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奈落の館
奈落の館
しおりを挟む光明寺博士の研究所に一瞬のうちに移動した私は目の前の巨大な丸い筒のようなものに驚愕している。カチカチと音を立てて計算したり正面にあるスクリーンには世界中のあらゆる場所が映し出されている。
「ミセスかの子。驚きましたか?これは世界で最高水準のスーパーコンピューター!私が開発した傑作の一つです」
光明寺博士は誇らしげに私を見下ろして言う。私は床に伏したまま、何もできないでただ光明寺博士を見つめていた。
「ミセスかの子。私が開発した3つのコンピューター。この巨大なコンピューター、この小型のスマホ型コンピューター、そしてあなたが持っている玉。これらを駆使すれば世界は平和になる。
しかし、愚かにも私に歯向かう者達が出てくるでしょう。簡単に殺してもいいが、それでは平和的では無い。そこであなたの玉で信者にした者達を洗脳していただきたいのです。今すぐ!」
光明寺博士は私にさらに大きな声で言った。
「洗脳してどうするんですか?」
光明寺博士はニヤっと笑い、私にこう言った。
「人間兵器になってもらいます!ロボットを使ってもいいが人間というのは、いざとなると計算できない力を出す。そこが狙いでもあります」
私は言葉を疑った。平和ばかり謳うのに、人を平気で殺しても良いというんだろうか?
私は頭が変になってきた。
「私はそんな恐ろしいことに協力できません」
「まだ、そんなことを言うんですか?真の平和の為には多少の犠牲は必要です。わからないですか?彼らはあなたを慕ってきた。そんなあなたに洗脳されれば、喜んで死ぬというものですよ。神仙様」
私はもう戦うしかないと思った。私の持つ玉が光明寺博士のコンピューターにどれだけ通用するのかわからない。でも、やらなければみんなが……尚輝も真希も静佳も。
私は玉に念じた。光明寺博士の体が金縛りになるように。
しかし、光明寺博士は平気な顔でいる。
「フハハハハ!あなたの心も体も動きはこのコンピューターが知らせる。私はただ簡単に操作するだけ。もう悪あがきはやめましょう。ミセスかの子」
「嫌です!私は死んでも構いません!あなたの言うことは聞きません!」
光明寺博士は仕方ないとばかりにコンピューターのスクリーンを操作した。
そこには尚輝が映っていた。手足を縛られている。
「あなたの最愛の人に死んで貰いますか?それとも私の言うことを聞いて、あの者どもを洗脳しますか?」
私は尚輝の姿に叫び泣き出しそうになった。でも、何とかこらえた。光明寺博士をなんとかするまでは……。
突然、尚輝が苦しんだ。かなりの苦しみようだ。
「ミセスかの子、返事が遅いので尚輝さんには死んで貰いますか?あなたがOKすればそれで尚輝さんも助かりますよ」
「やめて!お願いだから!尚輝には何もしないで!この通りです!」
私は取り乱しながら光明寺博士にお願いをしている。ここまでされては冷静でいられない。
「返信は!ミセスかの子!」
光明寺博士が睨みつけてそう言う。
「……わ、わかりました。あなたの言う通りにします……」
私がそういうと光明寺博士は勝ち誇ったような嬉々とした顔をして大笑いした。
『ハハハハ!ハハハハ!よろしいミセスかの子。では、今すぐに行なって下さい!」
私は玉に念じた。今、尚輝や真希や静佳がここにいるなら久米さんもいるはず。ならみんなをまずは救い出して、それから光明寺博士の言うことを聞こう……私は……私がしようとしてることをすれば必ず殺される。それでもいい。みんなが無事なら……。
私が尚輝達を救い出すように念じると玉は虹色に輝いた。その後玉は元の静けさに戻った。
「???何をした?何も変わって無いではないですか」
光明寺博士が厳しい顔をして私を見つめて言う。私はもう覚悟はできている。
みんな、さよなら……ありがとう……尚輝、大好きだよ……。
光明寺博士がスマホのようなコンピューターを操作している間、私はさらに玉に願いを込めて念じようとしていた。
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