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そんな二人であったが、事態は思いがけず良い方向に進んで行った。
レティは両親である公爵夫妻に、ステアが自分の呪いを解いてくれた恩人であることを告げたのだ。
かねてよりレティがステアに思いを寄せていたことに気付いていた両親は、今回の件をもってステアとの結婚を認めることにしたのだ。
それだけではない。
捕らえられた呪術師が、レティにかけられた呪いに王太子ノアが関与していることを仄めかしたため、国王が慌てて公爵家に対し謝罪を行ったのだ。
王太子の醜態を国中に広めることだけは避けたかったのだろう。
せめてもの罪滅ぼしとして……と、国王はステアに伯爵位を与えた。
これによりステアとレティの結婚を妨げる障壁は、完全に取り払われたのである。
ちなみに王太子ノアはと言うと、父王からきつくお灸を据えられたらしく。
個人の財産の没収、行動の際には監視を付けること、などの条件で未だ王太子の座にいるらしいのだが。
肝心の本人はレティを失った喪失感から、王位などいらないと言い始めているらしいから困ったものである。
「レティ、ここにいたのですか」
半年後、二人は結婚式を挙げて正式な夫婦となった。
親しい間柄の人々のみを招待したこじんまりとした式であったが、居心地の良い素敵な式にすることができた。
ステアは伯爵となり、レティは伯爵夫人として、慣れない夫の社交をサポートしている。
未だにステアはレティに対して敬語を使う癖が抜けないらしく。
「あなたは私にとって、いつまでも高嶺の花なので」
いつまでもこんなことを言っている。
「ふふ。またあなたはそんなことを言って。この子が生まれたら、困ってしまうわよ? 」
レティの腹には新たな命が宿っていた。
「お父様らしく、堂々として欲しいわ 」
「……善処致します」
「ああ! もうダメじゃない! 」
「無理ですレティっ……」
二人の間には幸せな空気が流れていた。
……実はレティにかけられた呪いには、未だ知られていない秘密があった。
呪いをかけられた人物は愛し愛された人物からの口付けにより記憶を失った後、再度同じ相手と口付けを交わすと失った記憶を取り戻すのだ。
二人がその事実を知ることは生涯無いであろう。
レティは両親である公爵夫妻に、ステアが自分の呪いを解いてくれた恩人であることを告げたのだ。
かねてよりレティがステアに思いを寄せていたことに気付いていた両親は、今回の件をもってステアとの結婚を認めることにしたのだ。
それだけではない。
捕らえられた呪術師が、レティにかけられた呪いに王太子ノアが関与していることを仄めかしたため、国王が慌てて公爵家に対し謝罪を行ったのだ。
王太子の醜態を国中に広めることだけは避けたかったのだろう。
せめてもの罪滅ぼしとして……と、国王はステアに伯爵位を与えた。
これによりステアとレティの結婚を妨げる障壁は、完全に取り払われたのである。
ちなみに王太子ノアはと言うと、父王からきつくお灸を据えられたらしく。
個人の財産の没収、行動の際には監視を付けること、などの条件で未だ王太子の座にいるらしいのだが。
肝心の本人はレティを失った喪失感から、王位などいらないと言い始めているらしいから困ったものである。
「レティ、ここにいたのですか」
半年後、二人は結婚式を挙げて正式な夫婦となった。
親しい間柄の人々のみを招待したこじんまりとした式であったが、居心地の良い素敵な式にすることができた。
ステアは伯爵となり、レティは伯爵夫人として、慣れない夫の社交をサポートしている。
未だにステアはレティに対して敬語を使う癖が抜けないらしく。
「あなたは私にとって、いつまでも高嶺の花なので」
いつまでもこんなことを言っている。
「ふふ。またあなたはそんなことを言って。この子が生まれたら、困ってしまうわよ? 」
レティの腹には新たな命が宿っていた。
「お父様らしく、堂々として欲しいわ 」
「……善処致します」
「ああ! もうダメじゃない! 」
「無理ですレティっ……」
二人の間には幸せな空気が流れていた。
……実はレティにかけられた呪いには、未だ知られていない秘密があった。
呪いをかけられた人物は愛し愛された人物からの口付けにより記憶を失った後、再度同じ相手と口付けを交わすと失った記憶を取り戻すのだ。
二人がその事実を知ることは生涯無いであろう。
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