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31・金と身体の使い方
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男娼の娼館は多くはないが、オーラル王国にも確かに軒が並んでいる。
男が女を持てなし奉仕する店もあれば、男が男の相手をする店もある。しかし、需要は娼婦の娼館よりずっと少ない。
だが、現在のオーラル王国では、勇者が破れた竜の魔王を男娼が討伐した噂が出回っていた。そして、魔王討伐者が判明したというのに、詳細の一切が伏せられている事から噂の信憑性が上がっている。
勇者探しに娼館へ訪れた冒険者や傭兵などが口コミで情報を広めていった結果、他国からも好奇心で足を運ぶ者までいた。
竜の魔王を倒した強き勇者を一方的に組み敷ける権利があると、優越と欲望を燻らせ、熱に浮かされた者達が今日も今日とて娼館に集まっている。
いつも、俺はお持て成しする側だが、今日は客として入館する。
モモに行ってもらおうと思ったのに、全力で拒否された。俺以外にベタベタされたくないらしい。子どもの世話を任せて娼館に来るなんて、もろダメ亭主行動だ。
入る前にある手続きを終えて中に入ると、受付には筋骨隆々のオカマ達がいて、俺は敬意を払って頭を下げる。厄介なお客様を追い払ってくれるのは彼らだ。おかげ男娼は安心して接客ができる。
まぁ、俺はケツ出してるだけで接客してねえけどな。
「本日はご来店ありがとうございます。当館のシステムはご存知でしょうか?」
「えっと……はい」
「それでは、お楽しみください☆」
自分の欲求に合ったコーナーに向かう。散財に向いているのは、酒を飲んで綺麗な男娼達におもてなしされるバーだ。
指名も出来るし、酒を飲むだけも出来るし、いい感じになったら奥のベッドルームで追加料金払ってしっぽりも出来る。
バーの入り口に立っている給仕へ銅貨2枚を渡す。利用料金だ。
「ご指名でございますか? それともご飲食でございますか?」
「飲酒でお願いします」
「かしこまりました。それでは、バーカウンターでご注文ください」
ご飲食は男娼が自由にお客様と関われる。指名が取れない男娼達にもチャンスがある選択だ。
バーカウンターでとりあえず、美味いと評判の蜂蜜酒と軽食を頼んだ。
「……え? 美味。なにこのツマミ。めちゃくちゃ美味しい」
「あら、見ない顔のお兄さん」
俺が食べる姿を見ていた男娼が声を掛けてきた。
「ねぇ、私と飲みましょうよ」
「いいですよ」
彼は、金髪のゆるふわロングヘアに宝石のような碧眼をコロリと転がす美人で、ゆったりとしたメンズドレスを着ている。
チラリズムの脇腹や太ももが目に付く。
「(エッチでいい服だ。モモも好きかな? 服脱がす醍醐味を最近知り始めたし、ちょっと趣向を変えても──)」
『スリ』
「!」
「あらら……私のこと見過ぎ。ヤダ、えっちぃ~」
「いや、そういうつもりは……」
「そういうつもりでいいんですよ。ほら、飲もう」
「あ、はい」
スルリと俺の腕に手を回す美人がグラスに蜂蜜酒を注いでくれた。
「君も何か飲む?」
「いいんですか? やったー!」
「ココで一番高い酒っておいくらですか?」
「え?」
バーのマスターは微笑んで一杯銀貨2枚、ボトルは金貨1枚だと教えてくれた。
確かお客様が男娼にボトルを送ると、ボトルの値段三割がお給料に入るんだっけ?
「うーん……じゃ、現在ここにいる男娼達にそのボトル一本づつ」
「「は?」」
「あ、本数足らなかった?」
「……白金貨1枚と金貨5枚、或いは金貨15枚です」
くっそ! 全然減らん! 金貨のこり85枚!
「では、コレで」
『チャリ』
「「えぇ!?」」
男娼とマスターが積んで差し出した金貨に目を剥いている。
「お客様……本当によろしいのでしょうか?」
「いいよ。今日はその為に来てる」
「…………」
男娼は俺の金払いに固まってしまった。
マスターが奥に引っ込んで、給仕達にボトルを持たせて男娼達に渡しに行っていた。
指名を受けていた男娼の元に行くと、お客様にもサービスとして振る舞っていた。
待機していた男娼にもボトルが入ってしまったのでコレは無駄に出来ないと給仕が呼び込みをしている。
高級ワインが無料でお客様に振る舞われると言うサービスにバーに人が流れ込んでくる。男娼がお酌して回ればあっという間に満席。
奥のベッドルームへ向かう二人組も多い。
「すごい……満席なんて初めて見た」
「そうなんだ。はい」
「あ! ありがとうございます」
俺の側にいる美人の男娼のグラスに酒を注ぎ、自分の杯にも酒を注いだ。甘い匂いが鼻腔を掠める。
「乾杯」
カチンとガラスが音を立てた後、ぐいっと煽ると、アルコール度数の高い酒で喉が焼けそうになる。しかし、口当たりがまろやかで、香りもフルーティーだ。甘みと酸っぱさが口の中で広がって消えていく。まるで果実を食べてる気分だ。
酒はそこまで強くないはずなのに、酔う感覚がない。
「(……まさか……状態異常耐性(中)って、酒まで効かないのか?)」
「お兄さんは……その気はない?」
「あーー……そうですね。お名前は?」
「カスミです」
カスミは色っぽい流し目で俺を見つめてはクスッと笑った。すごいテクだ。
「ねぇ、なんでこんなにお金持ちなんですか?」
「諸事情で一時期シャカリキに働き過ぎて……金貨貯まったから」
「え……それ、使っちゃうんですか?」
「今後も増える予定だから……だから、お世話になった支配人に恩返し出来たらって思って」
「お世話に?」
そこはちょっと濁しておこう。
詳しくは言えない。
「はい。まぁ、そんな感じです」
「……ふぅ~ん……支配人のお世話になったって言うなら、男大丈夫なんだ……ねぇ、もっとお話ししましょ? 奥で」
「奥?」
「言わせないでください」
俺にしなだれかかってきたカスミさんの胸元がチラチラ見えている。
「ダメ?」
「ダメじゃないですよ。でも、ボトル一本ちゃんと飲みきってから」
「……私を酔わして、どうするんですか?」
はぁ~~~~美人だな。
「(可愛いしエロい……)」
「っ……お兄さん、すごい色っぽい笑い方しますね……」
「え? そうですか?」
「無自覚こわぁい」
ボトル一本を二人で飲んで、カウンターに銀貨2枚を置いて奥へと進んだ。
少しふらつくカスミさんをエスコートしながら奥の部屋へ入った。
部屋の中に入ると、大きな天蓋付きのベッドが真ん中にあり、キングサイズのベッドには白いシーツが敷かれていた。
「(こんな豪華なベッドルームもあれば、尻壁コーナーもある娼館。バラエティ豊富過ぎる)」
「お兄さぁん……」
「おっと、キスは無し。あと、カスミさんがトップをお願いできますか? 俺がボトムで」
俺のお願いにカスミさんは目を見開いてギッと俺を睨み付けてきた。その目は酔いで若干潤んでいるが、怒りが滲んでいた。
『グイ!』
「!?」
カスミさんにベッドへ押し倒された。
カスミさんが俺のズボンのベルトに手を掛けて外そうとしている。
「ちょ、ちょっと!」
「お兄さん、お兄さんわかってて言ってるでしょ……ココがどういう娼館で男娼のサービスを知ってて来たんでしょう?」
「ああ……」
そうだった。すっかり忘れていた。無神経な事を言ってしまった。
「勃たないの知ってて……言ってるんでしょ! 金で買える男だからって馬鹿にして!!」
ポカポカと馬乗りで胸を叩かれる。
中性的な美しい見た目のカスミさんも男性だ。支配人も言っていた。抱かれたくて、男娼をやっている人は少ない。金に困って身を削り、自分を売っている。
酔いの勢いもあるだろうが、今までの鬱憤が溜まっていたのだろう。
俺は彼を抱き締めて首筋に顔を埋めさせる。
「ごめんなさい。決して馬鹿にしているわけではないんです。俺が、抱かれたかっただけなんですよ」
「…………」
「無理矢理はしたくありません。だから、今日は」
『ゴリッ』
ん? あれ? 太腿に何か当たってるんだが?
俺の首元からスッと顔を上げたカスミさんの顔は、信じられないモノを見るような顔をしていた。
「……カスミさん、勃ってません?」
「………………お兄さんの匂い嗅いだら、急に」
……男を寄せ付けるフェロモンってヤツ? 魅了も相まって興奮作用も強いのかな?
「…………」
ドレスの薄い布を押し上げる自分のモノを最愛の人と再会したような感動の面持ちで見つめている。
ゲンゾウさんが言っていた……下半身事情が解消するだけで、元の自分に戻れる。安心出来るって。
「ねぇ、カスミさん」
「っ!」
カスミさんの腰に両足を絡み付けて引き寄せる。首を傾げて精一杯の煽りテクを駆使する。
髭面のおっさんがするもんじゃないが、魅了とフェロモンに賭ける。
「俺の為に、男に戻ってくれませんか?」
「はッ……ぅう」
綺麗な顔が歪む。艶っぽかったカスミさんに男の欲情が見え始めた。
俺は自分で服をはだけさせる。
「カスミさん……俺を抱いてください」
「あ、ぅ……お兄さん……私」
「大丈夫です。きっと、上手くいきますよ」
「……う、うん」
カスミさんは俺の言葉に、戸惑いながらもコクリと小さく頷いて、俺のズボンと下着を取り去る。
アナルに指を入れられて、前立腺を探し当てられる。
「お兄さん、すごい……女の子みたいに濡れてる。お尻なのに」
「……はは、不思議ですね」
「本当にいいの?」
「はい」
ドレスの前を横に流して、面積の少ない下着をズラしてカスミさんのモノがピトっと押し当てられる。
「はぁ……お兄さん……挿れ、ますね」
「んっ」
モモ以外を受け入れるのは久しぶりだ。
スタンダードなサイズと形状に安堵している。
「あぁ……すご……お兄さん、すごい……はぁ……気持ちいぃ……お兄さんのナカ、すごく熱くて……吸い付いてくる……あっ、腰止まんない」
「んぅ……ぁ、あ」
足を担いで必死に腰を振るカスミさんの感じ入ってる姿に、きゅんっとする。
「も、出ちゃ……挿れたばっか、なのにぃ」
『ピュルル』
ナカに出された感覚がして、熱い液体がじんわりと染み渡る。
「っ、お兄さん……すごい……お兄さん、もっとシたい」
「いいよ……いっぱい、俺で発散してください」
「お兄さん、お兄さん」
それから、カスミさんに何度も求められて、俺も応えた。
男らしい顔付きで俺を見下ろして、しなやかだった動作も、荒々しい雄の動きに変わる。
「ふぅ、あ……きもちぃ、気持ちいい? お兄さん、私で感じてくれてます?」
「ぁ、ん、んあ……はぁ、きもちぃ、です」
「あ、ああ、ぁ……イく、前だけで、ちゃんとイける、イく、イくぅ」
「(……泣くほど嬉しいみたい)」
事後、カスミさんが気絶するように眠ったのを確認して、ベッドから降りてシャワーを浴びて部屋を出た。
受付で在籍男娼にチップとして金貨を一枚づつ託した。
しかし、それでも30枚ほど金貨が余ってしまった。仕方ない。コレは持って帰ろう。
男が女を持てなし奉仕する店もあれば、男が男の相手をする店もある。しかし、需要は娼婦の娼館よりずっと少ない。
だが、現在のオーラル王国では、勇者が破れた竜の魔王を男娼が討伐した噂が出回っていた。そして、魔王討伐者が判明したというのに、詳細の一切が伏せられている事から噂の信憑性が上がっている。
勇者探しに娼館へ訪れた冒険者や傭兵などが口コミで情報を広めていった結果、他国からも好奇心で足を運ぶ者までいた。
竜の魔王を倒した強き勇者を一方的に組み敷ける権利があると、優越と欲望を燻らせ、熱に浮かされた者達が今日も今日とて娼館に集まっている。
いつも、俺はお持て成しする側だが、今日は客として入館する。
モモに行ってもらおうと思ったのに、全力で拒否された。俺以外にベタベタされたくないらしい。子どもの世話を任せて娼館に来るなんて、もろダメ亭主行動だ。
入る前にある手続きを終えて中に入ると、受付には筋骨隆々のオカマ達がいて、俺は敬意を払って頭を下げる。厄介なお客様を追い払ってくれるのは彼らだ。おかげ男娼は安心して接客ができる。
まぁ、俺はケツ出してるだけで接客してねえけどな。
「本日はご来店ありがとうございます。当館のシステムはご存知でしょうか?」
「えっと……はい」
「それでは、お楽しみください☆」
自分の欲求に合ったコーナーに向かう。散財に向いているのは、酒を飲んで綺麗な男娼達におもてなしされるバーだ。
指名も出来るし、酒を飲むだけも出来るし、いい感じになったら奥のベッドルームで追加料金払ってしっぽりも出来る。
バーの入り口に立っている給仕へ銅貨2枚を渡す。利用料金だ。
「ご指名でございますか? それともご飲食でございますか?」
「飲酒でお願いします」
「かしこまりました。それでは、バーカウンターでご注文ください」
ご飲食は男娼が自由にお客様と関われる。指名が取れない男娼達にもチャンスがある選択だ。
バーカウンターでとりあえず、美味いと評判の蜂蜜酒と軽食を頼んだ。
「……え? 美味。なにこのツマミ。めちゃくちゃ美味しい」
「あら、見ない顔のお兄さん」
俺が食べる姿を見ていた男娼が声を掛けてきた。
「ねぇ、私と飲みましょうよ」
「いいですよ」
彼は、金髪のゆるふわロングヘアに宝石のような碧眼をコロリと転がす美人で、ゆったりとしたメンズドレスを着ている。
チラリズムの脇腹や太ももが目に付く。
「(エッチでいい服だ。モモも好きかな? 服脱がす醍醐味を最近知り始めたし、ちょっと趣向を変えても──)」
『スリ』
「!」
「あらら……私のこと見過ぎ。ヤダ、えっちぃ~」
「いや、そういうつもりは……」
「そういうつもりでいいんですよ。ほら、飲もう」
「あ、はい」
スルリと俺の腕に手を回す美人がグラスに蜂蜜酒を注いでくれた。
「君も何か飲む?」
「いいんですか? やったー!」
「ココで一番高い酒っておいくらですか?」
「え?」
バーのマスターは微笑んで一杯銀貨2枚、ボトルは金貨1枚だと教えてくれた。
確かお客様が男娼にボトルを送ると、ボトルの値段三割がお給料に入るんだっけ?
「うーん……じゃ、現在ここにいる男娼達にそのボトル一本づつ」
「「は?」」
「あ、本数足らなかった?」
「……白金貨1枚と金貨5枚、或いは金貨15枚です」
くっそ! 全然減らん! 金貨のこり85枚!
「では、コレで」
『チャリ』
「「えぇ!?」」
男娼とマスターが積んで差し出した金貨に目を剥いている。
「お客様……本当によろしいのでしょうか?」
「いいよ。今日はその為に来てる」
「…………」
男娼は俺の金払いに固まってしまった。
マスターが奥に引っ込んで、給仕達にボトルを持たせて男娼達に渡しに行っていた。
指名を受けていた男娼の元に行くと、お客様にもサービスとして振る舞っていた。
待機していた男娼にもボトルが入ってしまったのでコレは無駄に出来ないと給仕が呼び込みをしている。
高級ワインが無料でお客様に振る舞われると言うサービスにバーに人が流れ込んでくる。男娼がお酌して回ればあっという間に満席。
奥のベッドルームへ向かう二人組も多い。
「すごい……満席なんて初めて見た」
「そうなんだ。はい」
「あ! ありがとうございます」
俺の側にいる美人の男娼のグラスに酒を注ぎ、自分の杯にも酒を注いだ。甘い匂いが鼻腔を掠める。
「乾杯」
カチンとガラスが音を立てた後、ぐいっと煽ると、アルコール度数の高い酒で喉が焼けそうになる。しかし、口当たりがまろやかで、香りもフルーティーだ。甘みと酸っぱさが口の中で広がって消えていく。まるで果実を食べてる気分だ。
酒はそこまで強くないはずなのに、酔う感覚がない。
「(……まさか……状態異常耐性(中)って、酒まで効かないのか?)」
「お兄さんは……その気はない?」
「あーー……そうですね。お名前は?」
「カスミです」
カスミは色っぽい流し目で俺を見つめてはクスッと笑った。すごいテクだ。
「ねぇ、なんでこんなにお金持ちなんですか?」
「諸事情で一時期シャカリキに働き過ぎて……金貨貯まったから」
「え……それ、使っちゃうんですか?」
「今後も増える予定だから……だから、お世話になった支配人に恩返し出来たらって思って」
「お世話に?」
そこはちょっと濁しておこう。
詳しくは言えない。
「はい。まぁ、そんな感じです」
「……ふぅ~ん……支配人のお世話になったって言うなら、男大丈夫なんだ……ねぇ、もっとお話ししましょ? 奥で」
「奥?」
「言わせないでください」
俺にしなだれかかってきたカスミさんの胸元がチラチラ見えている。
「ダメ?」
「ダメじゃないですよ。でも、ボトル一本ちゃんと飲みきってから」
「……私を酔わして、どうするんですか?」
はぁ~~~~美人だな。
「(可愛いしエロい……)」
「っ……お兄さん、すごい色っぽい笑い方しますね……」
「え? そうですか?」
「無自覚こわぁい」
ボトル一本を二人で飲んで、カウンターに銀貨2枚を置いて奥へと進んだ。
少しふらつくカスミさんをエスコートしながら奥の部屋へ入った。
部屋の中に入ると、大きな天蓋付きのベッドが真ん中にあり、キングサイズのベッドには白いシーツが敷かれていた。
「(こんな豪華なベッドルームもあれば、尻壁コーナーもある娼館。バラエティ豊富過ぎる)」
「お兄さぁん……」
「おっと、キスは無し。あと、カスミさんがトップをお願いできますか? 俺がボトムで」
俺のお願いにカスミさんは目を見開いてギッと俺を睨み付けてきた。その目は酔いで若干潤んでいるが、怒りが滲んでいた。
『グイ!』
「!?」
カスミさんにベッドへ押し倒された。
カスミさんが俺のズボンのベルトに手を掛けて外そうとしている。
「ちょ、ちょっと!」
「お兄さん、お兄さんわかってて言ってるでしょ……ココがどういう娼館で男娼のサービスを知ってて来たんでしょう?」
「ああ……」
そうだった。すっかり忘れていた。無神経な事を言ってしまった。
「勃たないの知ってて……言ってるんでしょ! 金で買える男だからって馬鹿にして!!」
ポカポカと馬乗りで胸を叩かれる。
中性的な美しい見た目のカスミさんも男性だ。支配人も言っていた。抱かれたくて、男娼をやっている人は少ない。金に困って身を削り、自分を売っている。
酔いの勢いもあるだろうが、今までの鬱憤が溜まっていたのだろう。
俺は彼を抱き締めて首筋に顔を埋めさせる。
「ごめんなさい。決して馬鹿にしているわけではないんです。俺が、抱かれたかっただけなんですよ」
「…………」
「無理矢理はしたくありません。だから、今日は」
『ゴリッ』
ん? あれ? 太腿に何か当たってるんだが?
俺の首元からスッと顔を上げたカスミさんの顔は、信じられないモノを見るような顔をしていた。
「……カスミさん、勃ってません?」
「………………お兄さんの匂い嗅いだら、急に」
……男を寄せ付けるフェロモンってヤツ? 魅了も相まって興奮作用も強いのかな?
「…………」
ドレスの薄い布を押し上げる自分のモノを最愛の人と再会したような感動の面持ちで見つめている。
ゲンゾウさんが言っていた……下半身事情が解消するだけで、元の自分に戻れる。安心出来るって。
「ねぇ、カスミさん」
「っ!」
カスミさんの腰に両足を絡み付けて引き寄せる。首を傾げて精一杯の煽りテクを駆使する。
髭面のおっさんがするもんじゃないが、魅了とフェロモンに賭ける。
「俺の為に、男に戻ってくれませんか?」
「はッ……ぅう」
綺麗な顔が歪む。艶っぽかったカスミさんに男の欲情が見え始めた。
俺は自分で服をはだけさせる。
「カスミさん……俺を抱いてください」
「あ、ぅ……お兄さん……私」
「大丈夫です。きっと、上手くいきますよ」
「……う、うん」
カスミさんは俺の言葉に、戸惑いながらもコクリと小さく頷いて、俺のズボンと下着を取り去る。
アナルに指を入れられて、前立腺を探し当てられる。
「お兄さん、すごい……女の子みたいに濡れてる。お尻なのに」
「……はは、不思議ですね」
「本当にいいの?」
「はい」
ドレスの前を横に流して、面積の少ない下着をズラしてカスミさんのモノがピトっと押し当てられる。
「はぁ……お兄さん……挿れ、ますね」
「んっ」
モモ以外を受け入れるのは久しぶりだ。
スタンダードなサイズと形状に安堵している。
「あぁ……すご……お兄さん、すごい……はぁ……気持ちいぃ……お兄さんのナカ、すごく熱くて……吸い付いてくる……あっ、腰止まんない」
「んぅ……ぁ、あ」
足を担いで必死に腰を振るカスミさんの感じ入ってる姿に、きゅんっとする。
「も、出ちゃ……挿れたばっか、なのにぃ」
『ピュルル』
ナカに出された感覚がして、熱い液体がじんわりと染み渡る。
「っ、お兄さん……すごい……お兄さん、もっとシたい」
「いいよ……いっぱい、俺で発散してください」
「お兄さん、お兄さん」
それから、カスミさんに何度も求められて、俺も応えた。
男らしい顔付きで俺を見下ろして、しなやかだった動作も、荒々しい雄の動きに変わる。
「ふぅ、あ……きもちぃ、気持ちいい? お兄さん、私で感じてくれてます?」
「ぁ、ん、んあ……はぁ、きもちぃ、です」
「あ、ああ、ぁ……イく、前だけで、ちゃんとイける、イく、イくぅ」
「(……泣くほど嬉しいみたい)」
事後、カスミさんが気絶するように眠ったのを確認して、ベッドから降りてシャワーを浴びて部屋を出た。
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