つがいなんて冗談じゃない

ちか

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謁見からの……

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 キョロキョロして立ち止まっていると、コホンっと小さな咳払いがされ、はっ我に返った。案内人の方に促され数段の階段の上の玉座に座る王様から二、三メートル程離れた位置に案内された。どうやらこの距離で話すらしい。しかし、わたしはどうしたらいいかのわからず、とりあえずお辞儀をした。

 すると、王様から楽にして良いと言われ、頭を上げて王様を見た。王様は犬?もしかしたら狼かな?三角のピンとした耳が生えていた。

 またそこで怪訝な顔をした者たちがいたことにわたしは気づけなかった。

 そして、この場にいる人たちの紹介がされた。一通り紹介し終わったところで王様が話し出した。

「よく参られた、神子様。どうぞごゆるりと我が国でお過ごし下さい。何せ、先代神子様が身罷られて百年ぶりのご来訪、我が国は神子様を歓迎いたします。」

 ひゃくねん……さっきの説明ではなんかつい先日亡くなったとばかり思ってた。だから塔にいれば神子様なんて言ってたのにあんな疑いの目で見てきて水晶玉に触らせたのかなと思った。

「何かございましたら遠慮なくお申し付け下さい」

 王様の態度はよく言えば堂々としていて威厳がある感じ悪く言えば不遜な態度にも思えた。でもこんなわたしのような見ず知らずの子供にもと思われているせいか丁寧な言い方をしてくれている。

 王様がこの様子ならとりあえず、殺されたりはしないのかな?なら少しは安心かな。についてもう少し詳しく話を聞きたいけど。

 そんなことを考えていると先ほど入って来た大きな扉が開き、王様と似た髪の色の男性が入って来た。髪は銀髪、目は紫眼。頭には王様と同じく犬もしくは狼のような耳がピンと立っていた。彼は現代でもイケメンと言われるような、まるで乙女ゲームにでも出て来そうなとても凛々しくキラキラとした人だった。

「遅くなり申し訳ありません。陛下」

「いや、構わん。こちらこそ急がせて悪かったな」

 そんなやり取りをして後から入って来た男性は、なぜかわたしをじっと見ていた。その不躾な視線が嫌でどうしたらいいか思案していると、その男性は早歩きでわたしの元まできた。

 そしていきなり抱きついた。

「ヒッ!」

 驚きと恐怖で動けない隙に今度は跪き、急にわたしの左手を取って薬指にキスをした。
 それだけでもわたしは理解の許容量を超えていたのに彼は言った。

「お会いしたかった。我が最愛の番殿。永遠の愛をあなたに」

 次の瞬間、地面に円形の模様が現れ、光が現れた。そこから一筋の光がするするとわたしと彼にまとわりつく。
 そして互いの薬指に巻き付いたところで光は収まった。

 今の光は何?ツガイドノ?何それ?今度は何?

 しかし、そんなわたしの困惑は置いて、周囲はわぁっ!!と歓声を上げ盛り上がった。

「何?本当か?神子様がお前の番か?」

「おめでとうございます」

「ようやく番が……」

「なんとめでたきこと」

「こうも慶事が重なるとは……」

「ご結婚おめでとうございますメレヴィス公爵殿下」


 先程までの神妙な空気などなかったかのように皆口々に祝いの言葉を述べて騒ぎ出した。ひとしきり騒ぎ、盛り上がりが落ち着いた後、王様がわたしの戸惑いに気づきもせず言った。

「新たな神子様を迎えられただくでなく、長年見つからなかったギルフォードの番であったとはなんと喜ばしいことか。今の婚姻の儀を持ってこの二人の結婚が成立したことを宣言する」


 わぁ!っと歓声が上がり大きな拍手喝采に包まれた。

 わたしどうなっちゃうの?結婚?
 
 置き去りにされてどんどん話が進んでいき、先ほど小さくなった不安や恐怖がまた大きくなって来たのを感じた。

 ただでさえ、見知らぬ場所に来て見知らぬ人たちに次から次へと色々言われてずっと緊張していたのだ。わたしはもういっぱいいっぱいだった。
 そしてとうとう恐怖と混乱でわたしの涙腺は限界が来てしまった。
 

 ぐすっ……ぐすっ……

 

「おぉ、神子様も喜びのあまり泣いておられる」

「まったくだ」

「これは前途洋々だな」

「此度の神子様はなんて幸運なお方なんだ」

 わたしの涙を言ったどう勘違いしたのかそんな言葉が聞こえて来た。



 そして薬指には何か植物の蔓のような模様が指輪のように付いていた。
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