校内人事の人手不足で召喚したのは、最強エルフ! 悪には強いが家事には弱く、生活支える隣人教頭!!

根 九里尾

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41 がんばれ!宿泊の攻防 9 〔お前の負け?〕

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「よし、今だな!」

 岸川教頭は、後ろで響いていた奇音がしなくなったころを見計らって声を掛けた。

「おい! おい! 起きろベル! 起きてくれベル! 起きろおおお~ベルウウ~!!」

 大きな声は出さないものの、首だけを後ろに向け、ベルフィールの尖った耳にできるだけ口を近づけて低い声で呼び掛けた。

「……う……うん……ああ、……ああんん……」

 ベルフィールは、寝袋から出ている手を岸川教頭の寝袋に後ろからベアハグしたまま、彼の背中に顔を埋めて、まだ気持ち良さそうにしていた。

「こら! ベル! 真夜中だぞ! 早く起きろ! ベル!」

 岸川教頭は、寝袋の中なので、手が動かせない。もがいて、離れようとしても、まったく動きがとれないのである。

「困ったなあ。あ! そうだ! ベル! 朝ご飯だぞ! ご・は・ん!」

「ん? ご・は・ん?……あ~?」

「そうだ、ベル! 目を覚ませ! 起きろ! 早く、手を放してくれ! そうしないとご飯を作れないぞ!!」

「ああ、総司! おはよう……んんんん?」

 ベルフィールは、寝ぼけた目をして、大きな伸びをした。その瞬間を利用して、岸川教頭は、寝袋から脱出し、ようやく自由の身になった。

「ふー、助かったー。まったく、お前はよ~」
「ふぁれ? どうしふぁ? 総司? こんふぁところで? ふぁにしてる?」

「本当に、それは、俺が聞きたいぞ! まったく、こんな夜中に、こっちに来て!」

 今度は、寝ぼけたベルフィールを寝袋に入れたまま、岸川教頭が自分の膝枕で寝かしつけた。そして、テントの隅で座ったまま、彼もまた疲れはてて眠ってしまったのである。






 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 次の日の朝、岸川教頭は一番に起きて、朝食の準備をしていた。

「あれ? 早いんですね教頭先生」

 細谷先生が、ニヤニヤしながら起きてきて、あたりを見回していた。

「あ、おはようございます。あいつなら、いませんよ」
「あれ? 何のことですか? ふふふ」

 とぼけたふりをして、それでも、彼女は教頭に尋ねた。

「岸川教頭先生、ベルちゃんって、いい娘ですよね?」
「いい娘に決まっているじゃありませんか」

「私達は応援していますからね」
「分かっていますよ。ただ、イビキは酷い!」

 岸川教頭の目には、大きなクマができていたのだった。



(つづく)
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