追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて

だましだまし

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3 我が家で準備

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帰宅とともにセイン伯爵家では上を下への大騒ぎとなった。
「お嬢様!この剣を!」
「いや!こっちの装備のが手入れが簡単だ!」
「いやいや傷薬をお持ち下さい!」
「バカ!携帯食料ありったけ用意だろ」
「アリア様!コレ使って下さい!」

わーわーわー…

うちの使用人は脳筋が多い。
色々考えるのが苦手だけど何とか用意を助けたいと考えてくれる優しい人たち…うん、ありがた迷惑。

「アリアお嬢様、奥様がこれを」
そんなドタバタの中、執事がそっと渡してきたのは我が家の財宝、マジックバックだった。
これは鞄の重さだけで大量の荷物が運べる魔法アイテム。
ダンジョンと呼ばれる魔物の巣窟でもある迷宮で強力な魔物を倒した時に運が良かったら手に入る物だ。
あと、もの凄く確率は低いが同じくダンジョンにある宝箱から出てくる事もある魔法アイテムの1つだ。

我が家は容量は違うがこの機能の鞄を3つ保有している。
一番容量の小さいものは今お父様が使っているらしい。

ということは…これは大型収納鞄だ。

「お母様…よろしいのですか?」
「王様が帰るまでの一ヶ月は最低帰れないと思ったほうが良いでしょう?もしディボラ様が行方を伏せると決められたら捜索期間が必要だから早くて三ヶ月くらいかしら…。皆様の家を回って衣服など入れておあげなさい。洗濯とか出来ないでしょうし」

お母様は周りの無駄にバタバタしてる使用人と別空間にいるかのように優雅にため息をついた。

「ただね、それは収納力があるだけの方ですから食料の扱いに気を付けなさいよ。本当はあの人の持っていったものが時止めの能力もあって便利なのだけど…」

鞄には二種類あり、中の時間を止める能力のあるものと無いものがある。
我が家の鞄のうち2つはこの能力があるのだが、渡された物はその能力の無い方だった。
ただ、お父様が持っていったものの収納力が馬車2台分程度なのに対して、これは30台分は軽く入るらしい。
我が家で一番容量のある鞄だ。

「流石にもう一つの鞄は貴重過ぎて勝手に渡せないけど…こっちなら良いでしょう」

最後の1つは容量も馬車25台分はあり時止めも出来るという王家でも持ってるかどうかレベルの正に宝物だ。
むしろ怖くて使えないわ。

お母様がニッコリそう仰ったタイミングで一緒に帰ってきたはずのアディがまた帰ってきた。
いつの間にか出かけていたらしい。

「あのバカ王子に上手いこと言って俺が国境まで連れてくことになったよー!」
「バカ王子は事実だけど外に聞こえたら不敬罪になるからダメよ~?」
お母様の注意も聞かれたら不敬罪…とは思ったけどぶっちゃけ家の中ではいつもの事だ。私もたまに言う。


渡された鞄に動きやすそうな服や装備品を色々、携行食をあるだけ詰めさせてもらい、あとはあれば便利そうだと思った物を片っ端から詰めた。

「他の家でも荷詰めの時間取るならそろそろ行かなきゃな。俺が各家に馬車で回って最後にエムセイノ家に寄って国境へ行くことになってる。エムセイノ家に第二王子の使いがいてちゃんと国外連れてくか見張るらしいぜ」

説明を聞きながら「これで行けと言われた」という馬車まで行くと…まぁボロい。
ギリギリ5人乗れるかなっていう小型馬車だし。

「荷物とかの事、考えてないわよね」
「うーん…考えてないのか嫌がらせでこの大きさなのかセドム王子だから分からないな…」

むしろ荷物が運べないよう考えてこれを選んだなら「そんな事考えれたんだー」って褒めてあげたい。
その場の感情で何でも決めるから目についた一番ボロくて小さいのを指定したとしか思えないんだもの。

「んじゃ行きますかっ!」
暑苦しい程の使用人たちの涙と、お母様の軽い「いってらっしゃーい」に見送られて私は国外追放されるために家を出た。
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