S級冒険者の子どもが進む道

干支猫

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紡がれる星々

第五百三十四話 壁画

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目を奪われていたのには他にも理由があった。
アーサー達が調べるようにして周囲の壁画を見ているのだが、それらの壁画には誰かを特定するような人物はほぼ描かれていなく、主に倒壊する建物や異形の魔物の画。

「ヨハンさん?」

そんな中、天井の壁画を見上げているヨハンとリシュエルの横に立つエレナ。

「どうかされましたか?」
「うん。あれって他の絵と感じが違うように見えて」
「あれっていいますと……――」

描かれている二人の人物。その人物にエレナは見覚えがある。

「――……あれは、もしかして、初代シグラム王?」
「え?」
「間違いありませんわ。あそこに描かれている二人の内の一人、建国の祖とされているシグラム王ですわ」
「あれが?」

それが事実たり得るのだと、エレナの言葉を肯定することが出来る人物がここにはもう一人いた。

「そうなんか?」

レインの問いに頷くマリン。

「ええ。見たことない? 玉座の間に描かれている絵を」
「……ってぇと…………?」

レインが目線を彷徨わせて思い出そうとする中、ヨハンもぼんやりと思い返す。

「もしかして、あのステンドガラスの人?」

顔までははっきりと描かれていなかったと記憶している玉座の間。

「はい。その髪の長い方が初代シグラム国王とされています」
「なるほどな。ではやはりこれらの絵が示しているのは人魔戦争ということだな」

呟くリシュエル。
かつて魔族の王、魔王が世界を混沌の渦に陥れていたとされるその千年前。描かれている壁画から読み取れるのはそれらを示唆するかのような画。

「人魔戦争…………だとすると」

そうなるともう一人描かれている人物画が気になるのだが、思い当たるのはそれが魔王だということ。

(この時代の魔王も人間の身体を器にしていた?)

描かれているいくつもの魔物や異形の存在。どれが魔物でどれが魔族なのかという具体的な線引きはできないのだが、それでもそれに類する存在なのだろうということはわかる。

「ねぇヨハン、あれって……」
「あれ?」

カレンの言葉に釣られるようにして視線を向ける先は、初代シグラム王と対峙する魔王と思しき人物が向かい合っているその少し後ろ。見るからに女性の画。

「あれは……――」

多くの画が描かれているその中に覚えがあるモノがあった。
女性が初代シグラム王へと送り出すようにして差し伸べられる手、円を描くかのようにして描かれているのは四つの小さな玉。赤・青・緑と色があるその中に一つだけ黄色い玉が埋め込まれている。

「――……カレンさん、あれってもしかして宝玉ですか?」

色は違うのだが、以前一度だけラウルに見せてもらった帝国の宝玉と酷似していた。

「やっぱりヨハンもそう思う?」
「はい」

カレンもソレには疑問を抱いて見ていた。

「ねぇ。あれが初代シグラム王ってことは、要は勇者ってことでいいのよね? だったらもう一人は魔王なのよね?」
「わからないけど、そうかもしれないわね」

断定はできないのだが恐らくという程度にそうであろうという見解。

「これが人魔戦争? そういえば小さい頃に聞いたことがあるわ」

ナナシーが思い返すエルフの里に伝わる御伽噺。それは世界樹の成り立ち。

「誰もそれを証明できないから事実かどうかわからない話よね?」
「ああ。人が主役の話だからエルフはさして興味がなかったのだろう。だが、こうしてその話と照らし合わせると共通点が多い」
「それって、どういう話なのかしら?」

問い掛けるスフィア。顎に指を持っていくサイバルがゆっくりと口を開く。

「あそこに描かれているのはエルフだな」

そうして指を差した先には耳の長い女性が描かれた別の画。

「簡単に言うと、かつて人と魔族の戦争がありエルフも手を貸すことになった。まだエルフと人が手を取り合っていた時代だな」

それは授業でも習う内容であり、今はもうほぼ見られない光景。言うなれば今のヨハン達とナナシーとサイバルのような、又はアトム達とクーナの様な関係性。

「そうしてエルフも手を貸すことになった人魔戦争なのだが最終的に人が勝った。ただそれだけのことなのだがな」
「それでシグラム王国が建国されたんだ」
「ああ。そこはお前たちも知っている通りだ。だが実はその話には少しだけ続きがあった。俺もこの目にするまでは信じられなかったのだが、ここに来てそれがこの場所だと確信したよ」
「この場所?」
「ナナシーも聞いたことあるだろう? 人魔戦争を終えた後、人とエルフで遺産を残したのだと」
「そんな話あったっけ?」

首を傾げて疑問符を浮かべるナナシー。その反応にサイバルは溜め息を吐きながら首を振る。

「覚えていないならいい。今そこは重要ではないからな。要は先程のその竜人族の男が言うのが事実であればそれがここのことなのだろう。それに人の方では人魔戦争が記された書物は既にないのだろう?」

詳細は定かではないが数百年前の大火事で記録の多くは燃えてしまったとされていた。

「人間の方で上手く伝わっていなかったのは口伝だからなのだろうな。恐らくそんなことが起きても受け継がれるようにしてこの地下遺跡が造られたのではないか」
「そっか」

確かに納得がいく部分が多くある。地下遺跡の頑丈さや巨大な石像で入り口が閉ざされていたことなど、その保管方法。消費される可能性のある歴史書よりは長く保たれる。
加えて、途方もない長い年月が経過したとなれば人の記憶に残されていないのも納得がいった。

「でもどうしてサイバルはそんなに詳しく知ってるの?」
「それは、恐らくエルフの寿命が関係しているのでしょう」

一連の考察を聞いていたエレナが口を開く。

「わたくし達王家でも受け継がれているように、エルフでも同様の話がある上に世界樹という存在の大きさ。何より、エルフの方が長命でより正確に伝えられる期間が人より長いので当然といえば当然ですわね」

全ては推測に過ぎないのだが、否定出来る者はこの場に誰もいない。
それらの情報も踏まえて壁画に描かれた画をもう一度順に見ていった。

「じゃあさ、これは人が結束して魔族やそれに従う魔物と戦っている画に見えるわね」
「ほんとだね。これもそういう風に見えるね」

戦争といえばいいのか、それは不特定多数、多くの生き物が描かれている画。

「それにしても、この当時って魔族がこれだけいたの?」
「さぁ? あたしにはよくわからないけどね」

カレンとニーナの二人が見る画。異形の存在を魔族だと仮定するのであればその数は明らかに多い。

(だとすれば、混乱した時代になれば魔族がもっと増える可能性があるということになるわね)

シトラスの手記とサリナスからサリーに移り変わる記憶を垣間見たカレンによる見解。人が魔族に転生するというのであれば、負の感情が混沌とした時代に於いては魔族が増すことは必至。
そうなれば、これだけの異形が描かれていることにも一定以上の納得がいく。

「じゃあこっちの平和そうなのは建国している様子ってことでいいのかな?」
「ええ。そういう風に見えますわね。あそこに小さく描かれているのはシグラムの紋章ですわね」

ヨハンとエレナが見ていたのは、人々が結束して何かを建てている画。農耕に建築などの様子。端に描かれている紋章はアーサーやスフィアの鎧に刻まれている紋章と一致していた。

「ねぇサイバル? もしかしてここがエルフの部分なのかな?」

ナナシーが立ち止まりジッと見るのはエルフが多く描かれている場所。

「だろうな」
「これぐらい今のエルフも人間と仲良くできればいいのに」
「今となっては難しいな。お互いに、人にもエルフにも問題があるのだからな」

人だけの問題でもない。エルフ側にはもう歩み寄ろうとする姿勢すらほとんどない。

「大丈夫よ。お互いいつかはわかり合えるはずよ」
「簡単に言うな。あまり無茶をすると命を落とすことになるぞ。過去を考えればわかるだろ」
「そんなことわかってるわ。わかって言っているのよ。でもね、私がきっとエルフと人との架け橋になってみせるわ」

はっきりとした決意を宿した瞳でナナシーはサイバルを見る。

「違うだろナナシー」
「レイン?」
「ナナシー一人だけじゃないって。それには相手が、俺達人間が協力することが必要だろう? だからさ、俺達でやるんだよ」
「……レイン」
「まったく。わたくしも手伝いますわよ。前にお父様の前ではっきりと宣言してしまいましたものね」
「……マリンちゃん」
「な、なによその顔」
「ううん。ありがとう」

ナナシーの笑みを見て顔を逸らすマリン。

「べ、別にあなたの為ではありませんわよ! そ、それにあなたは立場を弁えなさい。所詮はヨハンの使用人なのだからね!」
「そうね。でも今は任務中であってあなたと私は同列だもの。公的な場ではちゃんと呼ばせてもらうわ。マ、リ、ン、さ、まっ」
「ふぐっ。はぁ。ほんとあなたは図々しいわね」

ニコリとはにかむ様を見てマリンは頭を抱える。

「気の良い奴らが居て良かったな」
「はい」

それらのやりとりを横目に捉えるキリュウ。
獣人の混血であるキリュウとテレーゼにしてもそれは同じ。人間が抱える他種族への差別や偏見。究極的には恐れ。それは時には脅威として襲い掛かる。

(願わくば、この時代が再び訪れればいいのだがな)

描かれている混沌した様子の壁画とはまた別の壁画、見るからに平和な様子。その中にはエルフに限らず獣人もまた描かれていた。それは、今では考えられない光景、他種族が同じ場で生活を送っている。現代では南部のメトーゼ共和国がその国ではあるのだが、獣人が多く住むメトーゼであっても数百年争いが絶えなかった。
しかしそれよりも遥か昔、過去にもこうして手を取り合っているのであれば今であってもそれは可能。ナナシーの様子を眺めながら、キリュウも同じようにしてその未来を夢見る。

(それにしても、あの四つの玉にどんな意味があるんだろう?)

そんな最中、ヨハンが疑問を抱くのは最初に目を惹かれた画。遠目に再び視線を送っていた。
一体どんな意味があるのか一通り見たところで全く理解できない。

「気になるのでしょうか?」

ヨハンの視線の先を察したエレナが声を掛ける。

「……まぁ」
「でしたら、アレは持ち帰っても構わないですわ」
「え? いいの?」
「はい。ヨハンさんであれば預けても構いませんし、むしろどこかそうしなければいけないような気がしますの」

ただの直感でしかないが、確信を抱いていた。

「ナナシー、ニーナ、ちょっとこっちに来て下さいませ」
「え?」
「なに、エレナ?」
「あの天井の黄色い玉、二人で取ってきて」
「ああ。そういうこと?」

意図を察したナナシーが即座に地面へと手を着き魔力を練り上げる。

「ニーナちゃん」
「はいはいー」

芽吹く大きな双葉が急激に成長し、その上に跳躍したニーナが飛び乗った。
グングン伸びる植物が天井付近に到達するとニーナは黄色い玉を取り外す。

「よっと。はい、お兄ちゃん」

飛び降り、着地したニーナは黄色い玉をヨハンへと手渡した。

「ありがとう二人とも」

見れば見る程に宝玉にそっくり。違うのは色だけ。

「さて……――」

そこに響くのはアーサーの声。

「――……これ以上のことは今はわからないね。詳しい調査は帰って報告をしてからにしよう。まぁこの分だと私達の領分を越えるからあとは専門家に任せることになるだろうね」

全体を見回す。

「そういうわけで引き上げようか」

そうしてサンナーガ遺跡を後にすることになった。

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