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序章

クリスタル・ファンタジア・オンライン始動

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 社長の問題発言から1週間色々とあったが、俺は既に両親を亡くし、祖父と共に俺を育ててくれた叔父も他界したので、俺は今の生活を捨てる事に躊躇いは無かった。

 まぁ、さすがに一生ゲームの中で生活する気は今の所無いが、親の遺産もあり、ネットでVRゲームや、昔からあるブラウザゲーなんかをやりながら生活していた。

 顔も知らない他人と交流するのは気楽だし、そんな関係の仲間にだって本当に親しくなり、オフで集まってバカ騒ぎするような友人も出来た俺は満足していた。

 クリスタル・ファンタジア・オンラインのβテスターには残念ながら当選する事は出来なかったが、1次募集は裏ルートで当選したのだが、奇跡的に当選を果たした事にして、友人達に報告したのだった。

 俺も当選した、私も、僕は駄目だったなどボイスチャットをしながら過ごしていたが、イザナギやイザナミのコクーンに場所が確保出来たという報告と、じゃ~またな!の言葉と共に昨日の晩に解散した。

 俺は現在、地下VR施設イザナギに繋がるエレベータから降りて、自分専用のコクーンに案内されている。
 ある程度の数で、プレイヤー毎に居住ブロックが分かれており、飲料や食料品から生活に必要な細々としたものまで、無料で受け取れる。

 果ては、アミューズメント施設総合施設まで存在しており、地上施設顔負けの設備揃いである。 シアターやスパリゾート並みのレジャー施設に加えて、洒落た感じのバーなんかまで併設されている。
 ゲームしにきたはずなのに、どこぞの国の核シェルターに来たみたいである。

 それは置いておいて、プレイヤー同士の情報交換や交流専用のメインサテライトと名付けられた部屋が全ての区画の中央にあった。
 ここでは、サーバー間の壁無く、直接情報交換やアイテムデータのトレード、サーバー移動の手続き等が可能であり、なんと親しくなった相手と本当に結婚したりする手続きなんかまで出来るという、ビックリ箱であった。

 かなり広大な部屋なので、友人と待ち合わせしても相手を見つけるのに一苦労だ。
 そこで登場するのが、AIによるフレンド検索システムだ。
 フレンドからの検索許可が下りていれば、AI検索システムが知り合いの居場所や、イザナミサイドとの連絡まで請け負ってくれる。
 さらに驚きなのがイザナミ~イザナギ間は、直通の船便が4時間毎に一便、毎日欠かさず日に6便運航されている事だろう。

 プレイヤー同士の交流の為だけにここまでやっているわけではないだろうが、これはこれでコストも必要となってくるはずなのに、無料で提供されているというのが信じられない。

 他にも色々あるのだが、キリが無いのでこのあたりにしておこう。
 
 そんな至れり尽くせりの施設内にある、自分専用のVRコクーンが設置されている、これまた豪華な個室に移動した。
 個室の入り口と入口の間隔だと、それほど広くは無いだろうと予想していたのだが、2LDKとか普通に暮らしていれば、一人で住む事など無いであろう広い空間がそこにあった。

 設置されているVRコクーンも最新式らしく、栄養状態や肉体状況などがAIによるしっかりとした管理の下で行われており、VRコクーンをしている間に筋力が衰えたりしないように微弱な振動や刺激が肉体に与えられるようになっている。
 
 全感覚没入型である為、特殊な溶液に満たされたコクーンの内部では、機械によって栄養剤の投与から排泄等の生理的な部分の管理まで全て行われ、バイタルサインに異常があれば、すぐにスタッフが駆けつけられる体制が整えられているそうだ。

 サービス開始まであと8時間、キャラクターの外見やステータスポイント等の初期設定などでも時間をある程度使うので、少し早めにログインする事をお勧めするとの事だったので、どうしようか?

 チュートリアルなんかも受けられるらしいし、時間が空いてもあっちで時間潰しをする事が出来るとの事なので、俺もそろそろ行くとしようか。

 コクーンの近くには管理AIが搭載されているアンドロイドが待機している
 ちなみに、男性型と女性型から選択するように事前に通知が来ていたんだ。
 当然、俺は女性型を選んだけどな!理由は?...恥ずかしいだろ言わせんなよ(笑)
 
 ちなみにどうでも良いことだけど、本当にどうでもいいことだけど、本物の人間と同じ構造であり、全ての機能が備わっているそうです。
 当然、使用者の年齢やらを判断してAIが適切な行動を取るそうなのでアレですし、そもそも何故か好感度とかいうパラメーターまで設定されているとかなんとか。

 外見は膨大なサンプルから好きな組み合わせを選択、発注が可能であった。
 そりゃ、人によってはマジで一生ここで過ごす人もいるんだし、好きな外見である方が良いに決まっているが...........要するに大多数の人間は、膨大な時間を使って【俺の嫁】を作ったわけだ(ゲス顔) ちなみに、サポートは不要とか、落ち着かないから明らかに機械であるとわかる外見が良いという希望もあったとか。

 「いらっしゃいませマスター、これからマスターをサポートさせていただきます。管理AIアリシア搭載、タイプヒューマノイド女性型1533号です。初期設定として私に命名をお願いします。」

 そこには俺の理想の一つを形にした美しい美少女が立っていた。
 銀髪に赤目、白雪のような白い肌で、160CMくらいの身長にスタイル抜群のワガママボディである。
 ちょっとタレ目で鼻は低め、髪はポニーテールで、癖の無いストレートなロングヘアーを腰まで伸ばしている。
 抱きしめたら折れてしまいそうな腰から、細くてスラッと伸びた足......テンション上がってきたーーー!
 
 「名前は色々考えて来たんだけどねぇ....偶然だが君の番号が1533っていうのが運命的だな、俺は昔の歴史とかを調べるのが大好きでさ、君の型番はイングランドっていう国の初代女王様の出生年と同じだね.....だからそうだなぁエリザベス女王様から少しだけ名前を貰って、【エリー】っていうのはどうだろう?」
 
 「すごく気に入りました、マスターありがとうございます。これからはエリーとお呼びください」

 「うんうん、そう言って貰えると嬉しいよ。よろしくね!エリー。それじゃあさっそくコクーンの起動に入りたいんだけど良いかな?」

 「それでは、服を全て脱いでVRマシーンにご搭乗ください。起動準備開始いたします。」

 全て服を脱いだ後、溶液に満たされたVRマシーン内部に入る、溶液内で呼吸が不要になるように肺の中から空気を全て吐き出し、溶液で満たす瞬間がちょっとだけ苦しいらしいが、俺は別にどうという事は無かった。
 誤って溶液を飲んでも人体には影響がないらしいが、口に含んだ瞬間、わずかに甘い感じがしたのでちょっとだけ飲んでみたのはナイショである。

 「起動完了しました。マスターの体に自動で専用の器具が装着されますので、しばらくご辛抱ください.....完了いたしました。それではVR空間へのダイブを開始します。」

 頭の中に直接エリーの声が響いてくる。なるほど、こんな感じなんだな。

 「ありがとう、それじゃいってくるよ!エリー」

 「はい、それでは良い旅路を祈っております。カウントダウン開始。3・2・1・ダイブ」

 微笑んでいるエリーを見ながら、俺の意識は霧が出た道のようにだんだんと....途絶えた。 
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