18 / 156
王侯貴族 事前登校 編
笑17
しおりを挟む
フシューーーーーーー
イコリスは背筋を伸ばし臍の下に片手を当て、細く長い息を吐いた。
トゥランやファウストだけでなく、ジェネラス達もイコリスを心配そうに見ている。
五大貴族頭首の嫡子として忌避感を抱いてもおかしくない、魅了で事件を起こしたイコリスだが、同年代の貴族女子は一人だけなので情が移ったようだ。・・・ファウストの働きかけによる印象操作もあっただろう。しかし、交流を重ねイコリスの性分に直に触れていくうちに、情が湧き絆された処も大いにあると思われる。
俺とトゥランがイコリスと出会ったばかりの頃は、彼女に協力的とは言えなかったものだ。
雑念を払い集中力を高めたイコリスが、長い髪とプリーツスカートの裾を揺らしてこちらへ歩いて来る。
校門に踏み入ったイコリスは、光の粒を銀糸の髪に纏わせ、絢爛な装飾を施された荘厳な門に負けない位、気高く美しかった。喋らず妙な動きをしなければ、容姿端麗なのだ。つくづく、残念である。
イコリスが校門をくぐり抜け切る瞬間、両脇辺りから何かが飛び出した。
半円状の白い物体が二つ、それぞれが両耳の高さで弾け飛び、光の粒となって消えた。
俺とファウスト以外は驚いて目を見開いている。どうやら、胸のパッド6枚は盛り過ぎだったらしく、2枚が飛び出し、弾けたみたいだ。
俺はある程度、盛りすぎではないかと推察していたのだが、ファウストがプラントリー一族女子の胸事情を知っているとは思わなかった。登校前にイコリスから聞く迄、俺さえ知らなかったのに・・・王族独自の情報網があるのかもしれない。
取り巻く光がなくなったイコリスは汗をかいていた。強制力で直毛から緩く波打つ巻き髪へと変わった銀色の髪の何本かを、顔に張り付かせている。
胸のパッドが飛び出たのは、イコリスでも焦ったようだ。パッドが減った分、弛んだブラウスを、更に汗をかきながら片手でぎこちなくスカートの胴部分へ押し込む。
「っっ!」
ジェネラスが手で口を押さえ、耳を赤くした。
「どうした?」
「え、いや、色気があったんで焦った。」
俺の問いに予想しない答えが返ってきた。俺から見たイコリスに、色気は微塵もない。
ジェネラスは幼少時より武術を学び、今では現職の警察官や、警察官を目指す者達と稽古している。
それは身分と性別に関係なく・・・そう、近年、婦人警官が導入されたのだ。けしからんことに、男女混合で稽古が行われているそうだ。そして武術には柔術も含まれるとか・・・。
なのにイコリスが汗をかいた位で動揺するとは。俺の中でジェネラスの好感度がちょっとだけ上がった。
「さっき、イコリスの体から蒲鉾が飛ばなかった?」
「いいや、何もなかったよ。」
「そうだよ、別に飛んでない。」
不可解な面持ちで尋ねるフラリスに、ラビネとチェリンはすっとぼけていた。
イコリスは背筋を伸ばし臍の下に片手を当て、細く長い息を吐いた。
トゥランやファウストだけでなく、ジェネラス達もイコリスを心配そうに見ている。
五大貴族頭首の嫡子として忌避感を抱いてもおかしくない、魅了で事件を起こしたイコリスだが、同年代の貴族女子は一人だけなので情が移ったようだ。・・・ファウストの働きかけによる印象操作もあっただろう。しかし、交流を重ねイコリスの性分に直に触れていくうちに、情が湧き絆された処も大いにあると思われる。
俺とトゥランがイコリスと出会ったばかりの頃は、彼女に協力的とは言えなかったものだ。
雑念を払い集中力を高めたイコリスが、長い髪とプリーツスカートの裾を揺らしてこちらへ歩いて来る。
校門に踏み入ったイコリスは、光の粒を銀糸の髪に纏わせ、絢爛な装飾を施された荘厳な門に負けない位、気高く美しかった。喋らず妙な動きをしなければ、容姿端麗なのだ。つくづく、残念である。
イコリスが校門をくぐり抜け切る瞬間、両脇辺りから何かが飛び出した。
半円状の白い物体が二つ、それぞれが両耳の高さで弾け飛び、光の粒となって消えた。
俺とファウスト以外は驚いて目を見開いている。どうやら、胸のパッド6枚は盛り過ぎだったらしく、2枚が飛び出し、弾けたみたいだ。
俺はある程度、盛りすぎではないかと推察していたのだが、ファウストがプラントリー一族女子の胸事情を知っているとは思わなかった。登校前にイコリスから聞く迄、俺さえ知らなかったのに・・・王族独自の情報網があるのかもしれない。
取り巻く光がなくなったイコリスは汗をかいていた。強制力で直毛から緩く波打つ巻き髪へと変わった銀色の髪の何本かを、顔に張り付かせている。
胸のパッドが飛び出たのは、イコリスでも焦ったようだ。パッドが減った分、弛んだブラウスを、更に汗をかきながら片手でぎこちなくスカートの胴部分へ押し込む。
「っっ!」
ジェネラスが手で口を押さえ、耳を赤くした。
「どうした?」
「え、いや、色気があったんで焦った。」
俺の問いに予想しない答えが返ってきた。俺から見たイコリスに、色気は微塵もない。
ジェネラスは幼少時より武術を学び、今では現職の警察官や、警察官を目指す者達と稽古している。
それは身分と性別に関係なく・・・そう、近年、婦人警官が導入されたのだ。けしからんことに、男女混合で稽古が行われているそうだ。そして武術には柔術も含まれるとか・・・。
なのにイコリスが汗をかいた位で動揺するとは。俺の中でジェネラスの好感度がちょっとだけ上がった。
「さっき、イコリスの体から蒲鉾が飛ばなかった?」
「いいや、何もなかったよ。」
「そうだよ、別に飛んでない。」
不可解な面持ちで尋ねるフラリスに、ラビネとチェリンはすっとぼけていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
だってお義姉様が
砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。
ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると……
他サイトでも掲載中。
メイドから母になりました
夕月 星夜
ファンタジー
第一部完結、現在は第二部を連載中
第一部は書籍化しております
第二部あらすじ
晴れて魔法使いレオナールと恋人になった王家のメイドのリリー。可愛い娘や優しく頼もしい精霊たちと穏やかな日々を過ごせるかと思いきや、今度は隣国から王女がやってくるのに合わせて城で働くことになる。
おまけにその王女はレオナールに片思い中で、外交問題まで絡んでくる。
はたしてやっと結ばれた二人はこの試練をどう乗り越えるのか?
(あらすじはおいおい変わる可能性があります、ご了承ください)
書籍は第5巻まで、コミカライズは第11巻まで発売中です。
合わせてお楽しみいただけると幸いです。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる