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第6章 メカニック・サマーバケーション
63 夏の思い出 1 〔発進せよ!〕
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僕は、柔らかい雲の上にいた。……いや、いるようだった? それだけ気持ちが良かったのだ。ただ、満足感だけが満ちていた。
もう少し、このまま眠りたかった。
「…………きろ!……もういいだろ、総司! そろそろ出番だぞ!」
「……え?……何?……あ!」
鎌田さんの声だ。少しだけ目を開け、周りを見た。
「……え?……ベ、ベル?……何してるの?」
驚いている僕の顔を覗きながら、ベルは笑顔で答えた。
「何って?……ソージを抱っこしてるのよ~」
「い、いい、から降ろしてくれーーーー」
慌ててベルの腕から飛び降りた僕は、何が何だかさっぱりわからなかった。何となく……観覧車に乗ったことぐらいは覚えているが……
「さあ、来たぞ!」
その機体は、微かなエンジン音がするものの、風だけを巻き上げて、目の前に垂直着陸したのだった。
「ハッチオープン!……さあ、みんな乗って!」
鎌田さんが誘導したのは、開いたドアが地面についた階段だった。
………何だっけ? これ?……
大きな翼、黒光りする胴体。音速機コンコルドを思わせるスマートな頭頂部。操縦席2つは最前面。その後ろに通信席と動力制御席が背中合わせになり、壁の制御パネルに向かっている。
さらに、今回は、最後尾に客席が用意され、全員が乗り込んだ。
「さあ、総司とベルちゃん、操縦を頼むよ…………行き先は、お前のアパートだからな!」
「え?……どうして?……何で?」
僕には、さっぱり意味が分からなかったが、ベルはニッコリ笑って、右手の人差し指と中指をこめかみに当て、
「了解!……さあ、ソージ、行くわよ!」と、僕の手を引いて、機体の最前列の席に座った。
僕が、右の席で、ベルが左の席。ベルがヘッドセットを付けるのを見て、真似をした。
『計器すべてチェック完了……オールグリーン』
鎌田さんの声だ。
『目的地、総司のアパート……エンジン全開』
ベルの合図で、機体が一気に垂直上昇。多少の重力はかかったが、それほどでもなかった。
『飛行ルート クリア 障害物なし』
メグミの声だ。
『アフターバーナー点火……出力70%』
操縦桿を握ったまま、左手のスロットルレバーをベルが手前に引いた。体が、一気にシートの背もたれに吸い込まれた感じがした。
焦って、自分も操縦桿に手を伸ばしたが、何もする必要がなかった。5秒後には、圧力は感じなくなり、その代わり窓の景色は何も見ることができなくなった。
すぐに、『あ! すまん、総司、これ渡すの忘れてたな! ほらよ!』
鎌田さんは、銀色のブレスレットを後ろの席から放り投げてよこした。
横を見ると、ベルが、自分の右手を持ち上げて、同じようなブレスレットをはめているのを僕に見せた。
そして、自分にも腕にはめるように、目で合図を送っていることがわかった。
「これか?……右手に……よしっと!!!」
銀色のリングをはめたとたん、僕は、一瞬ですべてを思い出した。これは、あの巨大“要塞もどき”に格納されていた艦載機だ。
思い出したぞ!……そうだった!!! あああ、そうだ! そうだよーーーー!!
「よーし! ベル! 行くぞーー! 出力80%に上げるぞー!」
「イヤッホーーー!! いいぞ、ソージ!!」
僕とベルは、艦載機を鳥のように操りながら、一路アパートをめざしたのだった。
(つづく)
もう少し、このまま眠りたかった。
「…………きろ!……もういいだろ、総司! そろそろ出番だぞ!」
「……え?……何?……あ!」
鎌田さんの声だ。少しだけ目を開け、周りを見た。
「……え?……ベ、ベル?……何してるの?」
驚いている僕の顔を覗きながら、ベルは笑顔で答えた。
「何って?……ソージを抱っこしてるのよ~」
「い、いい、から降ろしてくれーーーー」
慌ててベルの腕から飛び降りた僕は、何が何だかさっぱりわからなかった。何となく……観覧車に乗ったことぐらいは覚えているが……
「さあ、来たぞ!」
その機体は、微かなエンジン音がするものの、風だけを巻き上げて、目の前に垂直着陸したのだった。
「ハッチオープン!……さあ、みんな乗って!」
鎌田さんが誘導したのは、開いたドアが地面についた階段だった。
………何だっけ? これ?……
大きな翼、黒光りする胴体。音速機コンコルドを思わせるスマートな頭頂部。操縦席2つは最前面。その後ろに通信席と動力制御席が背中合わせになり、壁の制御パネルに向かっている。
さらに、今回は、最後尾に客席が用意され、全員が乗り込んだ。
「さあ、総司とベルちゃん、操縦を頼むよ…………行き先は、お前のアパートだからな!」
「え?……どうして?……何で?」
僕には、さっぱり意味が分からなかったが、ベルはニッコリ笑って、右手の人差し指と中指をこめかみに当て、
「了解!……さあ、ソージ、行くわよ!」と、僕の手を引いて、機体の最前列の席に座った。
僕が、右の席で、ベルが左の席。ベルがヘッドセットを付けるのを見て、真似をした。
『計器すべてチェック完了……オールグリーン』
鎌田さんの声だ。
『目的地、総司のアパート……エンジン全開』
ベルの合図で、機体が一気に垂直上昇。多少の重力はかかったが、それほどでもなかった。
『飛行ルート クリア 障害物なし』
メグミの声だ。
『アフターバーナー点火……出力70%』
操縦桿を握ったまま、左手のスロットルレバーをベルが手前に引いた。体が、一気にシートの背もたれに吸い込まれた感じがした。
焦って、自分も操縦桿に手を伸ばしたが、何もする必要がなかった。5秒後には、圧力は感じなくなり、その代わり窓の景色は何も見ることができなくなった。
すぐに、『あ! すまん、総司、これ渡すの忘れてたな! ほらよ!』
鎌田さんは、銀色のブレスレットを後ろの席から放り投げてよこした。
横を見ると、ベルが、自分の右手を持ち上げて、同じようなブレスレットをはめているのを僕に見せた。
そして、自分にも腕にはめるように、目で合図を送っていることがわかった。
「これか?……右手に……よしっと!!!」
銀色のリングをはめたとたん、僕は、一瞬ですべてを思い出した。これは、あの巨大“要塞もどき”に格納されていた艦載機だ。
思い出したぞ!……そうだった!!! あああ、そうだ! そうだよーーーー!!
「よーし! ベル! 行くぞーー! 出力80%に上げるぞー!」
「イヤッホーーー!! いいぞ、ソージ!!」
僕とベルは、艦載機を鳥のように操りながら、一路アパートをめざしたのだった。
(つづく)
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