内心でヨハンとアトムにどれくらいの差があるのかということにも興味があった。しかしエレナがそのまま向ける視線の先にはカレン。
(カレンさんは見ていたようですわね)
突然ヨハンの婚約者の位置に就いたカレンに対して不安を抱く。様子を見る限り現状ヨハンがベタ惚れというわけではなさそうなのは見て取れるのだがそれでもどう対応していいものか。
(仕方ないですわね)
自身が知らない空白の期間を把握することから始めることを決める。
「え?」
不意にエレナの肩をポンと叩く手の平の感触。振り返るとシルビアの笑み。
「シルビアさん?」
一体どうかしたのかと首を傾げるのだがすぐさま悪寒が走った。
「では次にはお主等がこやつに実力を見せる番じゃな」
「えっ……?」
その発言の意味。わざわざ説明されなくとも理解する。レインはそーっと足音を消してその場を後にしようとしていた。
「えぇっと……いやぁ、あのぉ、シルビアさん?」
困惑しながらもエレナが返す笑み。
「それはちょっと遠慮したいなかなぁって。ほ、ほら、まだ朝も早いですし、女の子の朝は色々と準備をしなければいけないではありませんか。ご飯も食べないといけないかなって、思いますの」
「なにをぶつくさ言っておる。遠慮などいらんさ。さぁ行くぞ!」
すぐさま杖をレインに向けると魔力の網がレインを捕らえる。モニカは諦めて小さく首を振って息を吐いていた。
「エレナ?」
微妙に涙目を向けてくるエレナ。
「気にするな。いつものことだ」
「父さん?」
全く以て状況の理解ができない。
「シルビアさんも変わっていないようだな」
「まぁ……な」
「ラウルさん?」
隣で話しているラウルとアトムに疑問を抱くのだが、すぐにその言葉の意味を理解することになった。
「――……すご、い」
鍛錬場に降り注ぐシルビアの魔法の嵐。その凄まじさに驚嘆しながら、同時に対応しているエレナとモニカとレインの三人の連携がまた凄い。エレナ達からすればもう慣れたもの。
「それにしても、あの子達もあんなに強いのね」
カレンもまるで信じられない光景。確かにヨハンから事前に色々と聞いていたがその戦いぶりは想像以上。
「そうですね。僕が知ってる頃よりもみんな凄い強くなってます」
「当り前よ。私達が鍛え上げたのだからね」
「それにしても……」
まるで想像以上。
そのヨハンの横顔を見ながらニコリと笑みを浮かべるエリザ。
「あの子達、ヨハンと一緒に戦いたいって、それはもう必死だったわ」
元々エレナ達を鍛え上げるということはシルビアの発案なのだが、エリザとしても予定以上に指導に熱が入ってしまっていた。
「そぅ……なんだ」
自分自身も強くなったという自覚はある。同じようにしてエレナ達も強くなっていたことが素直に嬉しかった。
「その点じゃが、学年末試験でシェバンニが面白いことを考えておるようじゃから期待して良いぞ」
「面白いことってなんですか校長?」
「それは試験内容なので教えられん」
「……そうですか」
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