転生したら、皇女でした

蜜柑

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一章

悪役令嬢

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「フェルティーナさんは火属性なのかしら」

「おねえさま、フェルティーナさんの髪色ですと炎属性だと思います。濃い赤色ですし」

フェルティーナさんの髪は美しい真紅色。癖っ毛なのか縦ドリルになり始めている…真紅の髪に青い瞳は、乙女ゲームの悪役令嬢の特徴でもあった。本編において私たちの弟にあたる皇子の婚約者として登場するご令嬢の名前は確かフェルティーナだったはず。

「あ、あの…一の宮様と二の宮様には同い年の弟君がいらっしゃいますよね」

「そうね、リツィア妃が男の子を産んでいるわ」

正直、この国では跡を継ぐのに男女は関係ない。そのため、何も起きない限りは皇帝夫妻の嫡子である私が跡を継ぐことになるだろう。ちなみにリツィア妃は第一皇妃で、第一皇子カルテンと第三皇女マリアンヌを産んでいる。あと2人皇妃がいるが、こちらには子はいなかったはず。

「カルテンがどうかした?」

「私、第一皇子様の婚約者候補らしいんです。貴族だから当たり前なのはわかってるんですけど…」

5歳児らしからぬ会話ではあるが、高位貴族の子女は人の上に立つに相応しい人間になるよう3歳くらいから教育される為割とみんなこんな感じらしい。

「フェルティーナさん、大丈夫よ。わたくしたちはまだ5歳ですもの」

「そうだといいんですけど…」

目の前のフェルティーナさんは、乙女ゲームのような悪辣な性格になるとはとても思えない可愛らしい子だ。私が絶対、守ってみせる。悪役になんてさせないから…
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