校内人事の人手不足で召喚したのは、最強エルフ! 悪には強いが家事には弱く、生活支える隣人教頭!!

根 九里尾

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第5章 ラブリーさまーばけーしょん

54 秘境の楽園? 4 〔夜のお楽しみ?〕

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「……は、はは、はなび、花火も……終わったし……そろそろ出るかなああああ」

 岸川きしかわは、そそくさとタオルで前を隠して露天風呂を出て行った。

「そ、そ、そうねえ……ベルちゃん、私達も……出ようかあああああ」

 メグミは、ベルの手を引いて、急いで更衣室の方へあがって行った。

「あっ! ああ……え?……待って……メグちゃん……」

 ベルは、訳も分からず、ただ引きずられるようにしてメグに引っ張られて行った。

「あはははあはははは……」

 最後に残った鎌田は、露天風呂の中で、ひとしきり大笑いをしてから、ゆっくりあがって行った。








 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「なあ、あれ!……やっていかないか?」

 岸川は、部屋に帰る途中、目ざとく見つけた。

「いいなあ……わしも、昔は顧問をやったことがあったんだぞ!」

 鎌田かまだも、話に乗ってきた。
「じゃあ、男子対女子のチーム戦でやりましょうよー」

 メグミも、やる気満々だった。

「え?……何やるの?……何、そんなにみんな張り切ってるの?」

 ベルフィールだけは、それを見ても、ピンときていなかった。

「お、ベルは、知らないんだな!……じゃあ、ちょうどういいハンデになるな」

 岸川は、そこにあった、ラケットとボールを持ってニヤッと笑った。

「だから……これ、何なのよ?」

 ベルが、そこにある台を両手で触りながら、自分だけが知らないので、怒り出しそうだった。

「あははは……ベル、怒るなよ。これはな、温泉には必ずある楽しいもので、これでみんなが仲良くなれるんだ!! その名も……」



「「「 温泉卓球だーー!!」」」



「オンセン タッキュウ?……そんなに楽しいのか?」

「ああ、楽しいぞ! みんな、力の限り戦うんだ! 風呂上がりの浴衣姿なんか気にしないで、全力でやるから、すっきりして、夜もよく眠れるぞーーみんな、いいか!」

「「おおおーーー!!」」

「ベルは、気を付けろよ。魔法は、無しだぞ。それに、お前の全力だと、ピンポン玉が破壊されるから考えろよーー、これはいいハンデだな!!」

 古びた旅館の遊具設備は、この広間の卓球台しかなかった。ちょうど、今夜は、この4人だけの宿泊なので、心置きなく騒げた。

「(総司達は、そんなに卓球が好きだったんだ~)」

 みんなが、異様に盛り上がる様子を見て、ベルは卓球がすごいスポーツだということを再認識した。

「ベルちゃん、温泉卓球ダブル大会よ! 細かいルールは、気にしないわ! トニカク相手の卓球台にピンポン玉を納めるのよ!!いい?」

「う、うん……。(あれ?……ルールは、気にしないの?……ヤケにテンションだけ高くないかな?)」
 
 卓球の試合が始まった。審判無しで、ルールもそれなりだが、結構みんな楽しめている。

「うぉーりゃー!」

 ラリーも続くし、岸川がスマッシュを決める。

「総司!すごーーい!!」

 ベルが褒めると、調子に乗って、岸川は無闇に卓球台の左右を飛び跳ねてスマッシュを打つ。

「えい!…………ヤア!……ソレ!……」

 ところが、どこに打っても、ベルは確実に拾えるので、男子組の得点にはならない。それでも、岸川は喜んでスマッシュを打ってくる。

 あまりにもベルと岸川だけラリーを続けるから、鎌田がもう一つピンポン玉を掴んで打ち出した。

「それじゃー! メグちゃん、わしの必殺サーブを受けてみろ! 大回転さーぶじゃ!!」
「え? (必殺サーブ? って何?)」

 鎌田は、ピンポン球を持ったまま、その場でぐるぐる回ってからサーブを打った。

「わあーーー、目が回るって……回るのは、おっちゃんじゃん!! あはははは」

 メグミが、空振りをしてから、大きな声で突っ込みを入れる。

「わははははあああ……どうだ! 必殺サーブの威力は?」

 鎌田は、大笑いしてから、自分で尻餅をついて、また、大笑いをした。

「今度は、私のサーブよ!!高速サーーーーーブ!」

 メグミは、卓球台の周りを全力で3周走り回ってから、サーブした。

「よーーーし、高速レシーブだ!!!」

 受けたのは、鎌田。ラケットを持った右手を高速でビュンビュン振り回して、空振りした。

「メグちゃん……なかなか、やるなあああ」

 こちらの2人は、何度もこれを繰り返し始めた。


「(あれれれ? みんな、何かヘン? なんか、顔も赤いし)……あ! みんな、ずるい!私も……」

 ベルは、慌てて、露天風呂から持って来たお酒をコップに入れて一気に飲んだ。
 実は、他のみんなは露天風呂で飲んだお酒で酔っていて、テンションが上がっていたのだった。
 おまけに卓球で動きまわって、さらに酔いがまわったのだった。

 ベル? ベルはお酒には酔うが、そんなに長く酔いは続かない。酔うのも早いが覚めるのも早いのである。







 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「……いくわ~よ~……ヒック#……そーれ……ヒック#……」
「やーあー……ヒック#……とー……ヒック#……」
「ヒック#……わあああ……ヒック#……えい!……」
「スマッシュ!……ヒック#……ウィッ#……えーと玉、玉……」

 4人とも黄色いピン玉を追い駆けて、狭いホールを縦横無尽に駆け回った数十分間。
 髪は乱れ、目はとろんと半開き、浴衣の帯は胸まで上がり、ほぼ全開状態。

 ドタ  バタ  ドスウン

「総司イイ?……メグ?……おっちゃん?……」

 3人がホールの床に座り込んでしまった。
 ただ一人、ベルだけが、かろうじて目を開けていたが、何をしていいかよくわからなかった。

「メグちゃーーーああん…………」

 ベルは、泣きそうになって、メグミを揺すっていると、かろうじて声だけが聞こえた。

「ベル……へ、へや……に、はこんで……おね……が……い」

 そこまで言うと、メグミは、深い眠りに落ちた。

「……へや?……うん!」

 ベルも、フラフラの意識の中、周りを見渡し、メグミと岸川と鎌田を担ぐと、自分の部屋をめざした。

 この旅館では、男性部屋と女性部屋の2つしかなく、もちろんベルは、メグミと一緒の部屋だった。

「……ここ……」

 ベルは、自分の部屋を開けた。ぼんやりと中を見ると、布団が2つ敷いてあった。

 岸川と鎌田を下ろして布団に寝かせた。

 片一方の布団にめぐみを寝かせた。



「私は……(……ここが、いいかな……)……」

 ベルは、意識を失いそうになりながら、手探りで布団を探り当て抱き着いて眠った。












 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『………くさま……おきゃくさま……お客様、そろそろ御出立のお時間でございますよ!』


「……うん……ペロ……ウェッ!……何だ? こりゃ?……」

 岸川は、鎌田の毛むくじゃらの足を抱えて飛び起きた。

「ど、どこだ? ここは?……」

 横の布団を見て、思わず大きな声を出しそうになったが、かろうじて息をのみ込んで助かった。

 岸川は、近くにあった掛け布団をそーっと2人に掛けてから、静かに寝ぼけた鎌田を連れて部屋を出た。
 そして、表から知らない振りをして声を掛けた。

『おーい、そろそろ時間だぞ……早く起きろよー』

 しばらく様子を廊下で窺っていると、

『……きゃあーーーーーーああああ』と、メグミのけたたましい悲鳴にも似た雄叫びが聞こえてきた。






 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 朝食は、質素ではあったが、1人1人にお膳が用意された立派なもので、ご飯、みそ汁、漬物、焼き魚、など朝食としては申し分ないものだった。
 ちょっとした広間が用意されており、みんなで食べることができた。
 もちろん他に客などはなく、この旅館そのものが隠れ家のような雰囲気を醸し出していた。

「ところで、夕べの卓球は、楽しかったなあ」

 岸川が、話を切り出した。

「そうね……キッシーは、ベルちゃんとラリーが続いていたわよね~」
「わしなー、途中から何も覚えていないんじゃ……ちゃんと部屋で寝たのかなあ」

 鎌田が、不思議そうにしていると、ベルが自慢げに話し出した。

「卓球の時、みんなあそこで寝ちゃったんだぞ!……大変だったんだから………私が布団まで運んだ……ありがたく思えよ!!」

「そーか! ベルの仕業か!……お前のおかげ……いや、ところで、メグミは、よく眠れたか?」

 岸川は、朝の光景を思い出しながら余計なことを聞いた。

「あ、あ、あたりまえよ……朝まではよっく眠れたわよ……」

 メグミも、朝のことを思い出しながら、『余計なことを聞くなよ』と思っていた。


「さあ、今日は、最終日よ! 夏休みの企画最終章は、トロピカルファミリーランドよ!」

 一段とメグミの気迫が燃え上がり、この旅行の締めくくりを感じさせた。



(つづく)
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