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第8章 地球観測日誌
111 第8章第5話 アツサもいろいろ
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21xx年x月xx日(水) 天候:曇り後晴れ
山の紅葉が目立つようになってきた。ようやく、日本にも四季が戻ってきた。あと、1ヶ月もすると、ここ北の大地にも雪が降るはず。
あれから10年が経過した。
気温が下がり、天候が追いついて来ると、低緯度の土地も復活し、人間や動物の居住区も増えだした。
今は、地球連合政府がすべてを管理しているので、昔のような国によって経済の発展に差が出るようなことはない。どこで、生活していても幸せな毎日を送れる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
※ここで、僕は極秘事項をこの日誌に記録しておこうと思う。この部分は、3次元バーコード処理でパスワードを掛けるので、誰にも見られることはない。
僕は、最初から分かっていた。湖路奈の中に、湖路奈と布礼愛が存在し続けたことを。
気が付いたのは、指紋認証の話が出た時、布礼愛は“一回こっきりで、データは削除される”と、言っていたが、削除されたのは、布礼愛が残したデータで、フレア自身のデータはそのまま残っていた。
たぶん、ミナちゃんは、知っていたんだと思う。
僕が気付いたのは、湖路奈のしゃべり方だった。あれだけ、文末が独特だったのに、今では普通に“ニャ”だけを付けているんだ。それに、あの時、自分は湖路奈だと言いながらも、文末に“ニャ”は付いていなかったんだ。
まあ、そのお陰で、湖路奈も家事全般(料理も)が出来るようになったし、何より助かったのはミナちゃんだろう。
あの戦いの後も、ミナちゃんは研究を続けた。くじけそうになった時は、必ず湖路奈に電話が掛かってきていた。
たぶん、布礼愛と話していたんじゃないかな……。
それでも、ミナちゃんは、地球連合政府に参加して、回復する地球環境保全に努めるようになった。今じゃ、立派な環境保全特務課主任課長だ。
ところが、湖路奈の中の“湖路奈”と“布礼愛”は、次第に融合していったみたいなんだ。今までは、別々に出現して、記憶の共有も少なかったが、次第に湖路奈は、それまでの布礼愛の記憶もすべて上書きされていったみたいなんだ。上書きというより、統合と言った方がいいかもしれないが……。
だから、今の湖路奈は、湖路奈なんだけど、布礼愛と同じことがすべて出来るようになった。
実際、これはどういうシステムなのかは、僕にはわからない。ただ、きっと布礼愛は、これを望んでいたんだと思う。
※ここまでが極秘
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「……あなた! 晩ご飯ができたわよ……」
あ、妻が呼んでる。なんせ、妻は忙しくて、日曜日の晩ご飯だけが家族で共有できる時間なんだ。
「ああ、今日は、カレーライスだね! ミナちゃんのカレーは絶品だからね……いっただきまーーす!」
「もう、あなたったら、慌てると噎せるわよ! ……セッカチなんだから……そんなに急がなくても、もうすぐ一緒に生活できるからね」
そうなんだ、もうすぐ妻は産休に入るんだ。その後は、しばらく育休をとろうって相談したんだ。僕は、自分の研究所だから、好きな時に休めるけど、地球連合政府となるとそうもいかないもんな。
そう、僕は南中子ちゃんと結婚したんだ。まあ、仕事上で仲良くなったのもあるんだけど…………湖路奈のお陰なんだ!
ピロロロロ……ピロロロロ……ピロロロロ
「はい、もしもし」
『あ、ウチ、湖路奈。博士! 明日の月曜日は、ウチお休みもらっても、いいかな?』
「え? 湖路奈、また、休むの?」
『いいじゃん、博士! ウチは、今、大事なところなのヨ……愛しのマグマ君が、デートしようって言うんだもん!』
「ま、仕方ないな。湖路奈、気を付けて行ってこいよ!」
『分かったよ! それじゃな!』
ガチャッ!
「湖路奈は、明日、デートだってさ!」
「え! いいわねー。マグマ君とうまくいってるのね! 良かったわ!」
実は、湖路奈がミナちゃんの気持ちを分かって、僕との差し渡しをしてくれたんだ。湖路奈が僕のことが好きで、構ってくれないと最初怒っていたのは知ってるんだ。
でも、湖路奈のことを考えると、やっぱり歳をとってしまう僕よりももっと相応しい相手を見つけてあげたいなって思ったんだ。
そんなことを考えていたら、先日あの“地球戦艦マグマ”のメインコンピュータが、暴走しだしたんだ。まあ、暴走っていっても、恋煩いになったんだけど。
何が何でも、湖路奈と話がしたいって、言うことを聞かなくなったんだ。
それで、僕は、戦艦マグマのメインコンピュータのAIをカートリッジ式にして、新しいアンドロイドに組み込んだんだ。
仕事の時は地球戦艦として働き、非番の時はアンドロイドのマグマとして、行動できるようになった。
すると、マグマはすぐに湖路奈に交際を申し込んだんだ。僕は、びっくりしたけど、湖路奈も満更でもないようだった。これは、湖路奈の電気回路の電圧やAIの電極波形にもしっかり現れているから間違いないみたいなんだ。
それで、僕もミナちゃんも、今は湖路奈の恋を応援することにしたんだよね。
10年経って、地球の暑さは収まってきたけど、恋の熱は相変わらず高いかもね!
★記録者:夏野 太陽(研究室長……現在は博士になった)
(つづく)
山の紅葉が目立つようになってきた。ようやく、日本にも四季が戻ってきた。あと、1ヶ月もすると、ここ北の大地にも雪が降るはず。
あれから10年が経過した。
気温が下がり、天候が追いついて来ると、低緯度の土地も復活し、人間や動物の居住区も増えだした。
今は、地球連合政府がすべてを管理しているので、昔のような国によって経済の発展に差が出るようなことはない。どこで、生活していても幸せな毎日を送れる。
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※ここで、僕は極秘事項をこの日誌に記録しておこうと思う。この部分は、3次元バーコード処理でパスワードを掛けるので、誰にも見られることはない。
僕は、最初から分かっていた。湖路奈の中に、湖路奈と布礼愛が存在し続けたことを。
気が付いたのは、指紋認証の話が出た時、布礼愛は“一回こっきりで、データは削除される”と、言っていたが、削除されたのは、布礼愛が残したデータで、フレア自身のデータはそのまま残っていた。
たぶん、ミナちゃんは、知っていたんだと思う。
僕が気付いたのは、湖路奈のしゃべり方だった。あれだけ、文末が独特だったのに、今では普通に“ニャ”だけを付けているんだ。それに、あの時、自分は湖路奈だと言いながらも、文末に“ニャ”は付いていなかったんだ。
まあ、そのお陰で、湖路奈も家事全般(料理も)が出来るようになったし、何より助かったのはミナちゃんだろう。
あの戦いの後も、ミナちゃんは研究を続けた。くじけそうになった時は、必ず湖路奈に電話が掛かってきていた。
たぶん、布礼愛と話していたんじゃないかな……。
それでも、ミナちゃんは、地球連合政府に参加して、回復する地球環境保全に努めるようになった。今じゃ、立派な環境保全特務課主任課長だ。
ところが、湖路奈の中の“湖路奈”と“布礼愛”は、次第に融合していったみたいなんだ。今までは、別々に出現して、記憶の共有も少なかったが、次第に湖路奈は、それまでの布礼愛の記憶もすべて上書きされていったみたいなんだ。上書きというより、統合と言った方がいいかもしれないが……。
だから、今の湖路奈は、湖路奈なんだけど、布礼愛と同じことがすべて出来るようになった。
実際、これはどういうシステムなのかは、僕にはわからない。ただ、きっと布礼愛は、これを望んでいたんだと思う。
※ここまでが極秘
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「……あなた! 晩ご飯ができたわよ……」
あ、妻が呼んでる。なんせ、妻は忙しくて、日曜日の晩ご飯だけが家族で共有できる時間なんだ。
「ああ、今日は、カレーライスだね! ミナちゃんのカレーは絶品だからね……いっただきまーーす!」
「もう、あなたったら、慌てると噎せるわよ! ……セッカチなんだから……そんなに急がなくても、もうすぐ一緒に生活できるからね」
そうなんだ、もうすぐ妻は産休に入るんだ。その後は、しばらく育休をとろうって相談したんだ。僕は、自分の研究所だから、好きな時に休めるけど、地球連合政府となるとそうもいかないもんな。
そう、僕は南中子ちゃんと結婚したんだ。まあ、仕事上で仲良くなったのもあるんだけど…………湖路奈のお陰なんだ!
ピロロロロ……ピロロロロ……ピロロロロ
「はい、もしもし」
『あ、ウチ、湖路奈。博士! 明日の月曜日は、ウチお休みもらっても、いいかな?』
「え? 湖路奈、また、休むの?」
『いいじゃん、博士! ウチは、今、大事なところなのヨ……愛しのマグマ君が、デートしようって言うんだもん!』
「ま、仕方ないな。湖路奈、気を付けて行ってこいよ!」
『分かったよ! それじゃな!』
ガチャッ!
「湖路奈は、明日、デートだってさ!」
「え! いいわねー。マグマ君とうまくいってるのね! 良かったわ!」
実は、湖路奈がミナちゃんの気持ちを分かって、僕との差し渡しをしてくれたんだ。湖路奈が僕のことが好きで、構ってくれないと最初怒っていたのは知ってるんだ。
でも、湖路奈のことを考えると、やっぱり歳をとってしまう僕よりももっと相応しい相手を見つけてあげたいなって思ったんだ。
そんなことを考えていたら、先日あの“地球戦艦マグマ”のメインコンピュータが、暴走しだしたんだ。まあ、暴走っていっても、恋煩いになったんだけど。
何が何でも、湖路奈と話がしたいって、言うことを聞かなくなったんだ。
それで、僕は、戦艦マグマのメインコンピュータのAIをカートリッジ式にして、新しいアンドロイドに組み込んだんだ。
仕事の時は地球戦艦として働き、非番の時はアンドロイドのマグマとして、行動できるようになった。
すると、マグマはすぐに湖路奈に交際を申し込んだんだ。僕は、びっくりしたけど、湖路奈も満更でもないようだった。これは、湖路奈の電気回路の電圧やAIの電極波形にもしっかり現れているから間違いないみたいなんだ。
それで、僕もミナちゃんも、今は湖路奈の恋を応援することにしたんだよね。
10年経って、地球の暑さは収まってきたけど、恋の熱は相変わらず高いかもね!
★記録者:夏野 太陽(研究室長……現在は博士になった)
(つづく)
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