頑張れない悪役令嬢

ちか

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前世 死因

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  「お前がいなければ!」
 
 また言われた。やっぱりそうなんだ。

 あまりに騒いでいたせいで看護師さんが注意しに部屋に訪れた。第三者の訪れに祖母たちは慌てて、孫の意識が戻って嬉しくてつい騒いでしまったと誤魔化していた。
 看護師さんは私に気づくとすぐに担当の先生を呼びに行ってくれた。

 看護師さんが出ていくとすぐにまた私に対して罵詈雑言が飛んできた。が、すぐにコンコンとノックされ、ピタっと黙って先生と看護師さんをにこやかに迎え入れていた。

 先程の騒ぎも今回のもおそらく病室の外にまで聞こえていたのだろう。病室に入ってきた先生たちの顔がとても怖い顔をしていた。何かを我慢しているかのような表情だった。

 私を見ると打って変わって優しい表情をし、診察してくれた。そして祖母達をそれとなく部屋から追い出してくれた。

 そして、病院に運ばれてきた際に見た体の傷から虐待の疑いがあるから保護することが出来る。そしてしばらくは病室に親族といえど入れないようにできると言われた。「本当は今日も入れないようにと手配していたんだけどね、ごめんね」と謝られた。

 優しくされたことなんて滅多になくてとても嬉しかった。でもその時、偽りの優しさをくれた彼が蘇って素直にその好意を受け取れなかった。

 それでも先生は怒った風もなく、また診察に来ると優しく言って看護師さんと共に病室を出て行った。

 それから数時間後、眠りについていた私はふと、人の気配がした気がして目が覚めた。消灯後の薄暗い病室にぼんやりと人影が見えた。よく見ると先程、先生と一緒に診察に来た看護師さんがいた。夜中の巡回で点滴の確認かなとぼんやりした頭で見ていると、ギョロリと看護師さんの目がこちらを見て目が合った。

 すると看護師さんは

 「あら、起きちゃったのね。せっかく眠っている間に死んでもらおうとしたのに。」

 と歪な笑顔で言った。私はその顔を見て背筋が凍った。

 どうして看護師さんが⁈  私はパニックになった。どうして初めて会った人にまで知らない間にこんなに恨まれてるの?
 私のパニックなんかまるで気づかないかのように看護師さんは話続けていた。

 「だってあなた護堂先生に色目使っていたじゃない? 可哀想なフリして先生の同情誘って!」

 なんでどうして私はそんな事してない⁈ 

  「でも大丈夫よ。さっきあなたが眠っている隙に素敵なお薬打ってあげだから、もう直ぐあなたは死ぬわ。」
 まるで点滴を交換する時と変わらない雰囲気で説明された。

 そして看護師は持っていた小さな瓶と注射器をサイドテーブルに置いて、点滴の速度を早めた。

 体が痛くて思い通りに動かないし、一体いつからどのくらいの薬を入れられたのかわからない。なんだか心臓がバクバクしている気がする。
 なんだかやけに心電図の音が聞こえる。

 苦しい。苦しい。苦しい。

 苦しさのあまりのたうち回り、ドサッとベットから上半身が落ち、ナースコールを押すことももう出来ない。

 どうにかしようとする私ともういっかと思う私もいた。階段から落ちた時はあんなに助けてって思ったくせに。

 このまま生きていたって……いらない子の私はこのまま消えたほうがいいんじゃないかな。
 次第に諦めの気持ちが強くなってきた。

 せっかく助けてもらったのに生きられなくてごめんなさい。
 もう自分でもどうしたらいいかわからない……
 苦しい……苦しい……とにかく楽になりたい。

 私の死に際はとてもみっともなくて無様で自分勝手だった。

 次第に痛みも苦しみもわからなくなり、なにもかも真っ暗になった……

































 これで全て終わりそう思ってた。けれど、なぜか目が覚めた。

 
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