9 / 15
9
しおりを挟む
「あ、ああ、言ったな。……ちなみに、そのお願いっていうのは〝ソレ〟とは関係ないよな?」
膨れ上がったズボンに視線をやりながら、恐る恐る訊く。
下半身の膨らみも、さっきから全身を舐め回すような視線も、どうかその願いとは無関係でありますように……! と切に願うシリル。
しかし、神は残酷だった。
「ふふっ、さすが僕のシリル。賢いね。その通り、僕の願いに関係大アリだ」
「ぎゃぁぁぁ!」
言葉にせずとも答えが分かったシリルは、半狂乱で叫んだ。
「こ、こここ、この変態ッ! 動物をなんて目で見てんだ!」
「何を言ってるの? シリルは今、人間の姿じゃない。まぁ、もっともシリルのことを動物だなんて思ったことは一度もないけどね」
「なにとんでもない告白してくれてんだ!」
どうやら猫の可愛さで人類滅亡を願う心の闇は癒やせたが、代わりにとんでもない新たな心の闇を生んでしまったようだ。
「や、やだやだ! 絶対に無理! というかそんな大きいのが俺の中にはいるわけないじゃん!」
「ふふふ。そんな大きいの入らない……なんて誘ってるみたいだね」
「なんでそうなる! 普通に考えて全力の拒否だろうが!」
うっとりと目を細めるギディオンに半泣きで訴えるが、全く話が通じない。
「まぁでも、いくら拒否してもだめだけどね。だって僕らは魔術師と使い魔。僕の命令は絶対だ」
そう言ってシリルの胸元に手をかざすと、鎖骨下に契約紋が光を帯びて浮かび上がった。
(い、嫌な予感しかしない……!)
シリルはゴクリと唾を飲み込んだ。
「使い魔シリル・モーラン、契約の名のもとに命ずる。――自ら脚を開き我が欲望を受け入れろ」
「うわぁぁぁ! 格調高く何とんでもない命令してんだ!」
しかしどんなに叫ぼうとも、使い魔のシリルが主であるギディオンに逆らえるはずもなかった。
両膝の裏を抱えて、ギディオンの命令通りに股を開く。
「い、いやだっ、見るな……っ」
命令に抗い脚を閉じようとするが、全く体が言うことをきかない。
今までギディオンがシリルに強制命令を使ったことなど一度もなかったのですっかり忘れていたが、使い魔は主に絶対服従なのだ。
そんな当たり前のことを改めて痛感して、シリルはぶるりと背中を震わせた。
「ふふっ、恥ずかしがることないのに。いつも仰向けになって誘うように見せつけていたじゃない」
「あれは腹を見せていただけだ!」
うっとりととんでもないことを言うギディオンに、思わず声を荒らげた。
猫が腹を見せるのは信頼の証しであり、これをされた人間はその無防備な可愛さと健気さにもう虜になるしか他ない。
だからあれはギディオンの心の闇を癒やすための行為であり、断じて性的な意味は微塵もないのだ。
膨れ上がったズボンに視線をやりながら、恐る恐る訊く。
下半身の膨らみも、さっきから全身を舐め回すような視線も、どうかその願いとは無関係でありますように……! と切に願うシリル。
しかし、神は残酷だった。
「ふふっ、さすが僕のシリル。賢いね。その通り、僕の願いに関係大アリだ」
「ぎゃぁぁぁ!」
言葉にせずとも答えが分かったシリルは、半狂乱で叫んだ。
「こ、こここ、この変態ッ! 動物をなんて目で見てんだ!」
「何を言ってるの? シリルは今、人間の姿じゃない。まぁ、もっともシリルのことを動物だなんて思ったことは一度もないけどね」
「なにとんでもない告白してくれてんだ!」
どうやら猫の可愛さで人類滅亡を願う心の闇は癒やせたが、代わりにとんでもない新たな心の闇を生んでしまったようだ。
「や、やだやだ! 絶対に無理! というかそんな大きいのが俺の中にはいるわけないじゃん!」
「ふふふ。そんな大きいの入らない……なんて誘ってるみたいだね」
「なんでそうなる! 普通に考えて全力の拒否だろうが!」
うっとりと目を細めるギディオンに半泣きで訴えるが、全く話が通じない。
「まぁでも、いくら拒否してもだめだけどね。だって僕らは魔術師と使い魔。僕の命令は絶対だ」
そう言ってシリルの胸元に手をかざすと、鎖骨下に契約紋が光を帯びて浮かび上がった。
(い、嫌な予感しかしない……!)
シリルはゴクリと唾を飲み込んだ。
「使い魔シリル・モーラン、契約の名のもとに命ずる。――自ら脚を開き我が欲望を受け入れろ」
「うわぁぁぁ! 格調高く何とんでもない命令してんだ!」
しかしどんなに叫ぼうとも、使い魔のシリルが主であるギディオンに逆らえるはずもなかった。
両膝の裏を抱えて、ギディオンの命令通りに股を開く。
「い、いやだっ、見るな……っ」
命令に抗い脚を閉じようとするが、全く体が言うことをきかない。
今までギディオンがシリルに強制命令を使ったことなど一度もなかったのですっかり忘れていたが、使い魔は主に絶対服従なのだ。
そんな当たり前のことを改めて痛感して、シリルはぶるりと背中を震わせた。
「ふふっ、恥ずかしがることないのに。いつも仰向けになって誘うように見せつけていたじゃない」
「あれは腹を見せていただけだ!」
うっとりととんでもないことを言うギディオンに、思わず声を荒らげた。
猫が腹を見せるのは信頼の証しであり、これをされた人間はその無防備な可愛さと健気さにもう虜になるしか他ない。
だからあれはギディオンの心の闇を癒やすための行為であり、断じて性的な意味は微塵もないのだ。
698
あなたにおすすめの小説
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
転生したらスパダリに囲われていました……え、違う?
米山のら
BL
王子悠里。苗字のせいで“王子さま”と呼ばれ、距離を置かれてきた、ぼっち新社会人。
ストーカーに追われ、車に轢かれ――気づけば豪奢なベッドで目を覚ましていた。
隣にいたのは、氷の騎士団長であり第二王子でもある、美しきスパダリ。
「愛してるよ、私のユリタン」
そう言って差し出されたのは、彼色の婚約指輪。
“最難関ルート”と恐れられる、甘さと狂気の狭間に立つ騎士団長。
成功すれば溺愛一直線、けれど一歩誤れば廃人コース。
怖いほどの執着と、甘すぎる愛の狭間で――悠里の新しい人生は、いったいどこへ向かうのか?
……え、違う?
幼馴染みのハイスペックαから離れようとしたら、Ωに転化するほどの愛を示されたβの話。
叶崎みお
BL
平凡なβに生まれた千秋には、顔も頭も運動神経もいいハイスペックなαの幼馴染みがいる。
幼馴染みというだけでその隣にいるのがいたたまれなくなり、距離をとろうとするのだが、完璧なαとして周りから期待を集める幼馴染みαは「失敗できないから練習に付き合って」と千秋を頼ってきた。
大事な幼馴染みの願いならと了承すれば、「まずキスの練習がしたい」と言い出して──。
幼馴染みαの執着により、βから転化し後天性Ωになる話です。両片想いのハピエンです。
他サイト様にも投稿しております。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
カメラ越しのシリウス イケメン俳優と俺が運命なんてありえない!
野原 耳子
BL
★執着溺愛系イケメン俳優α×平凡なカメラマンΩ
平凡なオメガである保(たもつ)は、ある日テレビで見たイケメン俳優が自分の『運命』だと気付くが、
どうせ結ばれない恋だと思って、速攻で諦めることにする。
数年後、テレビカメラマンとなった保は、生放送番組で運命である藍人(あいと)と初めて出会う。
きっと自分の存在に気付くことはないだろうと思っていたのに、
生放送中、藍人はカメラ越しに保を見据えて、こう言い放つ。
「やっと見つけた。もう絶対に逃がさない」
それから藍人は、混乱する保を囲い込もうと色々と動き始めて――
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる