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第1章最弱魔王は魔界で頑張ると決めたそうです
第3話 魔王なのに最弱
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俺の果たせなかった目的・・・それは――誰かと一緒に何かをすること。だから・・・
サタンが魔王として魔界に来て(召喚されて?)、はや1ヶ月。何もせずにただ時間だけが過ぎていた。
ここ1ヶ月何もしてないんだけど!? どうなってるんだ!? ホントに……。
サタンの隣ではアズラが一生懸命部屋の掃除をしている。せっせとせっせと働いているなか、サタンは横になりながらボーっとしているだけだった。
その姿はまるで新婚夫婦のようだった。
「あのさ~アズラ、この世界はRPGとかじゃないのか?」
「アールピージー……? えっと……それは何なんですかサタンさん」
「……さあ? 俺にもよく分からん。ただ、ある人が教えてくれたんだ『異世界転生した人はまず自分のレベルを上げたり、仲間を作ったりしながら目的を達成していく』って」
「そうなんですか。でも、サタンさんは既に魔王なのでご自分のレベルを上げることも、私がいるので仲間を作る必要もありませんし大丈夫なんじゃないでしょうか」
アズラは掃除の手を緩めないで答えた。
サタンも「そうだな」とだけ答えるとアズラから「はい」と返ってきたので再びボーっとした。
時計の針だけがチクタクと進んでいく。
「あっ! そろそろおやつの時間ですね。お茶をいれてきます」
「ああ、頼む」
「はい、了解しました」
アズラはそう言うと部屋を出ていった。
う~ん、いい娘だ。可愛いし家事も出来るし気も利くし言うことは何もない! いいお嫁さんになるな!
しばらくするとアズラがいくつかのクッキーと紅茶を持って部屋に戻ってきた。
焼きたてのクッキーにいれたての紅茶がいい匂いを漂わせる。
「お待たせしました、サタンさん。どうぞ召し上がれ」
「いただきます!」
俺はサクサクのクッキーをパクっと口に入れた。クッキーは俺の口の中で溶けるように消えた。
う、旨い! 旨すぎる!!
俺はパクパクパクとクッキーを食べ続けた。
「もう、サタンさん、そんなに急がなくてたくさんあるので大丈夫ですよ。ふふっ」
「こんなに美味しい物食べたことないよ! 料理上手なんだな!」
「はい、お料理は昔から得意なんです」
「へ~……生きてる間にこんなに美味しい物腹一杯食べたかったよ……」
サタンが少し悲しそうに呟くとアズラは笑顔で言ってきた。
「これからは私がたくさん作りますからお腹一杯食べてくださいね」
「……ありがとう」
「はい! あっ、空になったし片付けてきますね」
話しているうちにいつの間にかクッキーを完食していた。
「ご馳走さまでした!」
サタンは手と手を合わせてアズラにお礼した。
「後片付けも終わりましたしこれからどうするか話し合いでもしますか?」
「そうだな。魔界を救うつってもどうしたらいいか分からないし、そもそも今、魔界がどういう状況なのかも分かってないしな」
ここ1ヶ月サタンは1度も城の外に出ていなかった。というよりも外に出る機会がなかった。アズラがたまにどこかへ出掛けていたがわざわざそれについて行ったりしなかった。
「そろそろ教えてくれよ。魔界が今どうなっているのかをさ」
サタンは思っていた。
魔界が大変な事ってたくさんの魔獣が溢れかえって統率が取れないとかか? だから、俺が魔王になって魔界をまとめる・・・的な感じか?
「そ、それは・・・」
アズラが返事を濁す。
「なんだ? 答えにくいのか?」
「いやぁ~まぁ、何と言いますか・・・」
やはり答えようとしないアズラ。
「まぁ、とにかく1度城の外へ出てみよう!」
「そ、そうですね! そうしましょう! 是非ともそうしましょう」
(その方が話やすいですし・・・)
アズラは心の中でそう思う。
「ただ、外に出ても驚かないで下さいね、サタンさん」
「驚く……? 一体何に――っておい」
「それも全て外に出てみたら分かります!」
アズラはサタンの手を取り部屋の扉を勢いよく開けて走り出した。
城の中を一直線に走り城のドアの前まで来た。
「このドアを開けてください、サタンさん。サタンさんが欲しかった答えが目の前にあります」
サタンはドアノブに手をかける。
いよいよ城の外へ行くんだ・・・この目で確認してやる! 漆黒に包まれ太陽の光さえもが届かない深き闇の混沌の魔界ってヤツを!
サタンは勢いよくドアを開けた。
・・・・・・・・・・・・・・・え?
そして、サタンは静かにドアを閉めた。
「え~と、アズラ……」
「はい……」
「あれは一体――」
サタンはもう一度ドアを開けた。
うん! やっぱり何もない!!
魔界はサタンが想像していたよりも遥かに明るかった。混沌の世界・・・などではなく、明るくて周りには草木が栄え、太陽の光がサンサンと輝いている。
「これは一体どういう状況なんだ!? 教えてくれ、アズラ!」
サタンはアズラに説明を求めた。
すると、アズラは口を開き答え始めた。
「実は、1年前、突如として現れた謎の存在により魔界はこのようになってしまったのです」
「謎の存在・・・?」
「はい・・・もとからこの世界は3つの界に分かれていました。魔界と天界と人間界にです。そこに住む種族はみな、仲良く過ごしていました。しかし、謎の存在によりその理が壊されてしまったのです・・・・・・!」
「一体どういう事だ・・・?」
アズラは歯を噛みしめ悔しそうに答える。
「謎の存在が現れた事により3つの界は狂い始めました。そして、3つの界は争い出したのです」
「戦争・・・って事か?」
アズラはコクッと頷く。
「はい・・・争いは魔界の敗北により、今は終息しています。が、魔界は負けた事により土地のほとんどが天界と人間界に奪われてしまい残ったのはこのお城だけだったのです」
「それで、あんなにも城の外は光輝いていたのか・・・・・・」
「元の魔界は漆黒の闇が広がる世界でした・・・」
アズラは言う。
「他の悪魔はどうなったんだ?」
「みんな――みんな、争いの中で死にました。唯一生き残ったのが私と先代魔王のヨハネ様だけでした」
「先代魔王は今どこにいるんだ?」
「死にました・・・元々年寄りだった事もあり争いが終わってしばらくして深い眠りにつきました。そして、眠りにつく前に私にこう言ったのです。新らたな魔王を見つけて共に魔界を救え、と」
アズラは目から涙を1粒流しながら言う。
「そうか・・・」
アズラも俺と同じ独りだったんだな・・・!
「ですから・・・ですからサタンさん! 勝手な事だとは分かっていますが私と一緒に魔界を救って下さい! お願いします!」
アズラは頭を下げてお願いする。
肩が震えてる・・・。
サタンは独りがどういう事かをよく知っている。だから、サタンの心は決まった。
「顔を上げてくれ、アズラ。俺が絶対にお前と魔界を救ってやる!」
サタンはアズラの頭に手をポンと置き優しく言った。アズラは恐る恐る顔を上げる。
「い、いいんですか・・・? もう魔界に着いているので私の元から去って自由に生きる事が出来るんですよ?」
「いいんだよ・・・それが約束、だしな」
サタンはアズラの頭を撫でながらニカッと笑った。するとアズラはボロボロと泣き出しお礼をいい続けた。
「あ、ありがとうございます・・・ありがとうございます・・・!」
俺は・・・俺が果たせなかった目的をアズラと共に果たす!
サタンは絶対にアズラと魔界を救うと心に決めた。
「とりあえず城の外に出てみるか」
アズラが泣き止んでからサタンは提案した。
「サタンさんのお好きなようにしてください。私はついて行きます」
サタンとアズラは城の外に出た。。
「本当に明るいな・・・ここは、天界と人間界のどっちなんだ?」
「ここは人間界のぶぶんに当たります。ですが、魔界の近くという事で人間はいません」
サタンは一応辺りを見回したが本当に人の気配がしない。
「暗くなるまでそこら辺を探索してみるか」
「はい」
サタンとアズラは暗くなるまで辺りを探索し始めた。
「そう言うやてっきり魔界って言うからさ魔獣とかが沢山いるんだと思ってたよ」
「昔は沢山いましたよ。今はいませんが。まぁ、魔獣はいなくてもたまにモンスターとかは出るんですけどね」
「えっ!? 出るのモンスター・・・?」
「出ますよ~」
「ふ~ん・・・」
出るのかよっ!? モンスター!
しばらく歩き続けると日が傾き暗くなり始めた。
「そろそろ帰るか」
「そ、そうですね。そろそろ帰りましょう」
アズラはス~っとサタンに近づくとピタリとサタンにくっいた。
「あの~アズラさん? 一体これはどういう――」
「ご、ごめんなさいサタンさん! で、でも、あの、その、私暗いのが苦手で・・・」
おいおい・・・見た目がこんなに可愛いくても一応悪魔なんだろ? まったく・・・・・・可愛いなおい!!
サタンはビクビクしているアズラの可愛さにドキドキした。
「う~本格的に暗くなってきちゃいました・・・・・・」
城へ帰る途中太陽が沈み辺りは暗くなっていた。それと同時にいつの間にかアズラはサタンの腕に自分の腕を回しながら歩いていた。
ふにょんふにょん。歩く度にサタンの腕にアズラの胸の感触が伝わる。
ヤ、ヤバイ・・・これは、ヤバイ! こんな感触味わった事がない。
サタンの鼓動は速くなる。
早く城に帰らないと俺の腕がヤバイ・・・。
そう思った瞬間ドシャっと二人の後ろで何かが落ちる音がした。
サタンとアズラは恐る恐る後ろを振り返った。するとそこには緑色の野球ボール程の大きさをしたスライムと思われるモンスターがウネウネしていた。
「なんだ、スライムでしたか~――ってスライムっ!?」
アズラが驚きの声を上げる。
「本当に出るんだなモンスター・・・でもスライムぐらい俺がすぐに倒してやるよ!」
サタンはスライムに向かってズカズカと歩き出した。
「な、何をしようとしているんですか!? サタンさんっ!」
「何って――スライムを退治するんだよ」
「い、いけません! スライムは――スライムは――この世界で最強のモンスターなんです!」
「・・・・・・・・・・・・は!?」
スライムが最強・・・? ぷっ! 何を言ってんだアズラのやつ。スライムなんて下等生物だろ? 対して俺は魔王。圧倒的力の差ってヤツを見せてやるよ!
サタンはスライムをゲシッとおもいっきり蹴った。
サタンに蹴られたスライムはもう見えなくなっていた。
「ほらな。見てみろよアズラ。スライムのヤツもう見えないくらいに飛んでいったぞ」
サタンはアズラの方を見て言う。
「サ、サタンさん・・・足――」
「足?」
サタンは自分の足を見た。
すると――
「なっ・・・!?」
蹴り飛ばしたはずのスライムがサタンの足にピッタリとくっいていた。
「くそ・・・!」
サタンは足をブンブンさせスライムを剥がそうとするがいっこうに取れない。むしろスライムはだんだんと大きくなりサタンを登り始めた。
「な、何なんだよこのスライムは・・・・・・?」
「この世界ではスライムは敵無しの存在なんです・・・・・・」
アズラがサタンに近づきスライムを見ながら言う。
「どうしようアズラ・・・」
「任せて下さい!」
そう言うとアズラはぶつぶつと呪文を唱え始めた。
「私に存する魔力よ。今ここで敵を討ち滅ぼさせよ!生命操作!!」
アズラが掌をスライムの上にかざした。
するとスライムは次第にしおれていき、
サタンの足からポロっと落ちた。
「ふ~これでもう大丈夫ですよサタンさん――サタンさん?」
サタンは驚き、ただ呆然としている。
「どうしたんですか?」
キョトンとした顔で聞いてくるアズラ。
「いや・・・強いんだなアズラ・・・」
「そ、そんな事ないですよ~!」
えへへ、と照れるように言うアズラ。
「でも、今のスライムは小さかったので、何とかなりましたが、これからは気を付けて下さいね! 本来スライムは吸収、消化、分裂、再生等、色々な事が出来る危険な存在なんですからね!」
俺って魔王だよね・・・? それなのにスライムより弱い魔王の存在価値って一体・・・・・・。
サタンは心の中で落胆していた。
しかも・・・この世界最強のモンスターを一瞬で退治するアズラ・・・うん! 魔界恐ろしい!
サタンが魔王として魔界に来て(召喚されて?)、はや1ヶ月。何もせずにただ時間だけが過ぎていた。
ここ1ヶ月何もしてないんだけど!? どうなってるんだ!? ホントに……。
サタンの隣ではアズラが一生懸命部屋の掃除をしている。せっせとせっせと働いているなか、サタンは横になりながらボーっとしているだけだった。
その姿はまるで新婚夫婦のようだった。
「あのさ~アズラ、この世界はRPGとかじゃないのか?」
「アールピージー……? えっと……それは何なんですかサタンさん」
「……さあ? 俺にもよく分からん。ただ、ある人が教えてくれたんだ『異世界転生した人はまず自分のレベルを上げたり、仲間を作ったりしながら目的を達成していく』って」
「そうなんですか。でも、サタンさんは既に魔王なのでご自分のレベルを上げることも、私がいるので仲間を作る必要もありませんし大丈夫なんじゃないでしょうか」
アズラは掃除の手を緩めないで答えた。
サタンも「そうだな」とだけ答えるとアズラから「はい」と返ってきたので再びボーっとした。
時計の針だけがチクタクと進んでいく。
「あっ! そろそろおやつの時間ですね。お茶をいれてきます」
「ああ、頼む」
「はい、了解しました」
アズラはそう言うと部屋を出ていった。
う~ん、いい娘だ。可愛いし家事も出来るし気も利くし言うことは何もない! いいお嫁さんになるな!
しばらくするとアズラがいくつかのクッキーと紅茶を持って部屋に戻ってきた。
焼きたてのクッキーにいれたての紅茶がいい匂いを漂わせる。
「お待たせしました、サタンさん。どうぞ召し上がれ」
「いただきます!」
俺はサクサクのクッキーをパクっと口に入れた。クッキーは俺の口の中で溶けるように消えた。
う、旨い! 旨すぎる!!
俺はパクパクパクとクッキーを食べ続けた。
「もう、サタンさん、そんなに急がなくてたくさんあるので大丈夫ですよ。ふふっ」
「こんなに美味しい物食べたことないよ! 料理上手なんだな!」
「はい、お料理は昔から得意なんです」
「へ~……生きてる間にこんなに美味しい物腹一杯食べたかったよ……」
サタンが少し悲しそうに呟くとアズラは笑顔で言ってきた。
「これからは私がたくさん作りますからお腹一杯食べてくださいね」
「……ありがとう」
「はい! あっ、空になったし片付けてきますね」
話しているうちにいつの間にかクッキーを完食していた。
「ご馳走さまでした!」
サタンは手と手を合わせてアズラにお礼した。
「後片付けも終わりましたしこれからどうするか話し合いでもしますか?」
「そうだな。魔界を救うつってもどうしたらいいか分からないし、そもそも今、魔界がどういう状況なのかも分かってないしな」
ここ1ヶ月サタンは1度も城の外に出ていなかった。というよりも外に出る機会がなかった。アズラがたまにどこかへ出掛けていたがわざわざそれについて行ったりしなかった。
「そろそろ教えてくれよ。魔界が今どうなっているのかをさ」
サタンは思っていた。
魔界が大変な事ってたくさんの魔獣が溢れかえって統率が取れないとかか? だから、俺が魔王になって魔界をまとめる・・・的な感じか?
「そ、それは・・・」
アズラが返事を濁す。
「なんだ? 答えにくいのか?」
「いやぁ~まぁ、何と言いますか・・・」
やはり答えようとしないアズラ。
「まぁ、とにかく1度城の外へ出てみよう!」
「そ、そうですね! そうしましょう! 是非ともそうしましょう」
(その方が話やすいですし・・・)
アズラは心の中でそう思う。
「ただ、外に出ても驚かないで下さいね、サタンさん」
「驚く……? 一体何に――っておい」
「それも全て外に出てみたら分かります!」
アズラはサタンの手を取り部屋の扉を勢いよく開けて走り出した。
城の中を一直線に走り城のドアの前まで来た。
「このドアを開けてください、サタンさん。サタンさんが欲しかった答えが目の前にあります」
サタンはドアノブに手をかける。
いよいよ城の外へ行くんだ・・・この目で確認してやる! 漆黒に包まれ太陽の光さえもが届かない深き闇の混沌の魔界ってヤツを!
サタンは勢いよくドアを開けた。
・・・・・・・・・・・・・・・え?
そして、サタンは静かにドアを閉めた。
「え~と、アズラ……」
「はい……」
「あれは一体――」
サタンはもう一度ドアを開けた。
うん! やっぱり何もない!!
魔界はサタンが想像していたよりも遥かに明るかった。混沌の世界・・・などではなく、明るくて周りには草木が栄え、太陽の光がサンサンと輝いている。
「これは一体どういう状況なんだ!? 教えてくれ、アズラ!」
サタンはアズラに説明を求めた。
すると、アズラは口を開き答え始めた。
「実は、1年前、突如として現れた謎の存在により魔界はこのようになってしまったのです」
「謎の存在・・・?」
「はい・・・もとからこの世界は3つの界に分かれていました。魔界と天界と人間界にです。そこに住む種族はみな、仲良く過ごしていました。しかし、謎の存在によりその理が壊されてしまったのです・・・・・・!」
「一体どういう事だ・・・?」
アズラは歯を噛みしめ悔しそうに答える。
「謎の存在が現れた事により3つの界は狂い始めました。そして、3つの界は争い出したのです」
「戦争・・・って事か?」
アズラはコクッと頷く。
「はい・・・争いは魔界の敗北により、今は終息しています。が、魔界は負けた事により土地のほとんどが天界と人間界に奪われてしまい残ったのはこのお城だけだったのです」
「それで、あんなにも城の外は光輝いていたのか・・・・・・」
「元の魔界は漆黒の闇が広がる世界でした・・・」
アズラは言う。
「他の悪魔はどうなったんだ?」
「みんな――みんな、争いの中で死にました。唯一生き残ったのが私と先代魔王のヨハネ様だけでした」
「先代魔王は今どこにいるんだ?」
「死にました・・・元々年寄りだった事もあり争いが終わってしばらくして深い眠りにつきました。そして、眠りにつく前に私にこう言ったのです。新らたな魔王を見つけて共に魔界を救え、と」
アズラは目から涙を1粒流しながら言う。
「そうか・・・」
アズラも俺と同じ独りだったんだな・・・!
「ですから・・・ですからサタンさん! 勝手な事だとは分かっていますが私と一緒に魔界を救って下さい! お願いします!」
アズラは頭を下げてお願いする。
肩が震えてる・・・。
サタンは独りがどういう事かをよく知っている。だから、サタンの心は決まった。
「顔を上げてくれ、アズラ。俺が絶対にお前と魔界を救ってやる!」
サタンはアズラの頭に手をポンと置き優しく言った。アズラは恐る恐る顔を上げる。
「い、いいんですか・・・? もう魔界に着いているので私の元から去って自由に生きる事が出来るんですよ?」
「いいんだよ・・・それが約束、だしな」
サタンはアズラの頭を撫でながらニカッと笑った。するとアズラはボロボロと泣き出しお礼をいい続けた。
「あ、ありがとうございます・・・ありがとうございます・・・!」
俺は・・・俺が果たせなかった目的をアズラと共に果たす!
サタンは絶対にアズラと魔界を救うと心に決めた。
「とりあえず城の外に出てみるか」
アズラが泣き止んでからサタンは提案した。
「サタンさんのお好きなようにしてください。私はついて行きます」
サタンとアズラは城の外に出た。。
「本当に明るいな・・・ここは、天界と人間界のどっちなんだ?」
「ここは人間界のぶぶんに当たります。ですが、魔界の近くという事で人間はいません」
サタンは一応辺りを見回したが本当に人の気配がしない。
「暗くなるまでそこら辺を探索してみるか」
「はい」
サタンとアズラは暗くなるまで辺りを探索し始めた。
「そう言うやてっきり魔界って言うからさ魔獣とかが沢山いるんだと思ってたよ」
「昔は沢山いましたよ。今はいませんが。まぁ、魔獣はいなくてもたまにモンスターとかは出るんですけどね」
「えっ!? 出るのモンスター・・・?」
「出ますよ~」
「ふ~ん・・・」
出るのかよっ!? モンスター!
しばらく歩き続けると日が傾き暗くなり始めた。
「そろそろ帰るか」
「そ、そうですね。そろそろ帰りましょう」
アズラはス~っとサタンに近づくとピタリとサタンにくっいた。
「あの~アズラさん? 一体これはどういう――」
「ご、ごめんなさいサタンさん! で、でも、あの、その、私暗いのが苦手で・・・」
おいおい・・・見た目がこんなに可愛いくても一応悪魔なんだろ? まったく・・・・・・可愛いなおい!!
サタンはビクビクしているアズラの可愛さにドキドキした。
「う~本格的に暗くなってきちゃいました・・・・・・」
城へ帰る途中太陽が沈み辺りは暗くなっていた。それと同時にいつの間にかアズラはサタンの腕に自分の腕を回しながら歩いていた。
ふにょんふにょん。歩く度にサタンの腕にアズラの胸の感触が伝わる。
ヤ、ヤバイ・・・これは、ヤバイ! こんな感触味わった事がない。
サタンの鼓動は速くなる。
早く城に帰らないと俺の腕がヤバイ・・・。
そう思った瞬間ドシャっと二人の後ろで何かが落ちる音がした。
サタンとアズラは恐る恐る後ろを振り返った。するとそこには緑色の野球ボール程の大きさをしたスライムと思われるモンスターがウネウネしていた。
「なんだ、スライムでしたか~――ってスライムっ!?」
アズラが驚きの声を上げる。
「本当に出るんだなモンスター・・・でもスライムぐらい俺がすぐに倒してやるよ!」
サタンはスライムに向かってズカズカと歩き出した。
「な、何をしようとしているんですか!? サタンさんっ!」
「何って――スライムを退治するんだよ」
「い、いけません! スライムは――スライムは――この世界で最強のモンスターなんです!」
「・・・・・・・・・・・・は!?」
スライムが最強・・・? ぷっ! 何を言ってんだアズラのやつ。スライムなんて下等生物だろ? 対して俺は魔王。圧倒的力の差ってヤツを見せてやるよ!
サタンはスライムをゲシッとおもいっきり蹴った。
サタンに蹴られたスライムはもう見えなくなっていた。
「ほらな。見てみろよアズラ。スライムのヤツもう見えないくらいに飛んでいったぞ」
サタンはアズラの方を見て言う。
「サ、サタンさん・・・足――」
「足?」
サタンは自分の足を見た。
すると――
「なっ・・・!?」
蹴り飛ばしたはずのスライムがサタンの足にピッタリとくっいていた。
「くそ・・・!」
サタンは足をブンブンさせスライムを剥がそうとするがいっこうに取れない。むしろスライムはだんだんと大きくなりサタンを登り始めた。
「な、何なんだよこのスライムは・・・・・・?」
「この世界ではスライムは敵無しの存在なんです・・・・・・」
アズラがサタンに近づきスライムを見ながら言う。
「どうしようアズラ・・・」
「任せて下さい!」
そう言うとアズラはぶつぶつと呪文を唱え始めた。
「私に存する魔力よ。今ここで敵を討ち滅ぼさせよ!生命操作!!」
アズラが掌をスライムの上にかざした。
するとスライムは次第にしおれていき、
サタンの足からポロっと落ちた。
「ふ~これでもう大丈夫ですよサタンさん――サタンさん?」
サタンは驚き、ただ呆然としている。
「どうしたんですか?」
キョトンとした顔で聞いてくるアズラ。
「いや・・・強いんだなアズラ・・・」
「そ、そんな事ないですよ~!」
えへへ、と照れるように言うアズラ。
「でも、今のスライムは小さかったので、何とかなりましたが、これからは気を付けて下さいね! 本来スライムは吸収、消化、分裂、再生等、色々な事が出来る危険な存在なんですからね!」
俺って魔王だよね・・・? それなのにスライムより弱い魔王の存在価値って一体・・・・・・。
サタンは心の中で落胆していた。
しかも・・・この世界最強のモンスターを一瞬で退治するアズラ・・・うん! 魔界恐ろしい!
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