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34 新しいアンドリュー様
「今日は久しぶりに色々とあって、疲れただろう? 体は大丈夫か?」
あれから城の中へと戻った私たちはそれぞれの自室で時間を過ごした後、夕食を共にした。
そしてそれを終えると、各自寝支度を済ませて夫婦の寝室へと向かう。
久しぶりに足を踏み入れたその場所の記憶は、ほとんど残っていないに等しい。
結局あの日は一晩も過ごすこともなく、この部屋を飛び出してしまったのだから……。
「楽しかったですわ。部屋に篭りきりは退屈でしたから」
既に到着して寝室のソファに腰掛けていたアンドリュー様は、後からやってきた私の姿を目にすると労りの言葉をかけてくれた。
疲れていないと言ったら嘘になるが、色々と充実した一日であったことは間違いない。
ウェスカーとノエルという、城での新しい知り合いも増えたのだ。
二人きりで心細く感じていた私とアシェラにとって、その事実がどれほど心強いものか。
アンドリュー様は私の答えを耳にすると、突然表情を真剣なものへと改めた。
そして私も隣に腰掛けるようにと、手で合図を送られる。
「その……本当に申し訳なかった。公爵が色々と君に失礼な真似をしたようだ。全ては君の記憶を失ってしまった私の責任だろう」
「アンドリュー様のせいでは……」
すると、膝の上に置かれていた私の手をアンドリュー様の両手が優しく包み込む。
その温かさにハッとして彼の方を見つめた。
「セラフィナ。未だに君に関する記憶を取り戻すことはできていない……」
彼の口から静かに告げられた事実は、私の心に僅かな傷をつける。
もちろんそのようなことは、先ほどの茶会に参加した時点でわかっていた。
だがアンドリュー様本人からそう告げられてしまうのには、また違うものがあるのだ。
「だが記憶を失う前の私が手紙を書き残していた」
「手紙、ですか……?」
初めて知る事実に、私は目を丸くした。
そのようなことは、以前のアンドリュー様から一度も聞いたことはなかったからだ。
「他の者に見つからぬよう、秘密の部屋の金庫の中に入れてあった。この金庫には特殊な術がかけられていて、鍵を開けることができるのは私だけだ」
「秘密の部屋……というのは、ステンドグラスがあるお部屋でしょうか?」
アンドリュー様から初めて呪いについて聞かされた、あの部屋のことを言っているのだとすぐに気づいた。
その予想は当たっていたようで、私の問いかけに対して彼は安堵の笑みを浮かべる。
「ああ、その通りだよ。やはり君もあの部屋に入ったことがあるんだね?」
「はい……以前そのお部屋で、例の呪いの件についてお聞きしたことを覚えております」
「手紙には、私がどれほど君を愛しているか、そして私が君の記憶を失った後、君が城で苦労しないだろうか、そのことばかりが記されていたよ」
「そう、なのですね……」
目の前にいる男性は確かにアンドリュー様なのだが、まるで別人からの手紙のように語られるその口調に戸惑いを隠せない。
なんと返事をすればいいのかがわからず、相槌を打つことしかできなかった。
「手紙の最後にはこうあった。たとえ君のことを忘れてしまっても、何度でも君に恋をするはずだ……と」
「っ……」
俯いた拍子に涙がこぼれ落ちる。
久しぶりに耳にした懐かしい台詞が、どうしようもなく愛おしくなった。
それと同時に二度とあの頃のアンドリュー様には会うことができないのだという残酷な現実に、奈落の底へと突き落とされたような絶望感に苛まれる。
「……セラ、と呼んでも?」
「えっ……は、はい」
突然名を呼ばれた驚きで、涙に濡れた顔だということも忘れて再び彼の方を見上げた。
「セラ」という呼び名を再び今のアンドリュー様の口から聞くことができるとは、思ってもいなかったからだ。
「セラ。確かに今の私は、君のことを愛しているというわけではないんだ。すまない……だが正直に話しておこうと思う。嘘偽りの言葉を囁く方が、君にとっても失礼にあたるだろう」
「……もちろんそのようなことは、わかっております」
そう告げる自分の姿がひどく惨めな気がしてしまい、思わず彼から視線を逸らした。
アンドリュー様は意地悪でこのようなことを言っているわけではない。
たとえ私の記憶を失ったところで、それ以外の部分は以前となんら変わっていないのだから、彼がそのような人間ではないということはわかっている。
下手に嘘をつき私に期待を持たせたところで、やがてその嘘が露呈した時に傷つくのは私なのだ。
期待していた分、その悲しみや苦しみは計り知れないものとなるだろう。
私が不必要な悲しみを被ることのないように……これが彼なりの優しさなのだとわかる。
「だが私はあの手紙にもあった通り、また君に恋をしたいと思っている。あれほど記憶を失う前の自分が愛した女性のことを、私も知りたいんだ」
その目は必死で、私の手を包み込むようにして重ねられていた手には、いつのまにか強い力が込められている。
「だから……どうか私と共に夫婦として、これからそばにいてほしい」
それだけ告げると、彼はそっと頭を下げた。
「……私の方こそ、アンドリュー様の記憶がない中でこのように親切にしていただき感謝しております」
「何を言う。私たちは夫婦なのだから、当たり前だろう」
「はい……」
「久しぶりに部屋の外を出て、色々と見て回ったのだろう? 何か心配なことはあるか」
私の中で今一番の不安要素は、やはりユーグレン公爵とマリア様の存在だろう。
さすがにこうした寝室の中までは彼らも足を踏み入れることはできないため、その事実にホッと胸を撫で下ろしていたのだ。
今日の茶会で、マリア様が自らの立場の変化を理解したとは到底思えなかった。
きっとまた隙を見てアンドリュー様に近づこうとする様子が目に見えている。
だがそれを面と向かって指摘して良いものなのか……まだ今の私にはわからなかった。
「マリア嬢のことか? 今日の茶会で君に失礼な真似をしていただろう。申し訳ない。私が代わりに謝罪させてもらう」
「いえっ……私なら大丈夫ですから」
「君と行動を共にする時は、できるだけ私も目を光らせておくようにするつもりだ。だが……どうしても顔を合わせないというわけにはいかないだろう」
「わかっておりますわ」
「何かあったらすぐに私に教えてほしい。君を守るために善処すると約束しよう」
そう言ってアンドリュー様は、俯いていた私の顔をそっと覗き込む。
ずっと焦がれていた青い瞳が、すぐそこにあった。
吸い込まれてしまうようなその瞳は、優しさをたたえているように見える。
声かけに応じるように私もゆっくりと頷きを返すと、嬉しそうに彼が笑う。
その笑顔に釣られて私まで口元が緩んでしまった。
「今日はもう遅い。話はまた明日にしよう。これからいつだってこうして話をすることができるのだから」
「あっ……」
そこで私はあることに気づき、慌てて立ち上がると寝室の奥に置かれた机の元へ向かう。
そしてその上に置いてあったジャケット手に取ると、再びアンドリュー様の元へ戻り腰を下ろした。
「こちらを……あの日、お返しするのをすっかり忘れてしまって。ありがとうございました」
「ああ……そういえばそんなこともあったな。あのオルゴールの音色に夢中で、すっかり忘れていたよ」
彼は顔を綻ばせながら、そのジャケットを受け取った。
「また近いうちにあのオルゴールを聴かせてほしい。あの音色はなんだか私の中にある何かを揺さぶるような……そんな気がするんだ」
そのまま音色を聴き続けたら、私のことを思い出してくれるのだろうか。
そんな考えが頭をよぎったが、その台詞を彼に伝えることはしなかったのである。
あれから城の中へと戻った私たちはそれぞれの自室で時間を過ごした後、夕食を共にした。
そしてそれを終えると、各自寝支度を済ませて夫婦の寝室へと向かう。
久しぶりに足を踏み入れたその場所の記憶は、ほとんど残っていないに等しい。
結局あの日は一晩も過ごすこともなく、この部屋を飛び出してしまったのだから……。
「楽しかったですわ。部屋に篭りきりは退屈でしたから」
既に到着して寝室のソファに腰掛けていたアンドリュー様は、後からやってきた私の姿を目にすると労りの言葉をかけてくれた。
疲れていないと言ったら嘘になるが、色々と充実した一日であったことは間違いない。
ウェスカーとノエルという、城での新しい知り合いも増えたのだ。
二人きりで心細く感じていた私とアシェラにとって、その事実がどれほど心強いものか。
アンドリュー様は私の答えを耳にすると、突然表情を真剣なものへと改めた。
そして私も隣に腰掛けるようにと、手で合図を送られる。
「その……本当に申し訳なかった。公爵が色々と君に失礼な真似をしたようだ。全ては君の記憶を失ってしまった私の責任だろう」
「アンドリュー様のせいでは……」
すると、膝の上に置かれていた私の手をアンドリュー様の両手が優しく包み込む。
その温かさにハッとして彼の方を見つめた。
「セラフィナ。未だに君に関する記憶を取り戻すことはできていない……」
彼の口から静かに告げられた事実は、私の心に僅かな傷をつける。
もちろんそのようなことは、先ほどの茶会に参加した時点でわかっていた。
だがアンドリュー様本人からそう告げられてしまうのには、また違うものがあるのだ。
「だが記憶を失う前の私が手紙を書き残していた」
「手紙、ですか……?」
初めて知る事実に、私は目を丸くした。
そのようなことは、以前のアンドリュー様から一度も聞いたことはなかったからだ。
「他の者に見つからぬよう、秘密の部屋の金庫の中に入れてあった。この金庫には特殊な術がかけられていて、鍵を開けることができるのは私だけだ」
「秘密の部屋……というのは、ステンドグラスがあるお部屋でしょうか?」
アンドリュー様から初めて呪いについて聞かされた、あの部屋のことを言っているのだとすぐに気づいた。
その予想は当たっていたようで、私の問いかけに対して彼は安堵の笑みを浮かべる。
「ああ、その通りだよ。やはり君もあの部屋に入ったことがあるんだね?」
「はい……以前そのお部屋で、例の呪いの件についてお聞きしたことを覚えております」
「手紙には、私がどれほど君を愛しているか、そして私が君の記憶を失った後、君が城で苦労しないだろうか、そのことばかりが記されていたよ」
「そう、なのですね……」
目の前にいる男性は確かにアンドリュー様なのだが、まるで別人からの手紙のように語られるその口調に戸惑いを隠せない。
なんと返事をすればいいのかがわからず、相槌を打つことしかできなかった。
「手紙の最後にはこうあった。たとえ君のことを忘れてしまっても、何度でも君に恋をするはずだ……と」
「っ……」
俯いた拍子に涙がこぼれ落ちる。
久しぶりに耳にした懐かしい台詞が、どうしようもなく愛おしくなった。
それと同時に二度とあの頃のアンドリュー様には会うことができないのだという残酷な現実に、奈落の底へと突き落とされたような絶望感に苛まれる。
「……セラ、と呼んでも?」
「えっ……は、はい」
突然名を呼ばれた驚きで、涙に濡れた顔だということも忘れて再び彼の方を見上げた。
「セラ」という呼び名を再び今のアンドリュー様の口から聞くことができるとは、思ってもいなかったからだ。
「セラ。確かに今の私は、君のことを愛しているというわけではないんだ。すまない……だが正直に話しておこうと思う。嘘偽りの言葉を囁く方が、君にとっても失礼にあたるだろう」
「……もちろんそのようなことは、わかっております」
そう告げる自分の姿がひどく惨めな気がしてしまい、思わず彼から視線を逸らした。
アンドリュー様は意地悪でこのようなことを言っているわけではない。
たとえ私の記憶を失ったところで、それ以外の部分は以前となんら変わっていないのだから、彼がそのような人間ではないということはわかっている。
下手に嘘をつき私に期待を持たせたところで、やがてその嘘が露呈した時に傷つくのは私なのだ。
期待していた分、その悲しみや苦しみは計り知れないものとなるだろう。
私が不必要な悲しみを被ることのないように……これが彼なりの優しさなのだとわかる。
「だが私はあの手紙にもあった通り、また君に恋をしたいと思っている。あれほど記憶を失う前の自分が愛した女性のことを、私も知りたいんだ」
その目は必死で、私の手を包み込むようにして重ねられていた手には、いつのまにか強い力が込められている。
「だから……どうか私と共に夫婦として、これからそばにいてほしい」
それだけ告げると、彼はそっと頭を下げた。
「……私の方こそ、アンドリュー様の記憶がない中でこのように親切にしていただき感謝しております」
「何を言う。私たちは夫婦なのだから、当たり前だろう」
「はい……」
「久しぶりに部屋の外を出て、色々と見て回ったのだろう? 何か心配なことはあるか」
私の中で今一番の不安要素は、やはりユーグレン公爵とマリア様の存在だろう。
さすがにこうした寝室の中までは彼らも足を踏み入れることはできないため、その事実にホッと胸を撫で下ろしていたのだ。
今日の茶会で、マリア様が自らの立場の変化を理解したとは到底思えなかった。
きっとまた隙を見てアンドリュー様に近づこうとする様子が目に見えている。
だがそれを面と向かって指摘して良いものなのか……まだ今の私にはわからなかった。
「マリア嬢のことか? 今日の茶会で君に失礼な真似をしていただろう。申し訳ない。私が代わりに謝罪させてもらう」
「いえっ……私なら大丈夫ですから」
「君と行動を共にする時は、できるだけ私も目を光らせておくようにするつもりだ。だが……どうしても顔を合わせないというわけにはいかないだろう」
「わかっておりますわ」
「何かあったらすぐに私に教えてほしい。君を守るために善処すると約束しよう」
そう言ってアンドリュー様は、俯いていた私の顔をそっと覗き込む。
ずっと焦がれていた青い瞳が、すぐそこにあった。
吸い込まれてしまうようなその瞳は、優しさをたたえているように見える。
声かけに応じるように私もゆっくりと頷きを返すと、嬉しそうに彼が笑う。
その笑顔に釣られて私まで口元が緩んでしまった。
「今日はもう遅い。話はまた明日にしよう。これからいつだってこうして話をすることができるのだから」
「あっ……」
そこで私はあることに気づき、慌てて立ち上がると寝室の奥に置かれた机の元へ向かう。
そしてその上に置いてあったジャケット手に取ると、再びアンドリュー様の元へ戻り腰を下ろした。
「こちらを……あの日、お返しするのをすっかり忘れてしまって。ありがとうございました」
「ああ……そういえばそんなこともあったな。あのオルゴールの音色に夢中で、すっかり忘れていたよ」
彼は顔を綻ばせながら、そのジャケットを受け取った。
「また近いうちにあのオルゴールを聴かせてほしい。あの音色はなんだか私の中にある何かを揺さぶるような……そんな気がするんだ」
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