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第3章 異世界で溺愛剣士の婚約者!?
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俺たちが謁見の間に着いた時、すでに多くの人が集まっていた。
謁見の間の奥には王様が座る豪奢な玉座が据えられていて、扉からそこに向かって真っ赤なの絨毯が敷かれていた。
その絨毯を挟むように、左右にアーシャと同じ制服を着た人や城の衛兵らしき屈強な男たち、さらにはいかにも貴族のお偉いさんといった感じの人たちが立ち並んでいた。
俺はアーシャに手を引かれるがまま、銀の翼のメンバーが整列している中に入り込んだ。
「ふふっ。ね? 言った通りうまくいったでしょ?」
アーシャが得意げに微笑んでこっそりと耳元で囁いた。
確かに、部外者である俺が何の問題なく帰還式に紛れ込むことができたのはアーシャの閃きのおかげだ。
だが、正直なところうまくいって嬉しい作戦ではなかった。むしろこの作戦の成功は男としての敗北すら覚える。
「……なぁ、やっぱり俺、応接間に戻っていい?」
「えー! なに言ってるの、ダメに決まってるでしょ!」
「いやぁ、でもクロのこともやっぱり気掛かりだしさ」
もちろん気掛かりというのは全くの嘘で、この場から去るための方便だ。
本当は一緒に来たがったが、さすがに動物は入れないとのことで、俺の着替えを誰にも取られないように見張るという、重要任務を与えて応接間に置いてきた。
もちろん重要任務どころか無駄な心配の類なのだが、そうでも言わないとクロが何がなんでもついてきそうだったので、あえてそう言って残してきたのだ。
「大丈夫だよ。クロろん『任せておけ』って力強く言ってたじゃない」
「いや、まぁ、そうなんだけどさ……。でもいつバレるか分からないし……。それにさすがにあいつらは気付くだろ。こんな姿あいつらに見られたら何て言われるか……」
暗い溜め息を吐いて俯くと、ミニスカートの裾から伸びる黒タイツの自分の脚が目に入って、一段と気分が暗くなった。
事の発端は、チェルノの正装姿をなにが何でも見たいがチェルノからの信用はなにが何でも失いたくないという、アーシャの身勝手な葛藤の末に生まれた閃きだった。
「ソウちゃんも白銀の翼の制服を着て紛れ込めばいいのよ!」
「え?」
それは究極の状態で冷静さを失った人間が苦し紛れに思いついたとしかいえないふざけたものだった。
「いや、それはさすがにやばいんじゃ……」
スパイなどの悪意ある目的ではないとはいえ、変装までして王直属の組織に紛れ込むのはバレた時のリスクが高い。そんな危険を冒してまで帰還式に出る気概もメリットも俺にはない。
だが、アーシャにはあった。
「大丈夫だよ! 人が多いからこの制服を着て黙って混じってれば、よっぽど大きなヘマをしない限りバレないって! 私も傍にいるし」
そう言って説得にかかってくるアーシャの瞳には、チェルノの約束を守り、且つ彼の正装姿を見る方法はもうこれしかないという盲目的な意志が溢れ出ていた。
その目に気圧されつつも、そんなリスキーな提案に乗るわけにはいかないと、俺は怯む心を叱咤して口を開いた。
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