78 / 112
第6章 紡ぐ繋がりの中で
78 第6章第13話 予期せぬ災い
しおりを挟む
虹ノ森高校に『ブルー・アース・ラボ(BEL)』が完成してからは、南中子達の放課後も多少は変化してきた。放課後BELに行くと、そこには夏野キャップと湖路奈助手が、いつも作業をしていたのだ。
彼らは、3つある研究室の一つに大掛かりなシステム配電盤を取り付けていた。
「こんにちは! キャップ。だいぶ作業は進んだの?」
「ん? あー、南中子ちゃんか。授業は終わったのかい? 見ての通りだ。ようやく、基本的な基盤を繋いだだけなんだ。先は、長いよなあ~」
10畳ぐらいの部屋は、全て壁で囲まれていた。その一面に、今は、カラフルな配線が、所狭しと飛び出している。
夏野所長と湖路奈は、その1本1本を丁寧に取り付ける機器と接続しているのである。
「まあ、今は僕達に任せておいてくれ!」
複雑な機器のセッティングは、所長達だけで行っていた。南中子達は、今までと同じように『同好会』の活動を続けていた。ただし、もう同好会ではなく、歴とした部活に昇格しているのだが……。
「ミー部長~遅くなりました~」
3つの研究室の1つは、南中子達の部室に当てられている。南中子と真夏美と熱太郎達の部室だ。大抵の場合、胸山先生も来ているが。
もう、顧問では無くなったが、逆に校長先生との連絡係として、なぜか偉くなったような感じがする。その証拠に、胸山先生は、自分に自信をもったせいで、もうあのオドオドした様子は見られない。
「ミー部長、今日はこれで行きましょうか?」
「おー、それは懐かしいなあー」
「マナ、何だよそれ?」
「あれ? アッツもいるの?」
「俺だって、地温研だ! 仲間に入れろや!」
「もー、冗談だってば! はい、アッツには、この大きいのをあげる!」
「うっほーーい! おい、知ってっか? この『○タ○タ焼き煎餅』は、本当はすっごく硬いんだぜ!」
「え! そうなの? でも、今は、こんなにヘロヘロよ! でも、あたしは、このヘロヘロさがたまんないのよね!」
「まあな、今は、この冷水ミストのお陰で、どんな煎餅も硬さを維持するのは無理なんだ。だけど、歯の弱いお年寄りには、好評なんだよ。『冷水ミスト』のお陰で、『煎餅が食べやすい』って!」
「わー、ミー先輩、物知り―!」
「そっか?」
煎餅を食べる部屋にはミストは無いが、それぞれの建物の入り口や搬送中のコンテナなどは、常時ミストにさらされているのだ。そうしないと、すべてものから水分が失われ、あっという間に干からびてしまうのだ。
あの硬い煎餅でさえも、普通に水分が含まれているのだ。ただ、ちょっと冷水ミストでは、水分量を上手く調整できないのだが、それでも柔らかい煎餅は人々の支持を得てるのである。
いつの時代でも、煎餅だけは作り続けられ、伝統は守られ続けてきた証だろう。
「って! 俺らの活動って、なんかいつもオヤツばかり食べてる活動なんだけど、こんなんでいいんですか? 部長?」
「気にするな、アッツ! 私達には、私達の出番があるんだ。今は、まだその時じゃないだけだ」
「そうよ、アッツ! はい、あーーーん!」
「ああっぐふ。お前、煎餅を人の口に突っ込むなよ!」
ダダダダダダ……ドドドドド……ドン・ドン・ドン・
「〔バン!〕……た、大変よ! みんな!」
「どうしたんですか? シーセンセ?」
「町の商店街が、全て手焼き煎餅屋さんになってしまってたわ! どの店も、みんな店で煎餅を焼いているのよ!」
「わああ、嬉しいな。いろんな煎餅が食べられるんですね!」
「マナ! 何馬鹿なこと言ってんの! 一大事じゃない!」
「ええ? どうしてですか? ミー先輩だって、煎餅好きじゃないですか?」
「マナ、よく考えてみろよ! 煎餅は、火であぶって焼くんだ! 火だぞ!」
「あ! そっか! 商店街が全部で、煎餅を焼いたら……」
「そうだ、あの商店街は、灼熱地獄になってしまうんだ!」
「うーー、アッツにしては、よく気が付いたわね」
「どうだマナ! 見直したか? 最近、俺は自分の家で手作り煎餅に凝っててな。お陰で、ウチの台所は、灼熱地獄なんだ~よ~~ウエエエン!」
「アッツ? お前、何やってんの? ふふっ(= ̄ω ̄=)」
「いいから、ホラ! さあ、私達の出番よ! 胸山センセ、湖路奈ちゃんにも知らせてください! 私達は、先に商店街へ行ってます!」
「了解したわ!上杉部長!」
(つづく)
彼らは、3つある研究室の一つに大掛かりなシステム配電盤を取り付けていた。
「こんにちは! キャップ。だいぶ作業は進んだの?」
「ん? あー、南中子ちゃんか。授業は終わったのかい? 見ての通りだ。ようやく、基本的な基盤を繋いだだけなんだ。先は、長いよなあ~」
10畳ぐらいの部屋は、全て壁で囲まれていた。その一面に、今は、カラフルな配線が、所狭しと飛び出している。
夏野所長と湖路奈は、その1本1本を丁寧に取り付ける機器と接続しているのである。
「まあ、今は僕達に任せておいてくれ!」
複雑な機器のセッティングは、所長達だけで行っていた。南中子達は、今までと同じように『同好会』の活動を続けていた。ただし、もう同好会ではなく、歴とした部活に昇格しているのだが……。
「ミー部長~遅くなりました~」
3つの研究室の1つは、南中子達の部室に当てられている。南中子と真夏美と熱太郎達の部室だ。大抵の場合、胸山先生も来ているが。
もう、顧問では無くなったが、逆に校長先生との連絡係として、なぜか偉くなったような感じがする。その証拠に、胸山先生は、自分に自信をもったせいで、もうあのオドオドした様子は見られない。
「ミー部長、今日はこれで行きましょうか?」
「おー、それは懐かしいなあー」
「マナ、何だよそれ?」
「あれ? アッツもいるの?」
「俺だって、地温研だ! 仲間に入れろや!」
「もー、冗談だってば! はい、アッツには、この大きいのをあげる!」
「うっほーーい! おい、知ってっか? この『○タ○タ焼き煎餅』は、本当はすっごく硬いんだぜ!」
「え! そうなの? でも、今は、こんなにヘロヘロよ! でも、あたしは、このヘロヘロさがたまんないのよね!」
「まあな、今は、この冷水ミストのお陰で、どんな煎餅も硬さを維持するのは無理なんだ。だけど、歯の弱いお年寄りには、好評なんだよ。『冷水ミスト』のお陰で、『煎餅が食べやすい』って!」
「わー、ミー先輩、物知り―!」
「そっか?」
煎餅を食べる部屋にはミストは無いが、それぞれの建物の入り口や搬送中のコンテナなどは、常時ミストにさらされているのだ。そうしないと、すべてものから水分が失われ、あっという間に干からびてしまうのだ。
あの硬い煎餅でさえも、普通に水分が含まれているのだ。ただ、ちょっと冷水ミストでは、水分量を上手く調整できないのだが、それでも柔らかい煎餅は人々の支持を得てるのである。
いつの時代でも、煎餅だけは作り続けられ、伝統は守られ続けてきた証だろう。
「って! 俺らの活動って、なんかいつもオヤツばかり食べてる活動なんだけど、こんなんでいいんですか? 部長?」
「気にするな、アッツ! 私達には、私達の出番があるんだ。今は、まだその時じゃないだけだ」
「そうよ、アッツ! はい、あーーーん!」
「ああっぐふ。お前、煎餅を人の口に突っ込むなよ!」
ダダダダダダ……ドドドドド……ドン・ドン・ドン・
「〔バン!〕……た、大変よ! みんな!」
「どうしたんですか? シーセンセ?」
「町の商店街が、全て手焼き煎餅屋さんになってしまってたわ! どの店も、みんな店で煎餅を焼いているのよ!」
「わああ、嬉しいな。いろんな煎餅が食べられるんですね!」
「マナ! 何馬鹿なこと言ってんの! 一大事じゃない!」
「ええ? どうしてですか? ミー先輩だって、煎餅好きじゃないですか?」
「マナ、よく考えてみろよ! 煎餅は、火であぶって焼くんだ! 火だぞ!」
「あ! そっか! 商店街が全部で、煎餅を焼いたら……」
「そうだ、あの商店街は、灼熱地獄になってしまうんだ!」
「うーー、アッツにしては、よく気が付いたわね」
「どうだマナ! 見直したか? 最近、俺は自分の家で手作り煎餅に凝っててな。お陰で、ウチの台所は、灼熱地獄なんだ~よ~~ウエエエン!」
「アッツ? お前、何やってんの? ふふっ(= ̄ω ̄=)」
「いいから、ホラ! さあ、私達の出番よ! 胸山センセ、湖路奈ちゃんにも知らせてください! 私達は、先に商店街へ行ってます!」
「了解したわ!上杉部長!」
(つづく)
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜
美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊
ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め…
※カクヨム様にも投稿しています
※イラストはAIイラストを使用しています
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる