49 / 266
第1章 異世界でも俺はこき使われる
48
俺は背中の荷物を慶介にバレないようこっそり探った。
幸いにも、周りの激しい戦いの音のおかげで奴に気づかれることはなかった。
だが、荷物の中に入っているのは、干し肉や水などの食料などばかりで、出発前に断捨離した自分を呪った。
こんなことなら置いていくんじゃなかった……!
半ば諦めながら探っていると、手の先に固いものが触れた。
取り出すと、それは蓄音貝だった。
そういえばチェルノが蓄音貝を破壊した後、ジェラルドが「これ、内緒ね」と怖い笑みで言って、こっそり入れたのだった。
恐らく、チェルノにばれることを予期していくつか隠し持っていたのだろう。
その時は、傍迷惑な荷物を増やさないでくれとげんなりしていたが、今はそれが砂漠の中で見つけた水のように有り難いものに見えた。
蓄音貝が割れた時、アーロンがチェルノの俺の喘ぎ声とチェルノのそれが似ていると言っていた。
そして、認めたくない事実だが、慶介は俺に対して異常な執着心を持っている。
そこにこの蓄音貝を使えば、多少なりとも奴を動揺させることはできるのではないか。
もちろん火に油を注ぐ結果になる可能性もあるけれど……。
でも……。
苦戦するみんなの様子を見る。
……このまま待っていても負けてしまう。
それなら一か八かでやってみよう……っ!
俺は蓄音貝をぎゅっと握りしめた。
そして、
「うぉぉぉぉ!」
慶介の足下をめがけて蓄音貝を投げつけた。
パリン、と悲鳴のような音が飛び散ったと同時に、甲高い喘ぎ声が辺りに響きわたった。
場違いで、しかも強烈なその声に、敵味方関係なくそこにいる者すべてが動きを止めた。
慶介は目を見開いて、割れた貝殻を凝視している。
すると、俺の読み通り、慶介の手中の玉が灯火が風で揺れるように歪み萎びた。
「うがぁ……っ」
玉と同調して、魔王もその場にガクンと膝をついた。
その隙をアーロンとドゥーガルドが見逃すはずがなかった。
二本の刃が魔王の体を貫く。
「がぁぁぁぁぁぁ……っ!」
最後の力を振り絞るような声で叫んで、魔王はそのまま倒れてしまった。
「……っ!」
魔王が床に伏したと同時に、慶介も膝から崩れた。
どうやら魔王の食らったダメージが慶介の体にも襲ったようだ。
反射的に慶介の元に駆け寄ろうとしたが、
「ソウシ!」
アーロンとドゥーガルドに呼び止められて、ハッとした。
そうだ、いくら幼なじみだろうと、良心が痛もうとも、コイツに近寄ったらだめだ。
もし近づいたら……、考えるだけでもぞっとする。
俺はゆっくり後ずさり、慶介から少し距離を置いたところで猛ダッシュでみんなのもとに駆けて行った。
背後に突き刺さる視線を感じたが、目をつむって気づかない振りをした。
幸いにも、周りの激しい戦いの音のおかげで奴に気づかれることはなかった。
だが、荷物の中に入っているのは、干し肉や水などの食料などばかりで、出発前に断捨離した自分を呪った。
こんなことなら置いていくんじゃなかった……!
半ば諦めながら探っていると、手の先に固いものが触れた。
取り出すと、それは蓄音貝だった。
そういえばチェルノが蓄音貝を破壊した後、ジェラルドが「これ、内緒ね」と怖い笑みで言って、こっそり入れたのだった。
恐らく、チェルノにばれることを予期していくつか隠し持っていたのだろう。
その時は、傍迷惑な荷物を増やさないでくれとげんなりしていたが、今はそれが砂漠の中で見つけた水のように有り難いものに見えた。
蓄音貝が割れた時、アーロンがチェルノの俺の喘ぎ声とチェルノのそれが似ていると言っていた。
そして、認めたくない事実だが、慶介は俺に対して異常な執着心を持っている。
そこにこの蓄音貝を使えば、多少なりとも奴を動揺させることはできるのではないか。
もちろん火に油を注ぐ結果になる可能性もあるけれど……。
でも……。
苦戦するみんなの様子を見る。
……このまま待っていても負けてしまう。
それなら一か八かでやってみよう……っ!
俺は蓄音貝をぎゅっと握りしめた。
そして、
「うぉぉぉぉ!」
慶介の足下をめがけて蓄音貝を投げつけた。
パリン、と悲鳴のような音が飛び散ったと同時に、甲高い喘ぎ声が辺りに響きわたった。
場違いで、しかも強烈なその声に、敵味方関係なくそこにいる者すべてが動きを止めた。
慶介は目を見開いて、割れた貝殻を凝視している。
すると、俺の読み通り、慶介の手中の玉が灯火が風で揺れるように歪み萎びた。
「うがぁ……っ」
玉と同調して、魔王もその場にガクンと膝をついた。
その隙をアーロンとドゥーガルドが見逃すはずがなかった。
二本の刃が魔王の体を貫く。
「がぁぁぁぁぁぁ……っ!」
最後の力を振り絞るような声で叫んで、魔王はそのまま倒れてしまった。
「……っ!」
魔王が床に伏したと同時に、慶介も膝から崩れた。
どうやら魔王の食らったダメージが慶介の体にも襲ったようだ。
反射的に慶介の元に駆け寄ろうとしたが、
「ソウシ!」
アーロンとドゥーガルドに呼び止められて、ハッとした。
そうだ、いくら幼なじみだろうと、良心が痛もうとも、コイツに近寄ったらだめだ。
もし近づいたら……、考えるだけでもぞっとする。
俺はゆっくり後ずさり、慶介から少し距離を置いたところで猛ダッシュでみんなのもとに駆けて行った。
背後に突き刺さる視線を感じたが、目をつむって気づかない振りをした。
あなたにおすすめの小説
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
「ねぇ、俺以外に触れられないように閉じ込めるしかないよね」最強不良美男子に平凡な僕が執着されてラブラブになる話
ちゃこ
BL
見た目も頭も平凡な男子高校生 佐藤夏樹。
運動神経は平凡以下。
考えていることが口に先に出ちゃったり、ぼうっとしてたりと天然な性格。
ひょんなことから、学校一、他校からも恐れられている不良でスパダリの美少年 御堂蓮と出会い、
なぜか気に入られ、なぜか執着され、あれよあれよのうちに両思い・・・
ヤンデレ攻めですが、受けは天然でヤンデレをするっと受け入れ、むしろラブラブモードで振り回します♡
超絶美形不良スパダリ✖️少し天然平凡男子
平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます
クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。
『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。
何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。
BLでヤンデレものです。
第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします!
週一 更新予定
ときどきプラスで更新します!
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。
※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました!
えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。
※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです!
※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!