Dragon maze~Wild in Blood 2~

まりの

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變色龍の章

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「で? 何故子連れで出動してるんでしょうか?」
 フェイの背中にへばりついている物体は、極東支部のお姉さん達にご機嫌な笑顔を振りまいていた。
「きゃ~かわいい~!」
「こっちむいてぇ」
 お、女って……。
「朝一で支部長と警察に連れて行ったんだけど、この子が僕を間違いなくママだと言い切ったので受け取ってもらえなかった。逆にこんな小さな子供を捨てる気か、これだから今の若いモンは……とか言われて叱られた」
 むっつりとフェイが溢した。
 ここが日本だったのが災いしたな。この列島の人達は情が深いらしいからな。しかしまあ、草臥れた顔してるな、フェイ。昨夜はルイに一睡もさせてもらえなかったらしい。
「ねえ、降りてくれる? お仕事中だから」
 フェイが背中のおチビに声を掛ける。
「いや! ママ、また迷子になってボクをおいてけぼりにするから」
「……この通り離れてもくれない」
 うう~ん、口の達者な賢い子でも、まだ三歳前だからな。
「いいじゃない、いっそ連れて歩けば? ついでにどこかでママをみつけられるかもよ」
 シンディさんよぉ、ものすごいいい加減なことを言ってくれるな。さてはオフィスにこのチビを置いていかれるのが嫌なんだな。またおばさん呼ばわりされるから。
「ボクもおしごとお手伝いするぅ!」
 ルイはノリノリだが、フェイは勘弁して欲しいよな。
「だめだよ。待ってて」
 フェイが言ってもルイは更に背中にべったりくっついた。降りる気は無いようだ。仕方なくオレが助け舟を出す。
「邪魔さえしなきゃいいんじゃないか? よしルイ、お兄さんとこ来い。ママはお疲れだ」
「えー?」
 なんだが不服そうだが、とりあえずルイはフェイの背中から飛び降りた。
「カイ、今、僕の事ママって言ったでしょ?」
「仕方ないだろ」
 うわ、フェイがものすごく機嫌悪い。寝不足ってコワイ。
 オレはルイを肩車してスタンバイ。おお、ほわほわで軽いな。
 よもや、これがこの後のオレの運命を変えるとは、その時は思いもしなかったけどな。
「では、みんなぁ、打ち合わせどおりお願いねぇ」
 極東支部長の甘い悪魔の声で、カメレオン娘捕獲作戦第二段がスタートした。

「メイファ! メイファちゃ~ん!」
「昨日は空の財布で残念だったねぇ。やーい悔しかったらでてこーい」
 ……やってて馬鹿らしくなってきた。
 ホントにこんなので炙り出せるのか? シンディおばちゃんよう。
「若い女の子でしょ? きっと恥ずかしくなって動きを見せるわ。姿が見えなくてもニオイで今度はわかる。大体でいいから、いるのを確かめたらこれで撃って」
 ……で、渡されたのが水鉄砲。中には色つきの液。すんげぇ古典的な道具。
 今までに出没したポイントや年齢、性別から、元G・A・N・P諜報部女王の名を欲しいままにしていたキツネ女が、プロファイリングで割り出した場所が二箇所。
 昨日、ルイを拾ったシブヤ周辺と、エビスというあたり。オレ達のチームはそのうちのシブヤの方に来た。
「表通りじゃなくて、裏通りよ。細い路地も気をつけてね。今まで百パーセントの確立で成功させてきた犯人の心理としては、きっと昨日逃げおおせたとはいえ、追い詰められて、顔まで見られた相手が気になって仕方が無いはず。特に若い女の子だったらね。カイ、あなたの声にはきっと反応するわ」
 そういうもんなのかねぇ。ま、昨日失敗したのはオレのせいなので、従うしかないんだけどさ。
 ちら、と横を見ると、見慣れた制服のフェイ。ああ、今日は大丈夫だ。ドキドキしないな。でもな……。
「こら、髪を引っ張るな」
 肩の上に何か乗ってるんですけど。たまにヨダレが降ってくるし。
「たいくつぅ」
「……落とすぞ」
 やっぱり気が散るなぁ。
「お~い、カメレオン娘。早く出てきてくれよ!」
 一応、フェイがもう一つの班に連絡を入れてみても、まだ発見は出来ていないようだ。
 やっぱ今回も失敗? オレがそう思った時だった。
「いってぇ!」
 思い切りルイがオレの耳をひっぱりやがった。
「こら、ルイ何すんだ!」
「にいちゃん……あそこ、なんか壁、うごいた」
 耳打ちするように小さな声でルイが言った。
「え?」
「……カイ、微かだけどニオイがするよ」
 フェイも小声だ。
 出たか。
 へえ、やるな、支部長のおばちゃんよ。プロファイリングってすげえのな。
 ではもう少し煽ってみよう。
「なあ、昨日の緑の髪の娘さ、可愛い顔してたんだぜ。きっとすげえ美人になるぞ、あれは。オレの好みのタイプ」
 わざと大きな声でフェイに話しかけてみた。
「……鼓動が大きくなった」
「ガキだから、お前と同じくらい胸なかったけどな」
 よし、オレも気配を感じるぞ。怒ったか? でもなんで微妙にフェイからも殺気が?
 それにさすがに水鉄砲で撃つまでは狙いが定まらない。
「にいちゃん、かして」
 ルイがオレの肩から飛び降りて、有無を言わせず水鉄砲をつかんだ。
「こら、おもちゃじゃ無いぞ……」
 いや、そもそもは玩具用なんだけど。だがっ!
「そこかな?」
 ルイはオレが気配を感じない方向に向けて構えておいて、次の瞬間にすばやく身を翻して水鉄砲を斜め後ろの壁に向かって撃った。
「きゃっ!」
 女の子の声がした。壁の蛍光塗料のシミが動いてる!
「わぁい。当ったよぉ!」
「す、すげえ……」
 最初のはフェイントかよ! 幼児のやる事じゃねえぞ! 何者だ、コイツ。
 関心してる場合じゃない。ここからはオレの出番だ。
「フェイ、ルイをたのんだぞ」

 捕獲開始。

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