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第1章最弱魔王は魔界で頑張ると決めたそうです
第1話 悪魔から魔王に選ばれた少年
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少年は何も出来ず、何もなし得ず、生きた証も残せない・・・・・・。
少年はいつかした約束も守れず、果たす事も出来ない・・・・・・。
少年は自分がしたかった事も出来ず――死んだ・・・・・・――。
病室のベッドに独りのジャージ姿の少年が横になっている。少年の名は――サタン。サタンの周りには白衣を着た中年の男と一人の若い女がいる。
ピーーーーーーー・・・・・・――、という音と共にサタンの心臓の鼓動が遅く弱々しくなっていく。
「先生!! 患者さんの容態が!!」
「AEDを早く!!」
「はい!!」
あぁ・・・俺、死ぬのか・・・・・・――
遠くなっていく意識の中、サタンは体が冷たくなっていくのを感じていた。
もっと・・・もっと生きたかった・・・・・・!
消えてゆく命の中サタンは思った。
サタンはかろうじて目を開けて周りに視線を送る。
やっぱり・・・誰もいない・・・か・・・そう・・・だよな・・・俺なんかを心配してくれる人なんて・・・いない――いや、一人だけいてくれるか・・・
「先生!! もうやっても意味ないと思いますし止めましょう」
「そうですね・・・まったく、めんどくさい患者さんを引き受けてしまったものです」
女に先生と呼ばれた男はサタンが死んだと分かるとさっさと手を止め、態度をさっきとはまるで違うように変えた。
「そうですね~でも、意外と早く死んでくれて良かったですね。何年も何年も私達に迷惑をかけて本当に邪魔な患者さんでした」
先生と呼ばれた男と白衣を着た女がそんな話をしている中、勢いよく病室の扉が開いた――
「はぁはぁ!! そんな・・・」
病室を開けた者はサタンの姿を見て落胆し、手を地につけた―――。
僅か18歳のサタンは誰にも看取られず独り死んだ――。
ここ、は――?
目を開けたサタンは暗い暗い所に浮いていた。何もない。時の流れさえも感じない。
どっちが上でどっちが下でどっちが右でどっちが左さえも分からずサタンはただ浮かび続ける。
――これから俺はどうなるんだろう? 噂に聞く天国という場所へ行くのか、それとも地獄という場所へ行くのか・・・
そんな事を考えながら浮かび続けていると、突如空間に白い光の円が浮かび上がった。
白い光の円の中からピョコッと頭が突き出る。
「う~ん・・・よいしょっと・・・・・・ふ~ようやく出られました~!」
白い光の円を通って一人の少女が何もないはずの場所に降り立った。
「私もまだまだ未熟者ですね・・・ただの召喚魔術・・・もといワープを使うのにこんなにも魔力を使ってしまうなんて・・・」
少女は一人ぶつぶつと呟いていた。少女は赤い髪を背中まで伸ばしている。目をハッキリと大きく端整な可愛い顔をしている。
黒い服を着て、白いスカートをはいている。黒い服は小さいのか胸の部分が少しきつそうに見える。
「おい! お前は誰なんだ――っ!」
サタンは叫んだつもりだったが声が出ない。
少女はサタンが自分を見ながら浮いている事に気づくと礼儀正しい仕草で挨拶した。
「こんにちは、初めまして。私はアズラ――アズラ・イルと申します。魔界の地で召喚悪魔というのをやっています」
「・・・・・・」
サタンは答えようとしても声が出ない。
「ああっ! 忘れていました! 今のあなたは霊体でしたね・・・」
アズラは背中から二本の黒い翼を出し、サタンの元へと飛んでいく。
「自分に言い聞かせて下さい。降りろ降りろ、と」
サタンは言われた通りにした。すると、どっちが下かも分からなかったのにサタンの体は今いるところよりは確実に下に降りた。
アズラもサタンの後に続く。
「そして、次は想像してください。自分の姿を――」
サタンはまたも言われた通り自分の姿を想像した。短い黒髪、顔はイケメンでもブサイクでもない普通の顔。服は紺色のジャージ上下。
すると、サタンの顔と髪、ジャージが死ぬ前と同じに戻った。
「こ、これは・・・」
サタンは自分の手に力を入れてグッパーグッパーする。
「う、動く! 俺は死んだはずなのにどうして・・・・・・!?」
「ここはまだあの世とこの世の狭間ですからね。自分の思いしだいではこんな事も出来るんですよ」
アズラが答える。
「っと、そんな事をしている場合じゃありませんでした。では、改めまして・・・初めまして、私はアズラです!」
アズラは再び礼儀正しく挨拶する。
「初めまして・・・だと?」
「はい、初めましてです!」
「お前は何者だ? いきなり現れて悪魔!? それにあの白い光の円は何なんだっ!?」
サタンは意味の分からないアズラに挨拶をせずに質問攻めをする。
「ごめんなさい! いきなりの事で驚かしてしまいましたね。では、順番に説明させていただきます」
「まず、私は正真正銘の悪魔です! この翼を見れば分かると思います」
アズラは翼をバサバサと動かして見せた。
「次にあの光の円は私が出した召喚魔術・・・もといワープです。あのワープ内に入るとどこへでも行くことが出来ます」
淡々と説明を続けるアズラ。
「本当に悪魔なのか・・・・・・って事は俺は魂を抜かれて消滅させられたりするのか・・・?」
「そんな物騒なことしませんよ!」
アズラは首を横に振りながら答えた。
「そうなのか?」
「はい」
「本当に消滅させられたりしないんだな・・・?」
「はい! もちろんです!」
「じゃあ、なんでもいいから早く天国へ行くのか地獄へ行くのか教えてくれ」
サタンはアズラが自分をどうこうしない事を理解すると投げやりな感じで言った。
すると、アズラはまたも首を横に振って答えた。
「いいえ、あなたは天国へも地獄へも行く事が出来ません――と、言いますか、行く必要がありません」
「なっ・・・!? じゃあ、俺はどうなるんだ!? 一生ここにいろってか!?!?あっ・・・もう死んでるから一生ってことはないか・・・と、とにかく俺はどうなるんだ!?」
サタンはアズラに迫って聞いた。
ふざけるんじゃねぇ! こんな何もない所にずっといるなんて耐えられねぇ!
するとアズラは、逆にサタンの手を掴んでこう言った。
「サタンさんっ! あなたは魔界から100代魔王として選ばれました! なので天国へも地獄へも行けません! 魔界の魔王になって下さい!」
・・・・・・・・・・・は!?
少年はいつかした約束も守れず、果たす事も出来ない・・・・・・。
少年は自分がしたかった事も出来ず――死んだ・・・・・・――。
病室のベッドに独りのジャージ姿の少年が横になっている。少年の名は――サタン。サタンの周りには白衣を着た中年の男と一人の若い女がいる。
ピーーーーーーー・・・・・・――、という音と共にサタンの心臓の鼓動が遅く弱々しくなっていく。
「先生!! 患者さんの容態が!!」
「AEDを早く!!」
「はい!!」
あぁ・・・俺、死ぬのか・・・・・・――
遠くなっていく意識の中、サタンは体が冷たくなっていくのを感じていた。
もっと・・・もっと生きたかった・・・・・・!
消えてゆく命の中サタンは思った。
サタンはかろうじて目を開けて周りに視線を送る。
やっぱり・・・誰もいない・・・か・・・そう・・・だよな・・・俺なんかを心配してくれる人なんて・・・いない――いや、一人だけいてくれるか・・・
「先生!! もうやっても意味ないと思いますし止めましょう」
「そうですね・・・まったく、めんどくさい患者さんを引き受けてしまったものです」
女に先生と呼ばれた男はサタンが死んだと分かるとさっさと手を止め、態度をさっきとはまるで違うように変えた。
「そうですね~でも、意外と早く死んでくれて良かったですね。何年も何年も私達に迷惑をかけて本当に邪魔な患者さんでした」
先生と呼ばれた男と白衣を着た女がそんな話をしている中、勢いよく病室の扉が開いた――
「はぁはぁ!! そんな・・・」
病室を開けた者はサタンの姿を見て落胆し、手を地につけた―――。
僅か18歳のサタンは誰にも看取られず独り死んだ――。
ここ、は――?
目を開けたサタンは暗い暗い所に浮いていた。何もない。時の流れさえも感じない。
どっちが上でどっちが下でどっちが右でどっちが左さえも分からずサタンはただ浮かび続ける。
――これから俺はどうなるんだろう? 噂に聞く天国という場所へ行くのか、それとも地獄という場所へ行くのか・・・
そんな事を考えながら浮かび続けていると、突如空間に白い光の円が浮かび上がった。
白い光の円の中からピョコッと頭が突き出る。
「う~ん・・・よいしょっと・・・・・・ふ~ようやく出られました~!」
白い光の円を通って一人の少女が何もないはずの場所に降り立った。
「私もまだまだ未熟者ですね・・・ただの召喚魔術・・・もといワープを使うのにこんなにも魔力を使ってしまうなんて・・・」
少女は一人ぶつぶつと呟いていた。少女は赤い髪を背中まで伸ばしている。目をハッキリと大きく端整な可愛い顔をしている。
黒い服を着て、白いスカートをはいている。黒い服は小さいのか胸の部分が少しきつそうに見える。
「おい! お前は誰なんだ――っ!」
サタンは叫んだつもりだったが声が出ない。
少女はサタンが自分を見ながら浮いている事に気づくと礼儀正しい仕草で挨拶した。
「こんにちは、初めまして。私はアズラ――アズラ・イルと申します。魔界の地で召喚悪魔というのをやっています」
「・・・・・・」
サタンは答えようとしても声が出ない。
「ああっ! 忘れていました! 今のあなたは霊体でしたね・・・」
アズラは背中から二本の黒い翼を出し、サタンの元へと飛んでいく。
「自分に言い聞かせて下さい。降りろ降りろ、と」
サタンは言われた通りにした。すると、どっちが下かも分からなかったのにサタンの体は今いるところよりは確実に下に降りた。
アズラもサタンの後に続く。
「そして、次は想像してください。自分の姿を――」
サタンはまたも言われた通り自分の姿を想像した。短い黒髪、顔はイケメンでもブサイクでもない普通の顔。服は紺色のジャージ上下。
すると、サタンの顔と髪、ジャージが死ぬ前と同じに戻った。
「こ、これは・・・」
サタンは自分の手に力を入れてグッパーグッパーする。
「う、動く! 俺は死んだはずなのにどうして・・・・・・!?」
「ここはまだあの世とこの世の狭間ですからね。自分の思いしだいではこんな事も出来るんですよ」
アズラが答える。
「っと、そんな事をしている場合じゃありませんでした。では、改めまして・・・初めまして、私はアズラです!」
アズラは再び礼儀正しく挨拶する。
「初めまして・・・だと?」
「はい、初めましてです!」
「お前は何者だ? いきなり現れて悪魔!? それにあの白い光の円は何なんだっ!?」
サタンは意味の分からないアズラに挨拶をせずに質問攻めをする。
「ごめんなさい! いきなりの事で驚かしてしまいましたね。では、順番に説明させていただきます」
「まず、私は正真正銘の悪魔です! この翼を見れば分かると思います」
アズラは翼をバサバサと動かして見せた。
「次にあの光の円は私が出した召喚魔術・・・もといワープです。あのワープ内に入るとどこへでも行くことが出来ます」
淡々と説明を続けるアズラ。
「本当に悪魔なのか・・・・・・って事は俺は魂を抜かれて消滅させられたりするのか・・・?」
「そんな物騒なことしませんよ!」
アズラは首を横に振りながら答えた。
「そうなのか?」
「はい」
「本当に消滅させられたりしないんだな・・・?」
「はい! もちろんです!」
「じゃあ、なんでもいいから早く天国へ行くのか地獄へ行くのか教えてくれ」
サタンはアズラが自分をどうこうしない事を理解すると投げやりな感じで言った。
すると、アズラはまたも首を横に振って答えた。
「いいえ、あなたは天国へも地獄へも行く事が出来ません――と、言いますか、行く必要がありません」
「なっ・・・!? じゃあ、俺はどうなるんだ!? 一生ここにいろってか!?!?あっ・・・もう死んでるから一生ってことはないか・・・と、とにかく俺はどうなるんだ!?」
サタンはアズラに迫って聞いた。
ふざけるんじゃねぇ! こんな何もない所にずっといるなんて耐えられねぇ!
するとアズラは、逆にサタンの手を掴んでこう言った。
「サタンさんっ! あなたは魔界から100代魔王として選ばれました! なので天国へも地獄へも行けません! 魔界の魔王になって下さい!」
・・・・・・・・・・・は!?
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