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第3章最弱魔王は修学旅行で頑張るそうです

第62話 LBS①

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「そこまでーーー! 試合終了ーーー!」

 ミノリ・コーエの合図と共に試合終了のホイッスルが鳴り響いた。

「え~・・・ただいまの結果は・・・圧倒的強さにより3組の勝利でーーーす!」

 結果は3組の圧勝だった。
 そして、肝心のサタンはと言うと・・・結局この試合中何も出来ずにいた。・・・いや、何も出来ずにいたのは対戦相手である4組もだ。

 この試合中メルがボールをずっと支配し続けたのだ。

 味方である3組の誰かがボールを足で持つとメルがパスを要求し、メルにボールを渡すと圧倒的な脚力ですぐにゴールを決める。逆に相手側である4組の誰かがボールを保つとスライディングやパスカットをして鮮やかにボールを奪う。そして、すぐにゴールを決める。
 10分間の試合中ずっとそれが繰り返され、3組が圧勝したのだ。

「あ~っはっはっはっ! どうしたんですかぁ? 全く相手になりませんでしたよ?」

 メルは地に手をつきながらへたり混む4組のリーダーっぽい人の傍で、まるで、悪魔のように高々と笑う。

「くぅ・・・なんて強さなの・・・!」

 目に少量の涙を浮かべながらメルを睨みつける4組のリーダーっぽい人。

「そんな重たそうなものをつけているお陰で動きが超スーパーゆっくりでしたよ」

 メルが4組のメンバー全員のポヨヨンと膨らむ胸を指差して言った。因みにメルは・・・ストーンとしている。ただの負け惜しみだ。

「覚えておきなさい・・・・・・! 次は必ず負けないんだからーーー!」

 逃げ去るように走り去っていく4組の面々達。

「キャッ!」

 と、4組のリーダーっぽい人が砂につまずき転けそうになった――、

「・・・っと――大丈夫か?」

 のを、サタンが受け止めた。

「え・・・は、はい・・・」

 サタンに受け止められ、ドキンと胸の鼓動が早くなる4組のリーダーっぽい人。

「ちょっとサンタ! 敵に優しくするとは何事ですか!?」
「敵って・・・転けそうだったんだからしょうがないだろ」
「そうですけど・・・むぅ~~」

 メルはサタンの言うことが正しいと思いつつも複雑な気持ちになりムッと頬を膨らます。

「あんたも気をつけろよ」

 サタンはしっかりと受け止めている4組のリーダーっぽい人を見て言った。すると――、

「べ、別に転けそうになんてなってないからーーー!」
「あ、おい・・・」

 リーダーっぽいのは恥ずかしいのか、顔を赤くしてサタンから離れ、すぐさまクラスの皆の元へと戻って行った。

「なんなんだ一体・・・」

 戻っていく後ろ姿を見て、サタンには何が何やら意味が分からなかった。


「え~・・・何かいろいろとあったようですが・・・! とにかくただいまの試合は3組の勝利で終了でーーーす! 次の試合を行う5組と6組の皆さんは準備をお願いしまーーーす!」

 次の試合が始まるためサタン達3組はグラウンドにあるコートから離れていた。

「皆さん! やりましたね!」

 メルが満面な笑顔で満足したように話しかける。

「ほとんどメルの独壇場だったけどね~」
「僕にも少しは楽しませてもらいたかったよ」

 モカは少しの苦笑いを浮かべながら答え、ゴウカは楽しめなかったと愚痴をこぼした。

「ふん・・・俺なんてゴール前から一歩も動いてないんだぞ」

 イサムはメルを睨みながら言った。そう、イサムは本当に試合中一歩も動く必要がなかったのだ。せっかく、4組の誰かが攻めてきていても全てメルが解決したからだ。

「それは・・・すいません・・・次からはもっと考えて気をつけてやります・・・はい・・・」

 メルはしゅんと落ち込みながらイサムに、ゴウカとモカに謝る。そんな光景を見ながらサタンは一人ため息をついた。

 俺・・・急いでルール覚える必要なかったじゃん・・・・・・!

「と、とにかく! この勝負は私達の勝ちですね・・・あ~っはっはっはっ!」

 メルは勝てた事がよっぽど嬉しいのかすぐに立ち直ると腰に手を当て大笑いした。さっきの悪魔のような笑顔とは違い、その笑顔は可愛かった。


「さ、さすがメルさんですね・・・ね、ラエルさん――ラエルさん?」

 サタン達3組の試合終了後、グラウンドのコートから離れていくサタン達を見ながらアズラが苦笑いしながらラエルに話した。しかし、ラエルはアズラの話を聞かずにメルをべた褒めしていた。

「あ~もうメル可愛いわ~悔しかったのね~うんうん、でも、試合は圧勝で凄かったよ!」

 親バカであるラエルはメルが何が悔しくてどうしてあそこまで圧勝したのか何となく分かった。その上でべた褒めした。

(あ、聞いてないですね・・・ラエルさん・・・)

 話を聞いてないと見て分かったアズラは小さな息をもらした。そして――、

(サタンさん・・・次は頑張って下さいね・・・!)

 全く活躍のなかったサタンを心の中で応援した。

「メル~次の試合も頑張って~!」

 ラエルは正体がばれない程度に大きな声を出しメルを応援した。


 この後もサタン達のクラス――3組は快調に勝ち進んでいった。少しばかり皆の活躍を紹介しておこう。

「いっくよ~」

 ボールを足で持ったゴウカの脚が炎を纏う。そして――、

「炎球《エンキュウ》!」

 勢いよくボールを蹴った。ボールは途中で燃え出しながら相手側のゴールへと容赦なく向かっていく。
 そして、スパンという大きな音をたてながら勢いよくボールはゴールネットに突き刺さる。

「よしっ!」

 ゴウカはグッとガッツポーズした――。


「おねがぁい、ボール、ちょうだぁい」

 上目遣いでキラキラとした何かを目から放ち相手選手におねだりするモカ。

「ウェッ・・・」

 モカにおねだりされシドロモドロする相手選手。

(クソッ! 可愛いな! ここでボールを渡したらこの子の俺に対する好感度が・・・)

 目を瞑ってモカにボールを渡すかどうかを考える相手選手。

(いや、そんなことやっぱり出来ない! 俺はクラスで戦ってるんだ!)

 一瞬気持ちが揺らいだが、首を横に振り雑念を取り払う相手選手。

「ごめん! やっぱり出来ない――」
「ありがとうね」
「え・・・?」

 相手選手が考えている間に一瞬にしてボールを奪い取ったモカ。

「メルっ!」

 ボールを奪い取ったモカはそのままメルへとボールを蹴り渡した。

「ありがとうございます!」

 モカからボールを渡されたメルはそのまま駆け上がっていく。

「なんで・・・?」

 そんな光景を見ながらモカにボールをおねだりされていた相手は呟く。

「ごめんね~油断してたからつい・・・」

 そんな相手の方を振り向きテヘヘとペロッと舌を出すモカ。

「そんな~!」

 相手選手は落胆し試合終了まで呆然とその場に立ち尽くしていた――。


「くらいやがれっ!」

 大戦相手側の放ったビリビリと電気のようなものを纏ったボールがイサムに襲いかかる。

「勇烈《ユウレツ》!」

 しかし、イサムは力を入れて手を握りしめボールを下から遥高くに打ち上げる。

「ふん! ゴールは入れさせない!」

 イサムは自分で打ち上げた高くから落ちてくるボールを軽やかにキャッチした――。


「さぁ・・・いきますよ!」

 メルは相変わらず圧倒的速さとパワーで暴れまくっていた。一応、皆に迷惑と自分だけで楽しまないように気をつけながらだが。
 ボールを相手から奪い取ってはゴールを決め、味方からパスをもらってはゴールを決め、普通に自分でゴールを決めて――。

「ん~~~やりました~!」

 ゴールを決める度、いちいち喜びの声をあげるメル。

「どうですか~サンタ~? 見てましたか~?」

 ゴール付近から言うメルにサタンは手を振って答えた。

 やれやれ・・・よっぽどラエルさんに良いところを見せたいのか、ただ単純にフットサルが得意なのか分からないな・・・

 サタンは余裕こいていた。そんな事をしている場合ではないのに・・・・・・。
 そんな、サタン以外の活躍があり、いよいよ――、

「いよいよ最後の試合でーーーす! 戦うのは3組対16組でーーーす!」

 サタン達3組は勝ち進み、最後の試合まで勝ち進んでいた。

「・・・と、いきたいところですが今からお昼休みとなります! 最後の試合はお昼休みが終わってからとなります! 皆さんお楽しみに~!」

 最後の試合――3組対16組の試合が始まる前にお昼休みへと入った。
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